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FBC 2

…午前六時半、ジャスト。
家から少し行った所にある川原で、いつも見慣れた犬を連れたおじさんと、すれ違う時間。
午前六時三十五分。
その川原の隅に設置されている自動販売機でスポーツ飲料を買って、腰に手を当てながら飲み干す。
そして、午前六時四十五分。
「よッ。やっぱりこの時間にロードワークすんのは、やってるスポーツが変っても変んねえな」
「いーでしょ、別に。あんただって、中学の時からずっとこの時間にココにいるじゃない」
…やっぱり同じように川原へロードワークをしにやって来た幼馴染の乱馬とそんな会話を交わし、
「よーし、じゃあどっちが先に家につくか競争しようぜ。負けたほうが勝った方に今日の昼飯、おごるのなッ」
「メロンパンにクリームパンも、つけなさいよッ」
午前7時。全速力で自宅へと戻っていくのが…毎日のあたしの日課。
中学の時から、あたしと乱馬は、こうやって毎日毎日ロードワークを続けている。
別に、時間を合わせたり待ち合わせをしているわけでもないんだけど、
なんとなく、こうして顔を合わせては一緒に走る。
特に最近は、
「うちの部、今週の日曜日練習試合があるんだよな」
と、一年生ながらも男子バスケ部のキャプテンの乱馬がぼやいているように、試合前の体力作りもかねて、以前にもましてこうしてロードワークに精を出してるらしい。
「いーわね、他校と試合なんて」
…午前、七時五十分。
お互いの家を出て(隣同士)学校へ向う最中あたしがそんな事をぼやくと、
「今のオメーらと他の高校を試合させたら、絶対に血を見るよ」
乱馬が心配そうにぼやいた。
「何よ、心配性ね。大丈夫、あたし達はそんな簡単にやられは…」
「血を見るのは相手だっつーの」
「し、失礼ねッ」
ブンッ…
あたしが持っていたカバンを振り回しながら叫ぶと、
「とにかく。とりあえずはルールくらいは覚えろ。ほれ、これ貸してやるから」
乱馬はそう言ってひらりと身をかわすと、あたしに一冊の本を差し出した。
『サルでもわかる、バスケットボール』
…妙に絵が多い、ルールブックだった。
「ありがと」
あたしがその本を素直に受け取ると、
「ま、練習だったら俺がいつでもつきあってやっからよ。とりあえずそれ、読んどけよな」
乱馬はそう言って、「じゃ、俺ちょっと部室に寄ってくから」と、校門を入ったところであたしと別れた。
(なにが『サルでもわかるバスケットボール』よ。あいつ、あたしを完全にバカにしてるわね?)
いささか腑に落ちない所はあるも、あたしは借りた本をカバンの中へとしまい、教室へと入った。



「…なー、あかねちゃん」
「何?」
「ちょっと聞いてもええ?」
…そして、放課後。
いつものように三時半から二時間、校医の東風先生のコーチを受ける前に準備体操をしよう、と寄せ集めバスケ部のあたし達はせっせと身体をほぐしていた。
その最中、元弓道部で関西出身の久遠寺右京が、柔軟体操と称してあたしの背中を手で押しつつ、あたしに話し掛けてきた。
右京は、元弓道の国体選手。
だけど家庭の事情で関東へ引っ越してきて…たまたま入った高校に弓道部が無くて。
でも本人は好きで弓道をやってたんじゃなかったらしく、案外さばさばしていた。
そこであたしがバスケ部へと誘いをかけたって訳だ。
何でも精力的にこなす右京。家がお好み焼き屋を経営してるだけあって、料理も上手いし、意外に女の子っぽい所もあって、あたしが男だったら嫁にもらいたい感じの子。
その右京が珍しく、何だか口をごにょごにょと濁らしている。
「どうしたの?」
「えッあ、あのな、あかねちゃん…」
右京は、何だか歯切れ悪い口調で、あたしの耳元へとこっそり囁いた。
「あの…男バスのキャプテンの早乙女君、あかねちゃんの友だちなん?」
「早乙女…乱馬のこと?幼馴染だけど」
「そ、そうなん!?いや…あの…あの、早乙女君て、彼女とかおるんかな…?」
「乱馬に?彼女?さー、聞いたこと無いけど。第一、あいつに彼女なんかいたらすぐわかるって。すぐ表情に出るんだもん。彼女なんか出来たら町内中スキップしながらニヤニヤしてるに決まってるわ」
あたしはそう答えて、ふと、
「何でそんなこと聞くの?あ、もしかして右京、乱馬のこと…?」
何だかピン、ときてあたしが右京に尋ね返すと、
「い、いややわッ。そんなはっきり…」
右京は真っ赤な顔をして床にのの字を書き始めた。
(はーッ…あの乱馬を好きになる人がいるなんて、おっどろいた…)
あたしはそんな右京を驚きの目で眺めつつも、
「右京、美人だし。乱馬も喜ぶんじゃない?」
そうアドバイスをしてやった。
「そ、そうかなッ…それやったら嬉しいんけど…」
右京は嬉しそうな顔でそう言うと、
「さ、今日も練習がんばらなあかんねッ」
やけに気合を入れて、立ち上がった。
(右京と乱馬か。案外お似合いかもね。あとで乱馬にそれとなく聞いてみよう)
「そーそー。頑張ってよ、その調子」
あたしもそんな右京に続いて立ち上がると、
「さ、みんなランニング始めるわよッ。東風先生が来る前にねッ」
右京に負け時と声を張り上げて、体操中の皆に声をかけた。



そして、その日の夜。
「乱馬、いる?」
…そういうのが早いか、ドアをノックするのが早いか。
あたしは隣の家の乱馬の部屋へと、ズカズカと入っていった。
「うわッ。い、いきなりはいってくんなよなッ」
部屋の中には、ちょうど帰ってきたところなのか、着替え中の乱馬が慌てて上着を羽織る。
「相変わらず、男くさい部屋ね」
「うるせーなッ」
「ちょっと、話があるの」
どっかの外人バスケ選手のポスターやら、ちっちゃいミニダーツ。
転がったバスケットボールに、無造作に床に置かれたカバン、などなど。
それらをちらっと見たりしながら、あたしは謝るのもそこそこ、乱馬の部屋に入り込んで、バタン、とドアを閉めた。
「な、なんだよ」
いきなりあたしがやって来たことに驚いたのか、乱馬は何故か直立不動であたしを見てるので、
「…あんた、好きな人いる?」
…あたしはいきなり本題に入った。
「えッ…な、何でそんなこと…」
もちろん、いきなり何の脈略もなくあたしがそんな事を尋ねてくるので、乱馬はすごく驚いているようだったが、
「いいから。いるの?いないの?教えてよ」
あたしはそんな乱馬に詰め寄るようにそう尋ねた。
すると、
「…それ、答えなくちゃいけないのか?」
「答えたくないの?」
「いや、そうじゃないけど…何で急に…」
「いろいろとあるのよ」
「…」
乱馬は一瞬ためらった後、
「…いる」
小さな声でそう答えた。
「いるの!?もしかしてもう付き合ってるの!?」
そりゃまずい、右京になんて教えたらいいんだ…なんて一人焦ってると、
「つ、付き合ってなんかいねーよッ。俺が勝手にッ…勝手に好きなだけだからッ…」
乱馬はその後すぐにそう言って、真っ赤顔を隠すように後ろを向いてしまった。
「何照れてんのよ。そっか、まだ付き合っては無いのね。あービックリした」
あたしはそんな乱馬にホッと胸を撫で下ろすと、
「じゃあ、望みはあるんだ。よかった。教えてくれてありがと。じゃーね」
さっさとそう言って乱馬の部屋を出ようとした。すると、
「ちょッ…ちょっと待てよッ。な、なんだよ望みって」
乱馬があたしの前に慌てて回りこんで、通せんぼをした。
「望みは、望みよ」
「も、もしかしてッ…」
「ん?」
「お、お前まさか…お、俺のことが好きなのか!?」
「はあ?何でそうなるのよ」
あたしは、訳の分からない事を言い始めた乱馬に対して思わず怪訝な表情をした。
「違うわよ」
あたしがはっきりと乱馬にそう言ってのけると、
「そ、そうか。そうだよな、うん、そんなはずねえよな。大体オメーが告白する姿なんて想像できねえっつーんだ」
乱馬は、失礼極まりない事をブツブツとぼやき始めた。
「失礼ねッ。あたしだって、あんたみたいな男、お断りよッ。ちょっと訳があって聞いただけだもんッ」
あたしはそんな乱馬を軽く小突いてやると、
「とにかく、まだ望みはあるのよねッ。それより乱馬、彼女できたときはあたしにちゃんと報告すんのよ?わかった?」
そう叫ぶと共に部屋を出て、自分の家へと戻った。
(そっかー、あのバスケ一筋の運動バカな乱馬にも、好きな人が出来るお年頃になったわけだ)
…何だか、子離れされた、親鳥の気分だわ。
いつの間にか成長していた幼馴染に、何だか不思議な気分を味合わされた、あたしだった。


それにしても、乱馬の好きな人って、一体どんな人なんだろう?

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