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FBC 6

「日曜日は、女子バスケ部初の練習試合」
「日曜日は、お姉ちゃんと先生の結納の日」


…寝ても醒めても、その二つの事が頭の中から離れなかった。
でも、試合のことを考えようとしても、
そんなにフォーメーションを考えようとしても、何故だか頭の中は、先生とお姉ちゃんのことでいっぱいだ。
「あかねちゃん、今日も遅くなるの?」
「え…う、うん…」
…今日も、あたしは学校に出かける間際、かすみお姉ちゃんとそんな会話を交わしてきた。
部活は、どんなに遅くても五時半、もしくは六時までだ。
でも、やっぱりあたしは何だか素直に家に帰れない日が続いた。
だから、いつもロードワークで行く河原のところにある、小さなバスケットコート。
そこに立ち寄って、何時間か一人、シュート練習をしていたりする。
一人でそうしていると、何だか何もかも忘れられそうな気がした。
…二人が結婚する事は喜ばしいし、あたしにとっても、嬉しい事。
そりゃあ、結納の日を教えてもらえなかった事はちょっとショックだったけど…でも、喜ばし事。
なのに、気持ちが晴れない。
『あの二人は、もう少しで結婚するんだぞ』
…あの時乱馬に言われた言葉が、あたしの頭の中には、妙にこびりついていた。


そして、土曜日。
「あ、あかねちゃん…ちょっとええ?」
「どうしたの?右京」
「う、うん…」
今日は、朝からお昼まで練習をした後、右京の店で男バスのメンバーも含めて「お食事会」をする予定になっていた。
そこに意中の乱馬も来る為に、数日前から張り切っていたはずの右京だったが、なぜか当日の今日に限って、表情に翳りがあった。
「どうしたの?」
練習の始まる前、倉庫に閉まってあったボールを出していたあたしに、右京が不意に話し掛けてきた。
その表情が少し暗いので、
「何かあったの?もしかして、今日、お店が都合が悪い?」
あたしはそんな右京を体育館の裏手に連れて行って、そのわけを聞こうとした。
すると、
「…なあ、あかねちゃん。正直に答えてな?うち、あかねちゃんの事、好きやからこんな事、いきなり聞くんやで?」
右京はそういって、なにやら深刻な表情であたしの顔を見た。
「え…な、何よ右京。ど、どうしたの?」
その右京の迫力に、思わずあたしがたじろぐと、
「…あかねちゃん、早乙女君の事、どう思ってる?」
「は?乱馬?」
「正直に答えてや」
「どうって…バカだなー…とか」
「そうじゃなくて。好きか、嫌いか。あ、好きって…恋愛感情を持っているかってことやで」
右京は、あたしにそう質問して俯いてしまった。
「え…あ、あたしが乱馬に?な、なんで…?」
全く予期しなかった質問に、あたしがそういったまま口をパクパクとさせていると、
「なあ、あかねちゃんはどう思ってるん!?答えられないって事は、好きって事なん!?」
右京は、そんなあたしにまるで掴みかかるかのように迫ってきた。
「え、そ、そんな…あたし乱馬のことそんな風に考えた事…」
「ほんま?」
「…だって、幼馴染なんだもん。いきなりそんなこと聞かれても…」
あたしが、そんな右京から逃れるようにそう呟くと、
「…じゃあ、うちは頑張ってもええんやね?」
「え?」
「あかねちゃんも早乙女君のことが好きだって言ったら…うち、勝ち目ないなあって思ってたけど…」
「右京、あんた何言って…」
「でも、それが早乙女君の片思いだって言うのなら、話は別やっ。そんな一方通行の思いやったら、うちかて割り込む隙はあるっ」
右京は何かを吹っ切るようにそう叫ぶと、
「あかねちゃん、うち、本気やで」
「え?」
「本気で早乙女君の事好きやから。忘れんといてな」
…と、口をパクパクとしているあたしに力強くそう宣言をして、体育館の方に戻っていってしまった。
(な、なんだったんだろう…)
右京が立ち去った後、あたしはしばらくの間呆けてしまっていたけれど、
「乱馬の片思いなら」という右京の言葉よりも、「乱馬に本気だ」という言葉の方が印象が強く、
(右京…すごいなあ…。あんな風に、好きな相手に本気でぶつかっていけるなんて)
…と、そのことばかりを考えては、ため息をついていた。
「…」
今日の、男女バスケット部合同のお食事会。
きっと、あたしがそこに行けば、乱馬は絶対にあたしの隣に座る。
それは、直ぐわかる。だって、どんな時でもいつもそうだもん。
人見知りなのか、あたしの隣が楽なのか。
クラスでだって、何故か四月、勝手にあたしの隣に席を陣取ってるし。
そして、何かにつけてあたしとずっと、話をする。
それは、すぐに予想が出来た。
それはきっと、あたしが故意に席を離れたとしても、絶対に後々移動してくるだろうし。

「…」
そうだ。この間この話を振った時だって、
『おめーも勿論来るんだろうな』
乱馬はそういっていた。
幼馴染ゆえに、乱馬は気軽にあたしの隣に座ってくるのかもしれないけれど、右京のことを考えると、きっとそれを快くは思わないだろう。
早退されていると考えれば、尚更だ。

「あたしは、遠慮するかな」
ぽつん、ぽつんと体育館に戻る道を歩きながら、そんな事を考えていた。




「え!?何であかねちゃん来ないん!?」
「何でよ、あかね!」
「一緒に行こうよ」
「悪いものでも食べてきたか?」
「珍しい事ですわ」
…練習後、更衣室にて。
これから男バスのメンバーとご飯を食べに行く…という事もあり、いつもよりも長い時間かけて、制汗剤やら汗拭きシートやらで身体を拭いつつ、女バスのメンバーが叫んだ。
「小太刀っもっと向こうでそれ、吹きかけるよろし!バラの香りが服につくね!」
「いい香りでよろしじゃありませんかっ」
…驚きはしつつも、そんな小競り合いを始めたシャンプー・小太刀をよそに、
「あかねちゃん、もしかして…」
今朝の事、気にしてるん?と、右京がこそっとあたしに囁くので、
「ち、違うわよ。あの、実はね、明日お姉ちゃんの結納なの…だ、だからプレゼントを買いに行こうと思って…」
あたしがとっさにそう口に出すと、
「ああ、先生の婚約者っちゅう…それはめでたいなあ。でも、それなら仕方あらへんね」
「そうなの、だからまたの機会に」
「絶対に来てえな」
右京はあっさりとその言葉を信じ納得をしてくれた。
「そ、それじゃあたしは先にかえるねっ。皆、明日は朝七時半に駅前集合よっ」
「はーい!」
あたしは、皆に明日の待ち合わせ時間と場所をもう一度確認すると、更衣室を飛び出した。
その時、
「あれ?あかね。お前どこに…」
「あかねさん、どうしたんですか?慌てて…」
「お、天道」
「天道さん」
「あかねさん?」
…女バスの面々が更衣室から出てくるのを廊下で待っていた男バスメンバーと、マネージャーのあかりさんと、あた しはすれ違った。
「…」
あたしは、自分が行かない事を悟られないようにと作り笑顔で会釈をして、その場を走り去った。
「おい!」
そんなあたしの様子に、やっぱりいち早く気がついたのは乱馬だった。
乱馬は走り去ったあたしの後を追おうとしていたみたいだったけど、
「お待たせ−、さ、行こか」
「さ、いっぱい食べるね」
…と、ちょうどその乱馬とあたしの間を遮るように、更衣室のドアがあいて、女バスのメンバーが出て来たようだっ た。
「あ、あの俺っ…」
「さーさ、早乙女君も行こうっ」
乱馬も、その女バスのメンバーにあっという間に連れ去られ、
その場にいたメンバーはぞろぞろと、右京の店へと移動していったようだった。



「…」
一方のあたしは、学校を急いで飛び出して、いつもの河原へとやってきていた。
そして、河原の隅に隠しておいてあるバスケットボールを取り出して、ガインっ…ガインっ…と、闇雲にシュートの練習をする。
「っ…」
…けれど、やはり気持ちが集中していないのか、どうにもこうにも上手くゴールにボールが入らない。
河原の隅に立てられた、錆びたバスケットゴール。
立地条件が悪いから、ただでさえ曲がっているゴール。
学校の体育館のゴールとは違って、手前にネットが張り出しているからシュートはしやすいはずなのに…あたしは それすらもいれることが出来ない。
「…」
いろいろと頭の中で考えていると、シュートの練習にすらならない。
「…」
あたしは、思わずため息をついてしまった。
…お姉ちゃん達へのプレゼントなんて、実はもう何ヶ月も前から準備していたから、今更買いに行く事なんてない。
今日は右京に気を使って、お食事会を遠慮した。

あたしの頭の中は、先生とお姉ちゃんの事、それに右京のこと、乱馬のこと、明日の練習試合のこと…なんだかぐちゃぐちゃとしていた。
「…」
こんなんじゃ、だめだ。
あたしは、女バスのキャプテンだもん。
あたしがちゃんと練習でも、みんなを引っ張っていかなくちゃいけないんだ。
誰よりもしっかりと練習をしなくちゃいけないのに…こんな風に気が散ってたんじゃ…!
「…」
あたしは、ゴールからゆっくりと弧を描くように逸れて行くボールを眺めながら、再びため息をついた。


…と、その時だった。
「ボール、転がってっちまうけど、いいの?」
そんなあたしの背後で、不意に男の人の声がした。
「え?」
あたしがその声に反応して振り返ると、
「…ほら、川に入っちまうぜ、ボール」
あたしと同じくらいの年…いや、少し年上だろうか。
乱馬と同じように、髪を後ろで一つに結った、少し背の高い男の子が、
あたしにそういって、あたしが転がしたままだったボールを拾い、手渡した。
男の子は、制服姿だった。
だけど、うちの風林館高校の男子の制服・学らんとは違って、彼はブレザーを着ていた。
見た事の無い様な、制服だった。
この町にある高校の制服でない事は、確かだ。
「あ、ありがとう」
あたしが素直にその男の子に礼を述べると、
「どういたしまして、天道あかねさん」
その男の子はそういって、にっこりと笑った。
「!?」
…何でこの人、あたしの名前を知ってるの!?
自己紹介もしてないのに…と、あたしが少し警戒したような表情を見せると、
「そんな警戒しなくてもいいよ。どうせ明日も逢うんだし」
男の子はそういって、ちょっと屈んであたしの目線まで顔の高さをあわせた。
「っ…」
…あたしにそんな事をしてきたのは、今までは乱馬だけ。
乱馬にはそんなことされても全然「嫌悪」感がなかったのに、
「やっ…な、何よ貴方はっ…」
この、初対面の男の子に同じ事をされると、どうしてこんなに「警戒」してしまうんだろう。
東風先生にこうやられたら、胸が壊れるくらいドキドキして、乱馬にこうされても、全然「いつもどおり」のあたしでいられて、
それ以外の男の人にこうされると、「嫌悪感」しか残らない。
あたしはそれが不思議だった。
「…」
あたしが、一歩後ずさりながらその男の子の顔を睨みつけると、
「そんな睨まなくても、何もしないよ」
「…っ」
「俺は…君たちが明日、練習試合に来る学校…青陵学園高校の、男バスのキャプテン」
男の子はそういって、あたしの頭をポン、と叩いた。
「あ…」
…その言葉に、あたしは思わず、声を出してしまった。
そういえば。
先日、東風先生と打ち合わせに行ったとき、その学校の女バスのキャプテンとは話をしたけれど、男バスの人とは顔を合わせなかった。
しかも、ジャージ姿で、学校の外で話をしたせいか、その学校の制服まではちゃんと見なかったのだ。
「…」
そうか、女バスの練習試合の相手だもの、その高校の男バスのキャプテンが知っていてもおかしくないわよね。
そう思うと、あたしは妙に納得する事が出来た。
そして、
「…」
あたしは、いそいで自分のカバンを開けて、明日皆で訪れる予定の高校の地図が記されている紙を取り出した。
そこには、はっきりとその学校名「青陵学園高校」と書かれている。
「じゃあ、貴方は…・」
あたしが、先程よりも警戒心をといてその男子に声をかけると、
「改めまして、天道さん。青陵学園高校二年、男子バスケット部キャプテンの樋口です。樋口 真之介」
男の子…真之介君はそういって、あたしに向って優しい表情で笑いかけてきた。
「二年生…先輩ですか」
あたしがボソッとそう呟くと、
「一応。でも、おたくの男バスのキャプテンには、すっかり呼び捨てにされてるけど」
「えっ…乱馬に!?す、すみません、あいつ礼儀知らずだから…っ」
あたしが何故か乱馬のことを慌てて謝ると、
「いいって。あいつの事は中学の時から知ってる。都大会のジュニア選抜とかでも一緒にプレーした事あるし」
「そ、そうなんですか…」
「それに、君のことも知ってた。実は」
「え?」
「明日試合にくるのが分かってたから、別に明日まで待ってれば良かったんだけど…でもなーんか待ってらんなくてね。学校に覗きに行ったら、今日は部活もう終わっちゃってた見たいだし。帰ろうかと思ったら、走っていく君の姿を見つけたから、つけて来た」
「え?」
「さっきからずっと、見てたんだけど…気づかなかった?」
真之介君は、おかしそうにあたしを見つめる。
「ぜ、全然っ…」
あたしが、慌ててそう答えると、
「俺さ、声、かけるタイミング狙ってたんだけど?」
「え?」
「だから、俺が君に声をかけたのは…実は確信犯」
真之介君はそういって、小さく笑った。
突然現れて、しかもそれが相手高校の男バスのキャプテンで。
相手高校だからあたしの名前を知っていると思いきや、実は前々からあたしの事を知っていて、更に、あたしに逢いにきた?
「…」
あたしは、突然振って沸いたようなこの出会いに戸惑い、そして、現れた真之介君に対しただただ不思議と、首を傾げてしまった。

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