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銀色の月1

…一国の城ともなると、大抵城内に色んな設備が整っていて、皇族のものがわざわざ城下へと買出しなどに行かなくとも、 使用人や、そして行商人が城へと出向き、城内の広場で店構えを持っていることもある。
店だけでなく、病院や理髪店、そして… 中世の世界ではその要とも象徴とも言える建物、「教会」も。
この国の城の地下にも、わざわざ町のそこへと出向かなくても良いように「教会」が設置されていた。

 

屋上の「庭園」でくつろぐ事の他に、その地下に設置された教会で祈りを捧げる事。
その二つが、この国の城で「姫君」として生活しているあかねの、楽しみだった。
地下に設置されているため、 昼は、天窓から差し込む日の光で一面を照らし、 夜は、天から降り注ぐ月の光で一面を包む。
そんな自然の力で運営されていくこの地下の教会が、あかねのお気に入りだった。
…母を亡くした後も。 父に怒られたときも。
そして、人には言えぬ恋心を抱いていたときも。
悩み、そして傷つき疲れたあかねの心を、 屋上の「庭園」同様、この教会は癒してくれていた。
…そして今は。

ギイ。

あかねが教会の最前列に腰をかけてボーっと座っていると、背後で教会の出入り口のドアが開く音がした。
そして、ザッザッ…と、中央の通路に敷かれた絨毯を靴で擦るような音とともに、 あかねの背後に人の気配がした。
「…ヒマ人」
…振り向かなかったけれど。 あかねはそこに誰が歩み寄ってきたか分かっていた。
「お互い様だろ」
…あかねにそう言われたのは、乱馬。
本来ならば、国の第1騎士団に所属して尚且つ騎士団長の乱馬は、 こんな日の高いうちから地下の教会で油を売っている暇はないはずなのだけれど、 あかねのお気に入りの屋上の「庭園」でも、 この「教会」でも。
不思議と乱馬とは良く出くわす。
「ここ来ると、落ち着くんだよ」
乱馬はそう言って、あかねの横にどかっと座った。
「それに、ちょうど今は休憩時間だったし…屋上にいても何か落ち着かなかったし…」
そして、なにやら一人でゴニョゴニョと呟いて、勝手に赤くなってそっぽを向いてしまった。
…どうやら。
休憩時間になって、「あかねが普段いるはずの」屋上にいったけれど姿が見えなかったので、 この教会を覗きに来たようだ。
(ふふ…素直に言えばいいのに)
あかねは何だかそんな乱馬の様子がおかしくて、思わず噴出してしまった。
「あんた、あたしに会いたかったんでしょ?」
そして、にっと笑って乱馬にそう言うと、
「ばッ…何いってんだよ!俺は別にだなあ…ッ」
乱馬は真っ赤な顔のまま必死で弁解しようとしていたが、 そうやて弁解する乱馬の言葉に覆い被さるように、
「あたしは、会いたかったわ」
あかねは、笑顔でいった。
「…」
乱馬は、そんなあかねの笑顔にぐっとつまってしまっていたけれど、
「…仕方ねえから、そういうことにしといてやるよ」
乱馬はやっぱり真っ赤な顔で、そしてそっぽを向いてボソッとそう呟いた。
それと同時に、自分が座っている椅子に付いた手の横にあるあかねの手に、そっと手を重ねてきた。
あかねは一瞬ビクッと身を竦めたけれど、 でも、手を重ねただけで、「手を握る」ことが出来ない、そんな照れやな乱馬がやっぱりとても可愛く見えて。
「あのね、今日ね…」
…手をそのままにしたまま、あかねは今日一日、自分の身の回りに起こった事なんかを話し出した。
「ふーん」
乱馬も、あかねの話を聞きながら自分の話をしたり。
二人は、手をそっと重ね合わせたまま、しばらくそうやって、二人だけの時間を過ごしていた。

 

…その、夜の事。
夜の城下見回り当番だった乱馬と、その下で働く騎士が町を歩いていると。
そんな乱馬達に、「お待ちくださいッ」と駆け寄る人影があった。
「!?」
乱馬達は一瞬身構えたが、すぐにその警戒を解いた。
「乱馬様!」
…乱馬の幼馴染の右京の店で住み込んで働いている小夏が、夜警をしている乱馬達の元へと飛び出してきたのだ った。
「おー、小夏じゃねえか。元気か?」
とある事情により、右京の店でただ同様で住み込み働いている、「自称」クノイチの小夏。
一見、美女と思いきや、中身は何のことない普通の「男性」だ。どちらかといえば右京の方が男っぽい。
男気あふれる右京を慕う小夏。
久しぶりにみるそんな小夏の姿に、乱馬が暢気に声をかけると、
「それどころじゃないんですよ!右京様が…」
小夏はそう言って、「とにかく、来てくださいッ」と、乱馬の手を引っ張って走り出した。
「え、おい小夏?」
乱馬は何が何だか分からないまま小夏に引っ張られていく。
そんな乱馬の後について騎士もついてくる。
「右京様が、大変なんです!」
小夏はそれだけ言うと、乱馬を連れて走り出した。
そして、右京がいる「食事処:うっちゃん」の前までやってくると、
「さ、とにかく中に入ってください!」
そういって、乱馬と騎士を「うっちゃん」の中に押しやった。
「うわッ…ったく、何だってんだよ」
乱馬がよろよろと「うっちゃん」の店内に入ると。
「あ…乱ちゃん来てくれたん!?」
カウンター前の椅子に腰掛けた右京が、乱馬に声をかけてきた。
「はー、驚いた。小夏のやつ、ほんまに乱ちゃんを連れてきよった。あとでお駄賃あげな…」
「よお、うっちゃん。あれ…その手の傷、どうしたんだ?」
乱馬はふとみあげた右京の手に、大きなバンソウコウが貼り付けてあるのに気がついた。
「ああ、これな…今城下で騒がれてる『ナイフ男』に襲われたんよ」
右京はそう言うと、
「ま、とりあえずおなかすいてるんやない?あ、そっちの若い騎士さんも。お好み焼きでも食べながら話そか」
さっと腕まくりをすると、カウンターの中に入り、乱馬と、乱馬といっしょにやって来た騎士に料理を作ってくれた。
そしてそれを二人に食べさせながら、
「お城の人たちはまだ知らないみたいやな…『ナイフ男』の事」
「初耳だぜ。なあ?」
乱馬が隣でお好み焼きをほおばっている騎士に意見を求めると、 騎士も、「はい」と口いっぱいにお好み焼きをほおばったまま頷いている。
「そうか。じゃ、教えたるわ」
右京は二人の顔を順番に見比べると、
「最近城下ではな、奇妙な事件が起こってん…」
その自分を襲ってきた『ナイフ男』の事について、ゆっくりと話し出した。


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