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海賊キリトの秘宝4

「・・・入るわよ」
「ああ」

何とか「魔物の屯する桟橋」を渡りきった六人は、森の小道を抜け、いよいよ丘の上に聳え立 つ「海賊キリトの館」へとたどり着いた。
館にたどり着くまでの道中、何匹か魔物にも遭遇し、そのたびに乱馬や良牙が魔物を倒してい たわけだが、
「・・・ったく、情けない」
桟橋を渡るのにも一苦労だったキリトがどうどうと魔物と渡り合えるはずもなく、キリトは魔物が 来るたびにガタガタと震えながら木の陰へと隠れてしまう始末。
そんなキリトの姿を見ては、溜め息をつくランゼ。
「ねえ、やっぱりアイツを連れてきた事は失敗だっただろ?」
「そ、そんなこと・・・きっと後で活躍してくれるわよ・・・」
「どうだか。あんた達の足手まといにならないといいんだけどね」
「・・・」
ランゼにはそう弁解するも、
「うわあっ。ま、魔物っ・・・」
・・・そんな事を言いながら、大きな岩や木の陰に隠れて震えているキリトの姿を見ると、
「・・・」
自分の判断というか決意というか・・・それが本当に正しかったのかと、あかね自身も不安に苛 まれるところだ。
なので、
「・・・ほら、キリト君。貴方がドアを開けてよ」
「な、何で俺がっ・・・」
「貴方のおじいさんの宝物を取りに来たんでしょっ。貴方が開けないで誰が開けるの!」
扉の前についてもビクビクとした態度のキリトに、思わずキツイ口調で指示をしてしまう。
「は、はい・・・」
あかねの口調があまりにも厳しかったのが堪えたのか、キリトが妙に裏返った声で返事をしな がら、
ギ・・・ギギギ・・・・
見ているほかの五人をイライラさせるような遅い速度で、扉を開けた。
・・・扉を開けるくらい、もっとしゃっきりしましょうよ。
扉を開けるのも、一苦労。
そんなキリトの様子に、あかねは何度も溜め息をついてしまった。



・・・扉を開けた先には、薄暗いフロアが広がっていた。
フロアの両端に、半らせん状の階段が二階へと伸びている。
階段の先の二階フロアは繋がっているようで、ぐるりと一周、下のフロアを見渡せるように廊下 が続き、等間隔でドアが設置されていた。
二階から上へと伸びる階段は、ぱっと見たところ見当たらなかった。
二階の壁には、下のフロアへもあかりが取れるように窓が並んでいた。
ただ、無人の館ゆえに、その窓のカーテンはしっかりと閉じられている。ゆえに、扉を開けた瞬 間に、ムワっ・・・とかび臭い匂いがあたり一帯に漂った。
また、窓の下、ちょうど階段から二階のフロアへと昇りきった場所に二体、なにやら動物らしき もののオブジェが飾られている。
銅で出来ているらしいそのオブジェが、よりいっそうこの館の不気味さを増長させているような 感じだ。
「・・・」
そのフロアをしばらく見渡している最中、ふいに良牙が館の外へと出た。
「良牙君?」
あかねも慌てて良牙の後を追うと、良牙は扉を出た辺りで立ち止まり上を見上げていた。
「良牙君?」
雨でも降るというのか?・・・あかねも一緒になって上を見上げると、
「・・・階段は二階までしかない。建物も、二階までしかない」
良牙は、上を見上げながらボソッとそう呟いた。
その言葉を受けてあかねも一緒に上を見上げると、確かにこの洋館の外観、そんなに高さは 無い。
「横には広いみたいだけど、高さはそんなにないみたいね」
あかねも良牙のその言葉に同意をするが、
「・・・おかしいな」
「え?」
「・・・おかしいと思いませんか?離れ小島に、こんな洋館を建てて宝を隠すぐらいの海賊です よ。
  世界中の海を荒らして、略奪した宝を隠すのにこの洋館を」
「ええ・・・」
「それが、あんな風に入ってすぐに、部屋の入り口が分かってしまうような無用心な洋館を建て るんでしょうか」
「・・・」
「例え離れ小島の洋館でも、宝を隠す場所です。それなりに用心した構造で館を建てると思う んです。少なくても俺ならば、宝を隠した部屋の入り口を、来訪者にすぐ分かるようにはしません が・・・」
良牙はそう言って、首をひねりながら館の中へと再び入っていく。
「あ、待って・・・」
あかねも良牙に続いて、館の中へと戻った。
館の中では、
「じゃあ、一階と二階の部屋をまず片っ端から見て回るか・・・」
キリトは相変わらずランゼの後ろで震えているが、 乱馬とランゼ、そしてシャンプーがそんな相談をしている所だった。
「ねえ、待って」
あかねは三人に声をかけると、先ほど良牙が外でぼやいていた事を三人に告げた。
「良牙にしちゃあ、ナイス思いつきじゃねえか」
「バカ王子には到底思いつかないだろうけどな」
「何をー!?」
・・・乱馬はそんなことを言いながら良牙といがみあっていたものの、
「・・・そういわれればそうね。ちょっと気になるあるな」
シャンプーは良牙の意見には同調できるようで、
「念のために一階と二階の部屋を全部見回ってみて、それでも見つからなければもう少し念入 りに館を調べてみる必要がある、あるな」
「そうね」
「とりあえず私は、この一階のフロアの隅にでも『聖域』を作るある。その間に乱馬達とどんな 順路で部屋を調べていくか相談しているよろし」
そう言って、なにやらポケットから「チョーク」らしきものを取り出して、床に魔法陣を描き始め た。
どうやらその「チョーク」は、シャンプーの祖母・コロンより託された「魔法のチョーク」らしい。
その「チョーク」で描かれた魔法陣には特殊の力が秘められるようで、その魔法陣の中に立つ だけで、体力を回復させる事ができるようだ。
魔物もその魔法陣の中には進入できないらしく、言わば小さな「聖域」なのだという。
・・・
「ほら、乱馬。喧嘩してないの。まずは目に見える部屋を調べてみなくちゃ」
「そ、そうだったな」
あかねは、乱馬を良牙から引き剥がすとまるで子供を諭すようにそう言った。
「・・・そうだな、じゃあまずは一階の部屋から調べるか」
「一階は、二部屋しかないのね」
乱馬は「そうだった」と良牙から離れると、一度咳払いしてからフロアを見渡した。
二階はぐるりと手すりが張り巡らされているその所々に部屋が並んでいるが、一階はそうでは 無い。
入り口の扉を入り、目の前に広がるフロアの左右に一部屋づつ、扉があるのみだった。
「左、右の順で部屋を調べて、右の階段から上に昇ったら、時計回りに順に部屋を調べていく か」
「全員で?」
「念のためにそのほうがいいだろ」
乱馬の指示に、あかねや良牙、そしてランゼも同意をする。
「シャンプー」
あかねがシャンプーにその決定事項を伝えようとすると、
「聞こえていたある。私もそれに賛成ね」
ちょうど、『聖域』を作り終えたシャンプーが、駆け足で皆の下へと戻ってきた。
そして、
「怪我をしたら、あの聖域に飛び込めばすぐに治るあるぞ」
「サンキューな、シャンプー」
「お礼なんていいねっ。乱馬の役に立つ、当然のことっ」
そう言いながら、勢い良く乱馬の腕にしがみつく。
「・・・仲が宜しい事でっ。さ、ぼやぼやしてないで行きましょうよっ」
あかねは一瞬ムッとした表情をするも、乱馬とシャンプーから目線を逸らすと、
「あかねさんっあんなバカ王子は置いて行きましょうっ」
「ありがとう。良牙君は本当に頼りになるのねー。さ、ランゼさんとキリト君も行きましょう」
そう言って、乱馬とシャンプー以外のメンバーを引き連れ左側の部屋へと進もうとした。
が、
「お、俺・・・あの聖域にいようかな・・・」
この期に及んで、キリトはまだそんな弱音を吐いていた。
「・・・勝手にしなさいよ」
そんなキリトに対し、ランゼは呆れたような口調でそう吐き捨てるだけだ。
どうやら、怒るのに費やす時間も勿体無いとでもいいたげな素振だ。
「・・・」
あかねは、そんなランゼの気持ちを察すると、
「何言ってるのっ。あれは怪我をした人の為に作ったものなのよっ」
そろそろと後ずさりしていたキリトの手を、ハシっと掴んだ。
そして、
「宝捜しで戦って、傷ついた時は堂々とあそこに向かいなよ。それまではダメよっ」
情けない表情をしているキリトの手をぎゅっと握ると、そのまま歩きだした。
「連れて行くだけ無駄よ、そんなヤツ」
ランゼは不服そうだが、あかねは「そんなことないわよ」とあくまでもキリトを見捨てることなく、
「私が引っ張っていってあげるわ。さ、行くわよ」
そう言うと、キリトの手をぎゅっと握ったまま歩きだした。
「あいやー、仲良しあるな」
そんなあかねとキリトの様子を眺めながら、わざとシャンプーが乱馬をちゃかす。
「べ、別にっ」
乱馬は、「別に」と言いながらもあからさまにブスッとした顔で、さっとあかねの前を歩くべく走り 出す。
「あ、乱馬、待つよろし!乱馬は私を守ればいいあるぞ!」
その乱馬を追いかけるべく、シャンプーも走り出す。
「畜生、あの野郎っ」
それとは正反対で、感情を露わにキリトの背中を睨みつけながら歩いていく良牙。
「・・・」
ランゼは、動き出した一行の最後尾を歩きながら、そっと溜め息をついているばかりであった。





六人は、一階、ニ階の部屋を隅々まで注意深く調べて回った。
閉められたままのカーテンの裏、埃を被ったチェスターの中。ギシ・・・と音をたてて軋むベッド の下・・・あまつさえ、部屋を囲んでいる壁を一箇所一箇所ノックして歩き、「隠し部屋」がないか どうかまで調べた。
わざとらしく設置されている、壷等の骨董品も片っ端から調べて回った。
壁に架けられている埃を被った絵画などは、わざわざ額まで外して調べた。
部屋の窓から一度外へ出て、「隠し部屋」部分がないかどうかまで調べた。
壷の中やチェスターの中には、長い間孤島でさらされてきたこの洋館の中に迷い込んだと思わ れる魔物たちが運んできた「金貨」や「薬草」、その他ちょっとした小アイテムが隠されている事 はあれども、
港町で言い伝えられている「海賊キリトの秘宝」などと呼ばれるに値する財宝は、一向に見当 たらなかった。
・・・
「あ、今度は毒消し草を見つけたある。これで十個めね」
・・・ニ階の最後の部屋を見回っている最中、部屋の中に設置されている壷の中に手を突っ込 んでいたシャンプーが、そんな事を言いながら手を壷から引き抜き、手に入れた毒消し草をポ ケットの中に押し込んだ。
「秘宝って呼ばれるようなものは、なかなか見あたらねえな・・・おっ、俺も妙なアイテム、見つけ たぜ」
同じく、部屋に設置されていたチェスターやドレッサーを調べていた良牙もそんな事を言いなが ら何やら「武器」らしきものを取りあげた。
それは、小ぶりの剣のようなものだった。
刃の先が二つに分かれているところを見ると、「剣」というよりは「さすまた」に近いものなのだ ろうか。
「あかねさん、良かったらこれ、使ってください」
「え?でも・・・」
「俺は、小回りの利く武器よりも素手で戦うほうが得意ですから」
「ありがとう、良牙君。優しいのね」
「い、いえそんなっ・・・」
良牙は、ドカドカと壁を殴りながら照れを隠すように部屋から出て行ってしまった。
あかねは、良牙に心の中で御礼を言いながら受け取った武器を腰へと刺した。
「弱いあかねには、いくつも武器を持たせた方がいいあるな」
「な、なによっ」
そんなあかねを茶化すようにシャンプーが声をかけてくる。
あかねがカッと言い返そうとすると、
「ああ、それにしても見つからないあるな。秘宝、本当にこの館にあるのか?」
シャンプーはわざとあかねに取り合わないように部屋を出て行く。
「な、何よあの態度っ」
あかねが部屋を出て行ったシャンプーの背中に向かってそう叫ぶと、
「あんたも色々と大変だね」
「ランゼさん」
「それなのに、キリトの面倒までかけちまって・・・申し訳ないね」
「う、ううん・・・」
あかねは、不意に話し掛けてきたランゼのほうへと身体を向けた。
「あいつさ、ホントに弱虫だし意気地がないし・・・桟橋でだって、あんたの男があんたを助けに 行かなかったら、あんた、死んでたかもしれないのにさ・・・」
「お、男ってっ・・・。ら、乱馬はその・・・」
「婚約者、なんだろ?昨日、他の奴らから聞いた」
ランゼは、ベッドにかけられている埃まみれのカバーをめくり上げてベッドを調べながらそう呟 く。
そして、
「・・・きっとさ、あんたがあんまりキリトに構ってばっかりいると、ソイツにも悪いし・・・。あたしとしては、キリトなんて本当に邪魔なだけなんだけどさ、ここから先はあたしがキリトの 面倒を見るよ」
と言って、パンパン、と埃のついた手のひらを叩いて汚れを落とした。
「私の事は気にしないでよ」
「気にしているわけじゃないさ。でも・・・あんたのさっきの言葉、ちょっと考えさせられて」
「コトバ?」
「ああ。貴方のおじいさんの宝物を取りに来たんでしょっ。貴方が開けないで誰が開けるの !・・・あんた、そう言っただろ?」
「え、ええ・・・」
「あの時までさ、宝を手に入れられればそれでいいって、思っていたんだ、あたし。正直言って キリトは役に立たないし、あたしが変りに手に入れてやればそれでいいって。腕の立つあんた 達もいるしっ・・・て。でも・・・本当はそうじゃなくて、キリトが宝を手に入れるってことが大事なんだって、やっと 気が付いた」
「ランゼさん・・・」
「だから、人任せにするんじゃなくて、あたしがキリトを引っ張っていってあげなきゃいけないん だって・・・そう思ってさ」
ランゼはそう言うと、一度小さく溜め息をついてから、
「だからさ、あたしがキリトの手を引っ張って歩くよ。あんた達には、あたしとキリトのサポートを お願いしているんだもんね、キリトのことだけで手を煩わせるわけにはいかないよ」
とあかねに言って、
「ほら、キリト!今度は下のフロアに戻るよ!」
「お、おう・・・」
部屋の入り口でガタガタと震えているキリトの手を引っ張りながら、部屋から出て行ってしまっ た。
「あ、ランゼさん!」
あかねもその後を慌てて追っていこうとするも、
「・・・少しは気持ちを察してやれよ」
そんなあかねに、今の話の一部始終を聞いていた乱馬が声をかけてきた。
「気持ちって?」
あかねが立ち止まって乱馬のほうを振り返ると、
「あのランゼって奴。口ではああいってたけど。それだけじゃねえってこと」
「それだけじゃねえって?何が?」
「あー、もう鈍い奴だなっ。自分の幼馴染っていうか恋人が、事情はどうであれ他の女と手を繋 いで歩いているのなんて、あんまり気分が言い訳ねえだろっ」
乱馬はそう言って、それまで色々と調べていたらしき骨董品をコトン、と床の上に置いて、あか ねの元へと歩み寄った。
「あ・・・。で、でもっ・・・別にそういうつもりで手を繋いでいたわけじゃ・・・っ」
あかねが慌ててそれを否定するも、
「おめーがそうでも、ハタから見るとそんなのわかんねえだろ」
乱馬はそう言って、あかねが自分の意見を弁解する為に胸の前で揺らしていた手をきゅっと掴 んだ。
「・・・俺も、あんまり面白くなかったし」
「え?」
「え?じゃねえよ」
乱馬は、ハーっ・・・と大きな溜め息を一度つくと、
「・・・この部屋出るまで、手、繋いで歩いてやる」
と言いながらあかねの手を引いて歩きだした。
「この部屋出るまでって、たったの五歩くらいでしょ」
何言ってんのよ、とあかねが乱馬に呟くも、
「五歩でも、手、繋ぐのっ。畜生、キリトの奴・・・ずっと手なんて繋いで歩きやがって。俺なんて こうでもしないと触れる事すら許してもらえないのにっ。大体着替えなんて覗いたのがばれただ けで立ち上がれないくらいぶん殴られるってのによ・・・」
乱馬はそんなあかねの呟きなんて全く耳を貸さぬまま別のことをぼやいていた。
もっともそのボヤキは、乱馬があかねに背を向けているために、後ろにいるあかねの耳には 入らないのだけれど。
「何をブツブツ言ってるのよ。変な乱馬」
「うるせー!」
・・・結局二人は、部屋を出るその瞬間まで手を繋いで歩き、廊下に出た瞬間にまた、少し距離 をとって歩き始めた。
そして、既に階下のフロアで待機していた四人の元へと向かった。



「一階と二階の部屋は全部見て回ったんだよね?」
「ああ。でもそれらしき財宝はなかった」
・・・下のフロアで再び落ち合った全員は、館中を調べて手に入れた小アイテムを出し合い荷物 整理をしながらそんな話し合いをしていた。
「これだけ探しても見つからないとなると、やぱり良牙君が言っていたようにどこかに隠し部屋 が・・・?」
「その可能性は大きいあるが、隠し部屋へ行く為の入り口なんて、見つからなかたぞ」
シャンプーが、腕にはめている「魔力探知機」を露わにして空間にさらし、
「・・・雑魚の魔物の反応はあるけれど、その他気になる反応は無いね。という事は、財宝を守 っている大きな魔物がいるというわけでもない」
と、呟く。
「なあ、ホントにこの館には宝なんてあるのか?」
そもそも、本当にその部分は信憑性があるのだろうか・・・・こうまでして宝捜しをしているのに 見つからないとなると、一番基本であるその部分が疑わしくも思える。
良牙がボソッとそう呟くと、
「お、俺の先祖が嘘でも言っていたって言うのか!」
・・・それまでランゼの横でガタガタと震えていたキリトが、険しい表情をしながら不意にそう叫ん だ。
「そうは言っていないけど。でもこんだけ探して何もでてこないんだぞ?場所間違いとか、そん なことも考えられねえか?」
「そんなのあるわけがねえ!海賊キリトの秘宝島っていうのは、全世界だけでもここの島だけ だっ・・・孤児院から飛び出すときに持ち出した世界地図にだって、他にそんな島なかった! きっと・・・どこかにあるんだっ。ここは!俺の祖先が残してくれた宝の島なんだよ!」
それまで、ガタガタと震えて弱気の発言をしていたのがまるで、嘘のようだ。
キリトはそう叫んで、再び一人で二階の部屋を調べに行こうとするも、
「ま、魔物っ・・・」
突然階段の部分へと飛び出してきた「ウサギ」の姿をした小さな魔物に脅え、再びランゼの背 中へと隠れてしまう。
「・・・ま、とにかく、だ」
とりあえずその魔物を、乱馬が剣で追っ払った。
そして、
「この島にきて、一度も休憩無しで探索を続けていただろ。少し休憩をして、もう一度探してみ よう。度は、良牙が言っていた『隠し部屋』への入り口を探すのを主にしてな」
と、一同をまとめて溜め息をついた。
「・・・じゃあ俺は屋敷の周りを見てくるかな」
その直後、良牙が「やれやれ」と言う表情をしながら一旦屋敷の外へと出て行ってしまった。
「乱馬、疲れてないあるか?私が癒してあげるある」
「え、い、いいよ別にっ」
「遠慮しなくてもいいね!乱馬を癒す、私の幸せねっ」
シャンプーは、乱馬の腕にしっかりとしがみつきながらそんな事を言って甘えている。
「ほら、キリト!あんたはいつまで震えているのさっ」
「だ、だってよー・・・」
「さっきの威勢のよさはどうしたのっ。それに・・・あんたの祖先の館だろ?他に何か財宝を探 す手掛かり、覚えてないのかい?」
「うー・・・」
フロアの隅、シャンプーが作った聖域のすぐ横では、ランゼとキリトがそんなやり取りをしてい た。
腕力で役に立てないのなら、何とかして他に手掛かりでも・・・と、形はどうであれアクセクしてい る二人はなんとも微笑ましい。
「・・・」
そんな一同を横目に見ながら、あかねも色々と考えてみた。
・・・そう。
この島に渡り、館の中を六人でくまなく捜索したにも関わらず、財宝は見つらなかった。
館の外観からして、建物は二階建て。
なので、一階と二階を、それこそ重箱の隅をつつくような徹底振りで捜索をしていたあかね達。
でも・・・財宝は見つからなかった。
大の大人が六人で探しているのだ。探し洩れがあるとは思えない。
「・・・」
では、もしかしたら先ほど良牙が言っていたように、キリトの勘違いもしくは噂の一人歩きだっ たのか。
・・・でも、その説はあかねも信じがたかった。
港町の人間も、キリト達も。
随分昔からこの館に眠る財宝の話を信じているのだ。噂の一人歩き・・・とは到底考えられな い。
じゃあ、やっぱり財宝はこの館に眠るわけだが・・・・
「・・・一体、どこに」
良牙が言っていたように、わざわざ孤島に館まで作って宝を隠すような海賊が、だ。
その館に入ってすぐ眼にすることができる部屋の入り口から入った場所に、すんなりと宝を置く だろうか。
「少なくても、私ならしないわ・・・でも・・・」
でも、この建物は二階までしかない外観だ。
ゆえに、一階・二階の部屋を調べ終わってしまったらその他に調べる所などは・・・ない。
だいたい、二階までしかない建物に、隠し階段なんて存在するというのだろうか。
・・・
「・・・」
あかねはそんな事を考えながら、フロアから二階へと続く右側の階段を、ゆっくりと一段、一段 踏みしめる。


赤い毛氈が敷き詰められた、半らせん状の階段。
メタルの手すりを握り締め、一歩一歩段を踏みしめながら、あかねは上へと昇る。
何か、不自然な段はないか。
隠し段か何かは無いか・・・そんなことを思いながらゆっくりと階段を昇っていくも、
「・・・」
一分もしないうちに、あっという間にあかねは二階へとたどり着いてしまった。
「あーあ、やっぱり何もないかー・・・」
二階のフロアにたどり着いたあかねは、上りきったその場所で、「はあ」と溜め息をつく。
そして、
「一体どこにあるのかしら・・・財宝」
そんな事を言いながら、二階のフロアの、壁越しにずらっと並んでいる窓の一つへと手をつき、
そっと溜め息をついた。


・・・と、その時だった。

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