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ペルソナ3

爆音とともに発見されたあかねと神楽。
あかねは気を失っているだけだと思われるが、神楽に至っては声をかけても体を揺さぶっても目を覚まさない。
中々状況が把握出来ない面々であるが、そのうちの一人、ムースだけは冷静にこの場を分析することが出来たようだ。
とりあえず神楽は部屋に寝かせたまま、また、あかねは給仕の女に任せ、乱馬達は広間へと集まった。

 

「じいちゃん…」
先ほどまでとは打って変わって、不安げな表情で窓際に立つタクト。
少ない身内、しかも一番頼りになる神楽がこのような目にあったとなれば無理はない。
そんなタクトを気遣うように側に立ちながら、
「…で、何がわかった?」
本当は神楽、そしてあかねの側にいてやりたいのに…とでも言いたげな表情で、皆を広間へといざなったムースに尋ねる。
あかねの側にいてやりたいのは、勿論乱馬も同じであった。
だが、それよりも今は事実関係を把握するのが先である。
「ムース、一体どういうことなんだよ」
乱馬は、真之介同様にムースへと説明を求めた。
仮面。ムースは先ほどそんなことを呟いていた。仮面をかぶったものが里の中に紛れ込んでいると。
ラヴィのことであるのか、それとも別のものなのか?
乱馬にはそこが気になるところであった。

 

「…まず、あかねのことじゃが」
ムースはとりあえず皆をそれぞれテーブルにつかせると、
「あれは恐らく、『光と相反する力』の反発による摩擦が起こり、あのような爆発が生じたんじゃ。あかねはその反動で壁に吹っ飛ばされ、気を失っているだけ。少し休めば目を覚ますじゃろ」
「…よかった、あかねさん」
ムースの言葉に、良牙がほっと胸をなでおろす。
「それよりも…その『光と相反する力』がなんであの場で起こったのかが問題ある」
が、そんな良牙の安心もつかの間、ムースの言葉を代弁するかのように、シャンプーが口を挟んだ。
ムースがその言葉にうむ、と一度小さく相槌を打ち、
「そう、そこが問題じゃ。『光と相反する力』が起こるということは、そこに闇の力があったということ。あかねが光ならば、闇は神楽の方にあったと思われる」
「なっ…じいちゃんが闇の力を出したっていうのかよ!てめえ、またふざけたことをっ…!」
ムースの言葉にタクトが今にも食ってかかりそうな勢いで叫ぶが、
「そうではない。神楽がラヴィと関係が無いことはお前が一番よく知っているじゃろ」
「じゃあなんでっ…」
「そうではなくて、そうじゃな、正確にいえば、神楽の体の中に大量に注ぎ込まれた闇の力が、反応を起こした、とでもいった方がよいのか」
ムースは冷静にそう言って、部屋の隅に置いてあったロウソクを持ち出し、テーブルの上に何やら図を描いて説明し始めた。

元々神楽は、年老いているとはいえ、世界でも指折りの魔導師。
「何らかの理由」で、闇の力をラヴィの手のものに大量に体の中に注ぎ込まれそうになった。
が、咄嗟に自分の身を守るべく、自分の全ての力を用いてそれを拒絶。その反動で、彼はずっと眠り続けることになった。
眠り続けることで、体は眠っていても脳はただ一点…闇の力を拒絶することに集中することが出来るからだ。
そうなると、当然拒絶された闇の力は神楽の体から浮き出るが、何度でも神楽の体に入り込もうと漂う。
そこに、あかねがやってきた。あかねは当然、闇の力を全て浄化する力を持っている。神楽の体を取り巻いていた闇の力とあかねが触れ合えば、当然相反する二つの力は摩擦を起こし…お互いの力が強ければ強いほど、爆発の規模が大きくなる。
部屋が簡単に破壊されるくらいの摩擦が起こったということは、相当な力だっただろう。
神楽が昼間接見したという客人。結界の中をすり抜けてきて、尚且つ闇のパワーを大量に注ぎ込むことが出来るものなどそうざらにはいない。
闇の象徴のようなラヴィが自ら乗り込んでくる…とは考えにくいが、おそらくラヴィにほどなく近い人物、もしくはこの里の中に「味方」のフリをして紛れ込んでいる何者か、の仕業だろう。

「幸いなことに、神楽の魔力自身が高かった為に闇の力に自身が浸食されずに済んだこと、そこでだいぶ中和されたこと、そしてあかねの力が強力なために、残りの闇の力が全て爆発で消滅したことは幸運じゃった。じゃが…」
「じいちゃんは、力を使い果たし、その力を再び取り戻すまで眠り続ける、ってことか…?」
「…だいぶ高齢じゃからな、精神力と体力を取り戻すまでに時間はかかるじゃろう」
ムースはそう言って、言葉を締めくくった。
タクトも、勿論それ以外の面々も、しばらくは口を聞くことが出来なかった。
この里は外の世界からも遮断されているし強力な力で守られていると安心している部分もあった。
しかし、ここでその里を守っていた神楽くらいの魔導師でさえも、このような目にあうというのを思い知らされ、
また、「敵」はもうすぐそこまで来ているのだというのを、この里の中でも油断はならないのだということを、痛感せざるを得なかった。

「…この里は、じいちゃんの力で結界も何もかも維持してきたんだ。じいちゃんがこんな状況になったということは、結界自身も弱まってくる可能性がある…この里に、ラヴィとかいう奴らの手下が流れ込む危険だってある。みんなに…みんなに気をつけるように言わなければ…」

…普段は嫌味ばかり、そして乱馬達に非協力的なタクトが、弱弱しい口調でそういいながら、部屋を出て行った。
タクトにとっは、真之介や、神楽が心の支え。
特に神楽に至っては、幼いころから自分を育ててくれた祖父。尊敬もしていたはずだ。
その祖父の悲劇、そして今の現状にタクト自身も崑崙してしまっているのだろう。
だが、この里の、やはり家族のように一緒に住んできた皆は守らなくてはいけない。そんな思いが彼を動かしているのだろうか…。
「…とにかく。タクトがいま言った通り、じいちゃんがこんな状況だとこの里の結界も弱まってしまう。じいちゃんが起きるまで、なんとか残りのもので魔物が入ってくることを防がねば…」
タクトの背中を見送っていた乱馬達に、真之介がぽつりと呟いた。
「そうある。それに、魔物が入りやすくなるということは、この里のどこかにあるカードも、奪われる可能性が高くなるということある」
「より急がなくてはならない、ということだな」
シャンプーと良牙が、そんな真之介の後にそう付け加える。乱馬も大きくうなづくと、
「俺たちは俺たちに出来ることをしよう。里の警備の強化の手伝いと、カード探しだな」
「そうじゃな。それに…」
「それに?」
「結界が弱まりつつある、ということは…」
ムースがそう言って、不意に自分の左手をぐっと強く握りしめた。
そして、壁際に立っていた火の消えたろうそくに向かってヒュンッ…と指を向ける。
その瞬間、ポンッと音を立ててろうそくに火が付いた。
そう、この里に来た時から、結界…「魔力を無効にする森」の力のせいでムースやシャンプーたちの魔法や魔道具は無効化されてしまっていたが、その力が弱まっている今、こうして魔法の力も戻りつつあるのだった。
「神楽が眠っている時間が長ければ長いほど、我らの無効化された魔力が戻るということじゃ」
「…急がねえといけねえな」
乱馬のその言葉に、一同が静かに頷いた。

 

 

…そんな、乱馬達が話をしている部屋から、だいぶ離れたとある草むらの中で。
「ううう…ううううう…」
一人の少女が、膝を抱えたまま声を押し殺し涙を流していた。
少女の濡れた瞳の奥には、ある光景が強烈に焼き付けられていた。
見てはいけないもの---それが彼女に、時間がたってもとどまることのない恐怖を思い出させていたのである。
無論、そんな少女がこの里の中に存在しているなどということは、今の乱馬達は知る由もない。


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