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火の守人<フレイムガーディアン>

岩の扉を抜けたシャンプーが目を開けると、そこには今まで目にしていた風景とは似ても似つかないものが広がっていた。
岩肌あらわな地面。そして少し先には溶岩が今にも零れだしそうな勢いで煮えくり返る溜まりが広がっていた。
その溜まりの中央に、細い岩の道。その道は、シャンプーの遥かかなた先に見える「祭壇」のようなものに真っ直ぐ続いている。
どうやら、溶岩溜まりの間にあるその細い道を抜け、先に見える祭壇までたどり着けということなのだろうか。
そこに、パワーアップ出来る何かツールでも置いてあるのか・・・シャンプーはそんな事を考えながら、前へと進んでいく。
溶岩だまりが広がる故に、辺りは言いようのない熱気と高温で包まれていた。
袖のある服を着ているが為、シャンプーの肌から吹き出る汗がじっとりと、洋服ににじみ出ては肌にまとわりつく。
うっとおしいと思えども、このような高温かつ、今にも溶岩が噴出しそうな場所で余計に肌を露出するなど自殺行為に等しい。
周りには敵の気配もないようだし、とにかく早く、溶岩だまりの向こう側に見える祭壇へとたどり着いてしまおう。
「それにしても、熱いあるな・・・」
シャンプーは額から吹き出る汗を何度も手の甲で拭いながら、溶岩だまりの中央に配置されている岩の道へと歩を進めようとした。

 

その時だった。

 

『・・・我はフレイムガーディアン。お前が我が力を手に入れるにふさわしいものかどうか、見極めさせてもらう』

どこからともなく、そんな声がシャンプーの耳に入ってきた。
「!」
敵の気配を感じることがないのに、不意に飛び込む別人の声。
シャンプーは額の汗を拭いながら慌てて、背中に背負っているぼんぼりを取り出し構えた。
溶岩の熱に気をとられ、気配に気づかなかったのか・・・いや、敵ならばその異様な雰囲気を感じ取れないはずはない。
シャンプーがそんな事を考えながら周囲に目をやっていると、
『中央の道を進み、祭壇にある飾りを手にするが良い。さすれば主は、我が力を手にすることが出来る・・・ただし』
フレイムガーディアンはそうシャンプーの耳に声を届けると、一旦声を収めた。
がその代わり…シャンプーの目の前に広がる溶岩だまりから、まるで溶岩の壁が現れたかのように強大な「溶岩の柱」が幾重にも突き出し中央の道を覆い始めた。
やがてそれは、アーチのように上部を多い、そして壁のように側面も覆う。
あっという間に先に見えていた祭壇への視界をさえぎり、代わりに熱気が生み出す陽炎のようなゆらゆらとした映像をシャンプーの目に送り込んできた。
「!」
まるで、中央に走る道までも溶かしてしまうような勢い。シャンプーがぞっと背筋を凍らせながらその光景を見つめていると、
『・・・中央の道を通らねば、祭壇へはたどり着けぬ。万が一道を通らずしてたどり着いたとしても、力は渡さぬ』
「!」
『我が力は、すべてのものを焼き尽くし溶かす能力がある。さあ、どうする?前に進まねば、徐々にお前の体力を奪いいずれは命も果てる。進めば、岩をも溶かす熱で身体を覆われるかも知れぬぞ?』
フレイムガーディアンはそう言って、再びその声を収めた。
それ以降は、シャンプーがじっと待っていても何も耳には入ってこなかった。どうやら、気配を消したようだ。
「・・・想像を絶するあるな」
シャンプーは、フレイムガーディアンの作り出したその空間をじっと見つめた。
ただでさえ汗が吹き出てくるというのに、これからシャンプーが進まねばならぬという道には、それにもまして溶岩のアーチがかかっている。
しかもそのアーチ、道の上部や側面部にもはみ出しており、シャンプーの身体がそこを通り抜けようものならばすぐにでも多い尽くしてしまいそうなほど勢いを増している。
シャンプーは、ためしに足元に転がっていた岩を自分が進む予定の道へと蹴り飛ばした。
岩は道の入り口までは順調に飛んでいたが、溶岩のアーチに触れた瞬間、ジュワ・・・と音を立てて消滅した。
小さな岩を、一瞬で溶かす熱。中央の道は見た目は同じだが特殊な物質で作られているのかもしれない。
歩くには強度は申し分なさそうだが、問題はそこではない。
このまま進めば、間違いなく溶岩で身体が溶けて一瞬で命を落とす。シャンプーは直ぐそこに迫る「死」をはっきりと予感していた。
だが、このままここで迷っていても仕方がない。退路がないということは、進まなければ先へは進めない。

「・・・流水壁!」

シャンプーは、自分が使える魔法の中からとりあえず、「身を守るためのもの」であり、尚且つ「火とは相反するもの」を思い出し、唱えてみた。
シャンプーは火属性の魔法が得意な魔導師ではあるが、別に水属性のものや、それ以外の属性の魔法が使えないわけではないのだ。
今までも、雷属性の魔法を使ったこともあるし、簡単ではあるが治癒魔法も使っている。
今シャンプーが唱えた魔法は、水属性の魔法。本来は水属性の魔法が得意なムースが用いるものだ。
火から身を守るには水が一番。短絡的だがそう思ったシャンプーは、最大限の力を用いて防御魔法であるそれを唱えたのである。

水の壁に身を包んだシャンプーは、ゆっくりと溶岩のアーチを纏う岩の道へと進んだ。
ところが、
ジュワッ・・・
「!?壁が・・・!」
シャンプーが溶岩のアーチの下を通り抜けようとしたその瞬間、シャンプーの身体を覆っていた水の壁が一瞬で消滅してしまった。
熱で蒸発した、というのが正しい表現だろうか。
魔法で作り出した壁であり、尚且つ、シャンプーとてそこらへんの魔導師に比べたら随分等でのよい上級魔法使いのはず。
その魔導師が作り出した壁が一瞬で蒸発することなど本来ならば考えられない。
だが、実際にそれが起こったとなると、だ。
普通に魔法を繰り出してここを通り抜けようとすることなど、容易に出来ないということなのだ。
「あつっ・・・」
水の壁が消滅し、そして水を含み勢いを若干増した溶岩の熱がシャンプーの身体を襲う。
シャンプーは慌ててその場所から離れた。袖のある洋服を着ていなかったら、恐らく大やけどだ。
服を着ていても、何だかじりじりと肌に痛みを感じる。安易に近づいただけでもやけどをするということか・・・シャンプーは痛みを感じる腕を押さえながら、そんな事を思う。
だが、このまま躊躇していてもどうにもならない。迷えば迷うほど、今度は漂う熱気に体力を奪われて命を落とすだけなのだから。

「水がだめなら、風ある!」
「風がだめなら…大地の加護を・・・!」
「雷で溶岩を分断すれば・・・!」

シャンプーはめげずに、自分が取得している様々な属性の魔法を力いっぱい繰り出していく。
ところが、どんな属性のものを溶岩に向けたところで、まるで一瞬で飲み込んでしまうがごとく溶岩はそれらを消滅させてしまう。
そして、魔法を繰り出し試そうとする為にアーチへ近づくシャンプーの身体に、次々とダメージを与えていくのである。
両腕には、度重なる熱の負荷による火傷。そのたびに浴びる熱風のため体力をそぎ落とされる。
のども渇き、低下した体力のために視界もぼんやりとする。
中途半端な魔法では完全に太刀打ちできないので全力で魔力を使うため、ただでさえそぎ落とされる体力に加え、消耗も激しい。
いつしかシャンプーは、自分が立っていたその場所へと肩膝をつくように崩れ落ちていた。
背中に背負っていたぼんぼりも、体力消耗のために既に背負うことは出来なかった。
とりあえず杖の代わりに地面へと付き、それに寄りかかっているような状態である。

・・・まずいな。このままでは、本当に命を落としてしまうある。

ゆらゆらと陽炎の向こう側にぼんやりと見える祭壇を見つめ、シャンプーは必死に頭をめぐらせていた。
いつもなら、こんなときには祖母であるコロンや、知識豊富なムースにアドバイスを求めるであろう。
だが二人は今ここにいない。自分で考え、何とかしなくてはいけないのだ。
とはいえ、度重なる魔法の「無駄打ち」により、体力の消耗も精神力の消耗も激しい。
恐らく次に打つのが、最後の魔法。これで対応できなければ、もしかしたら本当にこのままここで命を落とすかもしれない。

魔道具も使えず、その場所以外を通ることも許されない。
水も風も、大地も雷も。治癒などは例外ではあるので、使える限りの魔法はすべて試してみたが太刀打ちできなかった。
一体これ以上、どうしたらいいのか・・・シャンプーは、ぼんぼりに寄りかかりながら必死に考えた。
ポタン、と額から大粒の汗がぼんぼりを掴むシャンプーの手に落ちる。
ああ、この大量に体中から流れ落ちる汗が、すべて強力な「水」となって溶岩のアーチを押し返したらいいのに。シャンプーは汗を拭いながらそんな事を呟いた。

 

と、その時だった。

 

「・・・押し返す。そうか、その手があったある!」
シャンプーは、それまで寄りかかっていたぼんぼりをかなぐり捨てて勢い良く立ち上がった。
そして、汗でぐっしょりと濡れている自分の両手を見つめる。

 

・・・今まで、自分の身をあの目の前の溶岩のアーチや壁から守ることしか考えていなかった。
だが、そもそも自分は火属性魔法の使い手であり、攻撃魔法は得意でも防御魔法は得意ではない。
どんなに全力でそれを打ったところで、得意魔法のそれに適うはずがないのだ。
それに。
溶岩のアーチや壁を目にし、それをいかに防ごうか。身を守ろうかしか今まで考えなかったシャンプーであった。
だが、先ほどふとしたきっかけで思いついた「押し返す」というキーワードが、それまでのシャンプーの考えを一掃し別の発想を生み出したのである。

明らかに及ばない力で守ろうとしても、守れるはずがない。
それであるならば・・・対抗できる強い力で、迫りくる脅威を押し返して無効化してしまえばいい。

・・・火に対抗するには、水ではなく「火」。
いわゆる「相克」を行い、お互いの効果を弱める方法をとればよいのだ。
ただし、そのためには溶岩のアーチと同様の強く強力な力で対抗しなくてはいけない。

「・・・思いつくのが遅かったの、悔やまれるね。でもこれがラストチャンスある」
先ほどからの魔法の無駄打ちのせいで、体力の消耗が激しいシャンプーである。
恐らくこれが、強力な魔法を打つラストチャンス。中途半端な力で終わると、後はない。
シャンプーは、一旦目をつぶり気持ちを落ち着かせるがごとく深呼吸をした。
・・・自分の得意魔法で、最大限の力をこの一撃にぶつける。
ぶつけた瞬間に、一気にあの細い道を駆け抜けるしか方法はない。
自分に出来るか?
いや、出来るか、ではない。やるしかないのだ。
「ひいばあちゃん・・・」
いつもは強気のシャンプーでも、さすがに今度ばかりは心細くもなる。
親代わりに育ててくれ、魔法の師匠でもあるコロン。不安なときには真っ先に彼女の皺くちゃな顔が目に浮かぶシャンプーである。
それに。
「ムースにも、もっと色々聞いておけば良かったある・・・」
いつもは疎ましく思う相手でも、その心の奥深くに眠る感情はそれだけではない。
何故、いつも夢中になって追いかけている乱馬ではなくムースの名前の方が先に胸に浮かんだのか。
自分でも消化しきれない感情を感じつつ、シャンプーは弱音を吐く。
だが・・・別れの言葉を言うのはまだ早い。最後の力を振り絞る前に、あきらめるわけにはいかない。
・・・

 

シャンプーは、意を決して目を開いた。
シャンプーは、ゆらぐ陽炎の向こうに見える祭壇に向かって真っ直ぐに左手を差し出し、その左手首を右手で支え、大きく息を吸った。
そして、

「はああああああああ!!!」

息を吐くのと同時に、自分の身体の隅々に残る最後の力を振り絞るかのように気合を発し、その気合をすべて「火」の魔法に変換する。
「う・・・うわああああああ!」
自分で自分の身体を押さえていないと、自分の気で身体がふらついてしまう。
見る見る左手の先に集まる魔力に自身で圧倒されながらも、シャンプーは全力で魔力を搾り出していく。
左手の先に集められていく魔法は、先ほどシャンプーが水や風、大地などを繰り出したそれとは比べ物にならない威力を感じさせる大きさであった。
流石、得意魔法である。
あたりに漂う熱気で額から滝のように汗が流れ落ち、火傷で震える腕は感覚を失いそうではあるが、
今は耐えなければならない。
シャンプーは、大きな力を左手に集めながら、ゆっくりと一歩、また一歩と前に進み始めた。
・・・目の前には、溶岩のアーチと壁。おびただしい熱気と熱風が渦を巻いている。
中途半端な水など一瞬で蒸発させてしまう熱。そこに、一か八かで自分は飛び込んで以降としているのだ。

「・・・」

シャンプーは、一瞬だけ目を閉じた。
そして意を決して再び目を開けると、

「私は・・・私は負けないあるぞ!」
シャンプーは、自分の左手に貯めていた強大な「火」の力を、一気に溶岩のアーチと壁に向かって突き出して放った。

 

・・・ドオオン!
勢いのある溶岩と、強大な魔法がぶつかり合った瞬間、あたりに熱風が巻き起こる。
その熱風で新たに脚や頬、手など火傷のような症状がシャンプーを襲った。

「くっ・・・」

全身に走り抜ける痛みにシャンプーは何とか耐え、そしてそれでもあきらめずに魔法を放出し続ける。
溶岩とぶつかった魔法は、じりじりと均衡を保つように存在しているが、少し気を抜くと直ぐに溶岩に飲み込まれそうになってしまう。

「負けられ・・・ないね!」

シャンプーは、痛みや熱さに圧倒されながらも、それでも諦めずに魔法を放出しはじめた。
ここで引いてしまったら、一瞬で力は溶岩に飲み込まれて自分もそこで終わるだろう。
力が及ばずにして命を落とすならまだ諦めもつくが、勝手に弱気になって諦めて事が終わるというのだけは、シャンプーは耐えられなかった。
これまで、きっかけはともかく旅をしてきて、いつの間にか世界を救うかのような大きな事柄へとも巻き込まれていた。
旅の間だけでもパワーアップはしているし、それに知識も得た。
だが、最後の戦いに向かうにつれ、更なる力を手に入れる機会をせっかく得たのだ。
もしかしたらこの先、その最後の戦いで命を落とすことがあるかもしれない。
せめて死ぬなら、その時に力いっぱい戦って死にたい。
自分から望んだパワーアップの鍛錬で、こんな風に人知れずして力尽きるのだけはごめんだ。
絶対にパワーアップして、皆の元に・・・戻ってやる!

 

「やああああ!」

シャンプーは、最後の力を振り絞って魔力を放出し続けた。
すると。

シュウウウウ・・・

 

そのシャンプーの魔力とぶつかり合っていた溶岩のアーチが、徐々にその勢いと形を収縮させているかのように変化をはじめた。
道の両側から伸びていた溶岩の壁も、まるでそこには何事もなかったかのように、その存在を消していく。
道の上部にあったアーチも、徐々に姿を薄くしそして消え始めた。

 

「・・・チャンスある!」

シャンプーは魔力を放出し続けながら、よろめき軋む身体に鞭を打つように走り出した。
細い岩の道は一歩足を踏み外すと溶岩の海へとその身体を沈めることとなる。
だが、そんな恐怖に浸っている余裕などシャンプーにはない。
今ここで歩を止め、そして魔力を放出するのをやめれば・・・溶岩のアーチの餌食になりどちらにせよ身体は溶けてしまうかもしれない。
とにかく今は、この道を抜けることが先だ。
「やああああ!!」
シャンプーは、魔力と中和されて勢いの弱まった溶岩の取り巻く道を一気に走りぬけた。
中和されたとはいえ、そこに全く溶岩がなくなったわけではない。
時折はその熱で衣服を通しても火傷の痛みを感じる。
だが、その痛みで歩を止めたら、それこそ丸焼けになってしまう。

 

シャンプーは、前へ進むことだけに集中して道を駆け抜けた。
そしてゆらぐ陽炎の先、遥か向こうだと思っていた祭壇が直ぐ目の前に現れ走り抜けた道が終わった瞬間、

「うわっ・・・」

不意に足がもつれ、シャンプーは岩肌あらわな地面へと倒れこんだ。
道はちょうど渡りきり、そして溶岩だまりの向こう側から反対側へとたどり着いたのと同じタイミングであった。
転んだ拍子に魔力の放出もとまってしまったわけだが、案の定、

ゴオオオオ!!

今まで相克されていたはずの溶岩が再び勢いを強め、シャンプーが今駆け抜けた道を再びアーチのように覆いはじめた。
「・・・」
足がもつれて転ぶのが、わたりきったこちら側でよかった。
もしも渡りきる前に転んでいたら・・・そう思うと、辺りは熱風を帯びて蒸しているはずなのに、背筋に冷たいものが通る。

でも、どういう形であったにせよ、自分はあの溶岩の道を突破した。
フレイムガーディアンが言ったとおり、道を突破して祭壇の前へとやってきたのだ。

「・・・」
シャンプーは、火傷でじんじんと痛む身体をゆっくりと動かしながら祭壇の前へと進んだ。
そして、そこに置いてある飾りに手を伸ばす。
シャンプーが手を触れた瞬間、その飾りは光を放ち…と、自分の中でそんなことを思っていたのだが、シャンプーがそのおいてある飾りに触れたところで別に何も起こらなかった。
「何も起こらない…?鍛錬は失敗あるか?」
ちょっと拍子抜けしつつ、シャンプーは手にした飾りを何気なく腕にはめてみた。

と、その瞬間だった。

バシュっ…

「わ!」

腕にぴったりとフィットした飾りは、突如まばゆい光を放ちはじめた。
そして、その光は白い光へと姿を変え、やがてシャンプーの身体全体も包み込んでいく。
「な、なにあるか!?これは…」
余りのことで驚いたシャンプーであったが、シャンプーを包み込んだ光はあっという間にシャンプーの視界からそれまでたっていたその場所の光景さえも奪ってしまう。
それどころか、自分が今「立っているのか」「座り込んでいるのか」…そんな体の感覚さえも奪ってしまう。
それまで体中に感じていた火傷の痛みも、あいまいな気がする。
「これは…」
まるで、ふわふわとどこかに浮いているかの状態。シャンプーがそんなことを思っていると、
そんなシャンプーの耳に、またあの時と同じガーディアンの声が飛び込んできた。

『…鍛錬はこれで終わりだ。その飾りを手にすることが出来たお前に、約束通り強大な力を授けよう』

「!私は、鍛錬に耐えたあるか!」
『手にしたその飾りを腕にはめ、そしていつも通りに魔法を使うがよい。お前は、今までとは計り知れない強大な『火』の力を手に入れた』
「!」
『そして、忘れるな…相反するものだけが、力を抑えるすべではないということを』
フレイムガーディアンの声はそこで途絶えた。
「…」
既に飾りを腕にはめているシャンプーであるが、それをはめる前とはめた後で何か自分の身体に変化が現れた…とは感じられない。
だが、目に見えない何か、パワーアップツールのような作用があるのだろう。鍛錬を課した本人が言っているのだからそれは間違いないはず。
鍛錬を乗り越えたから、火傷も治ったのだろうか?
長い様な短い時間の間の鍛錬だった。シャンプーはそう感じた。
自分が乗り越えていなくて、あのまま体力を消耗してあそこで倒れていたら恐らく本当に死んでいた…あっという間の出来事に大きな運命の岐路があったのだと思うとぞっとするシャンプーであったが、
なんとか自力で鍛錬を乗り越えることが出来た。ガーディアンの言うとおり、きっとこの手に入れた腕輪を使えば今まで以上の魔力を放つことも出来るはずなのだ。

「皆の所に戻ったら、話してみるある…」

心地よい白い光に身を委ねながら、シャンプーはゆっくりと目を閉じた。
そして…次にシャンプーが目を開けた時、

「…!」

シャンプーは、先程鍛錬を受けるために自ら足を進めた洞窟の入り口に立っていた。
シャンプーが驚いて振り返ると、そこには、シャンプー達を鍛錬へと誘ったあのガーディアンがいた。
他のメンバーは、まだ姿を現してはいなかった。どうやらシャンプーが一番のりで鍛錬から戻ったようだ。
自分の身なりへと目をやると、やはり鍛錬の最中に受けた火傷も、地面に置き去りにしたぼんぼりも元通りに戻っている。
唯一違うのは、自分の左手に眩いばかりの紅の石をはめ込んだ煌びやかな飾りがはめられた事だけ。
「…鍛錬、終わったあるぞ」
シャンプーは祭壇から手に入れた飾りの存在を腕に感じながら、自分を見つめているガーディアンの元へと、誇らしげな表情で歩いて行った。

 

乱馬達パーティは、こうして今までとは比べ物にならないほど強い、火属性魔法を手に入れることに成功したのだった。


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