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銀色の月19(エピローグ)

「…そうか。私はいつの間にか剣に心をのっとられていたのだな…」

…長い戦いが終わって、数時間後。
ようやく目を覚ました紫苑の枕もとには、乱馬・翠麗・晶ババ、そしてやはりようやく目を覚ましたあかねが集まって座 っていた。
良牙やムース、九能は部屋の扉の外で待機をしている。
他の兵もとりあえずは部屋の外で待機させ、紫苑の部屋の中にはこの5人だけがいる状態だった。

「翠麗も、すまなかった。長年世話になっているお前を投獄するなど…」
「紫苑様、私の事は御気になさらずに」
「晶も、心配かけてすまなかった」
「あたしの事は良いですわ。それよりも、坊ちゃん」
晶ババはそう言って、紫苑に乱馬とあかねの方を見るように指差した。
紫苑はまだ回復していない身体を翠麗の手助けによって起こし、そして、
「…すまなかった」
まずはあかねに向ってそう頭を下げた。
「…」
あかねがなんともいえないような複雑な表情をしていると、
「…こうなった以上はもう充分伝わっているかもしれないが…貴方に心を奪われてしまっていたのは事実です。ただ、それを強引に自分のものにしようと連れ去った時点で、あなたへの愛情がゆがんだものに変ってしまってい たのも…変らない事実。たとえどんな事情があっても、人として…申し訳ない事をした。人間であろうとも、魔法を使う一族のものであろうと も…」
紫苑はそう言って、あかねに深深と頭を下げた。
「…」
あかねは、そんな紫苑に向って黙って頷いて見せた。
紫苑は、「本当に申し訳ない」もう一度あかねにそう謝って見せた。
そして、 その直後、晶ババに目でなにやら合図を送った。
「…分かったわ」
晶ババは紫苑からの合図を素直に読み取ると、
「翠麗、そして姫君。あたし達はちょっと外に出てましょう」
「え?わしも?」
「そうよ。ほら、いいから、いくわよ。姫君もね」
「は、はい…」
戸惑っている翠麗とあかねを連れてさっさと部屋を出て行ってしまった。
「…」
乱馬がそんな三人の後ろ姿を唖然と見送っていると、
「…このたびは、済まぬ事をした」
そんな乱馬に向って、紫苑がゆっくりと語りかけてきた。
「…」
乱馬が紫苑の方へ改めて向き直ると、そこには、まだ体調が完全でなく覇気は感じられないが、先ほどまで乱馬と対峙していた紫苑ではなく、
「一国の王」
しかも、残忍さではなく慈悲深さを感じさせるような穏やかな表情をした紫苑がそこにいた。
「赤き涙を誘う月」に心を捕われていたのがようやく解放されたのだと、乱馬にもそれは感じる事は出来た。
「…お前の婚約者に対して、すまぬことをしたな」
「…」
「たとえ剣に心を奪われていたとはいえ…すまない」
紫苑はそう言って、頭を下げた。
「今思えば、彼女をお前達の世界から攫った時にはもう私は剣に心を魅了されてしまっていたようだ」
「…」
「でも、私がどんなに強い魔法をかけても、襲おうとしても…彼女は私には心を許さなかった。彼女の記憶をコピーし た時も、私の頭に流れ込んできたのはお前の事ばっかりだったしな」
「…」
紫苑の言葉を、乱馬はただじっと黙って聞いていた。
「その後お前が彼女を追ってこの世界に来た時に…いや、剣を交えた瞬間でさえも、私はお前に負ける気がしなか った。彼女もいすれはお前の事を忘れるのではないか。しょせんただの婚約者ではないか、とな。でも…」
紫苑はそこまで言って、ため息をついた。
「…お前が、戦いの最中に言ったあの言葉…アレで、私はうすうす自分の負けを感ずいていたのかもしれない な…」
「言葉?」
「…あかねの魔法が解ければそれでよいと。無駄な犠牲はいらない、と」
「…」
「一国の王として。敵に情けをかけられることは最高の屈辱である。戦いの場では、敵に情けをかけるなど愚かな事 だ。だが…そう情けを変えることが出来る人間だからそ、彼女はお前に惹かれているのだと…思った」
「…」
「私は、王だ。国民の為なら…この命を投げ打っても惜しくはない。同じ状況だったら、わたしなら迷わず敵であるお 前にトドメをさしていた」
紫苑はそう言って、乱馬の方を見た。
「…今までであった女性の中で、彼女ほど高貴で、美しくて品格のある女性は見たことがなかった。だが…諦めることにする。やはり私とは住む世界も考え方も違うし、それに…お前にはかないそうもない」
「なッ…お、俺のことはともかくとして、あかねの事は諦めた方が無難だなッ。高貴っていうより気が強くて強暴だ し、それに不器用だしッやめといた方が無難だッ」
乱馬は照れ隠しに色んな事を紫苑にたいして口走る。
「良い、良い。照れなくても良い…お前は立派な彼女の婚約者だ」
紫苑はあれこれと言い訳をしている乱馬に対して優しく微笑むと、
「お前達が元の世界へ帰れるように、翠麗に手助けをさせる。晶に部屋の準備をさせるから、今日はこの城へと泊ま ってゆくが良い。 明日改めて…見送らせてもらうよ」
そういって、枕もとにあったベルのようなものをチリン、と鳴らした。
「お話は終わりましたか?紫苑様」
それと同時に翠麗、晶ババが部屋に入ってくる。
「ああ。今夜は皆この城に泊まっていってもらう。明日の朝もとの世界へ帰るので…翠麗、手助けをしてやってく れ」
「かしこまりました」
「晶、かれらの部屋の準備を」
「はーい」
「…本当にすまなかったな」
紫苑がそう言って、最後にもう一度乱馬に頭を下げた。
「も、もう良いよそんな…気にすんなよ」
あかねの元に戻ったし、と乱馬は最後にそう付け加えて翠麗たちとともに部屋を出た。
そして、
「はーい、皆部屋の準備しといたから!ゆっくり休んでってよね。お城で客人扱いされるなんてそうめったにないでし ょ?一生の良い思い出になるわよー?貧乏騎士達よ」
「余計なお世話だッ」
…三十分後。
陽気な晶ババにそれぞれの部屋の鍵を渡された乱馬達だったが、
「イチ・ニイ・サン・シ…おい、バアサン」
「お姉さんとお呼び」
「お姉さん。五人いるのに何で部屋の鍵が四つなんだよ?」
乱馬が、自分以外の四人に鍵を手渡したあとに「あと一つくれ」と晶ババに手を差し出すと、
「坊ちゃんから、部屋は四つでいいって言われてるのよ」
「え、でも…」
戸惑う乱馬をよそに、
「はいはい、じゃあ夕食の時間になったらみんな声かけるから」
晶ババはまず良牙・ムース・九能を用意した部屋へと押し込んでしまった。
そして、もう一つの鍵を握って立っているあかねと、キョトンとしている乱馬の肩をポン、と叩くと、
「さ。最後にあなた達。あなた達には特別なお部屋を用意しといたから」
「…は?」
「ま、いいからいいから」
晶ババはそういってあかねの手から鍵を奪い取り、三人の部屋から少しはなれた部屋の扉を空けると、
「ま、ごゆっくり!」
そういって、きょとんとしている二人を強引に部屋へと押し込んだ。
「うわッ」
「きゃッ」
二人はよろよろと床から起き上がり部屋の中を見回すと…

「でえ!?」

…その部屋、どう見ても二名宿泊用の部屋。
しかも、ベットは一つ。あからさまにダブルベット。

「こらーッ何だこの部屋はッ」
乱馬が慌てて部屋の外にいる晶ババに向って叫ぶと、
「何って。決まってんじゃない。せっかく逢えたんでしょ?そしたらやるこた決まってるでしょうが。今日ぐらいはゆっくり二人で過ごさせてやるって言ってんの よ。それに、婚約者なんだから、同じ部屋で寝るのは当然!紫苑坊ちゃんの気遣いに感謝しなさいよ」
晶ババはそう言って、高笑いをしながら行ってしまった。
「な、何が感謝だーッ」
乱馬が赤くなったままブルブルと震えていると、
「乱馬…どうしよう」
あかねも、赤くなったまま戸惑っている。
「ど、どうしようったって…しょうがねえから、俺、良牙のところにでも行くから…」
乱馬はあかねに心配かけまいとそうモゴモゴと呟いて急いで部屋を出ようとしたが、
「…」
そんな乱馬の服を、あかねがぎゅっとつかんだ。
「え?!」
乱馬が真っ赤になったまま振り返ると、
「…」
あかねは、何か言いたそうな顔で乱馬を見ていた。
「あ、あの…」
乱馬がドキドキとする胸を抑えながらあかねに話し掛けると、
「まだ…ちゃんとお礼、言ってないから…」
あかねはそう言って、乱馬の服から手を離した。
「お礼?」
乱馬が首をかしげると、
「…助けに来てくれて…ありがとう」
あかねはそう言って、乱馬に頭を下げた。
「ば、別にそんなお礼を言うようなことじゃねえよッ…」
乱馬がドキドキとしながらそんなことを口走ると、
「…変な魔法をかけられて…心を別の人に奪われそうになって…。もしそれを知ったら、乱馬、あたしの事助けに 来るのやめちゃうんじゃないかと思って不安だったの。でも…」
あかねはそう言って、ゆっくりと窓際まで歩いていって、部屋の外に続くベランダのガラスにそっと手をついた。
乱馬も、そんなあかねとともにベランダまで歩いていく。
「乱馬と逢いたいけど、でもこんな姿見られたくなくて…助けて欲しいけど今は会いたくないって…自分でもどうし たら言いか分からなくて弱くなってた時に、ベランダで…その…」
あかねはそう言って、ちょっと赤くなった。
「ガラス越しにキスしたときにね、『もう少し頑張ろうっ』って…思い直したの。アレがなかったら、きっと頑張れなかっ た」
そういってガラスに手をついて目を閉じたあかねの背中に、乱馬は思わずそっと…腕を回した。
そんな乱馬のほうを驚いた表情で振り返るあかねに、
「…オメーは余計な心配しなくたっていいんだよ」
乱馬は、そんなあかねに回す腕の力を強くしながらそう呟いた。
「乱馬」
「どこに連れ去られたって、どんな状況だって。絶対に助けに行ってやっから。だから、その…なんだ、ほら。余計な 心配しなくていいって事」
「…うん」
妙に照れてしまっている乱馬に、あかねは嬉しそうに微笑んで見せた。
「…」
その表情があまりにも眩しくて、 そしてようやく自分の元にあかねが戻ってきた「安心」感が乱馬を襲って、
「…」
乱馬は、あかねの壊れそうなくらい華奢なその身体をぎゅっと…抱きしめてしまう。
「乱馬…」
本当は、そんな強い力で抱きしめられては苦しくて仕方ないのだけれど、でもそれ以上に、やはり心の中にようやく訪れた安堵感があかねの手伝って、
「乱馬…ありがとう」
あかねも、そんな乱馬へと強く、抱きつく。

…そんな二人の姿を、ベランダのガラス越しに差し込む黄金色の夕日がキラキラと輝かしく見える手助けをしてい た。
自分達がいた世界では、こんなにも強く、そして長く抱き合っていた事ない二人。
こんなことがなければ一向にその中が進展する事なんてない二人であるがゆえに、一度そうなってしまえばそれ以 上に発展するのにはそう時間はかからないのだが…

 

「貴様ーッあかねさんになんて事をッ」
「早乙女乱馬ッ殺すッ」
…その後。
ようやく「これから」と乱馬もあかねもドキドキと心を高鳴らせている時に、部屋の外で聞き耳を立てていた良牙と九能 が乗り込んできて。
結局その晩、さらに巻き込まれたムースと5人で一部屋、しかも徹夜でお互いを見張りあうという妙な展開になってし まって。
(あーあ。なんだかなあ…)
ちょっとだけ期待をしていただけに、乱馬の落胆は結構大きい。
(ま、でも…あかねも連れて無事に元の世界へ帰れるんだから良しとしなくちゃな…)
本当は「一緒に」寝るはずだったダブルベットに一人すやすやと眠っているあかねの姿を横目に見ながら、
「…ホント、おめーら疫病神だなあ」
「何を!?貴様の毒牙からあかねさんを守るのは当然の事だろうが!」
「あかね君にこれ以上指一本たりとも触れさせん!」
やけに殺気立っている良牙と九能に挟まれるようにして座りながら乱馬はため息をついていた。

 

 

 

…そして、翌朝。
「それでは、ここでお別れだな」
城の中庭に描かれた魔法陣に立つ乱馬達に向って、見送りに来た紫苑がそう言って微笑んだ。
「ああ。元気でな」
乱馬はそう言って、紫苑と握手を交わす。
「世話になった」
そういって乱馬としっかりと握手を交わす紫苑の腰の部分には、昨日壊れてしまった「赤き涙を誘う月」のかわりに、
『銀色の月』が差されていた。
あかねに掛けられた魔法も解けたし、乱馬がこれ以上『銀色の月』を持っている理由はない…と、乱馬が紫苑にそ れを渡したのだ。
「その『銀色の月』…今度はちゃんと国民の為に使えよ」
「そうさせてもらう」
紫苑は乱馬とそう約束を交わすと、今度はあかねの方を見た。
「姫君」
「…はい」
「あなたの事は、諦めます。貴方の婚約者には、かないそうもない」
そう言った紫苑にたいして、あかねが頬を赤らめていると、
「貴方のような女性に出会えるように…頑張ります」
紫苑はそう言って、赤くなっているあかねの手を取り、そっとキスをした。
「さようなら…姫君」
「さようなら…」
あかねは、手にキスされたことに少し戸惑ったようだが、しっかりと紫苑に別れを告げて乱馬の背中へと隠れた。
「それじゃ、そろそろ…」
「ああ」
乱馬達のその声を合図に、翠麗が天に向って何かを投げた。
とたんに、

ジジジジジジ…

それまで青い空が広がっていたにも関わらず、急に暗雲が立ち込めたかと思うと、
ピカッ…
幾筋もの稲妻があたり一体に走り出した。
そして、 魔法陣のすぐ上にその幾筋もの稲妻は集まり…

ドーン!

…勢い良く、乱馬達が立っている魔法陣へと振り下ろされた。
とたんに、フッ…と少しの衝撃とともに乱馬達の周りは闇に覆われ…・

「うわー!」
「きゃー!」

…次に気が付いた時には、五人は自分達の住んでいる世界の、城の教会へとその姿を移していた。
「おお!元の世界へ戻っておる!シャンプー!シャンプー!」
…元の世界へ戻れた事というよりは、しばらくあっていなかったシャンプーに再び逢える喜びでさっさと教会を飛び 出していったムース。
「しかたない、国王に報告にいってくるか。僕の武勇伝を交えながら」
…実は向こうの世界では半分以上気絶していて役に立っていないのだが、そんなことを言いながら教会を出て行く 九能。
「そういえば…あかりちゃんに手紙の返信をしていないな…久しぶりに手紙を書くか」
…そう言いながら、教会をでるも自分の生活している騎士団詰め所とは正反対の場所へ歩いていく良牙。
元の世界へ戻った三人は、戻ったら戻ったで相変わらずの様子だった。
「…」
実は今まで、亜空の世界で激闘を繰り広げて…そんな様子などすぐに忘れてしまえそうなその「いつもと変らない」 穏やかな空間に、 乱馬も、あかねも…なんだかすぐにはなじめなかった。 が、
「…」
しばらくして、教会のその椅子に寄り添うように肩を寄せ合い座りながらじっと目を閉じているうちに、 ようやく本当に長い「戦い」が終わって、元通りの生活が自分達の元へと戻ってきたのか実感する事ができた。
「戻ってきたね…」
乱馬の肩に頭をもたげながらそう小さな声で呟くあかねに、
「そうだな」
穏やかな表情で答える、乱馬。
「皆、心配してたかな…」
「あたりまえだろ。どんなにがさつで色気がなくて凶暴でも、大事な姫君なんだから」
「何よそのいいかた」
「それに…これに懲りて深夜に一人で徘徊するのは止めてもらわねえとな。男装してても色気がなくても、一応女な んだからよ」
「な、何よッ。一体誰の為にあたしが夜中なびきお姉ちゃんの店に一人でッ…」
「これのためか?」
乱馬は、喚くあかねの目の前に、ずっとこちらの世界から旅立つ時より身に付けていた赤い「ミサンガ」をちらつかせ た。
「あ!なんでこれッ…」
あかねが慌ててそれを乱馬からひったくろうとすると、
「ったく、こんなどっからどう見ても地引網見てえなもん作る為に、深夜徘徊すんじゃねえよ」
乱馬はそう言って、再びそのミサンガを自分の懐に入れてしまった。
「何よッ余計なお世話よッ。それにあたしが何を祈ってそれを作ろうがあんたには…」
あかねが、むっとしたような表情で乱馬にそう叫ぶと、
「関係あるだろ?」
「え?」
「というか…こんなもん必要ねえだろうが」
乱馬はそう言って、もう一度懐に入れたミサンガを取り出すと、シュルルル…と一気に解いてしまった。
「あー!な、何すンのよッ」
ただの赤い「紐」に戻ってしまったミサンガを、あかねがワナワナと震えながら掴むと、
「だってそれ、解けねえと願いがかなわないんだろ?一応。だから解いてやったんだろうが」
「自然にほどけなきゃ意味ないのよッ」
「どっちだって同じだって。それに、いいじゃねーか。一応願いかなっただろ?」
「え?」
「青は友情を深めたい時に。黄は運動能力を高めたい時に。緑は心を癒されたい時に」
「…」
「そして赤は…愛情を深めたい時に、作るんだろ?願い,かなったりじゃん。違げーのかよ」
「…」
…乱馬のその言葉に、あかねが真っ赤な顔をして息を飲んだ。
乱馬はそんなあかねの顔をしばらくはじっと見詰めると、
「…」
自分でも無意識のうちに、そんなあかねの唇に自分の唇を重ねていた。
「乱馬…」
すぐに離れたものの、戸惑いを隠せず赤くなるあかねに、
「ミサンガのこともそうだけど、それよりもほら、約束、まだ果たしてなかったなあって思い出してさ…」
乱馬はそう言って、そんなあかねの頬を優しく触れた。
「約束?」
あかねは乱馬の服をキュッと握りながら尋ねる。
「ほら。教会から逃げ出して俺がもう一回紫苑のところへ戻る時に…」
「…」
「ちょっとだけキスして…続き、しなくちゃいけないからって」
乱馬はそう言って、触れているあかねの頬を撫でる。
「昨日はとんだ邪魔が入ったからなあ…」
そうぼやく乱馬に、
「ふふ…」
あかねは、「そうね」と笑ってみせる。
そして、
「じゃあ…約束、守ってもらわないとね」
あかねは、再びそっと目を閉じて、乱馬の腕をきゅっと握った。
乱馬は一応あたりをキョロキョロと確認しながら邪魔者がいないかどうかだけ確認すると、ぎゅっとあかねの身体を抱きしめながら、そっと再び唇を重ねた。

 

天窓から朝日が差し込む教会の中、いつまでも重なったままの二つの影。
無造作に解けた赤い紐が、二人を身体を取り巻いている。
縦横無尽に差し込む光も、 赤い紐に囲まれたそんな二つの影を、暗闇に埋もれさせじと照らし出す。
『銀色の月』の真の輝きが、亜空の城に真の「王」という宝を導き出させたように。
『銀色の月』によって、乱馬の元には再び彼にとっての「宝」が戻ってきた。
亜空の国に、かけがえのない立派な王を誕生させたように、 乱馬の元にも、他の誰とも代えられない大切な「宝」を与えた。
真実の宝を導き出す、一振りの太刀・銀色の月。
そのまばゆいばかりの輝きは、 人間の世界も亜空の世界もわけ隔てなく照らし出す。


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