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ペルソナ4

次の日の昼。
里の外れへ向かう道を、一人、重たい足取りで歩いている娘がいた。
右京である。

 

ムースとシャンプーはカードを探すために里の中を歩き回っている。
乱馬と良牙は、神楽が眠っているために力の弱っている結界から魔物が入り込まないため、真之介やタクトと入れ替わりで警邏をしている。
勿論、
「乱ちゃん、うちも行くわ」
出来れば乱馬といたいけれど、少しでも力になれるのならばカード探しだってよい。右京は張り切って乱馬にそう名乗り出るも、
「うっちゃんは、あかねの所に行って様子を見てきてくれないか?」
乱馬の口からは、信じられない言葉が飛び出したのだった。
「えっ…なんであかねちゃんを?」
あかねは、昨夜気絶から目を覚ましたものの、今はまだ大事を取って屋敷で休んでいるという。
が、それはわかるがこの大変な時にわざわざそれを見に行けというのか。右京は自分の聞き間違いであることを願いながら乱馬に聞き返すも、
「俺も真之介も里の警邏で手いっぱいだし、頼むよ。それに同性で同世代の方があかねも話しやすいかもしれないし…」
「で、でもあかねちゃんは気を失っていただけなんやろ、それに癒しの力があるんやったら、ほっといても平気ちゃうの?」
「そうはいってもこんな状況で一人、しかも里の外れにいるんだ。心細いだろうしさ。な、うっちゃん頼むよ!おっと、それじゃ俺、これから警邏だから」
「あ、ちょ、ちょっと乱ちゃん!?」
乱馬は右京の言葉などろくに聞きもせず、良牙と二人で警邏に出かけてしまった。
…同じ同性なら、シャンプーでもいいやん。シャンプーがだめなら、その辺の里の女たちでもええやん。
なんでわざわざうちなの?なんで乱ちゃんの代わりにうちが、あかねちゃんの見舞いにいかなあかんの?
うち、警邏には役に立たんてこと?カード探しにも、不要ってこと?

 

---------あかねちゃんこそ、ずっと眠ってれば良かったのに。

 

「…もう!!」
声にならない思い。積み重なる不満。右京は、地団太を踏んで叫ぶ。
が、そうやって起これども、最終的に残るは虚しさだけ。結局は、乱馬の指示に従うよりほかないのだ。
そんなこんなで、右京は一人、里のはずれに向かって歩いていたのである。

 

 

 

 

 

…まだあかねが一緒に旅していたころ。
右京はあかねに、「一緒に旅をする意味があるのか。一緒にいても邪魔ばかりでは意味が無い」と、言ったことがあった。
それが今、自分もそのような状況にあるのではないか。そんな風に思うことがある。
それに…
あかねがいなくなり、少しは乱馬に対していい寄る隙が出来るかもと思ったが、むしろその逆だった。
あかねの記憶が消えていると分かってからも、乱馬には近寄る隙が無い。
一体、どうすればもう少し自分の方へと向いてくれるのか…
「…」
あかねちゃんこそ、神楽の代わりにずっと眠っていればよかったのに。
声にならない思い、そして決して口にしてはいけない思いを、右京は胸の中で何度も、何度も呟いたのだった。

 

 

 

 

 

一方その頃。
「こりゃあ、ひでえな…」
右京が向かったあかねの家とは反対側の外れにて。
真之介、タクト、そして呼ばれて駆けつけた乱馬と良牙は目を覆いたくなるような惨状を目の当たりにしていた。
人々が利用する道から少し、山影へ入り木々が生い茂るあたりに、一人の老人が横たわっていた。
しかし、ただ横たわって眠っているわけではない。
その老人の首は無残にも幾重の傷とともに真っ赤に染まっていた。
その顔は最後まで苦しげに歪んでおり、
命尽きるその一瞬まで逃げようとしたのか…まるで何かに助けを求めるかのように、手を差し出す形で倒れていた。
しかし、そうやって手を伸ばしたところで助けは来るわけでもなく、そして逃げたくても逃げることが出来なかったのだろうというは明らかな状況であった。
なぜなら、老人の片足は近くの木の上に、まるで傘でも引っかかっているかのようにぶらぶらとつるされた状態だった。
魔物に襲われ首を切られ、命からがら逃げようとするも、逃げ出す足を片方切り落とされた。
それによる失血死、というのが見たところ老人の死因である。
病や、また何らかの要因で心臓が止まったということであるならばあかねが蘇生術を施すことも可能かもしれない。
それは、あかねが海上でラヴィに襲われた際、既にこと切れていた人々を蘇生させたことからも明らかであるが、
ただあの時も、四肢をバラバラに切り刻まれた者に対しては、蘇生術を施すことが出来なかった。
今回の老人もそれと同じで、首もほぼ皮でつながっているような状態、
そして片足は無残にも切り落とされ大量に失血もしている状態であるが故、
いくらあかねが100%の力を発揮でいる状態であったとしても、蘇生することは出来ないとみられた。
もちろん今のあかねは昨夜の事件があった故に、蘇生術を施せるような状態でないのは明らかである。

「首の傷…何かの爪で深くなんでも切り付けられた感じだな」
真之介が老人の側にしゃがみ込み、冷静に傷口の分析を始める。
真之介は温厚であるが、こういう時には冷静に、何事にも対処する。
血気盛んではあるが、何かあった時に感情と動揺をあらわにするタクトとはまるで正反対だ。
「カタルのじいちゃん…」
冷静な真之介の背後から、そんなタクトが老人の亡骸を覗き込みながら呟いた。
どうやらタクトはこの悲劇の老人を知っているようだ。
タクトはすぐに「カタルのじいちゃん」と呼んだ老人の側にしゃがみ込み、せめて、と苦しげな表情を安らかなものへと変えるべく指で顔をほぐし始めた。
「タクト…」
そんなタクトの肩を、真之介がポン、と優しく叩く。
「兄さん、なんで皆がこんな目に…」
「…そうだな。なんでだろうな…」
「俺、カタルのじいちゃんの話し、好きだったんだ…」
タクトはそう言って、うつむき歯を食いしばっていた。以前までの気丈なタクトの姿はもうどこにもなかった。
乱馬と良牙は、ただただ、そんなタクト達を見つめていた。
…タクト、それに真之介は両親が早めに他界しているようで、神楽の手で育てられてきたはずだ。
もちろん男手ひとつで育てるのは容易ではない。
しかも神楽は里長。忙しく、なかなかままならなかっただろうに。
だから、この里の人々は皆でこの二人を育てていたに違いない。
しかも、この二人以外の子供は皆、若いうちに外へと出て行ってしまってほとんど戻ってこず世界へと散らばってしまう。
ゆえに、余計に里の皆だってこの二人がかわいく思えて仕方が無かっただろう。
乱馬達には反抗的なタクトだが、里の者には優しく、そして可愛がられているタクト。
それを見ていれば明らかだ。

「カタルのじいちゃんは、その名の通り、この里の歴史を『カタル』役割を持っていた。うちのじいちゃんとも仲が良かったのに…」
タクトは、カタルのじいさまの手をそっと胸の前で組ませてやりながらぼそっと呟いた。
その呟きに、乱馬ははっと息をのんだ。
「…もしかしたら、ラヴィはそれを知って、手下にこのじいさんを襲わせたのかもな」
「え?」
「この里の歴史を『カタル』ことが出来るということは、この里の宝---カードもそうだけど、そのありかを知っている可能性もあると思ったんじゃないか?」
「でも、カタルのじいちゃんはカードのことなんて知らなかったはずだ!知ってたら、俺達にとっくに話してる」
「でも魔物はそう思わなかった。だから…殺した」
乱馬はそう言って、こと切れているカタルじいさまを見つめた。
「カードのこともそうだけど、こういう被害者が出たってことは、やっぱり神楽のじいさんの結界が弱っているってことだよな」
そんな乱馬の横で、良牙がぼそっと呟いた。
乱馬のみならず、真之介も頷く。
「とにかく、里の他のものにも注意を促さなければ…極力、家の外に出ないように、皆に言って回らなくちゃ」
それまでカタルのじいさまに手を合わせていたタクトも、それに同調する。
「じいちゃんやカタルのじいちゃんをこんな目にあわせたやつを、俺は絶対に許さない!」
若いタクトは、血気盛んにそう叫ぶと早速集落のある方へと走り出す。そんなタクトを真之介が慌てて追っていった。
「とにかく、俺たちも集落を回ろう。そして…結界が一番弱っている当たりの警備を強化した方がいいかもな」
乱馬達も二人の後を追って集落を一軒一軒回ったが、根をとにかく断たないと、次から次へと入ってくるだけ。
「でもどうやって強化するんだよ?」
「見張るしかねえだろ。順番に番をする…非効率的だけど、今はそれしか出来ねえ」
「シャンプーやムースの魔力も徐々に戻りつつあるってことは、魔物もこちらへ入ってくる可能性も高いが、二人の魔力が使えるってことでもある」
「あ、そうか!」
「あの二人がいれば、ある程度は結界の崩落を防げることはできるだろう。でも実際に魔物が入り込んでどんどん大きくなっている部分は修復も難しい…そこをおれたちが順番に見張って、その間に新たな結界をつくるしかないってことさ。まあ、魔物が減って結界が元通りになってきたら、その二人の力もまた弱くなっちまうから、紙一重ではあるけど…」
「…」
夕方に皆が集まったら提案しなくては。乱馬達はそんなことを思いながら里の中を順に回っていた。


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