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FBC 3

翌日。
校門までは一緒に登校したものの、
「今日朝練があるから。じゃあな」
そういって、いつものようにバスケ部の部室に行ってしまった乱馬と分かれ、あたしは一人、昇降口へと向っていた。
すると、
「おはようございます」
…不意に、あたしは声をかけられた。
「?」
丁寧で、そしてとても柔らかな女の子の声。
大よそ、うちの女子バスケット部のメンバーにはありえないようなその声にあたしが振り返ると、
「おはようございます、あかねさん」
もう一度そんな声がして、そこには、セミロングの髪を上品に下ろし、柔らかい笑顔をした少女が立っていた。
「清楚」
まさにそんな言葉がぴったりと当てはまるようなその彼女は…


「あかりさん?」
「はい。おはようございます、あかねさん」
「あかりさんがこんな時間にココにいるなんて、珍しいね。今日は男バスは朝練でしょ?」
「はい。そうなんですけど、今日は寄らなくてはいけない所があったので、私はお休みさせていただきました」

「あかりさん」こと、雲竜あかりさんは笑顔でそう答えて、あたしの隣に並んだ。
…あかりさんは、男子バスケット部のマネージャー。
そして、マネージャーでもあるんだけど、男子バスケ部にいる乱馬の中学校からの親友・響良牙君の彼女でも、ある。
乱馬と違って誠実で、そして真面目な良牙君の隣には、いつも当たり前のようにあかりさんがいた。
二人は登下校も勿論一緒、学校の外でもよく二人で歩いている所を見かけるので、今日のようにあかりさんが単体であたしの前に姿をあらわすのは、あたしにはとても珍しく思えた。

「あかねさん、女バスは朝練はないんですか?」
「んー…男バスがもうすぐ他校との試合をするからコートを貸して欲しいって言ってきてるみたいだから。トラブルになるのもやだし、遠慮してるのよ」
「…良牙さまと早乙女さまは、別にそんなの構わないって言ってましたけど、他の部員が顧問に直訴したみたいです。すみません、女バスだって朝練したいだろうに…」
あかりさんはそう言って、あたしにすまなさそうな顔をして見せた。
「あ、あかりさんが謝る事じゃないわよ。ね?もー、こんな所を良牙君に見られたら、あたし恨まれちゃうわよ」
あたしは慌ててそんなあかりさんにかぶりを振って見せた。
「良牙様は、あかねさんに対して怒りませんよ。それに、良牙様が万が一あかねさんに怒ったりしたら、それこそ私と良牙様が早乙女様に怒られてしまいます」
「はあ?乱馬が?なんで?」
「なんでって…」
あかりさんは、ちょっと困ったような顔をして、笑っていた。
そのあかりさんの笑顔にあたしは首を傾げつつも、ふと思うことがあった。


…あかりさんは、良牙君のことを「良牙様」と呼ぶ。
良牙君だけじゃなくて、乱馬のことだって「様」付きで呼ぶし、他のバスケ部員に対してもそうだ。
それは、あかりさんが単にお嬢様育ちであって、誰に対してもそう呼ぶように育てられてきたって言うのの賜物なんだけど、
かといって彼女は、それを鼻にかけるわけでもなかった。
丁寧かつ柔らかい。そして「清楚」な内面が姿かたちにも現れているのだ。
きっと、良牙君と付き合っていなかったら…かなりもてたに違いない。
可愛くて、おしとやかで。清楚で一途。
こんな女の子、めったにいない。
(…あ。もしかしたら乱馬の好きな人って・・・あかりさんみたいな子なのかも)
…あたしは、不意にそう思った。

そーよ。
きっとそうだわ。
あ、もしかしたら、本当にあかりさんに横恋慕してたりして…。
(相手が良牙君じゃ叶わないわよねー…。可哀想な乱馬)
…でも。
(あー…でも、右京だってあかりさんほどおしとやかではないけど、可愛いし、それに意外と女の子らしいところもあるし…)
もしかしたら、二人が付き合えば、良牙君とあかりちゃんのように結構お似合いのカップルになるかも。

「…乱馬も、きっとそう思うわ」
「え?何か言いました?あかねさん」
「う、ううん、別にッ」
あたしはあかりさんの横顔をちらちらと見ながら、思わず呟いてしまった。
あかりさんはそんなあたしを、やっぱり柔らかい笑顔で見つめていた。



…その日の放課後。
いつものように、あたしが部活をするために体育館へいくと、ちょうどその体育館の入り口に、もう体育館にやってきていたのか、乱馬の姿が見えた。
「おーい、ら…」
あたしはそんな乱馬にいつものように声をかけようとしたけれど、ハタ、と一瞬それを躊躇した。
…その乱馬の横に、なにやら乱馬に必死に話しかけては話をする時間を延ばそう、延ばそう…としている右京の姿を見つけたからだ。
右京と乱馬はクラスが違うから、共通の話題を見つけるのに必死なのだろう。
乱馬はこっちが申し訳ないと思ってしまうくらいそっけない対応をしてるけど、右京はそんな乱馬と必死で話をしようとしている。
あたしには、そんな右京の姿が何とも可愛く思えて仕方なかった。
(乱馬の奴。あとでとっちめてやる。もっと右京の話をちゃんと聞いてやんなさいよ)
…でも、二人の元に乗り込んでいけば、右京の邪魔をしてしまう事になる。
あたしはそこをぐっと堪えた。
(そうだ。後で右京に、乱馬が何の話題だと話に喰らいついてくるのか…とか教えてあげよう)
そして、そんな事を思ったのはいいけれど、
「あれ?でも乱馬の奴、いつも何の話だと乗ってくるんだっけ?」
…そういえば、今までそんな事を意識することなく乱馬と会話をしていたんだな。
乱馬の奴、大抵普通に会話に乗ってくるから今までそんなこと考えもしなかった。
「…」
あたしはそれに改めて気がついた自分が、なんだか妙に感じた。


と。


「あかねちゃん、ちょっといいかな」
体育館に入らずボーっと二人を眺めていたあたしは、
「東風先生」
「どうしたんだい?体育館に入らないで…。誰かを見てたのかな?」
どれどれ、と先生が乱馬達の入る方を覗こうとしているので、
「なんでもないです。それより先生、どうしたんですか?」
あたしがそんな先生の視線を遮るように身体を前に出してそう尋ねると、
「あ、そうだった。いや実はね…来週の日曜日なんだけど。僕の友人がコーチをしているバスケットチームがあるんだ。そこのチームから、練習試合をしないかって話を持ちか
けられたんだよ」
「え!?試合!?」
「そう。で、今からその詳細を聞きに行こうと思ってるんだけど、あかねちゃんも一緒に行くかい?キャプテンだし、聞いておきたいだろうと思ってさ」
東風先生はそういって、にっこりと笑った。
「行きます!一緒に行く!」
不意に舞い込んだ朗報に、あたしは体育館中に聞こえるくらいの大声で返事をした。
「ははは…元気だなあ、あかねちゃんは」
東風先生はそう言って笑っていたけれど、あたしの声があまりにも大きかったので、
「なんだ?」
「どうした?」
体育館にいた生徒たちは、「何事だ?」とばかりにあたしと東風先生の方を見る。
「あかねッ」
右京と話をしていた乱馬も、慌ててあたしの方へと駆け寄ってきてしまった。
「試合!」
「え?」
「試合できるのッ」
あたしは駆け寄ってきた乱馬と、そしてその乱馬を追ってきた右京に飛びつきながらそう叫ぶと、
「詳しい事は、後でみんなにも話す!先生、行こう!」
あたしは右京に、「今日の部活は自主練に」とみなに伝えるように伝言すると、東風先生の手を取って走り出した。
「ははは、あかねちゃん、そんなに急がなくても大丈夫だって」
「先生、早く早くッ」
…そんな走っていくあたし達の姿を、
「あーあ、あかねちゃん何や、めっちゃ嬉しそうやなあ」
そう言って「やれやれ」と言うような表情をしている右京と、
「…」
じっとそんなあたし達を見つめている乱馬が、見送っていた。



あたし達女子バスケ部の、初めての外部チームとの練習試合。
寄せ集めチームにようやく舞い込んだ朗報…と、あたしは期待で胸を膨らませてたわけだけれど、
この時のあたしはまだ、まさかこの試合が今後のあたし達女子バスケ部の命運を大きく左右することになろうとは、夢にも思わなかった。

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