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サヨナラ 2

翌日。
何となく乱馬を避けるように早めに学校に来たあたしが、授業までの時間をどうにかして潰さないと…と一人屋上にやってくると、

「…ん?」
そこには既に、お客様がいた。
しかもあたしが良く知っているその顔は…

「さゆり?」
「あ。あかね…」
珍しい事に、そこにはクラスメートのさゆりが一人、浮かない表情で佇んでいた。

「どうしたの?さゆり…こんな所で」
いつもは、明るくてニコニコ笑顔がトレードマークのさゆりが、何だか元気がないように見えて、
あたしは思わず、自分が落ち込んでいるのも忘れてさゆりに声をかける。

「うん…」
さゆりは、あたしに小さくそう呟いたあと、徐々に、徐々に…何だか今にも泣き出しそうな表情で…あたしの顔を見た。

「さゆり、どうしたの!?」
泣き出しそうなさゆりをあたしが慌てて問い詰めると、

「実は…」
さゆりが、ホロリ、ホロリ…と涙のつぶを目からこぼしながらあたしに必死に話し出した。

…どうやら、さゆりが密かに片思いしているひろし君に、最近好きな人が出来たのではないか、ということだった。
今までは喧嘩しながらもつかず、離れず。
たまには二人でどっか買い物に行ったり、映画に行ったり。
何かをするって訳じゃないけど、二人で遊んでいた事もあった。
なのに、ここ一週間…何だかさゆりを避けるような行動をとっていたので…

「あたし、友達の大介にひろしの事、聞いてみたんだ。そしたらアイツ…近くの女子高の女の子に言い寄られてるらしくて。ここんとこ、そのこに誘われて毎日毎日遊びに行ってるんだって…」
「え?」
「大介、ひろしに口止めされていたらしいんだけど…」
「…」
「始めは、ひろしも”告白されちゃって”くらいの軽い気持ちで接していたみたいなんだけど、でも何かまんざらでもなさそうだって…大介が」

さゆりはそう言って、涙をぽろぽろと流していた。

「そりゃあ、あたしは別にひろしと付き合ってるわけじゃないけど、でも…」
でも、もしかしたらあたしが好きなようにひろしもって…と、さゆりはしゃくりあげながらそう続ける。
あたしはさゆりの身体をきゅっと抱きしめてあげながら…ふと、別の事を考えていた。

(もしかしたら、乱馬の相手…そのひろし君の相手と同じ女子高の子かも…)
…そう、昨日の乱馬への電話の相手のこと。

「…」
あたしは、腕の中で震えているさゆりの頭を優しく撫でながら…ある決意をした。
そして、

「…ねえ、さゆり。だったらさ、とりあえず大介君が教えてくれた事を確かめてみようよ」
あたしは、さゆりに思い切ってそう提案した。

「え?」
あたしの提案に、小百合はひどく驚いていたが、

「…だって、本当はどんななのか分からないまま不安になっていても仕方ないよ。ひろし君がどんな風にその相手と逢ってるか、まずは確かめてみよう?」
あたしは、さゆりだけでなく自分にもそう言い聞かせるようにゆっくりと話した。

「うん…」
さゆりは不安そうな表情をしながらも、小さく頷く。

「ゆかも誘って、放課後…ひろし君達の後、つけてみよう」
あたしは、さゆりと自分にも言い聞かせるようにもう一度ゆっくりとそう提案した。
さゆりも、不安げながらもあたしのその提案に賛成してくれたようだった。

 

 

「水原学園…ここね」
「ここ、有名なお嬢様学校じゃない」
「え?そうなの?」
・・・そして、放課後。
今日もさっさと教室を出て行ってしまったひろし君・大介君・乱馬の後をつけたあたしやさゆり、ゆかは、妙に立派な門構えの女子高の前で少しだけ面食らっていた。

「偏差値は普通なんだけど、学費がめちゃくちゃ高くて、良家のご令嬢しか通ってないって噂よ」
「へー…」

ゆかのしてくれた説明に、立派な校門近くの木の陰に潜むあたしとさゆりは、妙な関心をしていた。
注意深く校門の方を見ていると、ひろし君や乱馬達だけでなく、他の高校の男子生徒も数人、校門の横で立っていたりしている。
どうやら、ひろし君同様、お目当ての女の子の授業が終わるのを…待っているのかもしれない。

…その内、パラパラと校門の中から女の子達が出てきはじめた。
授業が、終わったようだった。
門の中から出てくる女の子達は、校門の脇で待っている男の子の顔をチラチラと見てはキャっキャと騒いでいる。
そんな光景を見ては、あたしはズキ…と心が痛んだ。
乱馬の姿を見て、騒いでいた女の子もいたからだった。

嫌だ。
何だかすごく嫌な気分だった。
昨日まで…あたしの知らない所で、乱馬が他の女の子にこんな風に見られていたんだって思うだけで…胸がぎゅっと締め付けられる思いだった。

「…」
あたしが思わず、ぎゅ…と唇をかんでいると、

「あ…」
その時不意に、さゆりが声を出した。

「え?」
あたしが慌てて我に返り、さゆりの視線の先を見ると…校門脇に立っていたひろし君が、ちょうど動いた所だった。

ひろし君は、誰かに向って手を上げていた。
その手に反応するように、ひろし君の下へ走る…女の子。
出逢った二人は、なにやら楽しそうな顔で話していた。

「…」
…その光景を木の陰からずっと見ているさゆりは、すぐにでも歪んでしまいそうな顔を必死で堪えるように唇をかみ
締めて耐えている。

「さゆり…」
そんなさゆりを心配するように、さゆりの手をきゅっと握りながらゆか呟く。
あたしも、そんなさゆりの手を握りながら彼女を気遣いつつも…本当は今、さゆりを気にしてあげなくちゃいけないにも関わらず、あたしは「別の事」が気になって気になって、仕方がなくなっていた。

…ひろし君がお目当ての女の子と話しているその間。

「こーんにちは!」
その女の子と一緒に校門から出てきた女の子が…乱馬の腕を取って、嬉しそうな顔で挨拶をしたから。

「どうも…」
乱馬はちょっと困ったような顔で笑いながら、その女の子に手を自然に解こうとしているように見えたけれど、でもあたしからは、そんな乱馬の真意は…わからない。

やめて。
やめてよ。乱馬に触らないで。
その腕を取っていいのは、あたしだけなのに…!
その位置にいるのは、あたしなの!あたしの位置なの…
声にならない叫びが、あたしの心から飛び出していく。

「…」
あたしの身体が、小刻みに震えている…自分で分かった。
そんなあたしの手も、ゆかはぎゅっと握ってくれた。
でも、あたしの身体の震えは…止まらない。

「早乙女君、昨日はどうもね」
「いや、そんなお礼を言われる事でも…」
…そんなあたしの心の叫びなど露知らず、あたしの目の前では、乱馬と、その腕を取ってる女の子との会話がなされている。

(・・・電話と同じ声…)
その女の子の声を改めて聞いて、あたしにはすぐに分かった。
彼女の発した声は、電話の声と同じ。
つまり…彼女が、昨日の夜、乱馬と会っていた相手。

……

「…」
あたしがそんな事をぼんやりと考えていると、

「あかね…あかね」
そんなあたしに、ゆかが気を使って声をかけてくれた。

「あ…ごめん…」
あたしが必死に取り繕うと、それと同時に…急にさゆりが…あたしとゆかの手を振り解いて、木の陰から飛び出してしまった。

「あかね、さゆりがッ…」
ゆかもオロオロしつつもそんなさゆりを追って、ひろし君達の前へ飛び出す。
そうなると、あたしだけこうして木の陰へ隠れてるわけにも行かず…慌ててあたしもさゆり達の所へと向った。

…もちろん、いきなり姿を表したあたし達に、

「さ、さゆりッ…何でお前ッ…」
ひろし君は勿論驚いているし、「やべ…」と、大介君は頭を掻いてるし。
そして何より乱馬は…あたしの姿を見て、ビクッと身を震わせていた。
…そう、彼女に手を取られたまま。

ひろし君の事はさゆりとゆかに任せ、あたしが乱馬をギロリと睨むと、

「や、コワーイ…。何この子。早乙女君の知り合い?」
妙に甘えた口調で、女の子が乱馬の陰に隠れながらそんなことを呟く。

「あー…えーと、その…」
乱馬が言葉を濁していると、

「風林館の制服着てるしー…あ、分かった!早乙女君のおっかけ?やっぱもてるんじゃん、早乙女君」
「え、いやそうじゃなくて…」
「違うの?じゃあ、もしかして早乙女君達のクラスメート?」
「それもあるけど…それだけじゃなくて…」
「それだけじゃなくて、おっかけでもある、と。正解!?あたしってばすごく冴えてる!誉めて、誉めて」
はっきりとしない乱馬にその女の子はそう言って、ちょっと甘えた表情をしていた。

…何よ、この子。
何なのよ、この子。
それに…何よ、何でしゃっきり断らないのよッ…
あたしは、そんな二人の姿を見ていたら何だか吐き気がしてきた。
もう、いても立ってもいられない。

「…」
あたしは、何も言わずに二人から目線をそらすと、さゆりとゆかの方へと黙って歩いていった。

クラスメート?
おっかけ?
…はっきりとしない乱馬の態度に、怒ると言うよりもあたしはむしろ…ショックを受けていた。

クラスメートって何よ。
あたしはあの子の前では、ただのクラスメートなの?
あたしは・ ・・あたしは、乱馬と付き合っていたんじゃないの?
違うの?
そう思っていたのはあたしだけなの?
…じゃあ、あたしは何なのよ!

本当なら、この場で喚き散らして叫んで、そして乱馬のことを殴ってしまえば楽なのかもしれない…そう思った。
でも、出来なかった。
そうできるほど…今のあたしには気持ちに余裕がなかった。

「…分かった。もういい」
…その傍らで。
さゆりと、ひろし君の話も決着がついたようだった。

「彼女が出来て、良かったじゃない。…オメデト」
やっぱりあんまりはっきりとした態度を見せないひろし君に業を煮やしたさゆりがそう言い放った所だった。

「ゆか、あかね…行こう」
さゆりは、あたし達に表情を見せないように…早足で歩き出していた。

「あ、さゆり…!」
そんなさゆりを慌ててゆかが追っていく。

「おい、ひろし…いいのか?」
事の顛末を見守っていた大介君が、複雑な表情をしているひろし君にそう話し掛けるが、
「…」
ひろし君はなんともいえない表情でさゆりの後ろ姿を見送っていた。

「あ、あのッ…」
そんなひろし君達をじっと見守っているあたしに、さっきの女の子の腕を振り解いた乱馬が駆け寄ってきて何かを話し掛けようとするけれど、

「あかね、あのさ、これは…」
「さゆりの事は…」
「え?」
「さゆりの事は、あたし達に任せて」
…あたしはわざとその言葉を遮るようにそう言葉を言い被せると、あたしも慌ててさゆりとゆかの後を追って走り出した。

「あかねッ」
そんなあたしの後ろ姿に乱馬が叫んでいたけれど、あたしは振り返ろうとはしなかった。
…そんな余裕なんてないほど、あたしの心は…締め付けられている。

乱馬の腕を、あたし以外に独占する女の子がいた。
…付き合う前は、もっとたくさんその光景も見てきたはずなのに…今は、それがどうしても耐えられない。
あたしは、これを知ってしまって…どうしたらいいんだろうか。
さゆり達の後を追う道を走りながら、あたしはそんな事を考えていた…。


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