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好き、嫌い…好き1

人がそれぞれみんな違うように、価値観や恋愛観だってみんな、違う。
仲の良い友達も、愛し合う恋人同士も。
どんなに側にいる二人だって、全く全てが同じになることはない。
でも、
違うと分かっていても自分が望むことを相手に求めてしまうのは、ただのエゴと言い切られ
てしまうのか。
見返りを求める恋愛なんてだめだと、ちゃんと分かっているつもり。
愛すから愛されたい…そんなのおかしいって分かる。
だけどあたしは、愛されたい。あたしだけを、見て欲しい。そう、願ってしまう。
どんなに愛されても愛されてもそう願ってしまうあたしは、たぶんこの恋愛に対しとても欲
張りなんだと、思う。
もっとも、
「この恋愛に対し」
なんて偉そうなことは言っていても、
他の人とこんな風に関係を結んだことは無いから、比べること何て出来ないし、今後も比べ
るつもりはない。
だってあたしはこの恋を、この恋愛を・・・最初で最後にしたいと願っているから。
・・・
ねえ、知ってる?
男の子は、好きな女の子の「最初の人」でありたいと、思う人が多いといわれているのに、
でも女の子は…好きな子の最後の人でありたいと、思うことが多いんだって。
・・・初めてあたしがこの話を聞いたときは、全然そういうのがピンとこなかった。
多分それは、そういう風に思える人と出会っていなかったからなのかもしれない。
でも今は・・・分かるの。
あたしも今は、そう思う。
私も彼の・・・最後の人でありたい、と。

(1)
「なあ、そんなの出して、当たるのか?」
「出せば当たるかも知れないじゃない。出さなきゃ確実に当たらないわよ」

もうすぐ桜のシーズンを迎えるだろうという、ある日の学校からの帰り道。
寒さにもめげず真っ赤な顔で口を空けている郵便ポストに葉書を押し込みながら、あたしは乱馬にそう言った。

あたしが投函したのは、とある雑誌の懸賞葉書。
特賞が現金百万円…て、これは流石に無理だとは思うんだけど、その下のA賞ペア豪華クルージングパーティご招待か、B賞のペア豪華温泉旅行ご招待ならば当たるような気がす
る。
あたしは昔からクジ運強いし、それに、

「特賞は一名だけだけど、A賞とB賞は五名づつ当たるのよ、可能性あるじゃない」
「…おめー、この懸賞に一体どれ位の奴が応募してくるか考えたことあるか?」
「考えるわけないでしょ」
「いい機会だから、考えてみろ。いかにおめーが無謀なことを考えているかわかるぞ?」

ポシティブ思考のあたしとは逆に、乱馬はこういう事にはやけに、保守的だ。
だけど、
「宝くじだって、買わなきゃ絶対に当たらないでしょ」
「買っても当たらないけど」
「でも、買わなきゃ始まらないじゃない。葉書も一緒って事よ」
「ふーん…」
何だかまだ腑に落ちなさそうな乱馬に、あたしはハッキリとそう言い切り、ポストの前で手を合わせる。
乱馬も呆れたような表情をしながらも、そんなあたしの横で手を合わせてくれた。

…何だかんだ言っても最後はこうしてあたしに合わせてくれる。
そう言う乱馬の優しい所、あたしは好きなんだよね。
本人にこんな事言うのは何だか照れるけれど、あたしはそんな事を考えていた。
・・・

あたしと乱馬の関係は、こんな感じでいつも保たれている。
あたしも乱馬も、大抵お互い好き勝手なことを言ったりやったりして。
でも、二人が何かをしようとして意見が分かれたときは、必ず最後、乱馬がこうしてあたしに合わせてくれるような感じだ。
趣味とかに関しては、
お互い格闘技という共通のものはあるものの、それ以外の趣味は我関せずというか、
「私がこうだからコレにあわせて」
と、強制するようなこともない。
それぞれが好きなことを、好きなようにする、その姿が好き。
お互いの「領域」にまで踏み込んで、それぞれの趣味や趣向を否定するようなことをしたくはない。
お互いそれを口に出して決めたわけじゃないけれど、自然にそういうスタンスで付き合っているような気がしていた。
この関係は、あたしにとってはとても、心地いい。
乱馬も特に不満を漏らしたりしないところを見ると、こういうスタンスの付き合い方が自分にあっているって思っているのかなあ・・・あたしはそんな事を、思っている。

とはいえ、お互い、ちゃんと誰かと付き合った経験なんてない。
少なくてもあたしはそうだし、あたしが知っている限り乱馬もそうだと、思っている。
だから、「この人とはこうだったのに」なんて比べる要素もないから、他人がどういうスタンスで誰かと付き合うかなんて知らない。
でもどうやら、あたし達は「何から何まで一緒じゃなきゃ嫌」のような、そういう付き合い方はしないみたいだ。
まあ、一緒に住んでいるからその辺りは一般的なカップルより恵まれているし、電話やメールなんて必要ないとは思うんだけど。
あたしがあたしであるように、乱馬が乱馬であるように。
お互いがお互いを尊重しあう付き合い方が出来れば良いなって、あたしはそう思っている。

でも、一つだけ・・・乱馬が乱馬であってほしいと思えども、気になることがある。
きっとそれがなかったら、乱馬らしくないのかもしれない。でも、そればかりが目立ってしまう乱馬は嫌・・・そんな風に思うこと。
それは、「優しすぎる」こと。
友達とか親とか、あたしにも優しいのはすごく嬉しい。
人として、誰かに優しさを抱くということはとても大切なこと。
だからそういう気持ちを誰かに持つことに関しては何も言うつもりもない。
でも、

「ホントうっちゃんは、あかねと同い年に思えないくらい料理上手いよなあ」
「おまえも、ちっとはうっちゃんを見習えよ」

・・・乱馬が、「友達」であり「幼馴染」である右京に対してみせる「優しすぎる」優しさだけはどうしても、あたしには自然に受け止めることが出来ないでいた。

あたしだって、別に右京のことが嫌いではない。
男っぽい性格はとても魅力的だと思うし、料理も上手いし可愛いし、時々見せる女らしさはあたしなんかより素敵だ。
でも、右京は・・・乱馬のことが好き。
乱馬はあくまで「幼馴染」としか、「友達」としか見ていないって分かるし本人もそういっている。
でも右京は、あたしが乱馬と許婚、それもちゃんと付き合い始めたって分かっていてもまだ、乱馬の事が好きだ。
早乙女のおじ様の、子供のころのいい加減の約束のせいで「もう一人の許婚」って事になっていることを本人もまだ、主張しているわけだし。
そんな右京に対して見せる乱馬の優しさが・・・あたしにはどうしても素直に、受け入れることが出来ない。
そのくせ、乱馬はあたしが・・・「幼馴染」ではないけれど、子供の頃からお世話になっている東風先生の話をするだけで何だか不機嫌そうな顔をするし、
あたしが一人で先生の所に行こうものなら、ついてきてしまう。
一人で行ったことを事後報告しようものなら、ブツブツと文句を言われることも多々ある。
だからあたしは、乱馬とちゃんと付き合い始めるようになってから、一人で先生の所には行かないようになった。
乱馬は、右京の所に行ってはお好み焼きをご馳走になることはたびたびだけれど。

「・・・」
乱馬が右京に接するのと、あたしが東風先生とお話しするのと、何か違うのかな?
自分だけはそれがよくて、あたしはダメ、って言うのだけは良く分からないない。
「嫌だ」という気持ちは、あたしも、そして乱馬も同じなはずなのに・・・。
・・・

「・・・」
乱馬のことは好き。大好き。だけど、右京に優しすぎる乱馬は嫌い・・・
そんな不思議な感情は、上手く口に出して伝えることが出来ない。
上手く処理しきれない感情を、どうにかいつも胸に閉じ込める。
皆には優しくして欲しい。でも、右京に対する優しさだけはもう少し、もう少し考えて欲しい・・・そう思うことは、多分あたしのワガママなんだと、思う。
そんな事を言ったところで、

「何言ってんだ?お前は」

そんな一言で乱馬に片付けられてしまう事だって、分かる。
人によって優しさの種類を振り分けるなんて、考えてみればおかしな話だ。
でも・・・あたしにしてみれば死活問題であり、重要な割合を占める。
・・・あたしは、乱馬とこの先ずっと、一緒に居たいと思う。
乱馬もそういってくれるように、ずっと隣を歩いていきたいと思う。
だからあたしは、そんな乱馬だから・・・彼の「最後の人」になりたいって思うようになった。
「最後」って言うのは、お付き合いをして結婚するまでの道のりを経る相手のことね。
もちろん、肌を重ねた相手の順序って意味もある。
初めて付き合った相手と結婚するなんて、そんなに大きな確率で起きることではないと思う。
同じように、初めて結ばれた相手と結婚することも、同じだと思う。
でも、もしも不思議な運命を辿りめぐり合った相手が彼ならば、そういうことがあってもいいんじゃないかな、なんて思うようになった。
私にとって乱馬が、「最初の人」であり「最後の人」であって欲しい・・・。
もちろん乱馬にも出来ればそうであって欲しい。
もちろんそんな事は強制することではないから、口に出すことは出来ないけれど。
だから尚更、少しでも不安な要素を抱えたまま、過ごしていきたくはないって、思う。
「・・・」
・・・

徐々に、徐々にで良いから・・・そういう不安がなくなりますように。
ポストに入れた懸賞はがきに対しての願掛けでは全くご利益なんてなさそうな祈りだけれど、あたしは一緒になって祈ってくれている乱馬の横顔を盗み見しながら、そんな事を思っ
ていた。

 

翌日のこと。
登校して席でたわいもない話をしていたあたし達の元へ、
「乱ちゃーん!」
ここ数日、「店の新作メニュー開発」とやらの為に学校を休んでいたはずの右京が、挨拶もそこそこ駆け寄ってきた。
そして、「久しぶりやなー!」とか何とか、早速乱馬にボディタッチ。
その姿にあたしは、ピクリ、と表情を動かすも、乱馬は全く気がついていない。
乱馬に駆け寄ってくる右京は、シャンプーとは違い、道の真ん中で乱馬に抱きついたり、お風呂に裸で飛び込んだりはしない。
でも、
「なあなあ、聞いてや!うちな・・・」
乱馬と会えたことだけでも嬉しい、とでもいいたげな表情で頬を染め、可愛らしく傍に寄り添う。
乱馬も、右京に関しては強引にその身体を振り払うことなどせず、
「よー、うっちゃん」
他の友達にするのと同じように、フレンドリーに接する。そして、右京と笑顔で話し始めた。
もちろんあたしは、一人ぽつんと、そんな光景を眺めている羽目になる。

「・・・」
・・・何か、嫌だな。あたしは二人を見つめながらそう思っていた。

背中まで伸びている長くてきれいな右京の茶髪が嬉しそうに揺れるたびに、何だか心がざわついた。
シャンプーと違って、右京も一応、乱馬の「許婚」だ。
例え乱馬が「幼馴染」としてしか見ていなくたって、右京は乱馬のことを「たった一人の許婚」と見ている。
乱馬が、特別な感情は抱いていないにしろ、少なくとも好意のある相手と、そんな彼女の姿を目の前で見るのは、あたしも堪える。
・・・
「・・・」
・・・シャンプーが乱馬に言い寄っているのを見るのとは、明らかに違う感情があたしの胸の中には蠢いている。

「乱馬、宿題・・・」
あたしはわざとらしく二人の会話をさえぎり、乱馬にどうでもいいようなことを話しかけてみる。
でも、

「やってねえけどどうにかなるだろ」
やっぱり元々がどうでもいい会話のせいで、いとも簡単に乱馬にはあしらわれてしまった。
あたしは再び二人の傍で、ぽつんと仲良しのその光景を眺めている。
「・・・」
制服の上から、胸をかきむしってしまいたい。そうすることで胸の中のこの感情が消えるならどれだけ・・・そんな事をふと、思う。

ヤキモチ、嫉妬。
素直にそれを乱馬にぶつけてみたって、いつも「くだらねえ」の一言で返される。
でも、あたしにとっては全然、「くだらねえ」事じゃない。
・・・話すなとは、言わない。
でも、もっと・・・もっと考えて欲しい。
「・・・」
あたしは二人から目を背けるように自分の席へと座ると、一時間目の準備をするべく机の中からノートや教科書を出し始めた。

と、その時。

「え?雑誌の取材?」
・・・そんなあたしの姿や気持ちをよそに、右京に腕を組まれたままの乱馬が小さく叫んだ。
「せや!二週間くらい前になあ、若者向けタウン誌の編集部から連絡があってな、話が進んでたんよ。で、昨日正式に取材が決定してなあ・・・現役女子高生が運営する美味しいお好み
焼き!っちゅーことで特集組んでもらえることになったんよ!」
「すげえじゃねえか、うっちゃん!」
「口コミのおかげやって。一週間後に取材に来ることになったんよ。しかも取材のお礼に何かくれるらしくてなあ、こっちとしてはめっちゃ得した気分」
右京はぴょんぴょんと飛び跳ねながらそういって、あたしでもよく耳にする有名タウン誌の名前を挙げた。
どうやら右京の店「お好み焼き うっちゃん」が、タウン誌の取材を正式に受けることになったらしい。
もしかしたら「新メニューの開発」はその為だったのか。どちらにしろ、有名タウン誌に掲載されれば宣伝効果はバツグンだろう。
上手くいけば、売り上げ倍増も夢じゃないかもしれないし、名前が売れることになれば、右京にとってプラスなのは間違いない。
「よかったじゃない、右京」
「ありがと、あかねちゃん」
「小夏さんも喜んでいるんじゃない?」
右京に対して複雑な感情はあるけれど、でも喜ぶべきところは素直に喜んであげたい。
それに、右京が若くして色々と苦労をしながら店を切り盛りしているのは皆が知っていること。
腕がよい料理人が、ようやく世間に認められるチャンス到来なのだ。
あたしは、再び二人の間に割ってはいるように右京に話しかけた。
でも、
「うーん、まあ小夏は従業員やからね、もちろん喜んでくれたんやけど」
せっかく人がほめているというのに、何だか右京は歯切れが悪い。
乱馬に報告するときにはぴょんぴょんと嬉しそうに飛び跳ねていたくせに・・・と、あたしの中に再び複雑な感情のほうが先行して沸きあがる。
「けど、何よ?」
歯切れの悪い右京の態度が何故か気になり、あたしが右京にそう尋ねると、
「そんなことよりもな、実はそのことに関してー、うちどうしても乱ちゃんにお願いしたいことがあるねんて」
右京はそんなあたしから目をそらし、可愛らしく乱馬に手を合わせてウインクをしてみせると、

「・・・ていうわけであかねちゃん、ちょっと乱ちゃんかりるわ」
「え!?じゃあ、あ、あたしも一緒に・・・」
「乱ちゃんへのお願いやさかい、あかねちゃんにまでわざわざ来てもらうのは悪いから。乱ちゃん、ちょっと!」

あっという間に乱馬の腕を取り、教室を出て行ってしまった。

あまりにも手際のよい動作ゆえに、あたしは詳しいことを聞くことが出来ないままその場で呆然としてしまう。
咄嗟に、乱馬と右京をとどめようと伸ばした手が、行き場をなくし妙に空しく宙で泳いでいる。

・・・右京が、乱馬のことを好きなのは知っている。
右京ももう一人の「許婚」であって、そして二人が幼馴染で仲がよい事だって、知っている。
でも、

「・・・」

・・・乱馬は、今はあたしの恋人。そしてあたしも許婚だ。それはもちろん右京だって、知っていること。
たとえ、乱馬が右京に対して恋愛感情を持っていないと信じていたって、目の前で腕を組まれて連れて行かれてしまっては、気分が悪い。
あたしに聞かれちゃ困ることでもお願いするのだろうか?
どうして?
あたしは・・・あたしは、あたしが知って困るような願い事を、乱馬には受けて欲しくない。
あたしには知る権利があったって、いいじゃない。ここで言えばいいじゃない。
・・・

「・・・」
乱馬だって、いくら右京が強引だからって、どうして大人しく連れて行かれてしまうの?
乱馬のことは好きだけど、そういうところはちょっと、物足りない・・・。

・・・彼の気持ちを疑うわけではない。
でも、あたしは「他の女の子よりちょっとだけ違う扱い」をされる女の子じゃなくて、
「彼女」になりたい。特別な人、になりたい。
あたし達が付き合っているのに、平気で抱きつかれたり他の子と秘密を共有するような、そんな扱いじゃ嫌だ。
・・・

「・・・」
・・・早く、始業ベルが鳴れば良いのに。
そうすれば二人、相談する暇もなく戻ってくるのに。あたしは、そんな事を考えながら、大
きなため息をついた。

 

 

「え?一緒に帰れない?」
「ああ、俺、寄るところがあるから」
その日の放課後。
いつものように授業後、乱馬と一緒に帰るつもりでかばんに荷物をつめていたあたしは、乱
馬に突然そう言われた。

おかしいなあ、今朝は用事があるとかそんな事言ってなかったような気がするんだけど。

「ひろしくんたちとどこか行くの?」
また、ゲームセンターでも行くのかしら・・・あたしが乱馬に尋ねるも、
「いいや。うっちゃんと買い物に行く」
乱馬はそんなあたしに対し、何の躊躇も無くそう答えた。
「え?」
その答えを受けたあたしの胸が、ドクン、と大きく一度鼓動した。

「・・・なんで?」
どうして、右京と一緒に買い物に行くの?
そんなの、あたし聞いてないんだけれど・・・トク、トクと徐々に鼓動を早める胸のざわめきを感じながら、あたしは乱馬に尋ねる。

「うーん、ちょっとな」
「ちょっとじゃ分からない」
「色々とあるんだって」
「色々って何よ」
「だから、色々。ほら、取材くるだろ?それの手伝いでさ、これから取材が終わるまでの一週間、手伝いに行かなくちゃいけねえんだよな。まずは今日、買い物が」
「何で一週間も?小夏さん、いるじゃない」
「だから、それが・・・まあ、色々あるんだよ。だから、しばらくの間は悪いな、あかね」

乱馬はあたしの問いを適当にごまかして、そしてさっさと教室を出て行ってしまった。
どうやら右京とは、昇降口で待ち合わせをしているらしい。
「じゃああたしも・・・っあっ、乱馬!」
あたしは慌てて乱馬の後を追ったけれど、すでに二人は学校から出て行ってしまった後。
「・・・」
二人がすでに消えた昇降口で、あたしはポツンと一人、立っている。
そして、乱馬に言われた言葉を一つづつ思い出しては、やりきれない思いを感じ、ため息をつく。

・・・彼が、別の女の子と二人で買い物に行くっていうことが、「たいしたこと無い」って、何?
乱馬はともかく、右京は・・・右京は乱馬のこと、好きなのに。
右京はきっと、楽しくて嬉しくて、すごく幸せなはずだもん。
特別な感情を抱いている相手と楽しく買い物が出来る、その気持ちはあたしにも分かるもん。
・・・それを、家で一人、分かっているのに待っていろっていうの?
もしも乱馬があたしの立場だったら、それ、平気なのかな。しかも、一週間も?

「・・・」
あたしは、昇降口でノロノロと靴を履き替えながら大きなため息をつく。

・・・シャンプーや小太刀と違って、乱馬にとって右京はやっぱり、何か違う存在なのかもしれない。
あたしの記憶では、シャンプーや小太刀とは、いくら頼まれたってこんな風に二人で気軽に買い物に行くなんて無かったような気がする。
元々幼馴染だし、どちらかというと、男友達みたいな感覚。
だからそんな右京に対して、今あたしがこんな感情を抱いていることなんて、きっと分からないなんだと思う。

「友達が困っているんだから、助けてやら無いとだめだろ」

言ったところで、乱馬にはきっと、こう返されるに決まっている。
それに、さっきみたいに「たいしたこと無い」で済まされてしまいそうだ。
でも、
でもね乱馬。

「・・・」
あたしにとってそれは・・・すごく大きなことなんだ。
本当はこういうこと、して欲しくないなって、思うんだ。
どこに、何を、どういう経緯で買いに行くのかも分からないまま、二人が楽しく買い物をしにいくことだけ知っているなんて、何か・・・嫌だ。
たいしたことじゃなくたって、
ほんの些細な事だって、時には言って欲しいのに・・・

乱馬のことは、好き。でも、右京に優しすぎる乱馬は、嫌い・・・

「・・・」
・・・一週間て、七日もあるんだよね。
ああ、一体誰が一週間を七日だなんて決めたの?
今日始まった週が明日終わればいいって、どうして今まで誰も決めてくれなかったんだろ
う?・・・あたしはぽつん、ぽつんといつものアスファルトの道を家に向かって歩きながら、
そんな理不尽な事を考えていた。


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