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二人6

一方。


あかね達が、皆と合流する少し前へと、時は遡る。
場所は、教会裏の書庫の奥の納屋の中では、
「ああ!やっと…やっと繋がったある!」
不安定な魔力の為に難航していたコロンとの通信が、夜明け近くになりようやく繋がった。
シャンプーもムースも、休みなく魔力を放出しているため、肉体的よりも精神的にだいぶ消耗していた。
だが、コロンとの通信が繋がったことで、それも帳消しだ。


「どうしたお前たち。だいぶ疲れているようじゃが…」
のんびりと二人に声をかけるコロンに、
「ここまでの道のり、とても長かったある」
寝不足続く、美容にもよくない…シャンプーが額の汗を拭いながらぼやいた。
そんなシャンプーの代わりに、ムースがコロンに現在の状況と、再び通信を試みたところまでを説明をした。
シャンプーはムース話が終わったのを受けると、
「それよりもひいばあちゃん、前の通信の時に聞き取れなかったことを、教えてほしいある」
今度はムースを退け、早速コロンへと本題を切り出した。
いつまた通信が切れるかわからないし、何より体力も精神力も消耗することがわかっていても、再びこうして通信を試みた理由を、早く突き止めたいのだ。
案の定、
「はて、聞き取れなかったこと?」
コロンに至っては、シャンプーの意図が初めは汲み取れていなかったようだが、
「通信が切れる前、話してくれたことね!思い違いだったか、とひいばあちゃんは言っていたある」
シャンプーは、一気にコロンへとまくし立てた。
「思い違い…」
コロンはまだ、首をかしげている。
それに対し今度はムースが、
「頼む、おばば。我らには時間がないのだ!」
今一まだ記憶の回路が繋がっていないコロンに対し、今度はムースもコロンを指差し…ているつもりが、コロンが映し出されている映像の横に置いてあった猿の置物を指差し、援護射撃をする。
コロンはそんな二人の剣幕に圧倒されつつも、何とか記憶の糸を手繰り寄せ、
「…ああ、そのことか。わかった、ちょっと待っとれ」
そういって、何かを近くの机の引き出しから出した。


それは、一枚の封書。
宛名は、コロン。
差出人は…何と、神楽だった。


「ひいばあちゃん…それ…」
シャンプーが封書を指差してコロンに尋ねると、
「お主らが癒しの里にいると聞いたとき、昔、神楽から手紙をもらったことを思い出してな…探しておいたのじゃよ」
コロンはそう言って、少しだけ過去を懐かしむような表情をしていた。
「手紙にはなにが書かれていたあるか?」
「これには、神楽の孫が生まれたことが書いてあった。たいそう、喜んでおった」
「孫…」
…孫というのは、どちらのことだろうか。
「ひいばあちゃん、どっちが生まれた時のことあるか?」
シャンプーはすかさずコロンにそう尋ねるが、次の瞬間コロンの口から思いもよらぬ言葉を返された。


「どっち、とは妙な表現じゃな。あの時も思ったが…神楽の孫は、一人じゃぞ?」
「!?」
「手紙には、こう書いてある。
…息子が結婚をし、子供が生まれた。息子も、初めての子供にたいそう喜んだ。里中のものも喜び祝福をした。だが残念なことに、息子の嫁は産後の日立ちが悪く亡くなってしまった。
蘇生魔法を使えるものがいれば避けることが出来たのかもしれないが、運命はそううまくはいかない。
なので、生まれた子供は、里の皆で育てることにする。
名は…大地の加護を受けて生まれし者、大地の祝福を受けしものという意味を込めて…タクトと名づけた、と」
コロンはそう言って、二人に映像越しに手紙を見せた。
二人は、その手紙の内容に目と、そして言葉を奪われる。


 

…手紙には、確かにそう書かれていた。
では…では…------?


「ひ、ひいばあちゃん…」
「どうした?シャンプー」
「…」


シャンプーは、戸惑いながらも自分がここ数日感じていた「違和感」を、一気にコロンへとぶつけた。
シャンプーが感じた、あまねとの会話での違和感。
コロンとの会話で感じた違和感。
…もしも、今シャンプーが考えていることが正しければ、それは「違和感」ではなく「今起きていることへの確認」に代わるのだ。


「そうか…」
コロンは、そんなシャンプーの「違和感」をすべて聞き終えてから、一旦黙り込んだ。
そして次に口を開くときには神妙な面持ちで、
「一つ考えられるのは…お主らがヒルダの町で出会った占い師の過去の経験と同じことがおこっているということじゃろう」
と、呟いた。
「ミコトのことあるか?」
「それはどういうことじゃ、おばば」
二人がコロンの言葉の真意を問い返すと、
「確かその占い師は…自分以外の街の者は皆、夜の闇にまぎれた闇の魔法にかけられ、そして殺されたと…言っておったな?」
「確かそうじゃったはず…」
ムースは、ヒルダの街で生前のミコトと話した時のことを思い出した。


-------
『あの日、あの時は夜だった・・・でも、普段とは違う夜だったと、今は感じている』
『普段とは違う・・・?』
『街はあの夜、異常なまでに『闇』に包まれていた。星も月もない闇…家の灯を灯したとはいえ、充分な明るさを得られない暗さだった。そう、その闇はまるで、街の人々の魔力を・・・吸い取り生気を殺ぐかのように』


『あの夜の『闇』…まるで私達の魔力を殺ぎ生気を奪っていたようなあの『闇』が、私にはどうしても気になったのです。たとえ夜押し入りがあったとはいえ、先ほど皆さんが思われたように、街中の魔導士をなんなく大量に殺戮するのは異常です。だとしたら…』
『あの『闇』自体に、強力に魔力を封じこめる力があった…』
『そう考えるのが妥当です。魔力を無効化し相手の能力や魔力を殺ぐ魔法など、たった一つしかありません』
『ま、まさか…」
『あの夜、街には強力な闇属性の魔法が掛かっていた。かけたのは紛れも無く、ラビィ…それが分かった時に、全てが繋がったのです』
-------


確かミコトは、そのようなことを言っていた。ムースは、その時のミコトの言葉を一言一句思い出しながら状況を整理する。
「しかしおばば…ミコトの時と同様の魔法を皆がかけられていた、というのはどうも釈然とせんが」
ムースがコロンに質問すると、
「癒しの里の中では、夜の闇に紛れてとはいえ、さすがに闇属性の魔法を大々的に使うことは憚られるじゃろうて。神楽もいるし、里自体が光属性と同じような清らかな場所じゃ。普通の里で使うのとわけが違う。効果とて、さほど期待は出来ぬ」
「じゃろうな…」
「だから…少し手を変えて、魔法を施したのじゃろう」
コロンはそう言って、一呼吸置いた。
そして、
「例えば、通常の闇属性の魔法では、人の生力を削ぐような効力を出す。じゃから、同じ闇属性でも、より強力に人を殺めるためのものではなくて、例えば…人の記憶を塗り替えるやすり替えるようなタイプのものを探したのじゃろう。たわいもない魔法でも、術者の力が強ければ、大きなものに変わる」
「!」
「ただし…記憶は塗り替えられたとしても、この里の状況を鑑みると、物理的なものまでは出来ていないはず。もしも、写真や肖像画のようなものがあればそれで確認するほかないな。人間、まるで記録を残さずに一つの場所に存在するなど不可能」
と、二人にアドバイスをした。
「…わかった。では、夜明けを待って里の民家でその件、確認しよう」
ムースは神妙な面持ちで頷いた。
「ひいばあちゃん、その魔法、何とかして説くことは出来ないあるか?状況はわかったあるが、皆に信じてもらうには、何かもう一つ決め手がないと」
シャンプーも話の内容には理解を示したが、それを他の人に信用させるためには、ただこの話をするだけでは足りない事も理解していた。
なので引き続きコロンにアドバイスを求めると、
「そうじゃな…魔法というのは、基本的にかけた本人でないと説くことはできん。もしもそれ以外の方法でというならば…何か薬のようなものを飲むという手もあるが…」
「薬?」
「そうじゃ。たとえば、幻を消したり幻影を消す作用…る…り…」
コロンは、二人に自分が考えうる方法や知識を伝えようとしてくれたのだが、何と運が悪いことにこの時点で通信が不安定になり、途絶えてしまった。
「ああ!!大切な時に!!」
再びコロンへの通信をトライしたい二人であるが、なんせ何時間も試みてようやく繋がった通信。
再びの通信を試みたくても、体力もそうだが何より精神力が持たない。
「何たる不運!」
シャンプーは悔しさのあまり、ダン!と床を叩いた。
が、そんなシャンプーに対しムースは逆であった。
「おばばのアドバイス、少しでも聞けて助かっただ」
ムースは悔しがるシャンプーに対し、冷静にそう語りかけると、
「おばばの言う通りにすれば、おそらく皆は元に戻るじゃろう」
「ムース!一体何を根拠に…」
「忘れたのか、シャンプー。今宵、良牙があかねの為に摘んだ花のことを」
「は…な?」
「そうじゃ。その花について、タクトが我らに教えてくれたではないか。ひとたび口にすれば、どんなまやかしも打ち消える。ただし、冷や汗が出るほど不味いが、と…」
「!」
そのムースの言葉に、シャンプーははっと息をのんだ。


そう。
あの時良牙があかねにプレゼントした「ホロホロ花」。
確かその花の事を、タクトが説明してくれていた。


夜の、それも深い闇が蔓延る時間帯にしか開かないという不思議な花。
煎じて飲めば、どんな高熱も下がるという。そのかわり口が曲がるほど苦く不味い為、里のものでも滅多に手を出さないそうだ。
ホロホロ花を飲めば、どんなまやかしも打ち消える。ただし、冷や汗が出るほど不味い。
ホロホロ花を飲むくらいなら、熱にうなされた方がマシ。
ホロホロ花を飲むくらいなら、どんなに時間がかかっても、どんなに具合が悪くても治癒魔法の施してもらえる列に並ぶ。
…かわいらしい見た目とは逆に、それほど評判の悪い花。


あの時はその説明を聞き流してしまっていたけれど、
今までの経緯と、そしてコロンのアドバイスを合わせると、
もしかしたらこの花を煎じて皆に飲ませれば…闇属性の魔法で書き換えられた記憶の「幻」も消えるかもしれない。


「とにかく我らは、里の民家で写真なり肖像画なりを確認しよう。そのあと、タクトに話すしかない。タクトには信じがたいし受け入れがたい事かもしれぬが、タクトの協力なくしてはこの先、進めぬ」
神楽があの状態じゃし。ムースは、神妙な面持ちでそう呟くと、シャンプーを見つめた。
シャンプーはそんなムースに無言で頷いて見せると、納屋から外へと出た。


…東の空はうっすらと白く、明るくなり始めていた。
夜明けが、近い。


「ムース!急ぐあるぞ!」
「わかっておる!」


二人は、早速里の民家へと走り出した…はずであったが、悲しいかな、ド近眼のムースは走り出してすぐに近くの大木へと激突して倒れこんでいる。
「ああ、もう何してるね!」
知識はあるし、それなりに役に立つけど肝心な時に世話が焼ける。
シャンプーはムースの手を取ると、再び里の民家へ向かって走り出したのであった。


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