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FBC 7

「あたしに会いに来たって…なんで?」

とりあえずこの状況を整理しようと、あたしは目の前にいる真之介君に質問をした。
「アイツが気に入る女の子だぜ?明日になれば会えるのはわかってたけど、待ち切れなくて」
「あいつって?」
「もちろん、早乙女乱馬。またの名を、今にも噛み付きそうな顔でこっちみてる…アイツ」
すると、真之介君はそう言ってニイッと笑いながらあたしの背後を指差した。
「え?」
あたしが指差した方向をゆっくりと振り返ると…
「あっ」
真之介くんが指差した先には、今頃は右京の店でご飯を食べているはずの乱馬が立っていた。しかも、
「ちょっと…何よその顔ッ」
「…」
普段見慣れているあたしでも、思わずたじろいでしまうような顔だ。
その顔はまるで、
「おもちゃをとられた間抜けなガキみてえだ」
あたしの代わりに、真之介くんがそう呟いた。
「間抜けは余計だッ」
乱馬はそんな事を叫びながら土手を駆け降りてくると、
「あかねに何の用だッ」
ガシッと…あたしの肩を掴んで自分の後ろへと隠してしまった。
「保護者かよ。それに、俺があかねちゃんに用事が会った所でお前には関係ねーだろ」
そんな乱馬をおかしそうに見る真之介君に対し、
「保護者みたいなもんだっ」
乱馬は、訳の分からない事をそう叫ぶと、
「練習試合は女バスだろ?何で相手校の男バスのキャプテンがわざわざ出てくんだよっ」
「だから、さっきから言ってるだろ?どうしても、会ってみたくなっただけ」
「断るっ」
…更に訳が分からない事を言って、真之介君と対峙している。
(断るって。あんたが断ってどうすんのよ)
あたしがそんな乱馬に対して怪訝そうな表情をしていると、
「はいはい、分かったって。今日はもう帰るよ」
「さっさと帰れっ」
「でも、明日は合同練習、俺たち男バスも見学予定だから。明日また会おうね?あかねちゃん」
真之介君は、そんな乱馬の後ろで怪訝そうな顔をしているあたしに手を振って、土手から帰っていった。
「くっ…あの野郎っ…」
そんな真之介君の後ろ姿に向って、乱馬は更に悪態をついている。
「ちょっと、乱馬っ。あんたいくらなんでもあれは失礼でしょっ」
あたしは、そんな乱馬に対して注意を促すも、
「なーにが、あかねちゃん、だっ。いいかっおめーも隙だらけだからあんな野郎に後を追いまわされんだぞ?!」
「べ、別に追いまわされたわけじゃ…」
「あいつはなあ、いろんな学校のバスケ部の女に言い寄ってはトラブル起こしてる奴なんだからなっ」
「そんな風には見えなかったけど」
「見えなくても、そうなのっ。だからいいか!簡単に誘いになんか乗るんじゃねーぞっ」
乱馬は、それこそ「遊び歩いている娘に説教する父親」のような顔で、あたしに迫ってくる。
「は、はい…」
その迫力に、あたしが思わずそう返事をすると、
「分かればいいんだ、分かれば。…くそっ。あの野郎、明日も懲りもせず…」
乱馬は、ブツブツといいながらなにやら難しい顔をしている。
(そ、そんなに怒らなくても…)
普段の乱馬とは考えられないようなその様子に、あたしはしばし呆然としつつも、
「…あ!あんたそれよりもっ」
「え?」
「え?じゃないわよ!何であんた、ここにいるのよっ。お食事会はどうしたの、お食事会はっ」
…ふと、その事を思い出して、今度は乱馬に逆に詰め寄ってやった。
そう。
せっかく右京に気を使って、あたしはわざわざ嘘までついて今日のお食事会を欠席してやったのに、
当の乱馬がこうしてそのお食事会を抜け出してきてしまっては、どうしようもない。
「だって別に、腹もすいてなかったし」
…乱馬は、あたしの質問にさらっとそう答える。
「お、お腹がすいてなくても飲み物くらいは飲めるでしょっ。せっかく右京が誘ってくれたのに」
「飲み物は飲んできたぞ」
「あ、そう…ってそうじゃなくて!飲んで直ぐ出て来ちゃったら、意味ないでしょっ」
「なんで?」
「何でって…」
あたしは、乱馬のその質問にぐっとつまってしまった。
まさかここで、
「右京はあんたと仲良くなりたくてこの席を設けた」
とは、素直には言えない。
「その…れ、礼儀としてっ」
なので、
とりあえずあたしが、当り障りのない返答を返すと、
「…だったらおめーこそ、何だよ」
それに対して乱馬が、ちょっと怖い表情になってあたしに切り替えしてきた。
「あ、あたしが何よっ」
「…かすみさんと先生へのプレゼント、買いに行くからって今日、欠席したんだろ?何でそんな奴が、こんな河原でバスケットボール片手に練習してんだよ」
「…」
「それに。そのプレゼント、たしかずっと前に俺と一緒に買いに行ったはずだぜ?」
「あ…」 …そうだった。
その事をふと思い出したあたしが、はっとした表情をすると、
「…何企んでんだよ」
乱馬はそういって、あたしの頬に両手を伸ばし、ぐいっと両側に引っ張った。
「べ、別にっ」
あたしも、そんな乱馬の頬に手を伸ばして思いっきり両側に引っ張ってやる。
「ろーせ、ろくれもねえころかんがえれんらろっ(どーせ、ろくでもねえ事考えてんだろっ)」
「ろくれもねえころっれらりよっ(ろくでもねえ事って何よっ)」
「ろくれもねえころはろくれもねえころらっ(ろくでもねえことはろくでもねえことだっ)」
ぐむむむ…
あたしと乱馬は、お互いの頬を思いっきり引っ張りあいながらしばらくそうやって睨みあっていた。
そして、
「と、とにかくっ。あたしの事はどうでもいいのよっ」
しばらく後、乱馬の手を自分の顔から振りほどいたあたしは、乱馬に背を向けてそう叫んだ。
「どーでもいいってことはねーだろ。それに、この前からお前様子が変だぞ。やっぱり先生とかすみさ…」
「関係ないわよ、そんなことっ」
そして、乱馬の言葉を思いっきり途中で遮ってやると、
「買い物に行くって嘘ついたのは悪いと思うけどっ…しょうがなかったんだもんっ」
「何が?」
「何がって…色々よっ」
ビュっ…
乱馬の顔に向って、一旦地面に置いていたバスケットボールを投げつけてやった。
「おっと」
乱馬はそのボールをいとも簡単に受け止めてしまうと、
「ボールは顔面に投げるものじゃねえよ」
とか何とか言いながら、川沿いで傾いて立っているゴールに向って投げつけた。
ガインガイン…
ボールは、あたしが何度やっても入れることの出来なかったゴールネットの中へと吸い込まれていく。
「…知ってるわよっそんなことっ」
あたしは、ネットの下から河原へと転がっていったボールを追いかけて走り出した。
その際にちらっと乱馬のほうを振り返ると、
乱馬は、そんな風にボールを追いかけていくあたしの姿を何だか呆れたような困ったような複雑な表情で見ていた。
…乱馬には、あたしの複雑な胸の内なんて絶対に理解しきれていない。
あたしはこの時、そんなことを思ってはおせっかいな乱馬に対して不満をもっていた。
でも。
本当は、あたしこそ分かってなんていなかった。
…乱馬の、こうして困ったような表情であたしを見つめている胸の内なんて。
「…」
あたしは、転がっていったボールを拾い上げて乱馬のほうをじっと見つめた。
乱馬も、何も言わずにずっと、そんなあたしを見つめているだけだった。


…結局この日、
あたしと乱馬とは家に着くまで一言も話さないまま一緒に帰った。
が、お互いの家に着いて、隣り合った家の門に入ろうとした瞬間、
「…がんばれよな」
不意に、乱馬が呟いた。
「何がよ」
「試合に決まってんだろ。公式戦じゃなくたって、試合は試合だろっ。俺たちは男バスは応援にはいかないけど」
「…ありがと」
「あとっ。あの野郎には気をつけろよっ」
「は?」
「だからそのっ…ちょっとばかし顔がイイ男に話し掛けられたからって、うかれんなってことだっ」
乱馬は、再び娘に説教する父親のような台詞を叫びながら、自分のうちに入っていってしまった。
「な、何よっ…」
そんなの、あんたに言われなくたって分かってるわよっ。
あたしは、すでに家の中に入っていってしまった乱馬に向って「べっー」と舌を出してやった。
(あーっ。もう、何かむしゃくしゃするっ)
あたしは、ガシャン…と乱暴に門を閉めてから自分の家へと入ると、
「あら、あかねちゃん…お帰りなさい…」
あたしの不機嫌そうな様子に、心配そうに声をかけてきたかすみお姉ちゃんのに返事もしないまま、
「っ…」
バタン!
…隣の家にも聞こえるような、わざと大きな音を立てて、部屋へと駆け込みドアを閉めた。
そして、大きなため息をつきながら、ベッドの上に制服姿のまま大の字になって横たわる。


先生とお姉ちゃんのこと。
乱馬と右京の事。
考えれば考えるほど、何だか自分でもよく分からない。
右京の事だって、せっかく気を使ってやったのに、乱馬の奴はちっともそれを感じるすべもない。
それどころか、いっちょまえにあたしの心の中に土足で入り込むような質問ばっかししてくるし。
何であたしが、乱馬に心配されなきゃいけないのよっ。
…もう!明日は、ずっと前から楽しみにしていた練習試合なのよ?
こんな風に余計な事を考えてムカムカしている場合じゃないのにっ…
ムカムカはするし、それに何だか妙な人まで急に現れるしっ…
「はあ…」
…何か、頭の中がごちゃごちゃしてきた。
あたしは再び、大きなため息をついてしまった。
せっかく家に帰ってきても、何だか何もする気にもなれない。
気持ちは高ぶって眠れないし、それに余計な事ばかり考えてしまう。
「…」
…とりあえず。
先生の事も、乱馬と右京の事も。明日の試合が終わってからゆっくりと考えよう。
「そうよっ。先生は明日来ないんだし、キャプテンのあたしがしっかりしないとっ」
あたしは、モヤモヤする胸の内を強引に晴らすかのように大きな声で叫んで立ち上がると、
「そうよっ。気を取り直して、ランニングにでも行ってこようっと」
と、初試合の前日、ゆっくりと身体を休めればいいのに…あたしは着替えて一人、ランニングへと出かけたのだった。



でも。
「あかねちゃんっ…どうしたの、その怪我っ」
「あの、ちょっと転んじゃって…」
「ちょっとどころじゃないわよっ。血も出てるし、足だって引きずってるじゃないっ」
…家から出た直後、
まさかあたしは、自分の利き足を捻挫してしまうという大失態を仕出かす羽目になるとは、この時はまだ、思いもしなかったのだった。

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