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FBC 5

「へー、ユニフォームなんて作れるの!?」
「そうよ!ついでに練習試合も決まったんだから!」


…翌日。
さっそくあたしは、女子バスケ部の面々に取り決められた内容を言って回っていた。
「試合はいつなのよ?」
「来週の日曜日!とりあえず今週の日曜日にね、合同練習に行こうってことになったんだけど」
「へー…じゃあ、頑張らないとね」
女バスの面々は、やはり昨日のあたし同様素直に喜んでくれているようだった。
ただ一人、
「え?ユニフォームの色…赤じゃあかんの?」
試合の事はともかく、ユニフォームの色について、右京が難色を示していた。
「右京は赤がいいの?」
あたしが右京に尋ねると、
「男バスとおそろいの色がいいかなー…なんて。やっぱそれってあかんのかな?」
右京は、廊下の隅でクラスメートと話しては笑っている乱馬のほうをちらっと見ながら、そう呟いた。
「いけないって事は無いと思うけど…そっか、分かった。じゃあ、それも候補に入れておく。
多数決でいいよね?決めるのは」
「うん」
「右京は赤…と」
あたしは、右京の希望をメモにサラサラと書いて、
「じゃ、今日の放課後にでも皆で多数決で決めようね」
さっさと自分のクラスに戻ろうとしたのだけれど、
「あっ…待って!あかねちゃんっ」
「へ?」
ハシっ…と、右京があたしの制服のスカートを掴んだ。
思いのほか強い力に、
「な、何よ右京…ど、どしたの?」
あたしが少し怯むと、
「じ、実は今度の土曜なんやけど…」
「え?」
「部活、半日で終わりやん?だから、午後から男バスの奴らも誘って、皆でうちのお店にご飯でも食べにきいへんか
なって思って…」
「あ、いいんじゃない?」
「そ、それでな…ぜ、是非早乙女君も誘ってくれないかな…・と…」
右京はそういって、真っ赤な顔をしていた。
「…」
…そうか、男バスの奴らはスケープゴートで、要は乱馬を誘いたいのか。
あたしがピンとそれに気がつき、
「分かったわ、右京。ちょっと待ってなさい」
そう右京に言い聞かせると、
「乱馬、ちょと」
「へ?」
廊下の隅でクラスメートと話していた乱馬を、指で呼び寄せた。
「なんだよ?」
「いいから」
あたしに呼ばれた乱馬は、足早に近寄ってくる。
「…お願いがあるんだけど」
あたしはそんな乱馬に、そう呟くと、
「な、なんだよ」
乱馬は、あたしの声が聞こえやすいようにと少し身をかがめた。
「今週の土曜日、部活が終わった後なんだけど…暇?」
「暇だけど…」
「ご飯、食べに行かない?」
あたしが、そんな乱馬の耳元にそう囁くと、
「なっ…お、おめーがお願いだなんていうから何かと思えばっ…」
乱馬は妙に甲高い声でそんな事を口走ったかと思いきや、
「こ、高校生になって色気づいたかっ…お、おめーがまさかそんな事を言い出すなんてっ」
「色気づいたかは余計よっ」
「ま、まあ?おめーがそんなにまで俺を誘いたいって言うなら…」
「一回しか誘ってないでしょ」
「と、とにかく!ま、そんなにまで言うなら別に、付き合ってやっても…」
そんなことを言いながらフっ…と前髪を触っているので、
「右京、乱馬暇だって」
「え?ホンマ!?」
あたしはそんな乱馬を無視するように右京へそう囁くと、
「乱馬、詳しい事は後で話すから」
「は?」
「右京、良かったね」
「うんっ」
「あ、あれ?」
乱馬が、そんなあたし達のやり取りに首をかしげているので、
「土曜日の練習後にね、あんたを含めた男バスのメンバーを誘って、お店にご飯食べに来ないかって、誘ってくれた
のよ右京が」
「久遠寺さんが?」
「そう。良牙君とかあかりちゃんとか…他の人も誘って行ってあげてよ。
女バスの子も何人か誘って行くから」
「い、いいけど…。おめーも来るんだろうな?」
「そのつもりだけど。次の日は、私たちは合同練習もあるし…、景気付けにお食事会?あはは、楽しそう」
あたしはそういって、乱馬の肩を叩いてやった。
「なーにがお食事会だよ」
乱馬はそういってため息をついていたが、
「何よ、不満なの?」
「別に」
「じゃ、決まりね」
あたしはそんな乱馬の肩をもう一度叩いて、笑った。
乱馬は何故か、そんなあたしに対してため息をついていた。
右京は、そんな乱馬とあたしを交互に見ては、少し怪訝そうな顔をしていたようだった。



…放課後。
「じゃ、多数決で…ユニフォームは青、に決定ね」
練習が始まる前に、あたし達は全員でまず、多数決をした。
ユニフォームの色。
みんなに聞いて回った時は、「赤」「青」の二色が候補に上がった。
で、こうして改めて多数決をした結果、
女バス六人中四人が青、右京と小太刀が赤…という結果になり、
「民主主義だから」
「仕方あらへんね」
「ま、妥当ですわね」
と、問題なくユニフォームの色は決定した。
「じゃあ、皆先に練習始めてて。あたし、先生にユニフォームの報告してくるから」
あたしは、皆にそういい残して一人、職員室へと向った。
そして、
「東風先生!」
…と、職員室でなにやら他の先生と話をしていた東風先生の元へと駆け寄ろうとしたが、
「いやあ、ついに結納ですかー!オメデトウございます」
「いえいえ、ありがとうございます…」
そんな会話が聞こえてきたので、ハタ、と足を止めた。
(結納…)
あたしが職員室の入り口に立って、その会話を聞いていると、
「今週の日曜ですか。そういえば、大安ですものね。晴れると良いですな」
「ええ」
「どこでやるんですか?結納」
「一応、駅前のホテルを予約しているんですよ。そこで両家で会食会を…」
東風先生はそういって、照れたような顔で笑っていた。
(…)
結納?会食会?日曜日に?
「…そんなの、あたし聞いてないのに」
あたしは、思わずそんな事を呟く。
そう。
東風先生とかすみお姉ちゃんが婚約している事は知っているけれど、
正式に結納兼お食事会を今週の日曜日にするって事、知らなかった。
それに、今週の日曜は…昨夜決めてきたように、外部との初合同練習だ。
それだったらどうして、日曜日に合同練習をするだなんて先生、取り決めたりしたの?
お姉ちゃんが結納だったら、その日はあたしだって出席させてもらうかもしれないのに?
それさえも、あたしは教えてもらってないのに…。

「…」
あたしは、職員室には入らずにそのまま身を翻した。
そして、
「…」
校舎の隅にある公衆電話で、自宅へと電話をする。
『はい、天道です。』
…短いコール音の後、聞きなれたかすみお姉ちゃんの声が、受話器から飛び込んできた。
「あ、お姉ちゃん、私…」
『あら?あかねちゃん。どうしたの?こんな時間に…』
「うん…」
穏かなかすみお姉ちゃんの声に、あたしは一瞬躊躇するも、
「お姉ちゃん、今週の日曜日に先生と結納するって本当?」
と、尋ねた。
『ええ、そうよ。その後食事会をするんだけど…あくまでも身内だけだからって事で、
今回は当人同士と、お互いの親と…仲人をお願いする隣の早乙女さんご夫婦だけって事にしたのよ。
あかねちゃんとなびきちゃんには、また改めてって事で…。』
かすみお姉ちゃんはそういうと、
『あら?でもそれ、今晩にでも話そうと思ってたのに…よく分かったわね?』
「…」
『彼から聞いたの?』
「うん、まあ…。ありがと、それを聞きたかったの」
あたしは、かすみお姉ちゃんに礼を述べて、受話器を置いた。
「…」
…なんだか、複雑な気分だった。
「あれ?あかねちゃん」
と、そこに。
職員室での会話を終えたのか、東風先生が廊下を歩いてきた。
「先生…」
「今から体育館に行こうと思ってたんだけど…一緒に行こうか」
「…」
笑顔で話し掛けてくれる先生に、あたしは笑顔で頷きつつも、
「先生…皆、ユニフォーム青がいいって」
「青か。分かった、じゃあ早速明日にでも発注しておくね」
「それと先生…今週の日曜日。先生はあたし達と一緒に合同練習、来れないんでしょ?」
「ああ、そうなんだよ。試合はともかく、合同練習だったら…あかねちゃん達だけでも平気だよね?」
「…はい、もちろん」
「良かった」
あれ、でも何でそれを…と、東風先生は少し驚いていたが、
「そんなの、決まってるでしょ。あたしはかすみお姉ちゃんの妹なんだから」
と、会話を盗み聞きして知った、とは言わず、あたしは先生にそういって退けた。
「さすがだね。そうなんだ、今週の日曜日にね…」
先生は、そんなあたしに照れたような表情で、そう答えた。
「先生、安心して結納、済ませてきてくださいね!あたし達も、張り切って練習してきますから!」
あたしがわざと元気な口調でそういうと、
「ああ。頑張ってね」
先生はにっこりと笑いながらそう答える。
「はい、頑張ります」
あたしは笑顔でそう答えると、
「先生、あたし一足先に体育館に行ってます!走りこみ、しておきたいからっ」
そういって、先生の横からサッと走り出した。
…なんだか分からないけれど、このまま先生と笑顔で話をしているのが、辛かった。
顧問が用事があるから、一緒に合同練習に行く事が出来ない。
ただ、それだけの事のはずなのに。
「…」
それが、かすみお姉ちゃんとの結納、とあれば、あたしにとっては喜ばしい事のはずなのに。
なのに、なんだろう。
「…」
なんだか、胸の中が妙な感じだった。



「ありがとうございましたー!」
…午後、五時半。
いつもより少しだけ練習時間も長くなり、そして部活も終了した。
走りこみやウォーミングアップに加え、
試合用にフォーメーションを考えたりシュート練習をしたり。
パス練習等のメニューをこなせば、自然に二時間半という時間も過ぎてしまう。
「あ、あかん…うち、もう持たんわ」
「私も、へとへとね」
練習終了後、更衣室の中で着替えながら、右京とシャンプーがそんな事をぼやいていた。
「汗臭くなるのは嫌ですわ」
小太刀はそんな事を言いながら、バラの香りの制汗剤を身体に掛け捲っている。
「あかね、帰りにお茶でも飲んでかない?」
その横で、さゆりやゆかもそんな事を言いながら着替えていたが、
「あー…あたし、ちょっと寄る所があるから」
あたしはそんな一同より早めに着替えを済ませ、
「それじゃお先に…」
と、更衣室を出た。
そして、薄暗い通路を歩き再び、いまだカギの開いたままの体育館に入り込んだ。
体育館のカギは、六時に用務員が架けにくるので、部活終了後も空いたままなのだ。
「…」
あたしは、薄暗い体育館の中をゆっくり、ゆっくりと歩いていった。
そして、ちょうどスリーポイントシュートのエリアへと足を踏み入れ立ち止まる。
…そこは昔、あたしが東風先生のシュート姿を見て、憧れてしまった場所。
先生に憧れて、女子バスケ部まで作ってしまったあたし。
先生は、お姉ちゃんの婚約者なのに。
「…」
分かりきっているはずなのに、なんだか胸がすっきりしない。
それに…
「…」
あたしは、自然にため息をついていた。
今日家に帰れば、かすみお姉ちゃんとお父さんから、日曜日の結納の話を聞かされる。
そう思うと、何故だか素直に、家に帰ることが出来ない。
そんな風に改めて聞かされなくとも、知っている事。
それに、それは何度聞かされても喜ばしい事なはずなのに。
「…」
それでもなんだか、胸がすっきりしない。
このままじゃ、なんだか家に帰れない。
「…変なの」
あたしは、ボソッとそう呟いて辺りを見回した。
とそこに、倉庫にしまい忘れたバスケットボールが、一つ。
「…」
あたしはそれを拾い上げて、とりあえずゴールに向ってシュートをしてみた。
ガインっ…
ボールは、妙な音を立ててゴールの縁へとぶつかり、床へと転がっていく。
「先生みたいに入らないか…」
あたしがそんな事をぼやいていると、
「っとに成長しねえなあ」
「?」
ゴロゴロ…と転がっていったボールを、そんな声と共に拾い上げる者がいた。
あたしが振り返ると、
「そんなんじゃ、来週の試合もたかが知れてるな」
「乱馬、失礼だぞ」
…体育館の入り口には、ボールを拾い上げて悪態をついている乱馬と、
そして男バスの良牙君が立っていた。
「な、何よっ…余計なお世話よ」
あたしがそういって、乱馬からボールをひったくろうとすると、
「おーっと。いいか、シュートってのはな…」
乱馬はそういって、あたしの横をふっとすり抜けると、先ほどあたしが立っていた場所へとボールを持って走っていき、 ゴールに向って…投げた。
ザンっ…
ボールは、勢い良くゴールのネットをすり抜けて床へと落ちていく。
「あっ…」
あたしが驚いたような表情を見せると、
「あいつ、シュートは得意なんですよ」
そんなあたしに、良牙君か囁いた。
「シュートは、じゃねえよ。シュートも、だ」
乱馬が不服そうにそうぼやくので、
「そういう事にしておいてやる。それじゃあ俺は、先に行く。あかねさん、それでは…」
良牙君は、上手くそれを交わしながら一足先に、体育館を出て行った。
どうやら、体育館を出たところに彼女のあかりちゃんを待たせているようだった。
「…あたしだって」
あたしは、床に転がったボールを拾い上げ、再びシュートを打ってみるも、
ガイン…と、またもやボールはゴールをそれていく。
「諦めろ諦めろ」
「うるさいわねっ…もう、ホッといてよっ」
「帰らねえのか?」
「…」
あたしは、乱馬の問には答えずに再びボールを拾ってはシュートをする。
ボールは、ガインっ…とゴールリングにぶつかっては床に転がっていく。
「あんま遅いと、かすみさんとか心配するんじゃねえか?」
「…分かってるわよ」
「…」
「…」
乱馬は、あたしの様子をしばらくボーっと見ていたようだったけれど、
「おめーの考えてる事、当ててやろうか」
不意に乱馬が、そういった。
「え?」
あたしが再び床に転がっているボールを拾って、乱馬のほうを見ると、
「日曜日の結納の事、だろ」
「なっ…何でその事…」
「だって、うちの両親が仲人やるんだぞ?俺が知らないわけねえだろ」
乱馬はそういって、あたしからボールを奪い取った。
「…あたしは知らなかったもん」
「え?」
「先生もお姉ちゃんも、自分からはあたしに話してはくれなかったもん」
「…」
「たまたま職員室で先生が話してるの聞いたから、かすみお姉ちゃんに確認して…今日、話すつもりだったって言ってたけど…そんなのわかんないもん」
あたしは、そんな乱馬からボールを奪い取って、再びゴールに向って投げた。
もちろんそのボールは、ガイン…と音を立て床へと落ちていく。
「今回は当人と両親と仲人だけだし、後から言えば言いやって思ってたんじゃねえのか?」
「…だったらっ」
「え?」
「…昨日の打ち合わせの時、今週の日曜日にうちが合同練習に行くって提案した時に…教えてくれてたっていいじゃない」
「…」
「日曜日は用事があるから一緒にいけないけどって…そんなこと、一言も言ってなかったのに…」
あたしがもう一度ボールを拾い上げながら、そう呟くと、
「おめーはしっかりしてるし、おめーらだけで行かせても大丈夫だって思ったんじゃねえのか?先生」
「…」
「それに、自分の都合でせっかくの合同練習が出来なくなるの、申し訳ないって…先生、気を使ったんじゃねえのか?」
乱馬はそういって、ボールをもって俯いていたあたしの頭をぽんと叩いた。
「…」
あたしが俯いたまま頷くと、
「…でも、それだけじゃねえよな?」
「え?」
「二人が結納の話をちゃんと話してくれなかったから、おめー、家に帰りたくないわけじゃねえだろ?」
乱馬はそういって、俯いたあたしの顔を覗き込んできた。
「な、何言ってんの?別にあたしには…」
あたしが慌てて乱馬から顔を逸らして離れようとすると、
「…あの二人は、もう結婚すんだぞ」
乱馬はそんなあたしに向って、いきなりそう言った。
「わ、分かってるわよ、そんなことっ」
何故だかあたしは、その言葉にドキッとさせられた。
「あたしは、二人が結婚してくれるのすごく嬉しいもんっ…な、何言ってんのよあんたっ」
あたしは、言葉とは裏腹にドキドキとしている胸を隠しながらそう叫ぶ。
そして、
「あ、もう六時じゃないっ…乱馬、体育館閉まる時間よっ」
と、ボールを倉庫に投げ込むと、そのまま体育館から飛び出した。
「あっおいっ…」
乱馬も慌ててあたしの後ろから走ってくる。
「乱馬だって、もう帰らないと…おば様が心配するでしょっ」
「そ、それはそうだけど…」
「じゃあ、早く帰りましょうよ。あ、あたしは本屋に寄ってから帰るからっここで…」
「おい、あかねっ」
「じゃあね、乱馬。また明日っ」
あたしは、追いかけてくる乱馬に一方的にそう叫んで、一人学校を飛び出した。
「おいっ…」
乱馬が更にあたしの背後でそう叫んだような気がしたけれど、あたしは振り返らなかった。

…見透かされている。

そう思えば、尚更だった。
何で、分かっちゃうんだろう。
何で、何でも見透かしてるんだろう、あいつ。
何で、知られたくない事まで分かっちゃうのよ、あいつ。
「…」
家に帰りたくない本当の理由まで、見透かされてしまうなんて…と、あたしはドキドキする胸を抑えながら夜道を走っていった。
一方、
「…」
学校の体育館の入り口では、乱馬がため息をつきながらあたしの走り去る姿を見送っていたようだ。
そしてその乱馬の姿を、
「…やっぱり」
…そんなことをぼやきながら、右京がこっそりと見ていた事。
あたしも乱馬も、全く気がつかなかった。

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