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Hypocrite3

「だいたい夜空の月が山の中腹まで登ったころ」に集合ということだったので、
ちょうどその時刻になったころ、皆が警邏スタート地点へと集合した。

 

それまでは、というと、
乱馬は良牙と手合わせがてらの体慣らし、タクトとあかねは神楽の傍についていたようだった。
真之介は、皆と警邏に出る前にも一人で里を回り、安全の確認をしていたようだ。
右京は里の女たちの手伝いをしていたといい、
シャンプーとムースは相変わらず隠されたカードの手がかりを探していたようだった。
ただしこれらはあくまで本人達の自己申告ではあるのだが。

 

「なあ、シャンプー。カードの手がかりはあったのか?」
視界の隅で真之介とあかねが楽しそうに話している姿をとらえ、やきもきする気持ちをなんとか紛らわせようとしているのだろうか。偶然傍に立っていたシャンプーに、乱馬はぶっきらぼうな口調で話しかけた。
無論、長い年月誰にも知らされずに、ひっそりと里のどこかに眠っているカードが立った数時間で簡単に見つかるわけがない。
それに、こうして話しかけられるのが、実はそれが乱馬の気晴らし的な意味も込められていることにシャンプーも気づいているため、「簡単に見つかれば苦労しないある」
ぶっきらぼうには、ぶっきらぼうに。シャンプーもぼそっと小さな声で返したのだった。
「ばあさんからの連絡は?」
「…いくら魔力が使えるようになってきたからと言って、そう頻繁には通信はできないね」
「数時間あったら、もう1回ぐらいできなかったのか?」
「1回通信するためにかかる時間を考えたら、里の中で手がかりを探していたほうが有効に時間を使えるある」
淡々と続く二人の会話。しかも、お互い徐々にとげとげしい表層も感じられなくはない話し方だった。
「…まあ、焦るな王子。われらがまだ見つけられずにいるということは、当然ながら敵もまだということ」
見るに見かねたムースが、シャンプーをその場から離しつつ乱馬にそう助言をした。

こういう時は、さすが年のこうだ。
この旅では、皆より少しだけ年上のムースによる、このような気遣いが何度パーティを救ってきたかわからない。
あかねをさりげなく援助するため、武器や防具を調達するため、様々な知識を与えるため…彼には色々な役目がすでにあったのだが、おそらく一番彼に期待された役目はこういうことなのだろう。
コロンの先見の目、というか心遣いは無駄にはなっていないようだ。

そんなムースによる一言でようやく少し冷静さを取り戻した乱馬は、
「あ、そうか…だから神楽のじいさんにあんなことまでして聞きだそうとしたんだもんな」

そう。
カード自体はこの里のどこかにある、というのはわかっている。しかし、まだ見つけることが出来ていない。
もちろん、敵もそれは一緒だった。
だからこそ、おそらくカードのありかを知っている(と思われた)神楽を狙った。
そして神楽の結界を弱めて、自分たちの手のものをこの里に紛れ込ませるようにして、
ありとあらゆる方法でカードを手に入れようとしているのだ。

「そうじゃ。我らも引き続き、警邏が済んだら、また手がかりを探しに出るつもりじゃ。里の書物を読むのも苦労するのじゃぞ」
「そうだったな。すまない」
「なあに、シャンプーもわかっておる。それよりお主は、お主が所持しているカードを何者かに盗まれるのように気を付けておれよ」「ああ、そうする」
目先の感情にとらわれ、大切なことを見落とすところだった。
それを改めて知らせてくれたムースに礼を言うと、警邏の打ち合わせをするべく、タクトの所へと走っていった。
「…やれやれ」
ムースはそんな乱馬の姿に大きく一つため息をつくと、
「…まあ、気持ちはわからんでもないが。大目に見てやろうではないか」
今度はシャンプーの気持ちをなだめるべく、シャンプーがいる場所へと近づいて行った。
「そんなの、わかっているある」
シャンプーとて、子供ではない。自分の気持ちも、そして乱馬の本当の気持ちもきちんと理解しているつもりである。
しかし、それでもどうにもならない感情に襲われるときもある。
「私だってイライラするときもあるね」
「そうじゃな。じゃあそういう時はおらを殴ればよいぞ」
「…そうするある」
ゴスッ…
シャンプーは、本当は社交辞令で言ってくれていたはずのムースの言葉を素直に受け止めて、ムースを一撃でその場に沈めた
そして、
「あー、すっきりしたある」
「そ、そうか…おらはそうでもないが」
「それよりもムース。乱馬のことはおいといて、私には気になることがあるね」
いつまで寝ているあるか。自分でムースを殴り倒したにもかかわらず、いつもの調子に戻ったシャンプーはそう言ってふっと表情を改めた。
「気になること?ふむ…おらは別に気にならぬが。それ以上胸が大きくなったら肩がこるのではないか?」
「何の話ね!そうではなくて…」
ひいばあちゃんの話ある。シャンプーは、ムースに昼間コロンと話した時の事を思い出すように促した。
「おばばの…」
よろよろと立ち上がったムースが、昼間のコロンとの通信のことをゆっくりと思い出していると、
「あの時、最後魔法の力が不安定になって、ひいばあちゃんの言葉をうまく聞き取れなかったあるが、ひいばあちゃんは何か『思い違い』をしていたといっていたある」
「ああ…確かそんなことを言っていたような」
「ひいばあちゃんの記憶力は、尋常ではないある。だから、めったな事で思い違いをするなんて考えられないあるが…」
齢300歳の妖怪、もとい大魔導師であるコロン。魔力はもちろん、占いの力や、無論記憶力も常人とは違うのだ。
そのコロンが、『思い違い』をしていると言っていたのが、シャンプーには気にかかっていた。
結局あのあとは通信が途切れてしまってコロンとちゃんと話してはいないが、
「わからないあるが、この里で起こっていることに何か関係があるのではないかと思えるね…」
「考えすぎではないか?」
「それなら良いあるが、普通の人間ならともかく、ひいばあちゃんの思い違い、となると話は別ね」
「うむ…おらにはよくわからぬが、それならば警邏が終わった後にでも、またおばばと通信してみると良い。今度はその話を最初から行えば、尻切れトンボになることもなかろう」
正直いうと、あの時のコロンの言葉が、ムースにはそこまで大きな問題には思えなかったのだが、
シャンプーはコロンの孫であり、そしてまた、コロンほどではないが強力な魔術の使い手でもある。
他のものが感じることができない何か、を感じることもあるのかもしれない。
「…そうあるな。そうするある」
「おらは引き続き、里の書物を読み漁って手がかりをつかもう」
二人は、警邏後に再び例の納戸でコロンと通信を試みることを決めた。
そして、自分たちも乱馬やタクト、真之介たちのもとに向かい警邏についての打ち合わせに参加したのだった。


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