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Hypocrite8

あかねが泉の奥へと流されていくちょうど、その頃。
「…何だ?今の光」
あかね達の帰りを待っていた乱馬と良牙だったが、深い森の奥、そう、あかねたちが帰ってくると思われる方角に見えた闇にそぐわない「光」と、耳に微かに届いた轟音に表情を動かしていた。
「あれは…あかねの『光』?」
こんな夜半に、めったやたらに光が生まれるわけがない。
となると、考えられるのは…
乱馬が嫌な予感を胸に抱きつつそう呟くと、
「浄化の泉の方だな…兄さんたちもそろそろ通りがかる時間帯だし、まさか何かあったのか…!?」
タクトはそういうが早いか、傍に置いていたランスを握りしめると、泉の方に走り出す。
乱馬達も慌てて、そのあとを追っていく。


…あかねが自らの『光』を放つときは、治癒や蘇生に使う以外は「相反する何かと対峙する」とき。
だとしたら、今の状況からしてあかねの身に何か起こったと考えてもおかしくはないのだ。


それぞれのはやる気持ちを抑えながら、乱馬達は光と轟音の起こった方角へと走った。
そして、例の浄化の泉の付近までやってきたとき、
「…う…」
…まずは、泉の少し手前の道で真之介と出会った。
「兄さん!」
それまでの屈強で颯爽とした出で立ちとは異なり、フラフラと地に座り込み額を抑え汗を流している彼。
すぐにタクトはそんな真之介に駆け寄ろうとしていたが、
「おい!あかねは…!?あかねはどうした!あかねと、それにうっちゃんは!?」
そんなタクトより一瞬早く、乱馬は真之介へ駆け寄り詰め寄った。
そう。三人で警邏に出ていたはずなのに、いまこうしてここにいるのは真之介ただ一人。
それが、乱馬の抱いていた「予感」をさらに増幅させ、不安を一気に掻き立てる。
「…わからない…」
どんな乱馬に対し、真之介は安堵の材料を決して渡してはくれない。
「わからないってなんだよ!」
そんな真之介に、乱馬は今にも掴みかかる勢いで迫っていたが、さすがにそれは、傍にいた良牙がせき止める。
その隙に、今度はタクトが真之介に駆け寄る。
そして、
「兄さん、何があった!?一体どうした!?」
常に強く、そして堂々としている真之介のこの様子。ただならぬものを感じていたタクトが真之介に問うと、
「風が…」
「え?」
「妙に生ぬるい風が吹いたと思ったら、そのあとに突風が辺りに吹き込んで、気づいたら倒れていて…」
真之介は、額を抑えながら小さな声でそう呟き、再び苦痛に耐えるよう顔をゆがめていた。
…どうやら謎の突風が吹きぬけた後、真之介は体をふっとばされ、地に体を強くたたきつけられた。そこで不覚にも気を失い、目を覚ました時には二人の姿は近くになく、辺りを彷徨っていたところこうして皆に遭遇したというのだ。
「ちょっと待てよ。じゃあ、あの光は…?」
が。
真之介の話の中には、乱馬達が見た光のことが一切出てこない。
不思議に思った乱馬が話を割ってそう尋ねると、
「わからない…本当にわからないんだ。もしかしてあかねに何か…?」
乱馬の言葉に真之介はさっと表情を曇らせると、
「行かなくちゃ。あかねを助けに行かないと…!」
そういって、ふらついた体を支えるように、自らの腰に差していた剣を杖にして立ち上がろうとする。
しかし、それをタクトがせき止め再び真之介を座らせる。
「何をする、タクト!俺はあかねを…」
「兄さん、そんな体じゃ無理だ!」
「でも…!」
「あかねはちゃんと探す!だから兄さんは少し休んでいてくれ!」
じいちゃんもあんな状態なのに、これうえ兄さんにも何かあったら…!
タクトは必死な形相で真之介に叫ぶ。
「タクト…」
タクトのあまりの様子に、さすがの真之介も言い返すにはばかられていた。
「…」
乱馬と良牙も、顔を見合わせ二人の様子を見守っていたが、
「タクト」
乱馬は、真之介を全力でせき止めるタクトに静かに語りかけた。
「タクト。お前は真之介を連れて一旦教会へ戻れ。そしてちゃんと休ませるんだ。あかねとうっちゃんは俺達で探す」
「え、でも…」
「早く行け!…真之介を助けたいんだろ?」
乱馬は、タクトの目をまっすぐに見つめ、穏やかだが力強い口調でそう言った。
タクトはそんな乱馬の言葉に一瞬詰まっていたが、すぐに、ゆっくりと頷いた。
そして、
「行こう、兄さん。歩けるか?」
「ああ。大丈夫だ、タクト」
まだ体をふらつかせ一人では歩けない真之介を支えるようにして、教会の方へと歩き出した。
「…」
乱馬と良牙はそんな二人の姿を見送ると、
「…で?俺は右京を探しに行けばいいんだろ?」
「良牙…」
「…ま、俺はさっき花もプレゼントして点数稼げたし?次はお前にもチャンスをやらねえと、俺が圧勝じゃつまんねえ」
「…すまねえ」
…口は悪いが、精いっぱいの気遣い。良牙の優しさが、乱馬にはありがたかった。
「右京を見つけたら、俺も教会へ戻る」
良牙はそういうと、泉の右側に向かって伸びている小道の方へと駆けて行った。
「…」
乱馬は、心の中で良牙に礼を言うと、消えたあかねを探すべく、良牙と反対…泉の左側に伸びる小道へと駆けて行った。


 


一体、何が起きたのか。
真之介があの様子じゃ、あかね達もどうなっているかわからない。
それに、三人がバラバラになってしまったということは、魔物が蔓延る闇の中に、あかねが一人でいるかもしれないということだ。
「…」
…もう二度と、怖い思いをさせないと決めていたのに。
乱馬はギリと唇を噛みしめるも、なんとしても早くあかねを見つけたい思いで、道を急いだ。


******


先に泉の右側の道を走っていた良牙は、やけに草木が飛び散っている個所をみつけ足を止めた。
真之介の話だと、突風が吹いて体を飛ばされて…ということだったが、ここはどうもそういう感じではない。
「…」
あかねか、右京か、それとももっと別のものか…
すぐそばに何が潜んでいるのか、今の段階では何もわからない。
良牙は、自らの武器であるバンダナをシュルリ…と頭からほどき、慎重に慎重に…草木を足でよけながら近くの茂へと進んでいった。
すると、


「…!」


茂を進む良牙の目に、見なれた女性の横たわる姿が飛び込んできた。
独特な、東国風の衣装。長い黒髪。
苦しそうの歪んだ顔と、青白く見えるその肌色は…右京だ。
「おい!しっかりしろ!」
良牙は、茂をかき分け倒れている右京のもとへ駆け寄る。そして横たわる右京を慌てて抱き起すが、反応が全くない。
口に耳を近づけると、微かだが呼吸は感じることができた。
どうやら、最悪の事態は免れたらしい。
だが、頬を叩いても、何度呼びかけても反応はなかった。
吹き飛ばされたショックで、意識を失っているのだろうか。
「待ってろ、すぐに教会へ…!」
良牙は、横たわる右京を地面より抱き上げた。
そして元来た道を戻るべく、その際何気なく視線を右京へ落とした……その時。


「ん…?」
良牙の目に、見なれないものが飛び込んできた。


つい少し前、警邏に出発するまでストールで隠れていた右京の首筋。
今はそのストールもとれていたのだが、そのストールで隠れていた首筋に、黒く、何かが焦げたような個所があった。
何の形を描いているわけでもなく、黒くかすんで色素沈着しているような感じだが、
明らかに吹き飛ばされて体を強打した時にできた、という代物ではなさそうだ。
かといって、虫刺されや刺し傷、かすり傷、という感じでもない。

「何だ、これ」
ストールを巻く前には、こんなものはなかったはず。何だろう?
良牙は何気なく指でその部分に触れてみた。
すると驚くことに、その部分はパキン!と音を立てて亀裂が入り割れたかと思うと、
その割れた破片ごとフッ…と消えてしまったのだ。
「え!?」
良牙は慌てて自分の、その部分を触れた指を見つめるが、自らの指には何の変化もない。
それに、黒い痕が消えた右京の首筋にも、その後何の異変もない。
「…」
一体、何なんだ?何が起こっている?
倒れていた右京。消えた、謎の黒い痕。
ただ、ここで考えたところで、自分では答えを出せそうもないのは明らかだ。
それに、今は右京を救うのが先。
良牙は右京を抱きかかえて、皆のいる教会へと急いだ。


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