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叶わぬ恋と知りながら

東風先生は、かすみお姉ちゃんが好き。
誰もが知ってる、事実。
気が付いてないのは、かすみお姉ちゃんだけ。
きっと、二人はお似合い。
東風先生も好きだけど、
あたしはお姉ちゃんも好きだから…
だから、大好きな二人には、たくさん幸せになって欲しい。
だから、あたしは、諦めなきゃいけない。
この恋は絶対に叶わないって分かってるんだから、諦めなくちゃいけないのに。
でも……好き。どうしたらいいんだろう。
どうやったら、この恋に諦めがつくの?


自問自答を繰り返すあたし。
だけどその内、そんなあたしの迷いを吹き飛ばすような出来事が起きた。
東風先生に振り向いてもらいたくて。かすみお姉ちゃんみたいに女の子らしくなりたくて。一生懸命に伸ばしてた、あたしの髪。
その髪が、ばっさりと切れた。


偶然の事故だった。
アイツとアイツのライバルっていう男の子との喧嘩を仲裁しようとしたあたしは、そこでアイツと大喧嘩。
それに気をとられてたら、…飛んできた番傘で、あたしの髪は、切られた。

ショックだった。
ホントに、一瞬の出来事だった。
震える指で、無残に短く切られた髪を触ってみた。
・・・言葉さえも、出てこなかった。

どうやってうちまで帰ったか覚えてなかったけど、かすみお姉ちゃんに綺麗に髪を切りそろえてもらって。
あたしは、喧嘩仲裁のときにひねってしまった足首を見てもらおうと、東風先生の所へ行った。
そんなあたしに、いつもの無礼さなんて微塵も見せないアイツが、後ろを付いてきながら、「ごめん」と素直に謝ってきたっけ。
「いいの。どうせ近いうちに切るつもりだったんだから…」
でも、別にあたしは怒ってるわけでもないし。どんな謝罪の言葉を聞いても、胸に響かない。
アイツには、そう答えてやるのがやっとだった。「また、短くしたんだね?」
どんな事情で髪を短くしたかは知らない東風先生が、いつもの優しい笑顔で、あたしに話し掛ける。
「似合うかな?」
そう聞くあたしに、先生は、「とっても似合ってるよ」と誉めてくれた。そして、「そのほうがあかねちゃん
らしくていいよ」と付け加えてくれた。

…涙が、出た。

「どうしたの?」
必死で涙をこらえようとするあたしを、先生はとっても優しい笑顔で見た。


…ああ、この瞬間に、あたしの恋は、本当に終わったんだ。
それが、身にしみて分かった。
どんな形であたしが髪を失ったとしても。
先生は、髪の長いあたしじゃなくて、髪を短くした、今のあたしを「かわいい」と言ってくれるんだ。
かすみお姉ちゃんを真似しようとしたあたしじゃなくて、髪の短いあたしが、「かわいい」んだ。
先生の好みの、髪の長い女性じゃない、あたしが…。
そう思ったらもう、涙が止まらなかった。
先生は、大泣きするあたしに、黙って、その胸を貸してくれた。


…先生。さようなら。
最後にこうして、先生の胸を借りて泣くことで、この叶わぬ恋に、決着がつけられそうです。
あたしは、そんな事を思いながらも、気が済むまで、大泣きしてしまった。


その帰り道。
あたしが東風先生のことを好きってことも、さっきまでのやり取りもみていたアイツが、気を使って「可愛いって言ってたな」と、呟く。
「もう関係ないよ」
と、泣くだけ泣いてすっきりしたあたしが返すと、
そんなあたしを気を使ってか、元気付けようとしてか、「似合ってるぜ、その髪」とか、アイツは妙なことをいろいろと口走る。
挙句の果てに、
「俺は短い方が絶対すき…」
とか何とか言い出して、
「いや、俺の好みなんかどうでもいいんだけど…」なんて、自分の言ったことに言い訳したりして、照れたりしてた。
あたしはなんだか、それが可笑しかった。
・・・ 第一印象も第二印象も最悪な奴だったけど。
アイツの好みがショートヘアなんて、今初めて知ったけど。
でも、何でだろう。東風先生が「似合ってるよ」「かわいいよ」と言ってくれたときよりも、すごく温かい言葉に感じるのは。
・・・

「ありがとう。…嘘でも嬉しい」


あたしたちの運命は、この瞬間から動き始めた。
その瞬間、あたしは自分でも分からないけど、はじめてアイツに心から御礼を言った。
アイツの為だけに、初めて笑顔を見せた瞬間だった。
「へ…?」
そんなあたしの様子にビックリしてる、アイツ。
「スキアリ!」
あたしはすかさず、そんなアイツの体を指で突っついて、後ろに倒した。
「わ!」
ぼーっとしてあたしを見ていたアイツは、哀れ、そのまま眼下の川におっこった。
「可愛くねえ!」
そう叫ぶアイツに、
「罪の意識も吹っ飛んだでしょ!」
と笑顔で返すあたし。
そんなあたしの心の中には、もう、さっきまでの東風先生への恋心に押しつぶされそうな「あたし」の姿は、微塵も無かった。



あたしとアイツ。
出会ってからもう少し経ってしまっているけど、
でも、今この瞬間からまぎれもなく、あたし達は始まった。

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