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再び4

そんな乱馬達とは別に。

 

「兄さん!兄さん、どうしたんだよ!何でこんなこと!!」
ようやく会えた真之介に、まだ心のどこかで真実を全て受けいることが出来ないタクトが、腰に指していた剣を抜き、構えながらも悲痛な表情で叫んでいた。
会えば、もしかしたら誤解が解けるかもしれない。自分になら、本当のことを話してくれるかもしれない。
そんな希望を抱きながら、タクトは真之介と対峙した。
が、
「…おめでたい奴だ。まだそんなことを言っているのか」
ラヴィに力をそそぎ込まれて目覚めた真之介は、もはや里に居たときの真之介では、ない。
「俺はおまえの兄ではないし、もうその振りをする必要もない」
「兄さん…!」
「全ては、あの女とこの里に眠る最後の一枚のカードを手にするためのこと」
覚醒し、宝玉を連想させるような真っ赤な瞳に変化した真之介にはタクトの願いなど、届かない。
「邪魔をするなら、おまえも始末するのみ…!」
真之介はそういって、容赦なくタクトに向かって刃を向け切り込んできた。
「兄さん!兄さん…」
タクトはその剣を交わしながら、それでも幾度となく真之介に呼びかける。

 

…ある日突然、「自分には昔から兄がいた」と記憶をすり替えられてしまったとはいえ。
同じ年の子供達は皆、修行のために外の世界に行ってしまった。今居る幼子達だって、数年すれば居なくなる。出ていった者には、今度何十年先に会えるかどうかさえもわからない。
両親は亡くなり、年老いた祖父と村人達に大事に育てられたタクトであったが、
いずれは自分よりも先に居なくなってしまうことを考えると、どことなく寂しくも思っていた。
だが、年の近い兄がいれば、心強くもあり、そして…自分の思いもきっと分かち会えると、そう思った。
だから、反抗もしたが、兄には一目おいていたし大事な存在だと思っていた。
兄が幸せを願うなら、自分もそう願う。そうとも思っていた。
それが…それが全てまやかしだった。
本来ならば味わうことがなかった、「幸せな時間」を中途半端に味わい、そしてそれがまやかしだと急に知らされ、事実と判明したからこそ、よけいにタクトは割り切れないのかもしれない。
だが…大切な祖父を瀕死の目に遭わせた上に、里の者も無惨な殺し方などされては、それを見逃すわけには行かない。

 

「兄さん…」
伝わらない、思い。
キン…!ガキン、キン…
真之介と斬り交わす剣の音だけが、無情に二人の間に響く。
「余計な手出しをするな…!」
兄を装っていた時から、真之介の剣の腕は確かだった。
しかも、タクトよりも体格もよく、力もある。
キン…!
真之介はわざと剣の刃をタクトに強く当てると、勢いよく彼の身体を吹っ飛ばした。
「っ…」
タクトは、ドサっ…と地面へとはじきとばされる。
真之介はそんなタクトに対して、容赦なく剣を振りあげた。
「兄さん…兄さんは兄さんじゃないんだね…」
タクトは、そんな真之介に対して、表情を崩して一言そう呟いた。
それは、ようやくことの次第を自分でも納得したのか、それとも全てのことに絶望したのか。それはわからないが、タクトは小さな声でそう呟くと、そんな真之介に対して剣を水平に構えた。
真之介は、そんなタクトに対して勢いよく剣を振りおろした。
おそらく、剣諸とも断ち切ってしまおうとでも言うのだろう。
真之介は躊躇することなくそのまま剣を振りおろす。

が。

 

次の瞬間、その振りおろした剣が空でぴたっと止まってしまった。
「!?」
真之介がどうあがこうとも、剣はビクともしない。
「貴様いったいなにを…!」
真之介は、タクトをニラ見つけながらそう叫んだ。
タクトはそんな真之介にたいし、先ほどまでの表情を改め彼を見つめ返すと、

「兄さんが兄さんじゃないのはわかった。ならば…俺はまず、じいちゃんの敵を討たねばならない」
タクトはそういって、真之介からさっと離れた。
そして、剣を垂直に立て、その剣に手を添えるようにしながら叫んだ。

「大地の加護を受けし、我が剣よ。悪しき者を消し去る手助けをせよ!…アースクエイク!」

 

その瞬間だった。

 

ゴゴゴゴゴ…・
辺り一帯に重低音の地響きがしたかと思うと、

「うわ!!!!」
ゴゴゴゴ…!
真之介が立っていたあたりの地面が激しく隆起し、更に上下左右に揺れ始めた。
逃げようとしても、大地の精霊の加護により無数の手が大地より生えて彼の足を押さえているため、逃げることができない。

 

「あれが大地の魔法…」
「あれほど強力な魔法は初めてじゃ…」
「さすが、生まれ持っての魔法剣士。大魔導師の孫あるな…」

その、初めて目の当たりにする豪快かつ強大な魔法に、良牙・ムース・シャンプーも、思わず乱馬そっちのけで見つめてしまう。

「…」
アースクエイクを発動したタクトは、今度は持っていた剣をくるりと回転させた。
そして今度は刃先をしたにし、再び剣に手を添えると、
「大地の雷をここに!ロックブレイド!」
再びそう叫ぶと、刃先を下にしていた剣で円を描いて剣を止めた。
その瞬間、アースクエイクで隆起していた大地の一部が無数の岩となって分裂し、動けなくなっていた真之介に強力な力で降りかかっていった。

…が。

 

岩の刃が真之介に降り注いだと思われその瞬間。
カッ…
深い闇の光が、急速に浸透しあたりを覆った。
その光は闇で辺りを包み込みながら、
真之介に襲いかかっていた岩の刃を一瞬で飲みこみ、そしてその刃を発動した術者本人へと跳ね返していく。
「くっ…」
突如岩の刃の攻撃を受けることとなったタクトは、それを交わすのが精一杯であり、じりじりと形勢を押され、乱馬達の元へと押し戻される。
「おらにまかせるだ!」
タクトの窮地を悟ったムースが、機転を聞かせ防御魔法で皆の身体をガードした。
防御魔法のフィールドで乱馬たちが守られた瞬間に、深い闇はまるでタイミングを見計らったようにサー…と消えていった。
そのおかげで岩の刃の手からは逃れることはできたが、

 

「!!」

 

…その、闇の光に気を取られていたことが仇となった。

 

タクトに追い込まれていた真之介を救ったのは、乱馬と対峙していたはずのラヴィであった。
乱馬達を格下と見ていたラヴィは、当然のことながらまだ辺りに気を回す余裕を持っているわけで、彼は乱馬達と戦いつつも真之介の状況をも的確に把握していたのである。
彼にとっては、真之介は仲間などではなくただの「レプリカ」。いわば僕のようなもの。
本来ならば僕の危機など恐れるに足らない状況ではあるのだが、それをわざわざ助けには行ったというのは、そこにはそれなりに計算され尽くした策があるということ。
そう。つまりラヴィにとっては、真之介が敵側に追い込まれ窮地に陥る状況になることこそ、彼にとっての絶好の機会なのである。

ラヴィは、真之介を救う、という名目で辺りを闇で覆い視界を遮った。それと同時に、タクトが放っていた魔法を跳ね返し、それまで二手に分かれていた乱馬達を一カ所に集める。
そうすることで…「あるもの」から気が逸れるとをねらっていたのだ。
わざわざ、とってつけたように「格下」である乱馬達と対峙していたのも、そのような状況を生み出す為のプレリュードようなものだったのである。

 

…闇の光が消え、乱馬達とタクトが同じ場所に集まり防御魔法の内側のフィールドに入った瞬間。
そんな彼らの目に映ったのは、
不敵に笑いローブを翻しながら宙に浮かぶラヴィと、
ラヴィと同じ顔をしているが、表情はなくこちらを睨みつけている真之介、
そして…そんな真之介の腕に抱かれぐったりと目をつぶっているあかねであった。
そう。全ては、あず、あかねをその手に収めるための作戦だったのである。
ラヴィ本人があかねを抱いていないのは、二人はお互いの力が反発しあって「今は」ふれあうことができないからである。そのかわり、ラヴィのレプリカである真之介は、例え真之介にその精神を支配されていたとしても、本物の闇属性の魔法の使い手ではないので、あかねにふれることは可能なのであった。
それに加え、あかねは先ほどの光属性の攻撃魔法のせいで体力が消耗していた。身体が万全な状態ならば闇の光などにマドわされることはないのだが、体力が消耗しているときに闇の光を浴びてしまうと、光属性の魔法の使い手故に、通常以上にその身体にダメージとして浸透してしまうのだ。
ラヴィは、それらも全て計算していた。
闇の光が辺りを覆った瞬間、ラヴィの意を受けた真之介は素早くその場を離れ、一連の戦いを木の陰で見つめていたあかねに目を付けた。
闇の力を受け、身体にダメージを受けたあかねは木の陰ですでに倒れ込むような状況であった。
真之介はそんなあかねを素早く抱き上げると、ラヴィの元へと戻ったのである。

 

悔しいが、全てはラヴィの計画通りに進んでいた。
もし先ほど、タクトが真之介を傷つけていたとしても、それはそれで別方法を考えてもいた。
ラヴィとは恐ろしいほど、冷徹でそして狡猾な男なのである。

 

「あかね…!」
戦いの場で怪我などさせないようにと、一人木の陰に隠れさせていたのが失敗だった。
「あかね!」
ようやく、会えたのに。
ようやく、お互いのことがお互いだとちゃんとわかった上で再会できたというのに。
また再びあかねを手放さなければならないなんて…!そんなことは耐えられない。
「やああ!」
ザン!
乱馬は、ムースが作ってくれた防御魔法の壁を勇者の剣で力一杯斬り裂いた。
そして、真之介が腕に抱いているあかねに必死で腕をのばすが、
その手があかねの手に触れるか、触れないかのその距離で、真之介とあかねの姿は消えてしまった。
どうやら、ラヴィが先に自分たちの居城へと移動させたのだろう。
「!」
愛しい人を再び奪い去られ、むなしく宙を切る手。
「くそー!!!!」
地面に着地するが、乱馬の気持ちはもちろん収まらない。
その上、
「くくくく…」
そんな乱馬を、ラヴィが宙から見下ろしながら蔑む。
「どのようにすれば貴様に大きなダメージを与えられるか。剣よりも魔法よりも、一番堪えるであろう?」
「なっ…」
「あの女は、我が后とするべく我が手元に置いておく」
「ふざけんな!あかねは俺の許婚だ!」
「以前にも貴様には忠告したはずだ。宝をゴミの山に混じらせておけば、いくら宝とは言えどもくすんで同化をしていく。つまらぬ事で宝をくすませるくらいなら、輝かせる場所に私が誘おうと。この世を統べる力を持つ私こそ、宝を持つに等しい」
ラヴィはそう呟くと、ヒュン!と素早く左手を十字に切り乱馬に向けた。
その瞬間、まるで閃光のように鋭くそして素早いスピードで、矢の形をした闇の刃が、乱馬の左肩を貫いた。
「うわあ!!」
突然の攻撃によけることもできず、乱馬の身体は地面へとたたきつけられる。
「乱馬!」
「おい!しっかりしろ!」
地面にたたきつけられた乱馬の身体を、防御魔法のフィールドから飛び出たシャンプーや、良牙が抱き起こした。
「くっ…へ、平気だって…てっ…」
何とか自分でも起きあがろうとするも、貫かれた部分から大量に出血している乱馬に、
「じっとしておれ!すぐに楽にしてやる!」
ムースが治癒魔法をできる限りそそぎ込んだ。
タクトは、治癒中に攻撃されないように皆の前に立ちラヴィへ剣を構える。
「ふん、たわいもない。先ほどはむしけらと呼んでやったが、この程度で立ち上がれないようでは虫けら以下」
ラヴィは、そんな乱馬たちの様子を鼻で笑って蔑むと、
「…あの女に再び会いたければ、今まで集めた全てのカードと、そしてその剣を持って我が居城まで来い。もっとも、女に会えるかはわからぬがな」
そういって、ふわり、ふわり、と先ほどまでよりも高く、宙に浮かび始めた。
「ぬかせ…!会いに行くんじゃねえ、返してもらうぞ!あかねは…あかねは俺の許婚だ!」
ムースの治癒魔法のおかげで、貫通した傷は何とかふさがったが、肩へのダメージはまだ残る乱馬が、地面の上からラヴィに向かって叫ぶ。
ラヴィはそんな乱馬を冷たい視線で睨みつけると、
「許婚…脆い絆だ。そんなもの、ないに等しい」
「なに!?」
「次におまえと会うときは、私が王となる為の儀式でだろう。そのときには、遠慮なく八つ裂きにしてくれるわ!」
ラヴィはそう乱馬に叫ぶと、バサ…と身にまとっていたローブを大きく翻した。そのローブが元の位置に戻った瞬間に彼の身体も消え、辺りには再び、静寂が戻った。
その代り、

 

ズーン…

はるか遠くからだろうか。
地が引き裂かれるかのような轟音と振動が、地を伝わり乱馬達の身体へと伝わってきた。
静寂を取り戻したはずの辺りの森も、小刻みにその草木を震わせながらその振動に耐えている。
辺りに何が現れるというわけではなく、不気味な音と振動のみが乱馬達を覆う。
その音と振動は、半時ほど続いていたがやがて収まり、そして…また森は静寂を、今度は本当の静寂を取り戻した。

 

「とにかく、状況を把握しないといけないある!乱馬、歩けるか?」
「あ、ああ。治癒魔法のおかげで傷は塞がった」
乱馬は、ムースの治癒魔法を施す手を止め、シャンプーにしっかりとした口調で答えた。
術者が優秀であると、有難い。癒しの里の人間ではないが、全快でないにしろ行動をするには十分の体力を取り戻した乱馬は、良牙に支えられるようにして、立ち上がった。
ラヴィたちが去った後、乱馬達の目には映っていないどこか遠くで、何かが起こったことには変わりないのだ。
一行は、とりあえず癒しの里の教会へと戻り、外部世界の情報を得るべくコロンと通信を行うことにした。


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