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Hypocrite2

それからしばらくたった、その日の夕刻のこと。


 


「この里の中で使える力、徐々に強まっているある」
カードを探して里中を歩き回っていたシャンプーが、再び皆のもとへ戻るや否やそう呟いたのを受けて、
「やはり…夜も警邏の回数を増やした方がいいかもしないな。魔物は特に夜、活動を活発化する」
このところの事情を受けて、だいぶタクトも協力的になりつつある。
同じく魔法の使い手でもあるタクトが、自らの首に巻いている厚ぼったいスカーフをいじりながらシャンプーの提案に珍しく同意をした。


タクトの力は、大地の属性を持つ魔法。
恐らくこの里の中ではほとんど使うことはなかっただろうが、外の世界へ出た時、魔物と遭遇した時などは使っていたのだろう。
実際に、タクトがどれだけの魔法の使い手なのか知らないが、
シャンプーがコロンの孫であり、強力な魔法の使い手であるのと同様、世界の三大魔導師の一人・神楽の孫である以上、相当な力を持っていることはうかがえる。
更にタクトは「魔法剣士」。
魔法も優れ剣も優れる相当強力な存在であることは確実だ。
一方で、兄の真之介は剣の腕は優れるが魔法は全く使えないようで、今まで彼の口から魔法を使った話など聞いたこともない。
とはいえ、魔法に関する知識は豊富なようで、あかねが光の魔法を色々と身につけていったのも、才能以外は彼が助言したから他ならない。


「タクトの言うとおり、警邏の回数を増やした方がいいと思う。そうだな、3グループぐらいに分かれて一晩警邏に出れば効果的だろう」
その真之介も、タクトの提案に賛成した。
「3グループとは?」
ムースが真之介にそう尋ねると、
「そうだな…一人だと危険だから、最低二人。もしくは三人で約二時間ほど警邏をしてここへ戻る。どうだ?」
「それは構わんが…組み合わせはどうする気じゃ」
「まずタクトは魔法使いの女とあかねの知り合い。次にあんたとそこの怪力男。それで最後は俺と、そこの女。適当に分けたが、こんな感じでなるべく均等になったと思うが」
真之介が適当にメンバーを振りわけた。
どうやら、「魔法使いの女」がシャンプー、「怪力男」が良牙、「あかねの知り合い」というのが乱馬のようだ。ムースと右京はそれなりに理解しているようだ。
「…」
…あかねの知り合い、とは失礼な。俺はあかねの許婚だぞ。
里の警邏を増やすのも、グループに分かれるのも、まあ振分もだいたいそんな感じでいいだろうとは思えども、
そんなことよりも乱馬は自分の呼ばれ方に不満を持っていた。
当然乱馬はむっとした表情を見せるも、「まあまあ」とムースになだめられて辛うじてそれを口にせずに済んだ。
「…じゃあ、そうだな…だいたい夜空の月が山の中腹まで登ったころにまたここに集まってくれ…」
そんな乱馬に気付いているのか気付いていないのか、
真之介は反論が無いことを「同意」とみなし、どんどんと話を進めていった。


 


と、


 


「あの…」
話し合いをしていた乱馬達に声をかける者がいた。
その声の主が誰なのかは、乱馬には考える必要が無いほどすぐに分かった。
あかねだ。
あかねは先日の神楽の一件があって以来、里の外れの屋敷で休んでいたはずなのだが…乱馬がそんなことを思っていると、
「私も…警邏に連れて行ってもらえないかしら」
あかねは、乱馬達が予想もしなかったことを突然呟いた。
当然のことながら、
「何言ってんだ!あかねを危ない目に遭わすわけにはいかない!それに体だってまだ本調子じゃないだろ!」
「ここは俺たちに任せて」
乱馬が止めるまでもなく、
真之介もタクトも、それを認めるわけにはいかずにあかねに言い聞かせようとするが、
「神楽様の一件は、私にも責任がある…それに、私も里の為に何かをしたいの。警邏に出るならば怪我だってする可能性もあるでしょう?私だって役に立ちたいの。私なら、どんなに深い傷でも短時間で治癒することが出来るわ!」
記憶を失っても、環境が変わっても、頑固なところは頑固。
あかねは強い口調でそういうと、「武器だって持ってきたわ」と、自分の腰の部分をポンポンと叩いた。
みると、見覚えのある「木の棒」が、身につけている白いミドルドレスから透けて見えた。
それは、旅が始まる前にコロンがあかねに持たせたもの。霊木をもとに作られた武器で、自分の力をうまくコントロールして鞭として出力し操るもの。
ただし不器用なあかねは完全にそれを使い切ることができなかったはずだが。
「あかね、それは?」
乱馬たちとは違って、その「武器」に見覚えがない真之介が尋ねると、
「私の、数少ない所持品の一つ…屋敷のクローゼットの中へしまっていたの。どう使うかもわからないんだけど、きっと持っていけば、何らかの役に立つはずだわ」
あかねは「武器」を握りしめながらにっこりとほほ笑んだ。
「しかし…」
「私なら大丈夫よ。絶対に力になる。お願い!」
「…」
「お願い、真之介!」
中々首を縦に振らない真之介の手を…といっても、真之介がはめているグローブの上からだが…あかねがとった。
「…仕方ないな」
そこまでされたら、さすがの真之介も折れるしかないのか。それとも、これは言っても引かないだろうと諦めたのか。
どちらにせよ、あかねの気持ちを察した真之介はしぶしぶそうつぶやくと、
「絶対に俺の傍から離れないと約束してくれるなら、一緒に行ってもいいよ。ただし、絶対に、だぞ」
あかねに強くそう念を押して、皆の顔を見渡した。
「…」
何で、「俺の」傍を離れないことが絶対なんだよ。なんで、この俺じゃねえんだ。
あかねの同行の許可うんぬんよりそちらの方が気に食わない乱馬であったが、
「まあそれが条件なら。兄さん、頼む」
「あかねさん、気を付けて」
他のメンバーはそんなこと一切に気も留めずに真之介の提案に賛成していた。
乱馬は、心の中で大きなため息をつく。
「じゃあ、あかねは俺と一緒に警邏に回ろう」
「ええ。わかったわ」
…こうしてあかねは、真之介・右京と同じ組で里の警邏に出ることになった。
そしてそれぞれは、先ほど決めたとおり「だいたい夜空の月が山の中腹まで登ったころ」に再びこの場所へ集まることを決めいったん解散をした。


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