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模索

「目の前に見えているというのに、なんていうことあるか」
「うかつに手を出せば、他のものの二の舞じゃ。何か考えねばならんな…」

 

ラヴィの居城へと向かうべく、癒しの里を出た乱馬たちであったが、
たどり着いたディネバの町の宿屋で予想外の足止めを食うこととなっていた。
というのも、タクトのおかげで最短ルートで町へとたどり着いたのまでは良かったのだが、
ラヴィの居城の周りに突如出現した、瘴気漂う海。そこに巣食う魔物のせいで、簡単に船を出せるような状況ではなくなっていた。
無謀な冒険者達が幾度となく試みては、命を落とすような空間だ。船を持っていない乱馬たちが、船会社や持っている個人に依頼をしたとしても断られてしまうのであった。
困った乱馬たちは、ディネバの港に支援の為に来ていた自国の兵にも相談はしたのだが、

「命を落とす危険性が高いとわかっていて、みすみす戦力を割くのは…」
「そこを何とかお願いできないか?!」
「ラヴィという魔物のせいで、怪我人や、物資が必要な人間などがとても多いのです。その対応で人手も足りず、どうしても…」
「そうか…すまなかったな」
「いえ。王子のお力になれればよかったのですが…申し訳ありません」

もともとセルラ大陸からこのウィスタリア大陸に来たのも、怪我人の増加や物資の枯渇などの非常事態ゆえ。
例え王族であっても、最優先事項を押しのけて自分達の都合に付き合わせることはできなかった。
とはいえ、乱馬たちがラヴィを倒せばこのあたりの事情は全て解決するのではあるが。

「…とにかく、何とかしてラヴィの居城がある場所へ向かわねばならないね。でもその為には、こちらの土地から、居城までの間に生まれた海を越えねばならない」
足止めのために宿を取っている宿屋の一室で。集まった面々は、現況をどのようにして打破するか話し合っていた。
「海の周りは瘴気に満ちているね。それに、海の中自体にも魔物は潜んでいるある」
シャンプーが、旅で使ってきた「魔法の地図」をテーブルの上に広げ、ラヴィのせいで新たに地形変動を起こしたあたりを指でなぞった。
すると、なぞった軌跡が光を放ち、なぞり終わって指を離したとたん、現在の地形の姿を描くように変化していた。
「ばあさんは何か言ってたか?」
乱馬が、地図に新たに現れた海や城を指ではじきながらシャンプーに尋ねる。
「相談したあるが、船を一時的な結界で守り海を渡る方法はあるが、船がないとそれは無理だといわれたある」
「そうか…」
「泳いでわたるのは、泳ぐこと自体が体力を消耗するので、結界を張り続ける魔力を維持すること自体が難しいある」
「セルラ大陸から、余分な船を一艘送ってもらうことも可能あるが、海の治安自体が悪化しているあるから…」
どのくらい日数がかかるか、わからないある。シャンプーはそういってため息をついた。
一応、できる限りのこと、やれる限りのことはやったようであるが、どうにもこうにも上手くいかない。
どう手を打っても、最終的には「船を一艘用意する」ことが不可欠になるのだ。
「じゃあ、船、作ったらいいんじゃねえか?」
そんな中。閃いた、とばかりに良牙が提案をした。
ないならば作る。一見理屈に合った内容の提案ではあるが、
「材料はどうするね。それに、この中に船のスペシャリスト、いないある」
…そう。もしも自分達で造るとなると、5人の人間が乗り込むことが可能な船の材料と、そして強度を保つ設計図、それにそれらを利用し船を造る技術が必要になる。
もちろん、それら全てを乱馬たちが持っているはずもなく、
「打つ手、なしか…」
「せっかく近くに見えているのに…残念じゃな」
まさに、八方塞。
せっかく最終決戦に向けて最強の布陣で、急いでこのディネバの町まで来たというのに。
乱馬たちの間に、どんよりとした空気が流れた。

 

と、その時だった。

コンコン、と、乱馬たちのいる部屋のドアにノック音がした。
一体、誰だろうか。セルラの兵達とて、乱馬たちが数ある宿屋の中でこの宿屋に泊まっているとは知らないはずなのだが。
「…はい?」
一応は剣に手をかけ、警戒しながらドアを開けると、そこには宿屋の主人が立っていた。
「お客さんですよ」
「客?」
「はあ。フロント横のロビーでお待ちいただいておりますんで、よろしく。それじゃ、伝えましたからね」
宿屋の主人は、必要な内容だけ乱馬に伝えて、さっさと戻っていってしまった。
「…」
わざわざ、宿屋まで訪ねてくるとは一体どんな用件なのか。いやそれよりも、尋ねてくる人物の心当たりがない。
「…誰かの罠、あるか?」
乱馬と同じように疑問を持ったのか、シャンプーが警戒しながら呟く。
「魔物であれば、このような昼間にどうどうと、行動はしないだろう。知り合いじゃないのか?」
それに対し、きわめて冷静且つ論理的にタクトが答えた。
「それも一理あるな。それに、本当に魔物であるならば、昼の宿屋に単独で尋ねてくるようなことはせぬじゃろうし…とりあえず行ってみたらどうじゃ?」
ムースも、乱馬とは逆の発想で乱馬に助言をする。
「ああ、わかったけど…」
タクトとムースの意見も、わからなくはない。
だが、乱馬には本当に客人に尋ねられるような用件はないのだ。それが不思議でならない。
しかし、このまま「知っている」「知らない」の押し問答をしているわけにもいかない。
とりあえず乱馬は、良牙と共に「客人」が待っているというフロントロビーへと降りていくことにした。

「そちらのお客さんですよ」
「どうも」
ロビーに下りた乱馬たちは、宿屋の主人に紹介された場所に座っている客人の後姿を見た。
こちらに背を向けて、それなりに座り心地の良いソファに腰掛けている人物が、乱馬たちの目に映った。
しかも、二人。男女のようだ。
二人は、乱馬たちに気づいていないのか、楽しそうに話し込んでいた。
…ああ、旅に出る前は、正式にその、カップルではなかったにしろあんな風に俺とあかねも話していたっけ。
それが今は…

「…」
そんなことをふと思い出し、乱馬は胸がぎゅっと苦しくなるも、
「…カップル、か?心当たりあるか?良牙」
「いや…」
目の前の楽しそうなカップルに、本当に心当たりがない乱馬たちは、見知らぬ客人の後姿を見ながらコソコソとささやきあっていた。
そんな乱馬たちの気配に気づいたのか。
ふいに、その客人たちが乱馬たちを振り返った。
その瞬間、

「あ!」

乱馬も良牙も、思わず声を上げ彼らを見つめた。
そう。そこにいたのは、予想もしない人物だったからである。


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