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二人3

「風の音が聞こえる。こっちが、外へつながっているかもしれない」
「それにしても、ここは一体…」


服も着替え身体も暖まった二人は、洞窟の奥へとゆっくりと進んでいた。
歩き始めてほどなく、二人は微かであるが風の流れを感じたのだ。
風が流れるということは、外へとつながっている証拠。
先がどうなっているかわからないが、とにかく進むしかないのである。


「足元、気を付けて」
「え、ええ…」


松明を手に、二人はゆっくりと進む。
乱馬が前を歩き、あかねは後ろ。歩を進める二人は、殆ど言葉は交わさない。
最も、交わさないのではなく、妙に意識してしまって何を話したらわからない、というのが正しいのだが。

「…」
乱馬は、あかねに気づかれないようにチラリと彼女の方を振り返りながら、先ほどまでのことを振り返る。


…くだらない話をしながら火をくべているうちに眠ってしまい、ふと気づいたら…何故かあかねが泣いていた。
最初はすぐに声をかけようとしたが、何故だろうか。
あかねの華奢で小さく震える肩をみたら、気持ちが何だか熱くなって…自分でも無意識で、その身体を抱きしめていた。
自分が男に戻っていたのに気が付いたのは、実はその時だった。
だから、あかねを抱きしめるその力と自分の腕を見たときは、おかしな話だが自分でも驚いた。
でもあの時は、そんなことゆっくりと吟味している暇もなかった。
そうやってあかねのことを抱きしめた乱馬であったが、
ああしていたときも、今こうしてあの時を振り返っている瞬間であっても、
乱馬にはあかねがなぜあの時泣いていたのか…その理由がわからなかった。
いや、わからないというのは少し違うかもしれない。
わからないのではなく、色々な状況が重なりすぎ何が原因なのかが思いつかない、というのが正解だ。


自分に記憶がない事?
神楽の身を案じて?
わけもわからずここへ流されたことへの不安?
自分に服を脱がされたことの嫌悪?


どれかなんて、判断も難しい。


「…」


乱馬は、あかねに気づかれないようにそっと彼女の方を振り返る。
…ホントにあの時、微かでも明かりがあってよかった。
そして、あかねの記憶が戻ってなくてよかった。
そう、本当にもうしあの時、どちらかが欠けていたら…
「…」
…あの時は格好つけてあんな風に切り抜けたけれど、状況次第で歪んだ欲望を抑え込めた自信なんて実は全くない。
自分も一応、男だし。目の前で意中の女性があんな姿で。
そう、あんな…
「…」
一瞬、「もしも」のシチュエーションを想像してしまい、思わず頬を赤らめ熱くなる自分に驚きつつ、
乱馬はため息をついていた。


 

…そんな二人が歩き始めてから半時ほど経った頃だろうか。
一本道で続いていた岩の道が二手に分かれる分岐点へと差し掛かった。
耳を澄ますと、どちらからも風の音が聞こえるが、安全に外に出られるかどうかは目視では確認できない。
試しに地面に落ちていた石を投げいれてみたが、ガツン…とかわいた音が響くだけで、道を選択する判断には至らない。


「困りましたね…」
「…そうですね」


二人は、分かれ道で立ちすくむ。
が、このままここでこうしているわけにもいかないので、


「…じゃあ、俺は右利きだから右に…」


全く根拠がない上に、安心材料など何もないのだが、乱馬は自分の勘を信じてそのようにあかねに提案をした。
そんな乱馬の提案に、あかねは特に異論を唱えはしなかった。
「わかりました。では、右で」
「え、本当に良いのですか?」
自分で提案しておいてなんだが、こうもあっさりと同意されると逆に不安になる。
乱馬が一瞬戸惑いを見せると、
「良いのです。私も決められないし。だったら信じます…王子の勘を」
あかねは、微笑みながらそう言った。
「…」
…ああ、ホントこんな状況じゃなかったらなあ。
不謹慎だとわかってはいるが、心の奥ではそんなことを考えつつ、乱馬は頷きそして「右」の道へと進みはじめた。


 

その時だった。


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