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銀色の月18

「何故だ!何故そのような事がッ…!」
…自分の手にしている「赤き涙を誘う月」など足元にも及ばないぐらい大きく、そしてまばゆい光に包まれている剣を 目にし、紫苑が興奮気味に叫ぶ。
そして、それでも負け時と再び「赤き涙を誘う月」を大きく振り上げ、
「そんな…そんな剣に負けてたまるか!」
そう叫びながら剣を振り下ろし、

ゴオオオオオオオッ

先程よりも大きな「蒼い龍」を、乱馬に向けて発するが、
「それぐらいの攻撃ッ…」
乱馬は、大きく、そして立派に姿を変えた『銀色の月』を構え、その「蒼い龍」をいとも簡単に跳ね返してしまう。
ドオン!
乱馬が跳ね返した「蒼い龍」が、そっくりそのままの威力で紫苑の方へ跳ね返り、紫苑へと攻撃を返す。
「うわ!」
不意を食らった紫苑は、教会の壁へと勢いよく叩きつけられたようで、
「く、くそ…」
その衝撃で崩れた岩壁やレンガ等の山の中に埋もれながらうめいていた。
「…」
乱馬がそんな紫苑をにらみつけながら更に『銀色の月』を構えて紫苑が立ち上がるのを待っていると、
「何故だッ…何故私にすぐ止めを刺さぬ!」
剣を頼りに、よろよろと紫苑が立ち上がりながら乱馬に叫んだ。
「私なら…私なら、貴様が私と同じ状況であるなら躊躇せず止めを刺す!なのに貴様ッ…」
「俺の目的は、テメエを倒す事じゃねえッ。あかねにかけやがったふざけた魔法を解く事だ!」
「何!?」
「あかねにかけた魔法の…魔力の源っちゅー、テメエがもってる鏡さえ割ればそれでいい!無駄に命を犠牲にする 事はねえッ」
乱馬はそんな紫苑にそう叫んで答えると、
「それに…テメエが死んじまったら、この国にいる奴ら、皆困るんじゃねえのか?」
「何…?」
「曲がりなりにも王様なんだろ、てめえはッ」
「…くくく…」
…紫苑は、そう叫んだ乱馬に対して不敵な笑みを見せた。
「…ッ」
その笑顔があまりにも不気味で、そしてあまりにも異様なものだったので思わず乱馬が怯むと、
「…敵に情けをかけられるとは、この紫苑、随分見くびられたものだ…」
「え?」
「敵に情けをかけられるなど、これ以上の屈辱はない!」
紫苑は鬼のように恐ろしい形相をしてそう叫ぶと、
「そんなつまらぬ情けが貴様の命取りになるのだ…そのおごったつまらぬ感情…後悔するが良い、外道 が!」
手にしていた「赤き涙を誘う月」の柄の部分に、服の下から取り出した何かを当てた。
すると、
サアアアアアア…
「赤い…光!?」
…辺り一面に、うっすらとした赤い光が広がる。
「我最強の魔力…受けてみるが良い」
紫苑が、鋭い目つきをしながら乱馬に向ってそう叫ぶ。
紫苑が柄の部分に当てていた「何か」は、キラリ、キラリと輝きながらそのまま柄の部分に回収されてしまったよう で、
まるで「宝石」のように柄の部分に取り込まれていた。
(もしかしたら…あれが魔力の源…)
乱馬が『銀色の月』を握りながらそんなことを考えていると、
「我魔力の全て、今この剣に託した…」
紫苑がゆっくり、ゆっくりと剣を乱馬のほうへとむけた。

ジジジジジ…・

「!」
向けた剣先に、徐々に赤い光が集まり始めた。
辺り一体に広がった赤い光がゆっくりと集まり、時折ピカッ…と発光しながら、剣先へ渦を巻く。
ジジ…ジジ…と音を立てながら、巨大な赤い渦が剣先に集められていた。
先ほどの「蒼い龍」など比にならないほど強大で、そして迫力のあるそれは、
(やっぱり…あのはめ込まれたやつが、あかねの言っていた奴の魔力の源…)
ひとえに紫苑の全魔力が注がれた為といっても良いだろう。
(あの光り輝いているものを割れば、あかねにかけられた魔法が…)
強大な赤い「渦」と対峙するように剣を構えながら、乱馬はそれだけを一心に考えた。

紫苑は、乱馬を殺す気だ。
だか乱馬は…あの「魔力の源」だけを破壊したいだけであって、紫苑の命までは奪おうとは考えていない。
できれば、紫苑の命を奪うことだけは避けたかった。
(何とかして懐に飛び込めねえか…)
乱馬は、紫苑の元へ飛び込む間合いを計りつつ、それだけを必死に考えた。
…恐らく、チャンスは一回だけだ。
紫苑が今、乱馬に放とうとしているあの「赤い渦」を自分の剣先から放った瞬間。
全魔力を込めて放った魔法を上手くかわし、そして魔法を放ったことで油断している紫苑の懐に入り込み、柄にはめられたあの「魔力の源」を『銀色の月』で一突 きする。
(さて、どうやってあの「赤い渦」を交わすか…)
乱馬はただそれだけを考える。
一瞬でいい、あの渦から逃れた乱馬の姿を紫苑に見せないよう出来れば動きやすいのだが…
「…」
乱馬は、額から汗をたらしながら、それだけを考えた。
と、その時だった。

「我魔力、受けてみよ!」

…充分に魔力が蓄えられたのか、不意に紫苑がそう叫んだ。
それと同時に、強大なうねりを伴った「赤い渦」が乱馬のほうへと走り出す。
ゴオオオオッ…
「赤い渦」の軌道にあるレンガや土や草花が、まるで機械で抉り取られたように巻き上がる。
それと同時にとても「熱い」気が乱馬のほうへと向ってくる。
「げほッ…ゲホッ…」
向ってくるその魔力のあまりの熱さに、乱馬はむせてしまった。
「くッ…くッ…」
「赤い渦」が到達するまでに、その巻き上がったレンガや土などが乱馬のほうへとまずは飛んでくるのを『銀色の月』 で弾く。
(くそッ…一体どうしたらッ…)
強大な熱とうねりを伴った「赤い渦」。
「渦の向こう」の紫苑。
光り輝く「魔力の源」。
それらを見据えながら乱馬は必死に頭をめぐらした。

そして。

「熱…渦…」
「赤い渦」がもう少しで乱馬の元へと到達しようかという時に。
乱馬の頭の中に、一筋の光が走りぬけた。
「熱」と「渦」と。そしてそれが強大であればあるほど生かせる反撃方法。
そう、乱馬の持つ技の中でたった一つ…それを最大限に利用できる攻撃方法を…乱馬は思い出した。
(くッ…迷ってる暇はねえ!)
乱馬は、ぎゅっと唇をかみ締めると、
「せや!」
…まずは勢い良く、持っていた『銀色の月』を地面へと突き刺した。
そして、レンガや、土や、その他巻き上がった小物が乱馬の身体に容赦なく叩きつけられても、それを避けることなく…乱馬は目を閉じた。
「とうとう諦めたか!我魔力を受けて…潔く死ぬが良いわ!」
一歩足りとも動かずにただひたすら目を閉じる乱馬に、渦の向こう側の紫苑が高笑いをする。
乱馬はそれに答えずに、左手は地面に刺した『銀色の月』をしっかりと握り、右手は拳をギュと握り締めて腰の横で 止めている。
ゴオオオオッ…
…目を閉じている乱馬のすぐ傍まで、「赤い渦」のうねりが聞こえるようになった。
乱馬は、その渦の音をまるで何かの合図かのように…目を開けた。
そして、
「…飛竜、昇天破!」
そう叫ぶや否や、目の前まで迫りきていた「赤い渦」の中心に向って、今までじっと身体の横につけていた右手の拳 を…まるで、スクリュードライバーのようにうねらせながらつき向けた。
その瞬間、

ドオン!

「うわー!」
紫苑が放った「赤い渦」なんかとは比べ物にならないくらいの強大な「竜巻」が、辺り一体に巻き起こった。
渦の向こう側では、まさかそんな「竜巻」が起こるとは思ってもいなかった紫苑の身体がその「竜巻」に巻き込まれて 勢い良く舞い上がる姿が見えた。
そう、この技は相手の力が強ければ強いほど威力を増す業なのである。
相手の力を螺旋のステップで巻き込み、衝天する竜のごとくスクリューアッパーで返す、女傑族秘伝の奥義。
「くッ…耐えろ…耐えてくれッ…」
乱馬は、「竜巻」に巻き込まれないようにと地面に刺した『銀色の月』に必死でしがみつきながらその場に留まる。

今ここで、乱馬まで竜巻に巻き込まれるわけには行かなかった。
「紫苑の懐に飛び込むのが難しいのなら、紫苑の方から乱馬へとその懐をさらせばいい」
…逆転の発想だった。
飛竜昇天破を放てないか…そう考えた瞬間に乱馬が思いついた方法だった。
紫苑が乱馬に対して放った「赤い渦」が強大であればあるほど、乱馬が巻き起こす「竜巻」の威力は増す。
となれば、それに巻き込まれる者は…かなりのダメージを受けるはずだ。
まさかそんなものが起こるはずがない、と油断していればしているほど。

「…ッ」

…ほど無くして、「竜巻」の魔力が落ち着いてきて、その渦の上から紫苑の身体が地上へと振り落ちてきた。
不意打ちのこの攻撃に、全ての魔力を使い込んでいた紫苑はぐったりと、ただ重力に任せて地上へとその身体を降 らせるだけだった。
「…」
乱馬は、地面に突き立てた『銀色の月』を勢い良く引き抜いた。
そして、
「これで、終わりだ!」
紫苑の落下地点まで素早く走っていくと、
「やー!」
落下してくる紫苑の手に握られていた「赤き涙を誘う月」の柄の部分に光る、あの忌まわしき「魔力の源」を…勢い 良く『銀色の月』で突き刺した。

パン!

…その瞬間。
「うわ!」
思わず目を覆ってしまうような光が、辺り一体を覆った。
そして、七色の光を放ちながら…魔力に源が砕け散った。
それと同時に、ガシャン…と、「赤き涙を誘う月」の刃の部分が粉々に砕け散った。

 

「我、魔力が…」
ドサッ…
紫苑の身体が、そんな言葉と同時に地面へと叩きつけられた。
「あッ…おい、大丈夫か!?」
乱馬は慌てて地面に落ちた紫苑の、ぐったりとした身体を抱き起こす。
「…」
紫苑はぐったりと目を閉じて何も話はしなかったが、しっかりと呼吸はしているようだった。
命は、無事のようだ。
「…ふう…」
乱馬は、とりあえずホッと息を飲んだ。そして、
「紫苑様ッ紫苑様ーッ」
…そういって、この戦いの結末を見届けて紫苑の元へと駆け寄ってきた兵士に、
「大丈夫、生きてるよ。それより、早く部屋に運んで手当てしてやってくれ」
紫苑を託した。
「乱馬ーッ」
「青年ッ」
「早乙女乱馬ッ」
「戦いは終わったようじゃなッ」
…そんな乱馬の元へ、良牙・翠麗・九能・ムース、そして良牙の背中に背負われた目を閉じているあかねが駆けて きた。
この4人も、先ほど乱馬が巻き起こした「竜巻」を見て、二人の戦いに決着がついたのだろうと予想して城へと戻って きたのだ。
「あかねッ」
乱馬は駆け寄ってきた4人に挨拶もそこそこ、良牙の背中に背負われているあかねを気遣い走りよる。
「あかねッあかねってばッ。おいッ…」
良牙の背中からまるで引ったくるかのようにあかねの身体を貰い受け、そして腕の中で抱き上げながら呼びかける乱馬に、
「大丈夫じゃ。さっきまではちゃんと目を開いていたんじゃが…あの竜巻が起こってしばらくしたら、急に首筋を抑え て倒れてしまわれた」
「え?」
「おそらく、紫苑様がかけていた魔法が解けたんじゃよ」
翠麗はそう言って、頷いて見せた。
「…」
乱馬は、腕の中でじっと目を閉じているあかねの髪を指で少しどかし、あかねの首筋につけられていた紫苑の牙の 跡を見る。
「…消えてる…」
…牙は、消えていた。
あかねの白い首筋につけられていた真っ赤な噛み痕。そして、忌まわしき魔法の痕が綺麗になくなっていた。
「解けたッ解けたんだッ…よかった…」
そういって腕の中のあかねに夢中で頬を寄せる乱馬に、
「あー、ゴホン。一応公衆の面前だからな、青年」
「あ」
「ひとまずその続きは二人っきりの時にするように」
翠麗は苦笑いしながらそう戒めると、
「さ、それよりも我らも運ばれた紫苑様のところへと向おう」
真っ赤になってあかねを抱き上げて照れている乱馬と、今にも噛み付きそうな顔で睨んでる九能と、複雑な表情をしている良牙と、そしてそんな良牙を「まあまあ…」となだめているムースを連れて、紫苑が兵によって運ばれていった場所へと向う ように指示をした。

長い戦いが、ようやく本当に終わりを告げた瞬間が訪れたのだった。


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