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永遠の記憶6

らんまが再び麝香城へメイドの格好で戻ると。
「あ!乱子!あなた一体今まで何処にいたの!」
あかねの部屋で仕事をしていた先輩メイドの一人が、らんまの姿を見るなり、烈火の如く怒りだした。
(やべえ!)
「えっとー、乱子、お城の中で迷ってしまってえ…。ごめんなさあい」
らんまは得意の(?)泣き落とし作戦でその場を何とか切り抜ける。
「全く…もっと自覚を持って頂戴よ!これから、忙しくなるんだから!」
先輩メイドはそういうと、らんまに一枚のドレスを渡した。
真っ白い、煌びやかな絹のドレスだ。
「あの、これは?」
乱馬がしおらしく聞くと、
「今夜の姫様のお召し物よ。ウェディングドレスじゃないの」
先輩メイドはそういって、らんまにそのドレスをきちんと保管して置くように命じて部屋を出て行った。
(…何が、ウェディングドレスだ!ふざけやがって!)
らんまはドレスを握り締めながら、フツフツと怒りに燃えていたが、とりあえず何とかこらえ、ドレスを部屋の中のドレ
ッサーに引っ掛ける。
そして、部屋の窓辺でジーっと外を眺めてたっているあかねの側へと近寄った。
「…あら、乱子」
あかねは、らんまの気配に気がついて、振り向いて笑った。
「あかね…様、お気分はいかがですか?」
らんまが慣れない敬語を使って優しく語り掛けると、
「うん…まあまあだわ」
そういって、再び窓の方へ向き直る。
だけど、笑った顔に力が感じられない。
(そんな顔すんなよ…)
らんまの胸が、ズキ…と痛む。
「ねえ、乱子。ちょっとこっちへ来てくれないかしら」
と。
窓の外を眺めていたあかねがそういって、らんまの腕をひっぱった。
「え?どうしました…」
らんまがあかねの横に立つと、あかねは急に、らんまの顔を両手で優しく触れた。
「え!?ちょ、ちょっとあかね…様!?」
突然の事でらんまがあたふたと慌てると、
あかねはそんならんまを見ておかしそうに笑った。そして、
「…ねえ。今から言う事は、わたしと乱子だけの秘密よ?いい?」
そういうと、らんまの顔をそっと離した。そして、近くの椅子に腰掛け、小さな声で話しはじめる。
「は、はい…」
何が何だかわからないらんまも、とりあえず床の上にあぐらをかいて座る。
あかねはそんならんまの姿を笑顔でみつめていた。
「…私が瑪瑙様と許婚ってお話はもちろん乱子もしているわね?」
「…はい」
相当不服だが、らんまは呟く。
「私、今まで随分瑪瑙様に守られてきたみたい。思いでもいっぱいあるわ」
あかねはそういって、ちょっと力なく笑ったが、でもため息をついて、
「でもね…乱子。私…おかしいのよ」
「おかしい?」
「ええ。思い出の中では私は瑪瑙様に守られて、私も瑪瑙様を大切に思っているの。でも、実際のあたしは…瑪瑙様に対してとても…壁を持っている」
あかねはそういって、自分の胸の前でぎゅっと手を握っていた。
「さっきもお会いしていたのだけど…思い出の中のあたしと違って、今ここにいるあたしは…瑪瑙様を拒絶している。…おかしいでしょ?」
「…」
らんまは、あかねのその話を聞いても何も答える事が出来なかった。
(そうだよ、あかね。アイツはお前の許婚でも何でもねえんだよ!拒絶して、当然なんだぞ!)
本当は声を大にしてそう叫びたかった。
だけど…今はまだそれは許されない。
「そ、そうですか…」
らんまはそう呟くのがやっとだった。
「それでね…・今窓の外を眺めてるとき、変な映像が…あたしの頭にちらちらと現われたのよ」
「変な?」
「ええ」
あかねはそういって、ちょっと恥ずかしそうに顔を赤らめながら、
「それがね…乱子、気を悪くしないでね。
乱子に似ている男の子の…後ろ姿なの。一瞬振り返ったその顔も、乱子にそっくりなのよ」
「…」
らんまは、ドキッと表情を動かす。
「そんな男の子、いるはずないのに…もちろんあたしはそんな人知らないのよ。でも…どうしてかしら。
その映像が何度か頭をよぎったら、急に乱子に会いたくなってしまったの…」
あかねはそういって、らんまの方を見た。
その表情は、何処となくさびしげだった。
「おかしいでしょ?乱子は女の子なのにね。あたしったら…はずかしいわ。
だから、この事はあたしと乱子の秘密よ」
あかねはそういって、らんまの手を取って、指切りをする。
「あの…あかね!…様」
らんまはたまらず叫んでしまった。
「なあに?乱子」
あかねは、らんまに屈託のない素直な表情で聞き返す。
「…俺と…俺とこのまま…」
逃げませんか?
思わず、そういってしまいそうだった。
記憶も思い出も盗まれてしまっているのに、乱馬本来の姿を思い出してくれたあかねを、
このままこんな所に置いておくのは、もう一秒だって耐えられない…らんまは、そんな思いで胸が苦しくなった。
「俺…?乱子ったら、本当に男の子みたいね」
あかねは、そんならんまの思いを全く知らずにそう呟く。
「あかね、様」
…でも、らんまはどうにかしてその気持ちを押さえつけた。
そして、
「ちょっとお休みになられた方が良いですよ。もしかしたら、お疲れなのかもしれませんし…」
そういって、あかねをベットへと寝かせた。
「ええ。今夜は結婚式ですものね…。今のうちに休んでおくわ」
あかねは素直にそういって、目を閉じた。
(…)
らんまはそんなあかねの部屋から、そっと出てきた。
そして、こっそりと男の姿に戻ると、既にこの城近くに忍び込んできているはずの良牙・ムース達を探しに外へ出た。

 


「…で?乱馬よ。式場の場所はわかったのか?」
…麝香城から少し離れた森の中で。
乱馬は良牙たちと落ち合うことが出来た。武器の手入れをしながら早速乱馬に良牙が尋ねる。
「ああ。城の中央階段を一番上まで登った所に扉があるんだが…」
乱馬はそういって、自分が集めてきた情報を皆に伝える。
「その扉を開けると、また上へ上る階段があって…上りきった階のフロアが式場だ」
「随分と上のほうなんだな」
「ああ。城で一番高い、塔の中にある」
乱馬はそういって、良牙たちの顔を見回した。
…その塔は、先日乱馬が瑪瑙と戦った際に連れ出された、時計台のある塔だった。
「今夜は…満月。となると、式が執り行われるのはあと八時間後くらいか」
良牙がそういって、空を見上げる。
夕刻が近づいているため、空はすでにどんよりとした色をしていた。
「だけど、天道あかねを助け出すだけではだめなのだろう?乱馬よ」
ムースが、話を聞きながら乱馬に尋ねる。
「おばばから聞いたんじゃが…シャンプーとおらとの甘美な記憶を奪ったあのいまいましい術を解くには、その元をたたんといかんらしいではないか」
「ああ…」
乱馬はムースの言葉に、深刻な顔で頷く。
「さらわれたあかねを奪回しても、まだあかねの記憶までは取り戻すまでに至らない。問題は、その記憶を奪う術を施した魔物を魔界へ追い返す方法さ」
乱馬はそういって、良牙やムース達にコロンから聞いたことを伝えた。
瑪瑙に取り付いている魔物と、瑪瑙を引き離さないといけないこと。
引き離した瞬間に、コロンから預かった「薬」で、魔物を呼び出したとされる「魔法陣」を消さなくてはいけないこと。
瑪瑙と魔物を分離しないまま魔界へ帰らせてしまうと、奪われた記憶は二度と戻らない事。

「引き離すって言ったって、そう簡単には魔物は離れてはくれんぞ」
…少し離れたところで話を聞いていた九能が、乱馬に言う。
「ばあさんが言うには、『魔物の世界で一番美しいもの』が必要だって言うんだけど…」
乱馬には、それが何かはまだ分かっていなかった。
ただ、
「この飴の原料に何か関係があるんじゃないかと思うんだよな…」
乱馬はそういって、なびきと朝凪から貰った、例のまずい飴を皆に食べさせた。
「この飴を食べれば、あの『黒い霧』を浴びても記憶を奪われる事はない」
「この、飴が…?」
一同は、怪訝そうな顔をしながらも、その飴を口に入れる。
「これは、なびきがこの国の闇市場から仕入れたもんらしい。この国のなんかの花を練りこんで作られたらしいんだが」
乱馬がそういうと、
「ふん、天道なびきもたまには役に立つものだ」
九能が憎まれ口をたたきながらも、
「では、その原料の花を探せばいいということか?」
「それか、もしくはその花に関連する何か、だ」
…とにかく、もう時間がない。
「とにかく、俺はメイドの格好で城に忍び込む。九能はこの原料の花について調べてくれ」
乱馬がそういうと、
「なんで貴様が女装して城内に忍び込むんだ!変態かきさま!」
…乱馬が女になるという事実をただ一人受け入れない九能はそういって不服そうな顔をしていたが、
「しかし…ほかならぬ愛する僕のあかね君を救うためだ。やってみよう」
そういって、森から出て行った。
「良牙とムースは、一足先に会場に忍び込んで、魔法陣の正確な場所を調べたり、してくれ。何かあったら、俺の所にすぐ来てくれよ」
次に乱馬は、そういって良牙とムースに水をかけた。
「いきなり何をする!」
…と、豚とアヒルになった2人がピーピー、ガーガーわめいているが、
「方向音痴とド近眼じゃあ、二人一緒じゃないと塔までたどり着けないだろ?頼りにしてんだからよ」
乱馬はそういって、豚とアヒルの2人を先に城へと忍び込ませた。
(後は俺も…何か手掛かりと作戦を考えないとな)
乱馬は、再び水をかぶって女の姿に戻ると、城の中へと再び潜入した。

 


 


…そして。
太陽が西の彼方へ沈み、漆黒の空には白い光を帯びた鈍い光を放つ満月が、そろそろとその姿をあらわし始めた。
満月の鈍い光が、麝香城全体を闇の中へと照らし出す。
城の周りに走りめぐっている水路に、麝香城の妖しげな姿がはっきりと映し出されていた。
城の中には、この国の楽団がやってきて、音楽を演奏していた。
その全ての光景が、麝香城の幻想的な雰囲気を作り出す手助けをしているかのようだった。


 


そして。
リンゴーン…リンゴーン……
今宵の婚礼の儀に備え、一時間たつごとに、鐘が鳴らされている。
少し前には、四回。今は、三回。
(結婚式まで、あと三時間ってことか。あのキザ野郎め…)
らんまは、部屋で他のメイド達に結婚式の準備を施されているあかねの姿を眺めながら、ギリギリと唇をかんだ。
と、その時。
カツン、カツン。
部屋の窓を叩く音が、聞こえた。
らんまがそちらの方を見ると、子豚の蹄が一瞬見えた気がした。
(良牙だ!)
らんまは、他のメイド達に気づかれないように、こっそり部屋を出た。
そして、良牙がいるあかねの部屋の窓の下へと向おうとした、ちょうどその時。
「おい、お前」
らんまは急に呼び止められた。
(誰だよ!こんな急いでるときに!)
らんまが思いっきり不機嫌な表情で振り返ると…
「!」
「何だ、その表情は。そんなに私と出会ってしまうと不都合な事でもあるのか?」
らんまのそんな様子をまるであざ笑うかのように。
そこには、立派な服に身を包んだ瑪瑙が立っていた。
女の姿で瑪瑙とはあったことはないが、つい先日男の姿で瑪瑙と戦っているだけに、らんまは内心焦っていた。
「め、瑪瑙様…どうされました?」
らんまは、そんな心の動揺を悟られまいとして冷静を装う。
「…私は、お前に良く似た男を知っている」
瑪瑙はそういって、らんまに一歩一歩近づいてくる。
(や、やべえ…)
らんまは、ジリジリ、と後ずさりをした。
「その男は…私の許婚のあかねを、不届きにも奪おうとしている」
「…」
らんまは、そういった瑪瑙の顔をギロッと睨んでしまった。すると、
「その男も、そんな瞳で私を睨んでいた」
瑪瑙は更にそういって、素早い動きでらんまの胸倉を掴んだ。
「お前!あの男と何か関係があるな!?」
そして、そのままミゾオチに当身を食らわせてきた。
「グッ…」
不意打ちをされた乱馬は、不覚にも気を失ってしまった。
「フン…邪魔しおって!」
瑪瑙は乱暴にらんまの体を床に叩きつけると、
「おい!この女を地下の牢に放り込んでおけ!婚礼の儀が終わるまで、決して外に出すのではないぞ!」
「ハ!」
近くにいた兵士たちにそう命じ、その場を去っていった。
気を失ってしまったらんまは、そのまま地下牢へと投獄されてしまったのだった。


 


折りしもその頃。
リンゴーン…リンゴーン…
城中に、鐘の音がニ度、響きわたっていた。
婚礼の儀まで、ニ時間を切ってしまった時の出来事だった。


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