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銀色の月16

「おのれ外道…あくまでも私とあかねの結婚式を邪魔する気か!」

突如『銀色の月』と共に現われた乱馬に、今にも切りかかりそうな顔で紫苑が叫んだ。
この世のものとは思えないような鬼気迫る紫苑の様子に、周りの兵達もおびえた表情をしていた。
が、
「し、紫苑様の敵!逃がしはしない!」
兵達もおびえてるだけというわけにもいかないようで、徐々に乱馬とあかねの周りを固めるように集まってきてしまっ た。
その数、ざっとみて50人はいるだろうと思われた。
圧倒的に、乱馬にとっては不利な状況だった。
「乱馬…」
あかねが、兵達とギリリ…とにらみ合っている乱馬の背中に隠れるように身を小さくしながら、乱馬の服をぎゅっと 掴む。
(くッ…)
そんなあかねを必死でかばうように立ちながら、乱馬も焦っていた。
あかねだけでも、何とか無事に外に逃がす事は出来ないか…そう考え様にも、退路も、そして進路も兵に塞き止め られていてどうする事も出来ない。
(くそッ…せっかくあかねにも逢えたのに…・)
乱馬は、ギリ、と唇をかんだ。

と、その時。

ボン!…
「うわッ」
「な、何だこの煙幕はッ」
兵ににじり寄られている乱馬達の姿を隠すように、突如、大量の煙幕が巻きおこった。
「ゲホッげほッ…何だよこの煙ッ」
「や…な、何なのッ…」
突如自分達の周りに巻き起こった謎の煙に、乱馬とあかねも思わずそれを吸い込んでしまって咳き込んでいると、
「ようやくあたしの出番が来たってわけよ!」
そんな二人の手を取り、そんな声が聞こえた。
「あ…」
乱馬が煙の中目を凝らして声を出そうとすると、
「いいから!今はここから逃げる事方が先決よ!こっち!」
そんな乱馬の言葉を遮るかのように、いまかいまかと煙幕を出すタイミングを狙っていた晶ババが、そう叫んだ。
「ナイスタイミングだ、ばあさん!」
「お姉さんとお呼びッ。…それより、教会を出たら真っ直ぐに走って、2番目の十字路を左に曲がりなさいッ。そこに小さな小屋があるの。そこは、あたしの家だから…とりあえず、身を隠すにはちょうどいいはずよ!翠麗たちにもそこへ向うように、魔法で伝えておいたからッ」
「ありがてえッ。あかね、行くぞッ」
乱馬はさっそくあかねの手を引いて教会の外へと走り出そうとしたが、
「乱馬、待って!お姉さんは!?お姉さんはいっしょに行かないんですか!?」
あかねが一瞬躊躇するようにその場へ留まろうとした。
「あたしは、この煙幕であんた達が完全に逃げ切ったら上手い事身を隠すわ!」
「でもッ…」
「あたしの事はいいからッ早く行きなさい!青年ッ早くッ」
が、そんなあかねの背中を後押しするように晶ババは険しい表情で叫ぶと、乱馬をたきつける。
「あ、ああッ。あかね、行くぞッ…」
このままここに居座っては、晶ババのせっかっくのこの行為を無駄にする事他ならない。
乱馬は、まだ少し戸惑っているあかねの手を引きながら走り出した。
そして、『銀色の月』で煙幕の魔法効果を振り払いながら…教会を飛び出していった。
「に、逃がすなッ、追えー!」
煙幕の向こうから、紫苑の叫び声がした。
それと同時に、兵達がバタバタと走り出す音がしたのだが、
「そう簡単にはここは通さないわよッ」
晶ババが、再び煙幕の魔法を教会内にかけた。そしてそれと一緒に「一時的に空間を歪める」魔法をかけたようで、
「うわーッ」
「な、なんだ!?」
「入り口はドコだーッ」
本来ならば真っ直ぐに走れば入り口へたどり着くはずなのにも関わらず、晶ババの魔法のせいで入り口にたどり着け
ない兵士たち。
「この魔法は…今は使われていない昔の魔法…。こんな魔法を使えるのは、一人しかいない。…晶、俺を裏切ったな!?」
…その魔法の効力とその術者にすぐに気が付いた紫苑が、「赤き涙を誘う月」を大きく振り下ろし、一気にその魔法 の効力を無くす。
「お、追えーッ逃がすなーッ」
そのお陰でようやく教会の入り口を抜けることが出来た兵達が、乱馬とあかねを追って教会から飛び出していった。
「…」
まだ少しだけ教会内に残る煙幕を「赤き涙を誘う月」で払いながら紫苑は目を凝らしたが、そこには既に、晶ババの姿はなかった。
「くッ…晶ならば俺の結婚に賛成してくれると思っていたが…」
紫苑は、すでに姿を隠してしまった晶ババの顔を思い浮かべながら、チッ…と舌打ちをし、ガンッ…と拳で祭壇を 叩いた。

 

…その頃。
石畳の広く舗装された道を、乱馬とあかねは手を取りながら必死で走っていた。
晶ババの機転のお陰で、少しの間だけ追ってくる兵を足止めしてもらうことが出来たのだけど、それでもそんな安心してる事は出来なかった。
あっという間に、逃げる乱馬達の後方には追って来る兵達の姿が見えるようになっていた。
「はッ…はッ…」
乱馬はあかねを気遣うようにしながらも、晶ババに指示されたように「2番目の十字路左」に曲がった。
それと同時に、
「青年、こっちじゃ!」
曲がった道の奥、小さな木で出来た家の窓から、翠麗と良牙が顔を出しているのが見えた。
「じいさん!」
「良牙君!」
乱馬とあかねはパッと表情を明るくして、急いでその家の前へと向った。
「さ、中に入るんじゃ!この家、実は地下道があるんじゃ!身を隠すには持ってこいじゃ!」
翠麗はそう言って二人を家の中へと招きいれようとしたが、
「じいさん、悪いけど、あかねを頼む!あかねだけは何とかして守ってやってくれッ」
乱馬はあかねだけを翠麗と良牙に託し、そのまま再びもと来た道を戻ろうとする。
「乱馬、どこ行くの!?」
そんな乱馬を、あかねがそう言って手を掴み逃すまいとすると、
「どこって…決まってんだろ!?あいつと決着つけなくちゃ…おめーの身体にかけやがった妙な魔法、解いてくる ッ」
乱馬は、そう言ってあかねの手を振り切ろうとしたが、
「あたしも一緒に行くッ」
「だめだッ」
「どうして!?あたしだけ皆と逃げるなんて出来ないッ」
あかねは駄々をこねるようにそう叫んで、乱馬が振りほどこうとした手を両手でガシッ…と掴んでしまった。
そして、
「せっかく会えたのに…!また離れるなんていやッ」
「あかね…」
「嫌なのッ…嫌…」
そう小さな声で何度も呟くと、乱馬の手をまま、ポツリ、ポツリと涙を流した。
「怖いの…乱馬にあえてようやく安心できたのに…また乱馬と離れちゃったら不安になって…あたしの心が負け てしまって、アイツにまた惹かれていってしまいそうで…」

…あかねは。
乱馬と逢うまでは必死に自分自身と、そして紫苑の魔法と戦って「自分」をしっかりと保とうとしていた。
が、ようやく乱馬と会えたことでとても「安心」してしまって、その心の緊張がほどけてしまった。
そして再び乱馬と離れてしまったら…心の緊張が解けた分、自分の意志をまた強くもてるかどうか…あかねには分からなかった。
あかねは、乱馬と再び離れ離れになるのが不安で仕方なかったのだ。

「それに、アイツがあたしにかけた魔法を解くためには、紫苑の胸の所にかけられている魔力の源の鏡を壊さない といけないのよッ。懐に飛び込まなきゃいけないのッ…そう簡単に出来ることじゃないわッ。アイツは強いわ。無傷で済むわけないじ ゃないッ」
少し感情的になってそう主張するあかねに、
「大丈夫だよ。そりゃ、無傷じゃないかもしれないけど、俺、絶対に戻ってくるから」
乱馬は、極力優しい笑顔であかねにそう言い聞かせる。
「でも・・」
それでも、あかねは尚不安そうに口を濁す。
「あかね。大丈夫だから」
「でも…ッ」
そして、再び乱馬にその感情をぶつけようと、乱馬のほうへ顔をあげた。
乱馬は、顔を上げたそんなあかねの頬にそっと手を当て、
「大丈夫」
…そう言って、あかねにそっと、キスをした。
「あ…」
突然のことに驚いたのと、昨夜のガラス越しのキスとは違って、ダイレクトに感じるその唇の感触にあかねが頬を紅くすると、
「あかねは…大丈夫。大丈夫だよな?」
乱馬はそう言って、紅くなっているあかねの手をぎゅっと強く握った。
そして、
「…この続きもしなくちゃいけないから」
乱馬はあかねの耳元にこっそりとそう囁くと、
「俺、絶対に魔法を解いて戻ってくるから。だから、それまで…お前も負けるな。な?」
素早くあかねの身体を抱き寄せぎゅっと一回抱きしめると、
「…じいさん!あかねを頼むッ」
あかねの身体を翠麗のほうへとすぐに引渡し、自分は再びもと来た道を引き返して走り出した。
「ら、乱馬!」
あかねは尚もそんな乱馬を追っていこうと翠麗の元から離れようとするが、
「姫君ッ青年の言ったとおりにするんじゃッ」
翠麗が、そんなあかねの手を掴んでしっかりと引き止める。
「は、離してくださいッ乱馬が…乱馬がッ…」
あかねは必死にそんな翠麗の手を振り払おうとするが、
「姫君、あの青年を信じてやりなされ。絶対に戻ってくるといっておったじゃろ?」
「でもッ…」
「あの青年、姫君の事が好きで堪らないんじゃよ」
「え?」
「じゃから…紫苑坊ちゃんが姫君にかけた魔法を解く為に、必死なんじゃ。そんな青年の為にも、な?信じて、待っ ていてやって欲しい」
「…」
あかねは、翠麗のその言葉にもう反論する事は出来なかった。
「信じて待つこと。それが…姫君のあの青年への愛情というものじゃ。な?」
「はい…」
あかねは、翠麗の言葉にゆっくりと頷いた。
「うむ」
翠麗はそんなあかねを建物の中へと招き入れると、
「それでは、わしらは地下室で身を隠すぞ!」
「おうッ」
中で既に待機していた良牙・ムース・九能とともに、建物の地下に走る薄暗い地下道を進んでいった。


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