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永遠の記憶4

あかねが眠りについている内に、と、らんまは麝香城の中を偵察することにした。
…麝香王国の城の中は、まるで迷路のようだった。
しかも、事態が事態なだけに、城全体の雰囲気も異様な空気に包まれている。
これでは、城というよりも「牢獄」といった方がいいような気もするが。
(同じ城でも、俺達の居るところとは大分違うんだな)
らんまは妙な所で関心してしまった。

そんならんまがとりあえず入り込んだのは、まずは『メイド』たちの集まる支度部屋。
「あら、あなた見かけない顔ね?」
「あの〜、あたしィ、今日からここで働くことになったんですぅ。乱子っていいます」
日ごろの成果?か、完璧な女の子の演じぶりで先輩メイドたちの警戒の目を難なく誤魔化し、らんまはまんまと支度部屋に潜入することに成功した。
「何か、やけに兵隊さんの数が多いみたいなんですけど〜、戦いでもあるんですかあ?」
らんまがすっとぼけた素振で先輩メイド達にそう尋ねると、
「あなた、何にも知らないの?瑪瑙様の許婚のお姫様を、奪い去ろうとしてる輩が居るらしいのよ。
その不貞の輩から姫様と瑪瑙様を守るための警備を皆でしているんでしょう?」
先輩メイドは、ちょっと声を潜めてそういう。
…どうやら、あかねの世話をしている2人のメイド以外は、真実は知らされていないようだ。
(瑪瑙…なんて卑劣なヤツ!)
らんまの怒りが、またフツフツと燃え上がってきた。
「戦になると、城の中にもそれに乗じて、宝物庫を荒らしたりする奴らもでてくるのよ」
「そうそう。だから、今、城中は厳戒態勢なのよ」
「面倒なことには巻き込まれたくは無いわ…」
メイドたちは口々にそんな事を口走っている。
「…」
らんまは、メイドたちから聞ける限りの情報を聞き出し、区切りのいい所で支度部屋を抜け出した。
そして次に、先程メイドたちの話の中にも出てきた、この城の「宝物庫」へ向かう。
「うわ!なんだありゃ…」
が。
宝物庫がある階へと続く階段を上りきってフロアに着いたとたん、らんまは、思わずギョッと目を見張った。
宝物庫の前は、まるで芋の子を洗っているかのような、異常な程の人口密度が高かった。
はっきり言って、念入りというよりも異様な感じのする警備体制だ。
そんなに大切な宝物が。あの宝物庫の中にあるのか?
あかねの記憶を奪った、あの忌まわしい黒い霧の謎を解くことの出来る、宝物とか…?
らんまは、警備兵にばれないように近くに身を潜めながら、そんな事を考える。
そして、昨晩コロンが言っていた事をチラッと思い出した。
−魔物と人間を分離させるには、『魔物の世界で最も美しいもの』を使わなくてはいけない−
(…てことは、やっぱりあの宝物庫の中にそれがあるって事か?)
じゃあ、あの宝物庫を破れば、あかねを取り戻す為のの突破口は開けるってことか?
乱馬は神妙な面持ちで、しばらくの間宝物庫を観察していた。
(…きょうは取り合えず、あかねの元へ戻るか…)
そして。
そろそろあかねが目を覚ます頃か、と思ったらんまは、警備兵にばれないようにそっと宝物庫を離れようとしたが…ふと、自分の立っていた場所のすぐ近くに、やけに古めかしい小さなドアがある事に気が付いた。
今にも朽ち果てそうな、古めかしい木で出来ているドア。
宝物庫の頑丈そうな扉なんかと比べると、どう考えても同じ「扉」と表現してしまうには忍びないほど、ぼろいものだ。
が、なぜかその扉の「鍵」だけは、驚くくらいにと新しいものだった。
(何だここは?倉庫か?)
らんまは、宝物庫の周辺にいる警備兵達に気づかれないように、音を立てずにそのドアノブを回してみる。
…ガチャ。ノブがゆっくりと回った。
どうやらこの扉、鍵はついているにもかかわらず、その役割はあまり果たされていないようだ。
(物騒だなあ…)
自分が忍び込む立場であるにも関わらず、らんまは、この城の警備を思わず心配してしまった。が、慌ててかぶりを振ると気を改めて、その扉を開けて中に入る。
ドアを開けるとすぐ、下の方へ続く煉瓦造りの階段があった。
少し足場が不安定な階段を、らんまはゆっくりと降りていく。
壁にはと所々灯りがついてはいるが、少し不気味な感じがする。
それに、階段を降りれば降りるほど、ひんやりとした空気が、らんまの体を包む。
(…水、音?)
それに、よく耳を澄ませば、ちょろちょろちょろ…と規則正しく水が流れる音が聞こえる。
(一体どこに繋がってるんだ?ここは)
らんまがそんな事を考えている内に、階段をすべて降りきってしまった。
階段を降りきったと思うと、すぐ目の前にまた一つ、ドアがあった。
らんまは、構わずそのドアを開けてみる。
すると…
「な、何だ、ここは…」
らんまは、自分の目の前に広がる景色に、思わずボー然としてしまった。
…今にも朽ち果てそうなドアと、不気味な階段を降りた先にあったこの空間。
それは、
見た事も無い真っ白な花が咲き誇る、庭園だった。
わずかな灯りしかないために薄暗い室内にも関わらず、そこかしこに咲き零れる真っ白い花。
その間を縫うように走る、済んだ小川。
まるで、どこかの花畑をそのまま部屋の中に移植してきたような、そんな印象を受けた。
「ほええ…さすが皇族が考えることは違うぜ」
らんまは思わずそんな事を口走りながら、その庭園に足を踏み入れる。
自分達の居る城の屋上庭園にもちょっとした庭園はあるが、それとは比べ物にならないくらい、手入れが行き届いていた。
(あかねにも、見せてやりたかったな…)
そんな思いが、ふと頭をよぎる。
…そういえば、あかねがさらわれるちょっと前まで、ニ人で屋上庭園にいたっけな。
(…)
その時の事を考えると、自然に胸が痛む。
らんまは、美しく咲き誇る白い花の中で、小さくため息をついた。
と、その時だ。
「あ!あなた、こんな所で何をしているの!」
庭園にたたずむらんまの元へ、先輩メイドの一人が駆け寄ってきた。
「ここは、瑪瑙様専用のお部屋なのよ!許可なく入ることは許されないのよ!はじめに習わなかったの!?」
先輩メイドは、とても恐ろしい形相で叫ぶ。
(げ!?そうなんだ!)
「ご、ごめんなさーい…ドアが開いてたから、ついつい誰かいるのかと思って…」
らんまは、得意の「泣き落とし作戦」で、いかにもしおらしく反省する素振を見せる。
「ここには、瑪瑙様と、あとは瑪瑙様に頼まれてこの花を取りに来る使いの者だけなの!」
先輩メイドはそういって、らんまの腕を強につかみ、階段を上っていく。
どうやらこの先輩メイドは、瑪瑙に頼まれて白い花を取りにきたところだったようだ。
「だから、わかったわね?もう二度とここへは勝手に入り込まないこと!」
「はーい!」
らんまはしおらしく返事をして、その先輩メイドと共にその庭園を後にした。
…そんならんま達の様子を、上から伺っているものがいた。
黒い大きなカラスだった。
いや、姿はカラスだが、暗闇の中、異様に目をギラギラさせて飛んでいるそれは、鳥ではなかった。
「ギイ…」
魔物だった。
その魔物は、らんまの姿を消えるまでじっと観察していたが、らんまの姿が見えなくなるや否や、まるで霧が晴れるかのように闇夜にその姿を溶け込ませ…消えた。


その日の、夜中。
この時間なら人目も少なかろうと、わざわざ男の姿に戻って城の中を偵察していた乱馬は、ふと、あの庭園の事が気になって、あの朽ち果てたドアの前まで行き、足を止めた。
…何故だか分からないが、あの地下庭園にいると、妙に気持ちが安らいだのを覚えている。
卑劣極まりない事をしている瑪瑙だが、あの花をわざわざ命じて自分の所へ運ばせる所を見ると、あんなやつにでもあの花の癒しの効能というものがあるんだろうか、と思ってしまう。
乱馬は、ドアの鍵を開け、地下庭園へと続く階段を降り、そして再び庭園への最後の扉を開いた…丁度その時。
ヒュンッ…と、空気を切り裂く音。
「!」
乱馬はハッとして慌てて身を交わした。
すると、今さっき乱馬が立っていたその場所に、鈍い銀色で光るナイフが刺さっている。
(!)
乱馬が表情を強張らせて辺りを見回すと。
「くくく…こざかしいネズミが紛れ込んだようだ」
一人の男が乱馬の前に現われた。
そのとたん、急に辺り一面がどんよりとした思い空気に包まれる。
(な、なんだ…この異常な空気は!)
そのあまりにも重々しく不快な空気に、乱馬はぎゅっと自分の体に力を入れてそれを防ごうとした。
「くくく…私の妖気を真っ向から受けて、気を失わないとは…噂に聞いていた通りだ」
男はそういって、急に自分の左手を乱馬に向けて開き、かざした。
すると。
ビシュウ!…と辺り一面の空気が動く音がした。
そしてそれと同時に、乱馬の周りを囲んでいた、白い花々が消えたかと思うと…
「な…!?」
次の瞬間、乱馬の体は、信じられないことに、別の場所へと移動させられていた。
乱馬が移動させられたこの場所は、この城の最上部というのだろうか…時計台のような、あまり人が立ち入らない高台のようだ。
ゴオオオ…と風が轟音の塊となって、乱馬の体を取りまとう。
「くくく…あの部屋を、貴様のようなものの血で汚すのはしのびない」
乱馬が驚いていると、そんな乱馬の後を追うように、先程の男が、同じ高台へと現われた。
「何?」
「きさま・・・あかねの許婚だろう?身分不相応な」
男はそういって、乱馬の事を見ている。
ギロリ、と明らかに敵意を持った目だ。
「…それがどうした」
乱馬も負けずに睨み返す。
「わたしは、瑪瑙。この国の皇子だ。そして…今のあかねの許婚でもある」
男:瑪瑙は、はっきりとした口調でそう断言した。
(コイツが瑪瑙か…!)
今すぐにでも殴りかかりたい気持ちを抑え、乱馬は慎重に瑪瑙を観察する。
きちんとした身なりに、黒いマント。そして何より、ギラギラと異常に光る瞳が印象的な男だった。
「何が許婚だ!ふざけやがって!」
それでも乱馬が瑪瑙に向かって憎憎しげに叫ぶと、
「遅かれ早かれ、あかねは俺のものになる予定だった。それに…」
瑪瑙は、自分をにらみつけている乱馬をまるであざ笑うかのように、余裕のある表情で言った。
「あかねが今大切に思っているのは、、お前ではなく、この俺の事だ。何しろ、あかねの記憶にお前はいないのだからな」
「てめえ!」
乱馬の拳が、激しく瑪瑙に襲い掛かった。
瑪瑙は、そんな乱馬の攻撃を意図も簡単に交わしていく。
「く…!」
乱馬の怒りは、いよいよ頂点に達しつつあった。
「あかねを記憶を返しやがれ!!」
冷静さを失って瑪瑙に襲い掛かる乱馬に、瑪瑙は至って冷静に対処しながら、
「…私ならば、あかねと身分も対等だ。お前のように、他にも許婚を作ったりはしない。
それに・・・」
瑪瑙はそういって、バッ…と、乱馬のすぐ目の前でマントを翻した。
乱馬の視界が、一瞬さえぎられる。
「それに…あかねを困らせてばっかりいるそんな男と一緒になるよりも、そんな男の事など全く知らないまま、私と一緒になる方が幸せになるに決まっている」
「!」
瑪瑙の言葉に、乱馬は一瞬詰まってしまった。殴りかかっていた体も、びくっと一瞬止まる。
瑪瑙は、その瞬間を見逃さなかった。
「だから、あかねの事は俺に任せろ!」
…瑪瑙は、マントを駆使して乱馬の死角に回ると、マントの下で構えていた手を使って、奇妙な術を乱馬に施した。
「!」
乱馬がはっと我に返って逃げようとしても、
その瑪瑙の妙な術のおかげで、体が全く動かす事が出来ない。
「し、しまった!」
「油断大敵、だな。元・許婚殿」
瑪瑙はそのまま、乱馬に向かって何やら呪文を呟いた。
すると次の瞬間、乱馬にかざされていた瑪瑙の左手から、城の兵士達や、あかねから記憶を奪い去った、あの禍禍しい『黒い霧』が出てきた。
「!」
乱馬は慌てて逃げようとするが、時は既に遅かった。『黒い霧』は、あっという間に乱馬の体を包み込んでしまった。
「ぐ、ぐぐ…」
言葉にならないような「気」が、乱馬の体を押しつぶす。
「おまえから、あかねの記憶を奪ってやる。…そうだな、そのもう一人の許婚とやらの記憶と、あかねとの記憶をすりかえて植え付けてやろうか…」
「や、やめろ!」
乱馬は、朦朧としながらも必死で叫んだ。
が、瑪瑙の手から出続ける『黒い霧』は、既に乱馬の体をすっぽりとおおってしまっており、体を捕らえて離さない。
…やがて乱馬は、じっと動かなくなって、完全に床に倒れ伏してしまった。
「くくく…」
自分の足元で倒れている乱馬をみて、瑪瑙はこれ以上ないくらいのほころんだ顔をして、笑っていた。


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