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SUMMER MEMORIES 2

翌日のこと。

自業自得とは言え、やはり妙な体制で無我夢中になると後々に身体に支障が出てくるものだ。
しかも、身体が何だかだるい。
俺は腰をトントンと軽く叩きながら、朝方の砂浜を歩いていた。


本当はあかねを誘って二人で歩きたかったけれど、昨夜のことがありあかねは深い眠りに入っていたみたいで、あかね達が眠っている部屋を覗いたものの、あまりにも気持ち良さそうに眠っているあかねの姿を見てしまったら、躊躇せざるを得なかった。


「こんなことしてっ・・・ダメなんだからっ・・・」
肌蹴た浴衣姿の上半身をひねり、背と腰を俺の方に向けて俺の恨めしそうに見ながら、呟くあかね。
そんなあかねに対し、無情にも優しい言葉も優しい仕草もせず壊れたように自らを擦り付ける俺。
辺りを気にしながら、そんな風に背徳的な行為を行うスリルというか、抑圧された何かが、 また思い出すたびに俺としては熱くなってくる。
最も、そのせいであかねは体力を消耗してしまったわけだけど・・・
「・・・」
そんな事を考えながら、俺が一人砂浜を歩いていると、

「悪いけど、話すことはもうないから」

何だか聞き覚えのある男の声が、ふいに俺の耳へと飛び込んできた。
この声は・・・例のあかねのハトコ、武か?
しかも、言葉の内容から察してもう一人他に誰かいそうな・・・
「・・・」
一体、どこからこの声はしているんだろう?
俺はきょろきょろと辺りを見回して、声の主の存在を探した。 と、 俺達が昨夜人目を忍んで過ごした石段・・・から少し離れた所にある防風松が並ぶ一角の所に、若い男女が一組、立っていた。
男は、よく見ると例の武だった。
でも女は・・・見たことのない人物だった。
年の頃は、俺達よりも少し上。 大学生か、それとも社会人か・・・判断しかねる微妙な年齢の女性で、武同様にこんがりと日焼けをした、長い茶髪が印象的だった。
筋肉のつき方が、普通の女性とは違って均等に、しかも腕にも集中的にあるように見ると、もしかしたらこの海で、セイバーや監視員、もしくはウォータースポーツをやっているのかもしれない。
「・・・」
地元民どうしの密会?どうみてもただの“友人同士”には見えない。
そんな二人が、一体こんなに朝早くにこんな人気のない所で何をしているのか?
俺がそんな事を思いながら、二人に気付かれないように傍へと寄って聞き耳を立ててみると、

「あんたはなくても、あたしにはあるよ!あたし・・・別れる気なんてないから!」
女の方がその内、激昂して武にそう叫んだ。

別れる、といっているところを見るとその女、武の彼女のようだ。
「・・・」
何だ、アイツ彼女がいたのか。じゃあ俺が心配するようなことでもないのか・・・
俺がそんな事を思いながら様子を伺っていると、

「何か勘違いしているじゃないか?」
「なにが!」
「別れるも何も、俺はお前と初めから付き合ってなんていないんだけど?」
「なっ・・・じゃあ、付き合ってないのに今まであたしと・・・」
「身体の関係一つで恋人だなんて思い込まれたら、重いだけなんだけど」

武は激昂する彼女にあくまでも冷静に、そしてあくまでも淡々とそう言い放った。
言われた彼女は、武のその発言に言葉を失い、表情を強張らせている。
武はそんな彼女をその場に残したまま、去っていってしまった。

「・・・」
・・・おいおい。心配ないどころか、とんでもねえ奴じゃねえか。
『身体の関係一つで恋人だなんて思い込まれたら、重いだけなんだけど』
そんな考えで、色んな女と遊んでいるような奴なのか?あかねの前では、真面目な好青年そうに装っていたくせに!
同じ感覚で、たまたま偶然再会したあかねに手を出されたのでは堪らない。
影に身を潜めながら、俺はそんな事を考えていた。

一人取り残された彼女は、険しい顔つきで去っていった武の後ろ姿をじっと睨み付けていた。
俺は、そんな彼女に気付かれないようにそっとその場を離れようとコソコソと歩き始めた・・・はずだったけれど、

「あいやー、乱馬!」
「げっ、シャンプー!」
「こんなところで何しているあるか!?朝っぱらから出会う、私達、運命感じるね!」

・・・早起きをしたらしく海辺を散歩していたシャンプーが俺の姿を見つけ、大きな声でそう叫びながら、俺に抱きついてきた。
「お、おいシャンプー!」
出来れば静かにこの場所から去りたいと思っていたのに、まるで逆の状況に陥ってしまっては・・・俺が慌ててシャンプーの口を手で押さえるが、
「乱馬、どうしたあるか?」
「しっ静かにしろって・・・」
「静かにして、こんな人気のないところで何するあるか!?あいやー、私ドキドキするね」
シャンプーは俺が慌てれば慌てるほど、楽しそうにそう叫ぶ。
そんな事をしていれば、当然のごとく例の彼女にも見つかってしまう。

「・・・」
・・・朝の海辺で、折り合いのつかない痴話話をしている自分達の後ろで、いちゃいちゃと密会をしている男女。
俺はそんな風な視線で彼女に発見されてしまったのか。
彼女はそんな俺達からフイッと目をそらすと、その場から去っていった。

「あいやー、今の誰あるか?」
その時点でようやく彼女の存在に気がついたシャンプーが暢気に俺にそう聞くも、
「・・・」
それを何とか確認しようとして見守っていたところで、お前が邪魔したんだろうが!
俺は大きなため息をつくと、ノロノロと民宿へと向かって歩き出す。
「あいやー、乱馬、待つよろし!」
俺の後ろから小走りについてくるシャンプーを無視して、俺は民宿へと戻った。

 

 

朝食を民宿でとった後、俺達は皆で海へと出た。
今日に限って俺は、
「あれ?乱ちゃん、何で男のままなん?海、はいらへんの?」
「私としては嬉しいあるが、一体どうしたあるか?」
・・・武の野郎の件もあるし、何だか女の姿であかねの傍にいるのも忍びなく、俺は男の姿のままで隅に現われた。
波打ち際に行かなければ、女になることもない。
ただ、海に入ってなびき達とはしゃぐあかねを見る不特定多数の若い男をその場で蹴散らすことが出来ないのは残念な限りだ。
それに、俺が男の姿でいることで、余計にシャンプーやうっちゃんが俺の隣にへばりついていることもあり、
「・・・」
俺が武の事を気に入らないのと同様、それが気に入らないあかねは、俺の傍には寄り付こうともしない。
これは、逆効果なのか?
でも、今朝の一件もあるしあの男には俺が余計に目を光らせていないと・・・俺は妙な責任感に刈られながら、海の家に陣取りつつ、そんなことを考えていた。

と。

「弟さんは泳がないんですか?」
シャンプーとうっちゃんが、それぞれ海に設置した自分達の臨時店舗に戻り俺が一人きりになった頃。
海に来たというのに、海パンにもならない。しかも、小難しい顔で海の家の中から砂浜を見ている・・・一般的な海水客からしても妙な感じの俺に、武が話しかけてきた。
「・・・まあな」
爽やかそうに話しかけてくるものの、どう考えても今朝の事件で印象が悪い。
俺が、眉間にしわを寄せながら武にそう答えると、
「・・・ふーん?じゃあ俺、弟さんの代わりにあかねと遊んでこようかな。泳げないみたいだ
し?」
武はそんな俺に対し、まるで挑発するかのような口調でそう言った。
「・・・」
・・・コイツ、俺に喧嘩売ってんのかよ。
俺がジロリと武をにらみつけると、

「おー、怖いねえ。自分の女に俺が近づくのがそんなに気に入らねえのかねえ」
「!てめえっ・・・」

今、何て言った?
自分の女がって・・・武の野郎は確かに言った。
俺の事を散々、あかねの「弟」だと言っていたくせに!・・・てことは、コイツ確信犯か!

俺が思わずそう叫びそうになり立ち上がると、

「一目見た時から気付くに決まってんだろ。俺を見る目、あれは家族が心配して俺を疎む目じゃなくて、明らかに『男』の目だったからだな」
「てめえ!それが分って、わざとあかねに近寄ってんのかよ!」
「あれだけいい女になったんだ、近寄らない方がおかしいだろ」

それまでの醸し出していた爽やかな雰囲気を一転させ、 そう、まるで朝砂浜で女性と話していた時のようなクールな雰囲気を作り出しながら、武は俺にそう言い放った。
「・・・あかねには指一本、触れさせねえからな!てめえが遊んで捨てるような女じゃねえんだよ、あかねは」
俺は、武の胸倉をグイッと掴みながら低い声でそう叫ぶ。
「でも本人が遊んでくれって言ってきたら、遊んでやるしかねえだろうが」
「何を!?」
「どういう事情か知らないけど、あかねみたいな女がいるくせに、あんたは何人も女をはべらせているみたいだし?」
「っ」
「聞いたところによれば、もう一人許婚とやらもいるわ、婿にしたいって言っている女もいるみたいだし。いいねえ、両手に花で。一人くらい分けてくれよ」
・・・どうやら、昨晩の内に民宿に泊まっている俺の家族やシャンプー達に、色々と俺の情報を聞いて回ったみたいだ。
民宿ではいい人そうに装っていたから、皆も油断してコイツに俺の情報をアレコレと話したに違いない。

「それにしても、水かぶったら女になるなんて・・・厄介な体質だよなあ。同情するぜ、男として」
「ほざけ!てめえに同情してもらう謂れはねえ!」
「まあ体質はともかく、肝心な時に自分の彼女を守れないかもしれないなんて・・・致命的だな」
「!」
俺は、掴んでいる胸倉を更に強く締め上げて武の野郎を睨み付ける。

「おー、こわ」
武はそんな俺の締め上げている手を乱暴に振り払うと、

「・・・とにかく、あんた達がいるのはあと二日。俺は二日以内に、あかねを落としてみせるよ」
「そんなのさせるわけねえだろ!」
「ちょっと頭を使えば、あかねは素直そうだし、簡単さ。例えば・・・」
武はそう言って、俺に向かって意地悪い笑みを浮かべると、

「知ってるか?ハトコ同士って結婚できるんだぜ?」
「!」
「結婚出来るってコトは子供が出来ても全然問題ねえし。日本の法律、万々歳だな」

といって、海の家から出て行ってしまった。
そして、波打ち際で遊んでいるあかね達に笑顔を浮かべながら近寄っていく。
「くっ・・・」
ダン!
俺は、あまりの腹立たしさに思い切り近くの机を拳で叩いた。
・・・ただでさえ気に入らないというのに、今までのことはすべで確信的に行動していたとは。

油断も隙もあったもんじゃねえ!
あんな男に、あかねに手を出されてたまるかってんだ。
そう簡単に、あいつの思い通りにはさせるか!
「・・・」
あかねの血縁者じゃなかったら、ぶっ飛ばしているところだ。
というか、あかねはあんなに素直なのに、ハトコくらい血が薄くなると、殆ど血縁者とは思えないような人格だぜ。
俺は、ギリギリと歯を噛み締めながらそんなことを考えていた。

 

と、その時。
「あんたも大変ね」
「え?」
「まあでもあんたもアイツと似たようなものなのかしら?」
・・・不機嫌そうに歯軋りをしていた俺に、話しかけてくる人物がいた。
俺が慌てて声がした方を見ると、そこに立っていたのは今朝武と話をしていたあの女性。
今朝とは違い、オレンジ色の目を引くセイバー着を身に纏い、不機嫌そうな顔で俺の事を見ていた。
どうやら彼女はこの海のセイバーで、休憩時間にここへとやってきたかのようだ。
今朝は長い茶髪を降ろしていたけれど、職業柄なのか、今は一つに纏めている。健康そうな肉体は今朝と変わりはないけれど、こうしてみると随分と印象が違って真面目で凛々しくに見える。

「俺がアイツと似ているってどういうことだよ」
俺が話しかけてきた彼女をにらみながらそう呟くと、

「あんたが武と話していた女の子って、今波打ち際にいる子でしょ?でもあんた、朝は別の女と砂浜でいちゃついていたじゃない」
「なっ・・・あれはそんなんじゃ」
「武は、狙った女は逃さないから・・・気をつけたほうがいいわ」

彼女はそう言って、俺の隣に腰掛けた。
そして、

「・・・あんた、アイツの」
「美咲」
「は?」
「あたしは、梶尾 美咲。この海でセイバーをやっているわ。歳は、武よりも二つ年上の二十一」
彼女・梶尾美咲は簡単に俺に自己紹介をすると、ため息をつきながらそう答えた。

梶尾美咲が二十一って事は、武の野郎は十九って事か。
どっちも、歳相応には見えないな・・・もっと年上かと思った。俺はそんなことをふと考える。
ただ、今は二人の年齢をノンビリと吟味している暇はないので、

「それより・・・あんた、アイツの彼女なんだろ?」
俺は、先ほどの続きを尋ねるべく梶尾美咲に再び話しかけた。

「今朝も言っていたでしょ、あたしはそう思っていたけどアイツは違っていたみたいね」
「それでいいのかよ」
俺としては、あんたに頑張ってもらわないと困るんだけど・・・と流石に声には出せないけれど、俺は彼女に尋ねた。
すると、

「いいわけないじゃない。でも・・・アイツ、変わっちゃったから。あたしが言うことなんて全然聞かないのよ」
彼女は少しトーンダウンした声でそう呟くと、大きなため息をついていた。

「変わったって?」
あの計算高くて確信犯のあの男は、昔からああだったわけじゃないのか?
俺がそんな事を思いながら彼女を見つめると、

「武は、小さい頃両親が離婚したときに、両親の両方に引き取られなくてね。それで、遠い親戚に預けられたそうなんだ。でも事情があって何件も、色々な親戚の家を渡り歩いたらしくてね。ようやく今のところで落ち着いたのよ。この海の家と民宿のオヤジさんが、その親戚の知り合いらしくて・・・酷い話だよね」
「・・・」
「でも、そんな事情があっても武はさ、すごく明るかったんだ。ひねくれた素振りもなくて、いつも楽しそうに笑って・・・誰にも思いやる、優しい男だった。あたしだって今のアイツと最初に出会っていたら、好きになんてならなかったわ」
「ふーん・・・」
「だけど去年・・・」
と。彼女はそこまで言って、更にトーンダウンをしてしまった。

去年、何かあったんだろうか。本当は聞いてみたいけど、でも聞いてもいいのやら?
俺がそんな事を迷っていると、

「・・・武、あたしの友達と付き合っていたの。武は彼女と結婚するつもりで真剣だったのよ。でもあたしの友達にとっては、武はただの遊び相手でねー・・・」
「で?」
「彼女のいわゆる本命と、彼女とを挟んで大喧嘩になっちゃって、武、かっとなってその本命彼氏を殴っちゃったのよ」
「怪我、させちまったのか?」
「たいした怪我じゃなかったんだけど、彼女の方が大げさに回りに言いふらしてね。最初は武、皆に酷く責められたの。あることないこと言われてさ・・・」
「・・・」
「でも結局、すぐに真相が分ってね。逆に居辛くなったのはその彼女。結局は逃げるようにして街を出て、その彼氏にくっついて今は別の街で暮らしているわ。武はそれ以来、女性不審ていうか、恋愛不審ていうか・・・」
「・・・だからといって、遊んで言い訳じゃないだろ」
「あたしは・・・あたしの友達が武と付き合っているときから彼のこと好きだったから、何とか昔の武に戻って欲しいって思って傍にいるわ。でも、今のアイツは、昨日分ったけど、あたしみたいな存在の女の子は何人もいるみたいね・・・」

見ての通りよ。彼女はそう言ってため息をついた。
そして、

「そういうことだから、あんたも彼女のことは気をつけるのね」
俺に最後にそう言い放つと、海の家から出て行った。
一人残された俺は、そんな彼女の後ろ姿を見つめながら思わず考え込む。

 

・・・人にはそれぞれ事情がある。
今はとんでもねえ性格をしているように見える武だって、去年までは問題なかったみたいだし、
少なくてもあかねがアイツとあった十年位前は、全然違う子供だったんだろう。
だけど、どんな事情があったって、やっていいことと悪いことがある。
俺は・・・絶対にあかねを守らなくちゃいけない。
俺のあかねに、そう簡単に手出しされてたまるか!

ついでに武の野郎は、今のあの彼女・梶谷美咲に面倒見てもらわないと困る。
俺は波打ち際であかねと接している武をにらみながらそんな事を思っていた。
でも、俺が思うようには世の中済まないっていうことを・・・俺はこの後思い知ることになる。

「・・・今の人、誰だろ」
「さあ、弟さん割とモテそうな顔しているから、地元の女に声でもかけられたんじゃないか?随分と話し込んでいたみたいだけど?」
「・・・」

俺が彼女と話している姿を、声までは聞こえないあかねが見ていたこと、
そしてそんなあかねに意図的か意図的でないかはわからないが、かなり適当な説明を武がしていたことに、俺は気がつかなかった。


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