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二人7

一方で。
時が進み、夜が完全に空けた教会内部。


 

あかねと真之介の二人が、あかねの屋敷へと戻ってから三十分ほど時が過ぎた頃。
「…」
先ほどのあかねとの約束があった故、それまでじっと律儀に黙り込んでいた乱馬であったが、
「あの…実は…」
そろそろ、あかね達も屋敷についたはず。
乱馬は、ようやくその重い口を開いた。
とはいえ、今この場にいるのは、良牙とタクトだけなのだが。
「実はって、なんだよ?」
「何だ、急に」
…無論、今まで必要以上に無口だった乱馬の急な発声に、良牙とタクトも不思議がる。
「いや、あの…カード、見つかったんだけど…」
「はあ!?」
「あかねとここに戻る途中に、その、偶然見つけて…」
乱馬がおずおずと二人にそう語りだすと、案の定、
「みつかったんだけど、じゃねえよ!てめえはなんでそんな大事なことをすぐに言わねえんだよ!」
この、バカ王子!。良牙はさっそく乱馬にかみついた。当然である。
「な、なんか…その、言いそびれて…」
ただ、本当はあかねに口止めされていたとは、事情が分からないのでいうわけにはいかない。
乱馬は何となく口を濁すしかない。
「…カードのこと、じいちゃんにも教えてやりたいけどあんな状態だしな…。だったら、せめて兄さんには…」
その乱馬の話を受け、良牙よりもだいぶ冷静にタクトもそんなことを呟くが、
「あ!そ、それは…」
「?なんだよ」
「真之介には、多分その…あかねが伝えているんじゃないかと…」
「あ?…ああ、そうだな。彼女もいっしょに見つけたんだものな」
「ああ…」
乱馬は、反射的にタクトが真之介とあかねのもとへ行くのを止めた。
何故そんなことをしたのかは自分でもよくわからないが、
ただ…この部屋からの去り際に、あかねが呟いたあの一言が、気になるのだ。
きっとあかねは、何か意図があってああいったに違いないのだ。
であるならば、自分たちとは別の場所でカードの話をしてほしい、ということなのか。
カード自体は、乱馬が持っているというのに。

「…ったく!てめえはだいたい、リーダーとしての自覚が足りねえ!それにだなあ…」
なので。
良くわからないが、乱馬は今はあかねの思いを尊重するためにも、
事情を知らない良牙から延々と小言を言われ続けることを、覚悟せざる得なかった。


と、その時だった。


「乱馬ー!!」
バタン!
勢いよくドアが開いたかと思うと、シャンプーとムースが部屋の中に飛び込んできた。
「ああ、二人とも。実はさ…」
例のカード、見つけたんだ…数時間ぶりに姿を見る仲間に、小言を言われるのを覚悟で乱馬がそう伝えようとしたが、
「大変ある!大変あるぞ!!」
ここまで急いでやってきたのもあるとは思うが、
普段よりもゆうに数倍は興奮した状態のシャンプーは、乱馬の両腕を掴みながら、乱馬の言葉を遮りそう叫んだ。
「ど、どうしたんだよ、シャンプー」
普段も割とハイテンションではあるが、今この状況はそれを軽く上回る。
とにかく尋常じゃない様子に圧倒されつつ、乱馬がシャンプーに問い返すと、
「…わかったんじゃ、すべてが」
興奮状態のシャンプーではなく、割と冷静なムースが代わりに口を開いた。
「わかったって?」
乱馬は、何とかシャンプーを宥めて腕を離させながら、ムースに問い返す。
ムースは大きく一旦深呼吸をすると、乱馬…ではなく、まずはタクトを真っ直ぐに見つめた。
「な、何だ…」
無論、今までその会話にも参加していなく、あげくそれら一連のやり取りにも大して興味がなかったタクトは、ムースの視線に一瞬怯むが、
「…今からする話、お主には受け入れがたい事かもしれぬ」
ムースは、そんなタクトに真剣な表情で語りかけた。
「受け入れがたいって?」
そう切り返すタクトに、
「…とにかく、聞けば分かる。ただ一つだけ、約束してくれぬか?話をすべて聞き終わるまで、絶対に…この部屋を出ぬと」
ムースは、表情を崩さず静かにそう語りかける。
タクトはそんなムースの様子に一瞬戸惑いを見せたが、なにやらただならぬ事態が起きていることだけは感じ取ることが出来るので、
「なんだか良くわからないが…わかった」
しぶしぶムースの提案に承諾すると、近くにあった椅子へドカッと腰かけた。
乱馬と良牙も、椅子を見つけて腰を下ろす。
ムースはシャンプーと一旦顔を見合わせ頷きあうと、
「実は…」
…先ほど、コロンと話していたこと、そしてそのあとに里の民家を回って確かめてきたことをゆっくりと、三人に語り始めたのだった。


 

そして…ムース達が話を始めた、ちょうど同時刻。
「あかね、疲れただろう。ゆっくり休むんだ」
里外れの屋敷についたあかねと真之介であったが、
「大丈夫よ、真之介。それより、お願いがあるの」
あかねを休ませようと気遣う真之介にあかねはそういうと、カチャリ…と後ろ手で屋敷のドアの鍵を閉めた。
「あかね?」
勿論、二人きりでいる屋敷の中、あかねのこの予想外の行動に真之介が少し戸惑っていると、
「ねえ、真之介。真之介は、私がこの里に着いてからずっと…傍にいてくれるわね」
あかねは、ドアを背にゆっくりと真之介に語りだした。
「ああ。あかねは里の宝だからな。当然のことだ」
真之介もそんなあかねに、ゆっくりと言葉を返す。
二人は、あかねが里にやってきてからの事を思い出しながら会話をしていたが、
「…どうしたんだ、あかね。何故急に?」
真之介にしてみれば、突然そのような会話の流れになった意味が理解できない。
「まずは、こっちにきて座ったらどうだ?疲れているんだろ?」
あの、じいちゃんの来客と一晩も一緒に居たわけだし。
真之介は、ドアを背に未だ立ったままのあかねを気遣いそう声をかける。
「…」
あかねはそんな真之介を、笑いもせず、そして怒りもせず…表情を変えないまま見つめた。
そして、
「ねえ、真之介。「私が、王子と一緒に居たこと、気になる?」
真之介に向かって、静かにそうたずねた。
「そりゃあ…あいつはよそ者だし、あかねに変なことでもしていないか、気になるのは当然だ。…まさか、何かされたのか!?」
真之介は、素直にそう答えると逆にあかねの身を案じてあかねの両腕を掴むが、
あかねは、まるで「そうではない」とでも言いたげに静かに首を左右に振った。そして、
「…」
そんな真之介の腕を静かに自分から剥がし、あかねは再び真之介をまっすぐ見つめた。
その時点で二人の間にしばし沈黙の時間が流れたが、その沈黙を破ったのは…やはりあかねの次の行動であった。
あかねはゆっくりと、手にしているロッドを両手で握り、真之介の首下へとまっすぐ構えて見せた。
「あかね…?一体どうしたんだ。何を…」
当然のことながら、あかねのこの予想外の行動に、無論真之介は戸惑いを隠せないようであった。
真之介にしてみれば、今の今まで普通に会話を交わし、そして今までどおりに接していたあかねに、このようなことをされるいわれはない、と思っているのだが、
「何か、あの客人に言われたのか?ちょっと落ち着こう」
「…真之介」
あかねはそんな真之介に対して、ロッドを構える姿勢を辞することはない。
あかねは、そっと目を閉じて今一度、ロッドを握り締める手の力を強くした。
そして再び目を開くと、
「…ねえ、真之介。ひとつだけ私の質問に正直に答えてくれる?」
「勿論。何が聞きたいんだ?あかね」
真之介の瞳をまっすぐに捕らえ、彼に尋ねる。
真之介はそんなあかねの問いに、笑顔で答えようと柔らかく返答するが、
あかねの口から発せられたその質問を耳にしたとたん、まるでウィスタリア大陸全体を覆っている氷河のように冷たく、その表情を凍りつかせた。


 

 


「ねえ、真之介。貴方…ラヴィでしょ?」


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