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貴方様

「何よ、乱馬のばか!」
「ばかとは何だばかとは!」
「ばかだからバカって言ったのよ!ばかばかばかばかばか!」


些細な事で、いつも俺達は喧嘩する。
勿論喧嘩といったって、俺は男であかねは女。腕力の差だってはっきりしているし、良牙と決闘する時と違って殴りあうわけでもない。
あかねとの喧嘩は殆ど、口喧嘩。
殴るとするならば、あかねが俺を一方的に、だ。


「乱馬のばか!ナルシスト!変態!」
しかも。
あかねの奴、喧嘩する時は恐ろしいほど可愛げのない事を叫ぶ。
最初は俺だって我慢していても、そんな風に次から次へと暴言を吐かれたら黙ってられなくて、
「この寸胴女!」
「何よ!あんた何か変態じゃない!」
「可愛くねえ、色気がねえ、凶暴、不器用、まぬけ!」
「何よ!今そんなこと関係ないでしょ!」
「うるせえな!そっちだってそうだろ!」
「何よ!」
「何だよ!」
流石は、お互い格闘家を自負するだけある。闘争本能に火が点いたら止まらない。
些細な口喧嘩はやがて、本気でお互いのウィークポイントを責めあい出す。
でも、
「…」
そんな喧嘩の最後、きまってあかねは俺を睨みつけて黙り込むんだ。
それも、大きな瞳に、一杯の涙を溜めて。

ゆらりと揺れる瞳。
普段はキラキラと輝いている澄んだ瞳も、涙で濡れた今は、漆黒の羽根を雨で濡らした鳥のように澱んでいる。
揺れた瞳に映し出されている俺の姿が、ふっと、動く。
瞬きをしたら、ポロリと大きな粒が目からこぼれれる事はすぐにわかった。
でも、あかねは涙をこぼすまいと必死に耐えている。
小さくてふっくらとした唇を、ぎゅっと、そう、こちらに音が聞こえてきそうなほど強く噛み締めて。

「…」
…そんな顔されたら、俺からもう折れるしかねえじゃねえかよ。
どんな悪口を吐かれるよりも、どんなに酷く殴られるよりも、
あかねに泣かれる事が、俺にとっては耐えられない事なんだから。
あかねは泣き虫だって分かっているけれど、でも分かっていたってあかねの涙を見ればさ、やっぱり俺は…叶わねえよ。
「…俺が悪かったよ」
ちぇっ、ずるいなあ。
俺が今にも泣きそうなあかねにそう謝ると、
「そうよ、乱馬が悪いのよ」
俺のそんな気持ちも知らないで、あかねは横を向いて目にたまった涙を服の袖で拭いながら、そんなことを呟く。
「くっ…」
この減らず口。俺は再びカチン、と来るも、
「へーへー。貴方様の言う通りです」
ここで俺が反論すれば、また喧嘩が勃発するのは目に見えている。
「そうよ、あたしの言うとおりよ」
「ちぇ、いい気なもんだぜ」
「何よー、文句あるの?」
「ございません」
俺は、「仲直り」…とあかねの身体をきゅっと抱き締めながらそう呟いた。
あかねもようやく気持ちが落ち着いたのか、いつもの調子を取り戻しつつ、俺に自分の身体を預けた。


どんな悪口を吐かれるよりも、どんなに酷く殴られるよりも。
貴方の涙に勝る物はない。
だから、二人の喧嘩は百戦百勝キミの勝ち。
貴方様には叶わない。

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