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銀色の月12

「どわーッ」

ザーンッ…!

あかねの部屋のバルコニーから飛びおりたはいいが、飛び降りた先がどうなってるかなど確認しなかった乱馬は、勢い良く池へと落ちていった。
バシャッ…と、闇夜に似つかわない水しぶきが、煌く。
「ぶわっ」
飲み込んだ水を吐き出しながら、らんまはずるりと池から這い出た。
そして、
(あーあ…せっかくあかねとキスしたのに…。水に浸かっちまったら、そん時の感触が薄れちまうよ)
そりゃ、ガラス越しだったけど…と、らんまは自分の唇を指でそっとなぞりながらため息をついた。

ガラス越しなのに、あかねの熱い「息」を感じた。
震える唇を感じた。
こんなガラス叩き割って、今すぐあかねを攫って逃げてしまおうか…
そんな事さえも一瞬頭に思いついた出来事だった。
らんまは、あの時のあかねの表情を思い浮かべ、もう一度大きなため息をついた。

…と、その時。
「おお!おさげの女ではないか!」
突然、池の横に座り込んでいるらんまの背後からそんな声がしたと思うと、
「会いたかったぞ、おさげの女ッ」
どこから振って沸いてきたのか、今までらんま達と別行動していた九能が駆け寄ってきて、らんまに力いっぱい抱き ついてきた。
…そう。
今まですっかり忘れてたのだが、そういえば、向こうの世界からこちらへ来たときには、一緒にいた九能。
教会でみんな姿を隠しているときに、らんまが頭を殴って気絶させて、教会の端っこの方に隠しておいたのだけれど、ここに来て再び、らんまはその九能と「女」の姿で再開してしまったのだ。
「会いたかったぞ、お下げの女!」
「えーい、寄るんじゃねえッ」
バキッ…
あたりに鈍い音がして、九能は再び地面に沈んだ。
(…ったく、大声出したら捕まっちまうだろうが)
いっそのこと、事が収まるまでその辺に埋めておこうか…とも考えたが、
(…ちッ。しょうがねえなあ、もう)
らんまはとりあえず近くの小部屋でお湯を調達して男に戻ると、気絶した九能を担いで翠麗の部屋へと向かった。

「なんじゃ、この男もお主らの仲間か?」
「ああ。やっかいな野郎だがな」
九能が目覚めるまで、乱馬たちは再び翠麗の部屋で今後の事を話し合っていたのだが、
「ん?なんじゃこれは?」
ジャンケンで負けた為に、九能の濡れた服を乾かす当番になていたムースが、九能の服の懐に何やら古めかしい「図」のようなものが差し込まれている事に気がつき、声を上げた。
「なんだ?それ」
乱馬と良牙が、ムースの取り出したその図を覗き込むと、そこには、建物の内部設計図のようなものが描かれていた。
「どれ、わしにみせてみよ」
と。
乱馬達が覗いている地図を翠麗が取り上げ、そして、虫眼鏡で観察をしだした。
「おお、こりゃ…この城の創設当初の設計図ではないか。たしか城の地下にある王宮図書室に保管されていたは ずじゃが…」
一通りその図を観察し尽くした翠麗は、そう言って驚きの声を上げた。
「何でそんなもん、九能が持ってんだ?」
乱馬が首をかしげていると、
「それは、僕が健気な婦女子からプレゼントされたのだ」
「わ!」
そんな乱馬達の話をいつの間にか聞いていたのか、九能が突然起き上がり、そんなことを言い出した。
「びっくりするじゃねえかッ」
乱馬がドキドキとする胸を抑えて、九能の頭をぼこっと殴ると、
「ほう?僕にそんな事をして良いのかな?早乙女乱馬よ」
九能は、女のらんまに接していたのとは全く違う、やけに挑戦的な態度で、乱馬に食って掛かってきた。
「何がだよ」
乱馬が、そんな九能の妙な自信に少し怯むと、
「いいか?その地図は、この城の創設当時の地図。ということは…だ。古の扉…つまり、一番古くに立てられた扉が分かる地図なのだぞ」
九能はそう言って、にやりと笑った。
「!」
乱馬も、それを聞いていた良牙もムースも、九能のその言葉に一斉に息を飲んだ。
「僕がこれを手に入れる為に、王宮図書室を守っている婦女子を説得するのにどれだけ大変だったか…」
…九能は、得意げに乱馬達に自分がその図を手に入れた経緯を話すのだけれど、
(古の扉の手掛かりがッ…)
乱馬のほうは、そんな薀蓄を聞いている余裕などは全くなかった。
なんたらかんたら…と、一人で九能が盛り上がっている隙に、乱馬と良牙は、その地図を翠麗とともに分析し始めていた。
「あ…こら!僕の話を聞け!」
九能はようやく、自分の話を誰も聞いていない事に気が付いたのだけれど、
「はいはい、あとでな」
乱馬はそういって、再び九能をぼこっと殴り倒して気絶させた。
そして、
「古の扉…」
その古めかしい地図を、必死で指で辿り始めた。

…図に描かれている「部屋」の間取り横には、それぞれ四桁の数字が書かれていた。
その数字は、どれも似たような数字ばかりだ。

「じいさん、この数字は何だ?」
良牙が翠麗に尋ねる。
「これは、部屋を建設した年号じゃな。数字が小さければ小さい程、その部屋を作った年数が古いということじゃな」
翠麗は、その数字一つ一つを紙に書き出しながら、乱馬たちに説明した。
「きっと、城がすべて完成した時に、昔の資料や言い伝えを元にして、ばらばらになっていた図を一つにまとめたんじ ゃ。ほら、ここを見よ」
翠麗が、図の中央部分を指でなぞった。
…そこには、うっすらと「つぎはぎ」のような跡があった。
「とりあえず…二手に分かれて、この数字を紙に書き出そう。一番古い数字を、探すんだ」
乱馬は、図を目で追いながら、翠麗に提案した。
「分かった」
翠麗も快く承諾し、乱馬と良牙、翠麗の二手に分かれて図の数字を全て書き出すことにした。
そんな折、
「おらも手伝うだッ」
ムースが後ろでそう叫んでいたが、ド近眼のムースにはちょと難しいかな…と察した乱馬は、
「ムース、おめえは武器の手入れを頼む。おめえの武器は、役に立つから。いつでも使える状態にしておいてくれ」
ムースの機嫌を損なわない程度に、乱馬はムースを煽てると、自分は図の数字を書き出すことに集中した。

…そして、一時間後。
「できた!」
三人は、示しし合わせたように、それぞれが書き出した四桁の数字を見せ合った。
「1101」
そんな四桁の数字へとたどり着いた。

 

「1101年か…」
翠麗はそういって、図の中に赤いペンで三箇所、印をつけた。
「じいさん、この場所は?」
良牙が、その赤い印を目で追いながら尋ねる。
「ここはそれぞれ、教会・宝物庫・王宮資料室じゃ。この数字が付いていたのはこの三箇所。つまり、魔導暦1101年に作られた、この城の中でも一番古い部分という事じゃ」
翠麗がそういって印をつけた三箇所を指で叩いた。
「ワシもまだ、生まれてない頃じゃ。もちろん、あの晶ババも」
「…でも、この三箇所を探せば古の扉があるのかもしれないだろ?」
「まあ…少なくとも何か手掛かりはえられそうじゃな…。それに、もう迷っている時間もない」
翠麗はそういって、乱馬の顔を見た。
「な?そうじゃろ、青年」
「…ああ」
乱馬は、そんな翠麗に大きく頷いて見せた。
「だったら、行って見るしかないじゃろう。それぞれの場所に。今夜中にな」
翠麗はそう言って、改めて乱馬と良牙を見据えた。
そして、
「この中で一番危険なのは…見張りも厳重な宝物庫じゃな。ここにはな、この国の上層部しか知らない罠や仕掛け があるんじゃ。ここは、わしと…そうじゃな、おい、そこの暗器小僧」
翠麗はそういって、不意に武器の手入れをしていたムースを呼び止めた。
「おらのことか!?暗器小僧とは何事じゃッ」
ムースが翠麗…の横にある熊の置物を指差しながら答える。
「ここは、わしとお主で行こう。お主のその暗器が役に立つはずじゃ」
「む…そういうことなら仕方ない。わかっただ」
ムースが、熊の置物に対して頷いて見せた。
「あとの…この王宮資料室は、そこの気絶している青年と、お主、行け」
「え?俺?」
次に、翠麗はソファに気絶したままの九能と良牙を指名した。
不意に指名された良牙は、少し戸惑っていたが、
「ここの資料室はな、重い鉄の扉がいくつもあったり、可動式の棚なんかも多いのじゃ。力に自信のあるものでないと辛い。見たところ、そっちの青年より、お主のほうがパワーはありそうじゃからな」
「そういうことなら…」
若干、自分のパートナーが九能、というのが不安なのか、良牙は顔をしかめていたが、
(おめえも筋金入りの方向音痴じゃねえか)
乱馬は、そんな良牙に一瞬そう突っ込んでやりたくなった。
しかしそこはぐっとこらえる。
「そして…青年」
と。
そんな乱馬を、翠麗がゆっくりと振り返った。
そして、
「お主は、晶ババと一緒に教会行け。教会じゃったら、女の格好をしていった方が良かろう。晶ババと掃除をするふり でもしておくんじゃな」
「ありがてえ」
「晶ババには、お主をここへ迎えに来るように話しておいた。…とりあえずもう時間が無い。わしらは一足先にそれぞれの場所へ行ってくる。行ったからには、それぞれが何か一つでも、手掛かりを見つけてくるんじゃぞ?」
翠麗は乱馬と良牙にそう言いきかせて、
「では暗器小僧、行くぞ」
「おらはムースじゃッ」
そう叫んでいるにも関わらず、自分の横の熊の置物と尚もにらめっこしているムースの首根っこを掴んで、部屋を出て 行ってしまった。
「仕方ねえ。俺らも行くか。…っておい!早く起きろッ」
翠麗とムースに続き、半分不服そうな良牙も、気絶している九能を連れて部屋を出て行ってしまった。
(おいおい、良牙が道しるべなんて大丈夫なのかよ…)
かなりの不安を隠せず思わず顔をしかめてしまった乱馬だったが、
「お待たせー。メイドの服、持ってきてあげたわよ」
その直後、晶ババが妙に明るい口調で部屋にやってきたので、
(おっと。今は人の心配してる場合じゃねえ。自分のことに集中しなくちゃな…)
乱馬は晶ババからメイドの服を受け取ると、花瓶の水をかぶって女の身体になり、服を纏った。
「あらー、可愛いじゃない」
「元がいいからな」
そして、
「じゃ、案内してくれよ」
「OK」
晶ババとともに、城の中央にある教会へと向った。


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