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監視

「だーかーら!この家には倉かなんかはあるのかって聞いていんだよ!」
「あー?ココナッツとアンコは街まで行かなきゃ無いぞい」
「このジジイ!」
「こりゃ、ジジイとは何事じゃ。わしゃまだ百三十歳じゃぞ」
「聞こえていんじゃねーか!」
一方その頃。
里の中を散策し、カードを探して歩いている一向はかなりの苦戦をしいられていた。
全体的に若者は少なく、高齢者が多い癒しの里。
一軒一軒家を回り色々と話を聞こうとするも、耳が遠いのかとぼけているのか分からないが、まともに話が出来ない。
里長からは里のどの建物にも自由に立ち入る許可は貰っているが、それでも家主に断らなければ気分が悪い。
そこでこのように交渉をするも、交渉するだけでかなりの時間をロスしている状況だった。
「まあまあ、あんた達。お茶でも飲みなさいな」
「お、俺達そんな時間は・・・」
「急がば回れとゆうしねえ」
「は、はあ・・・」
ある家では百三十歳の老人に苦労し、ある家ではお茶のみ相手にされる。
またある家では荷物運びを手伝わされ、またある家では子供のお守をまかされた。
ようやくそのお守から解放されたと思ったら、今度は里の皆が食べる分の食事作りを、教会の炊事場で手伝わされる嵌めに。
実は料理もそれなりに得意なシャンプーはまだ良いが、腕は立っても所詮は男性。
ムースや良牙は、野菜の皮むきをしながらため息をこっそりとついていた。
「この里の若いものは、殆どが今、世界中の街の魔法学校に出て行っているんだよ。子供たちはある程度の年齢になったらここから出ていくから。外に出た子供は学校で修行をして、そのまま世界中に散るのさ。その後は、世界中でその力を役立てる子もいれば、年老いて戻ってくるものもいる。だから里には常に、若者がいないのさ。居るのは、そうやってここへ戻ってきた中高年と、修行に出る前の子供だけ」
そんな中、料理の手伝いをしている三人に、本日の料理番である女性・千草がそんな話をしてくれた。
「あれ、でも何故タクトと真之介はここにいるあるか?二人もまだ、若いね」
トタタタタタ、と華麗に包丁を動かしながらシャンプーが千草に訪ねると、
「そりゃ、修行なんて要らない力が生まれながら備わっているからさ」
「そういえば、タクトは魔法戦士、あるしな・・・癒しの力は無くても、大地の魔法が使えれば充分てことあるか」
「ああ、そうさ。それに里の宝とこの里自体を、守るにはやはり若い力は必要だ。だからあたしたちは、他の若い子達が外に出てしまっても、こうして安心して暮らせるのさ」
何しろ最近は物騒な世の中になっちまったからさあ、と、千草が呟く。
「タクトはねー、あの子は本当に小さい頃から優秀だったよ。神楽様が子供たちに魔法を教える前に、もう大地の魔法は使えていたからね」
「へー」
「それに、シールドを超えて外に自由に行き来できる能力…魔法の鍵の能力も備わっている。多分あの子は、神楽様をついで未来の里長になるくらいの実力はあるね。癒しの力が少しでもあれば尚良かったよ」
「でも性格はキツイあるぞ?里長なら、真之介の方が向いているように思うが・・・」
「里長なんてのは、里が平和でいられるならば誰でも構わないさ」
「ふーん・・・」
「それに・・・」
千草が更に続きを話そうとしたとき、炊事場の外が急に騒がしくなった。
どうやら、林の中で作業をしていた男たちや、外へ出ていく前に神楽に魔法を習っていた子供たちが戻ってきたらしい。
「あらあら大変だ!急いで料理作らないと!」
おかげで話はそこで中断、結局特段何が聞けたわけでも分かったわけでもなく、午前中の調査は終了した。
「・・・で?進展は」
昼食後。
ようやく別行動をしていた乱馬、そして右京も加わり全員揃った時点で、今までの状況を整理しようとお互いの手札を見せ合おうとするも、全く出す事ができずに一向はため息をついていた。
「唯一分かった事といったら、この里の若者は皆、世界の魔法学校に通っていてここには居ないという事ある」
「ふーん・・・」
「でもタクトと真之介は例外で、ことタクトに関しては、学校に行かなくても充分な魔力があったそうある」
「へー・・・それで?」
「それだけ、ある」
「・・・」
結局、今朝とさほど進展はない。それだけははっきりとわかっていた。
思わず、一同おのおのの顔を見渡しながらため息をつく。


「・・・成果なしってことだな」


その言葉をはっきりと口にするのは心苦しかったが、乱馬があえて口にした。
皆ががっくりとそれにうなだれる。
だが、
「じゃが・・・まだ調べ初めた初日じゃ。ここに最後のカードがあることはおそらく間違いないのじゃ。なんとしても、ラヴィとラヴィの手下よりも先にカードをみつけるのじゃ」
こういうときは、パーティのブレーン、そして乱馬よりも頼りになるムースがそうまとめると、
「・・・そうあるな。午後、今度はみんなで里を見てまわるある。乱馬、それでいいあるな?」
「ああ。シャンプーたちが作った地図を見ながら、回ろうか。何か新たにわかるかもしれないし」
「良牙、あんたみんなからはぐれて迷子になったらあかんで」
「余計なお世話だ!」
皆もそれぞれ思うことはあれど、改めて午後、里の中を見て回ることとなった。


○里の中心(教会、書庫。神楽・タクト・真之介の家)
○教会の周りに円を描くように里の者たちの家
○教会から里の外に向けて十字の道。周りは森。
○教会の南側に、小さな泉がある。泉の先に、小さな家。あかねのいる家
○その反対側の道(教会の裏側)に外への出口がある絶壁
○それぞれの道の途中に、今は誰も住まわなくなった廃屋
○教会の西側に深い森。この森は里のものでも立ち入らない。中には大小さまざまな泉が点在
○教会の東側に子供達の遊び場、今は使われていないふるい教会


神楽と、そしてタクトに案内された際に説明を受けたこと、そしてシャンプーとムースが調べた情報を元に作成した地図を見ながら、乱馬達は里を回った。
午後という時間帯もあってか、里のもの達はほとんどそれぞれの家の中ですごしているために道で会うことはなかった。
昼間は、神楽に魔法を教えてもらっていた子供達の姿も見かけたが、午後は昼寝の時間なのか。その子供達にさえも会わなかった。
その代わり、
「はん、あんたたちも諦めが悪いな。里にずっと住んでいる俺達だって知らないって言うのにさ」
・・・今朝の病人を街まで送り届けて帰ってきたタクトが、わざわざ乱馬達の行く先々に現れては、悪態をつく。
「なんやあれ、感じ悪い!」
「ったく、文句があるならついてこなけりゃいいのによ」
頼みもしないのにくっついてきては、悪態をつく。
右京と良牙がタクトに聞こえるようにそう文句を返すが、タクトはお構いなしのようだ。
結局里を見て回った間中、ずっと乱馬達のあとをついて周り、ようやく一周して帰ってきた段階でようやく、どこかへと行ってしまった。
「ったく、何やあいつは!」
「あー、気分悪いったらねえぜ!」
・・・里を回っている間、何だかんだいいながらもタクトの文句に付き合っていた右京と良牙は、ようやくいなくなったタクトの後ろ姿に石を投げる振りや蹴り飛ばす振りをして見せているが、
「どうした?シャンプー」
乱馬とムースはそんな二人を苦笑いしながら見ていたが、ただ一人、シャンプーだけは気難しい顔でタクトの後ろ姿を見送っていた。
そんなシャンプーに乱馬が声をかけると、
「タクトはなぜ私達についてきたあるか?」
「へ?だから、俺達を冷やかし嫌味を言うためじゃ・・・」
「・・・まるで、監視されているような気がしたある」
「!」
「私達が、何かを見つけないように、とか・・・気のせいなら良いのだが」
あっけらかんとした性格ではあるが、パーティの中では慎重で堅実な考え方をするシャンプー。
彼女には、タクトの行動が少し気になったようだ。
「・・・監視、か」
シャンプーの言葉を受けて、ムースの表情が少し堅くなった。
乱馬も、改めてタクトの後ろ姿を見つめる。
確かに、シャンプーの言うことにも一理あった。
タクトが、乱馬達とソリがあわないことはこの里にきたときから感じていた。
それなのに、わざわざ悪態をついてまで乱馬達と行動をともにすることに何か意味はあるのか?
タクトは、どうやら血の気が多そうだというのは今までの様子からも察することができる。
そこから考えると、乱馬一人で行動するときについてくるのなら、明らかに喧嘩をふっかけてくるのだろうと予測はできる。
だが、乱馬達全員と一緒に行動するのはなぜか?喧嘩をふっかけてくるにしても、いくらタクトが魔法戦士とはいえ、こちら側は強力な魔導師が二名、それに格闘技に長けている戦士が二名はいるのだ。
どう考えてもタクトに分はない。
ということは、喧嘩をすることが目的ではないということになる。
では、なぜタクトは行動をともにしたのだろうか。
やはり・・・乱馬達を監視するためか?
カードを乱馬達が先に見つけないためか?自分がカードを手に入れる、ために・・・?
「・・・」
タクトが、実はラヴィの手下なのではないか?---昨晩、皆が話していたことがふと、乱馬の頭の中によみがえる。
タクトは、この結界に守られている里の外へと自由に出ることができる。
外へ出たときに、何らかの原因でラヴィと出会い、手を結んだ。
だから、ラヴィが狙うカードを手に入れようとしている乱馬達の行動を監視し、あわよくば先に手に入れようとしている・・・
「・・・」
考えられなくは、ない。
ここには、何の運命のいたずらか、あかねもいる。
光属性の魔法の使い手であるあかね、残り一枚のカード、そして外界からは守られた世界。
ラヴィがこの中に自分の仲間を紛れ込ますことは十分考えられるし、自分の仲間が中にいれば、もしかしたら結界の力は弱まるかもしれない。
乱馬達を監視しておけば、そうそう先を越されることもないだろう。
・・・
「・・・」
乱馬達は、なんともいえない不穏な気持ちを胸に、タクトの姿を見送っていた。


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