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旅立ち

「ねえ、宮廷魔導士のコロンさんて、どんな人なの?」

その日の、午後。
のどかの指示通り、 乱馬とあかねはカードのことに詳しいという宮廷魔導士のコロンの元を訪れるべく、 城の裏手から城の地下にある彼女の居室へと続く道を歩いていた。
「俺も逢った事はねえんだけど・・・何でも噂によると齢三百歳の妖怪らしいぜ?」
「妖怪だ何て、失礼よ。でも、お年を召してもしっかりと宮廷魔導士として働いてらっしゃるんだから・・・きっとすごい魔 力を持ってるんでしょうね」
あかねが、率直な意見を呟く。
それには暴言を吐いていた乱馬も同意をし、
「・・・だろうな。どっちに転んでも、只者じゃねえって事は確かだろうけど」
乱馬はちょっと緊張した表情に変ると、
「お・・・ここだ、ここだ」
・・・やがて、道の行き止まりに設置されたドアの前へと立ち止まった。

コン、コン。

乱馬は、とりあえずドアをノックした。
すると、 中から齢三百歳の妖怪・・・ではなく、


「あいやー!王子、私来るの待てた!」


そういって、長い髪の、ちょっと気の強そうな顔をした美しい女の子が急に部屋の中から飛び出してきたかと思うと、
「わ!」
突然乱馬に抱きつき・・・キスをしてしまった。
「あー!」
それを見て、叫ぶあかねと、
「わわッ」
慌ててその美しい娘を引き剥がすも、ボーっとしてしまう、乱馬。
「照れることないね。ひいばあちゃんから、もうすぐ説明ある。私も、王子とカードを探す旅に一緒に行く。王子の力に なる」
美しい娘はぼーっとしている乱馬に再び抱きつきながら、そんな事を言っていた。
「・・・」
あかねは無言のまま、抱きつかれたままボーっとしている乱馬を床に殴り倒すと、その、自分とは全く別のタイプの美しい娘に厳しい表情で対面した。
「・・・あなたの話はいいから、とりあえずコロンさんに逢わせてもらえないかしら?あたしたちは、コロンさんに逢いに 来たのよ」
あかねの厳しい口調や表情に、娘も険しい表情であかねを睨みつけ、
「・・・おまえ、誰か?」
そんなあかねに真っ向からぶつかってくる。
「私は・・・」
あかねがその娘をにらみつけながら、答えようとした所で、

「これこれ、お前達。こんなところでいい若い娘が喧嘩などするでない」

・・・そんな声と共に、部屋の中から一人の老女が顔を出した。
真っ黒い呪術的な雰囲気を持つ衣装に、杖。
それに、噂どおり、どう考えても百才はゆうに越えているだろうと思われるそのいでたちに、
「・・・あなたがコロンさん?」
床で伸びている乱馬の変わりにあかねが老女に尋ねると、
「いかにも。ワシがコロンじゃ。そちらに倒れてる少年が、王子、そして・・・おぬしは王子の婚約者殿じゃな?」
コロンは、あかねが説明をする前に、あかね達の身の上を言ってのけた。
そして、
「ほほ、元気があって活発な許婚どのじゃのう」
と、あかねを見て笑っていた。
「ど、どうしてわたしのことも・・・」
説明もしないのにどうして・・・と、あかねが驚いていると、
「妃より連絡があったのもあるが・・・わしは、ちと占いの類が得意での。今からここに来るおぬしらの事ぐらい、とっくに分かっておったわい」
コロンはそういって、カラカラと笑った。
そして、
「これ、シャンプー。あまり悪ふざけしてはいかんぞ。明日からお前も、この二人を助ける為に旅についてゆくのだから な」
あかねと睨みあっていた例の美しい娘・シャンプーを軽く戒めると、
「さ、中に入りなさい。カードの説明を聞きに来たんじゃろう?」
あかね達を部屋の中へと誘った。
「ほら、乱馬!いつまで寝てるのよッ」
・・・寝かせたのはあかねなのだけれど、あかねは、いまだ床で伸びたままの乱馬のおさげをずるずるとひっぱりながら、とりあえずコロンいついて部屋に入っ ていった。




・・・蝋燭でしか明かりを取らない薄暗い室内も印象的だったが、入り口の場所だけをぽっかりと覗いて四方を本棚に囲まれた部屋の、真ん中に設置されたガラスのテーブルの上。
そこには黒い布が敷かれ、そしてその上に・・・世にも美しい透き通った水晶玉が置かれていた。
「きれい・・・」
あかねが思わずその水晶玉を覗き込むと、
「それひいばあちゃんが占いに使う水晶ね。この世界にある水晶の中でも、結晶度が高いもの。結晶度が高ければ、発せられる魔力も強力ね」
乱馬とあかねにお茶を出しながら、シャンプーが説明をする。
「へえ・・・」
あかねが関心していると、
「・・・それよりも。おぬしら、わしにカードの事を聞きたいのではないのか?」
そんなあかねたちの様子を見ていたコロンが、パン、と手を叩いて自分の方にあかね達を注目させながらそう言っ た。
「ああ、そうだった。あのカード、親父達から一応説明を受けたんだけど、イマイチよくわかんなくてな」
そんなコロンに、いつのまにか気絶から立ち直った乱馬がさっそく質問をする。
「ならば・・・どうしてこのカードが作られたか。そしてどんな力を持つカードなのか・・・そこから話てやらないといけない ということじゃな」
コロンは、そんな乱馬の質問に対して豪快に笑って見せると、
「よかろう。なら・・・話してやろうではないか。あのカードの由縁を」
そう言って、ゆっくり、ゆっくりと乱馬とあかねにカードの歴史について話し出した。


・・・古の時代、世界は一人の王によって治められていた。
王の力は強大。
逆らうものは、たとえ親族であってもすぐに罰せられ闇に葬られた。
もちろん、 そんな独裁的な王の事を快く思わないものがいないわけがなく、 ある夜、宴の晩に・・・ついに王は、暗殺者達によってその命を狙われる事となった。
暗殺者達の策略により、身体に致命的な傷を負ってしまた王。
それでも王は、暗殺者達から逃れ、そして身を隠すべく・・・城の宝物庫へと逃げ込んだ。
・・・



「なあ、何で宝物庫へと逃げたんだ?もっと安全な場所、あるはずだろ?」
・・・乱馬の素朴な疑問に、
「その宝物庫にはな、王の強力な力の源となる武器やら、魔法書やらがたくさんあったのじゃ」
コロンは丁寧に答える。




・・・王は、自分の強大な力の源を、暗殺者達に奪われること恐れた。
きっとそれを奪ったものたちは、次から次へとその宝を奪い合い、争いを起こし・・・戦いを引き起こす事が簡単に予想 できたからだった。
「何とかしなければ・・・」
自分が死してしまって、世界の平和を守る為には、この宝物庫にあるたくさんの源をどこかに集め、そして処分する他ない。
・・・王は、最後の力を振り絞り、 宝物庫にある全ての源を、とある一つの、子供のオモチャにカモフラージュして隠す事にした。
それは、自分が子供の頃に父であった先代の国王より与えられた「絵札」だった。
大人になってもどうしてもその「絵札」を捨てきれずに宝物庫に保管しておいたのだが、 それが、自分の最後のときになって役立つとは・・・薄れ行く意識の中で、王はそんな事を考えていた。
・・・


「・・・で。その、全ての魔力の源を集めて凝縮させた力を注ぎ込まれたのが・・・このカードなんじゃよ」
・・・息を飲む乱馬達の顔を見ながら、コロンはそういって、一息置いた。



・・・強大な魔力を蓄えられたカードは、それまではただの「絵札」だったにも関わらず、王の亡き骸の横で光り輝いて いた。
子供のオモチャにカモフラージュしようとしたにも関わらず、あまりに魔力が強すぎて、隠し切ることが出来なかったの だ。
「くそッ・・・力の源はどれなんだ!」
・・・もちろん。
王を追って宝物庫へ来た暗殺者達は、すぐに光り輝いているカードに気がついてしまい、
「ん?何だこのカードは。何で光り輝いているんだ・・・?まさかこれが魔力の源!?」
と、
「俺がもらう!」
「私が先だ!」
・・・こぞってそのカードを手にしようとカードに群がるが、
バチバチッ・・・!
・・・カードに触れようとするものの手を遮るように、何故かカードには「結界」が張られていて、 暗殺者達はカードへ触れることはおろか、半径50センチ以内に近寄る事すら出来なかった。
「このままではらちがあかない」
そこで。
ひとまずそのカードを手にする事を諦めた暗殺者達は、 国で一番の魔力を持つ魔法使いに頼みこんで、そのカードを自分達でも触れるようにしろ、と命令をした。
魔法使いは暗殺者達に反感を持ちながらも、仕方なくその命令に従った。
そのカードの魔力に直接手で触れないように、そのカードを包む為の布を作ったのだ。
「おお、これならばこのカードにも触れることは出来る!」
暗殺者達はそんな事を言いながらこぞってこのカードを手にしていくのだが、
「うわあ!」
「た、助けてくれ!」
カードを布で包んだとはいえ、 元々そのカードは、暗殺者達が手にかけた「王」が魔力を注ぎ込んだもの。
その「王」の思いが強いのか、 ・・・このカードを手にした暗殺者達は、次々と不穏な死を遂げてしまう。
「おい!どういうことなのだこれは!」
まだカードに触れていない暗殺者が魔法使いに詰め寄ると、
「このカードは、人を選ぶのだ」
魔法使いはそう言って、いともやすやすと布に包まれたカードを持ち上げた。
魔法使いがそのようにカードを手にしても、何の変化もなかったのだ。
「くッ・・・」
そんな魔法使いの態度に、まだカードに触れていない残りの暗殺者達はブルブルと体を震わせた。
そして、
「こんな不吉なカード、すぐに始末してしまえ!」
暗殺者達は、まだ若い新参者の兵士を適当に選び、危険な役目をその兵士に押し付けて自分達は逃げ出してしまっ た。
上司であるその暗殺者達に命じられた兵士は、
「おぬしも災難じゃのう・・・」
同情してくれた魔法使いに、カードを包む布と同じ繊維を使って作ったカードフォルダを渡された。
「ありがとうございます」
兵士はそれを腰につけ、カードを手にすると、
「それにしてもこのカード・・・どこで始末すればよいのですか?」
「そうじゃな・・・この世界の果てに、異世界の物たちが住む世界に繋がっている扉があるという。その扉にでもほおり こんで来い」
「わかりました」
兵士は、魔法使いのその言葉に従って、
この世界の果てにあるという、「異世界へ繋がった扉」を目指して旅に出ることになった。
ただ、剣も魔法もそんなに得意でない兵士のために、
「そうじゃ。お主に渡したそのカードフォルダ・・・ちょっと仕掛けをしようか」
魔法使いはそう言って、兵士が腰につけたカードフォルダにある魔法をかけた。
すると、 丸いボタンが1つ、フォルダの隅にぽつんと現れた。
「これは?」
「これはな、このボタンを押すとわしと交信できるように魔法をかけてやったんじゃ。困ったときにはそのボタンを押して、わしに話し掛けろ。力になってやる」
「ありがとうございます」
兵士は改めて魔法使いに礼を言うと、「異世界へ繋がった扉」を目指して旅に出たのだった。
・・・



「・・・じゃがな?このカードを捨てる旅に出ている中で、おかしな事に、この兵が危険な目に会いそうになると必ず・・・ このカードが、力になってくれたんじゃよ。苦楽を共にしているうちに、そんなことになってな。カードはもしかしたらおぬしを選んだのかも知れぬ・・・魔法使いはその兵士にそう告げて、 兵士にカードを捨てた事にして、もう戻って来いと助言したんじゃ。でもその兵士、何だか捨てるのは忍びないので、僕はこのままカードと共に旅を続けますそう言って姿を消してし まった」
「へー」
「魔法使いはそんな兵士を探しに旅に出た。そして・・・魔法使いが兵士の場所にたどり着いた時。兵士はな、小さいながらも町を作り出して、そこで少ない人間達と共に暮らしていたんじゃ。魔法使いは、そんな兵士に力を貸しながらやはり自分もそこに住み着き・・・何十年も立った頃には、その街はとて も大きなものへと変貌し、兵士だった青年は、その街から国へ代わった国の、王になっていたのじゃ」
コロンは、そういってまた一息置いた。




・・・ 一国の王となっても、兵士は、自分が若い頃より持っていたカードを手離したり、邪険に扱ったりはしなかった。
また、カードの力を悪用する事もなく、宝物庫を作ったりして、そのカードをとても大事に保管していた。
しかし、自分が天寿を全うして命を終える瞬間がきた時。
いよいよそのカードを自分の手から手離さなくてはならない・・・そう感じた兵士は、自分の親族を枕もとに呼び、カードについての話を聞かせた。
「このカードは、私に多くの幸せをもたらせてくれた。私が若い頃仕えていた王は、自分の魔力を全てこのカードに注ぎ込んで絶命して・・・」
カードにまつわる一連の話と、この国が出来上がった経緯などを話した兵士は、 最後に親族達にこう言った。
「私が死した後、もしかしたらどこからかこのカードの噂を聞きつけてきた不貞の輩が、カードを奪いにやってくるかもし れない。そんなことで平和な世界が乱れるのは心苦しい。だから・・・私が死んだら、このカードを世界中にばらばらにちりばめてくれ。頼んだぞ」
と。・・・


「・・・こうして、カードは世界中に散りばめられたんじゃ。散りばめられたカードは、散りばめられた先でそれぞれ強大な魔力を注ぎ混まれてな。
  一枚だけでも強力な魔力を持つものとなった。じゃからそれが二十二枚集まると・・・どんな願いもかなえることができるような強い魔力を得ることがきる、というわけじ ゃ。この国の先祖・・・つまり王子の先祖の勇者殿も、この噂を耳にして、カードを集めるたびに出たというわけじゃな」
「そうだッたのか・・・」
「そうじゃ。ただし、そう長い時間そのカードを一緒に集めておくわけにも行かない。カード同士に込められた魔力が反 発しあって、カードが自らの意思で再びばらばらになってしまうんじゃ。ご先祖の勇者殿が願いをかなえてから再びカードを手放したのも、集まったカード達の魔力の反発のせいじゃ。偶然一枚はこの国に残ったようじゃがな」
コロンはそう言って、今度は乱馬の腰についているカードフォルダを指差した。
「・・・次に王子。そのカードフォルダの横にあるボタン。それが、大昔に魔法使いが仕掛けをした『交信用ボタン』じ ゃ。そのボタンを押して話し掛ければ、離れていても更新できるようになってる」
「ボタン・・・」
乱馬は、改めてカードフォルダを見た。
・・・そういわれてみると、腰の止め具の所についているボタン。
このボタン、何だか妙にきらきらと光を帯びていた。
「・・・」
乱馬は、試しにそのボタンをポチッと押してみた。
すると、
ブブ・・・ブブブブ・・・
「ッ」
急になにやら雑音がしてきたかと思うと、
「!?」
乱馬の腰についているカードフォルダの、表紙の部分。
そこに、まるでそこに「画面」があるかのように「砂嵐」が表示された。
そして、

「あ!」

・・・しばらくして砂嵐は消えたのだけれど、砂嵐が消えたのと同時に、カードフォルダの表紙に「どこかの部屋の天井」のような場所が映った。
「これ・・・もしかして・・・、今ファイルが置いてあるところの部屋?」
カードフォルダに映った映像を、横からあかねが覗き込むようにして呟いた。
コロンはそれにゆっくりと頷いて、
「そうじゃ。ファイルがある向こう側には、今は誰もいないみたいじゃな。じゃが実際は、交信ボタンを押した状態で、ファイルの表紙と、このフォルダの表紙を見つめながら話せばリアルタ イムに話ができるというわけじゃよ」
「へえ・・・すごい魔法をかけたんですね、その魔法使いさん」
「今では考えられないくらいの高度な魔法じゃよ」
コロンはあかねに向ってそう答えると、今度は乱馬のほうを向き、
「交信を中断したい時は、もう一度ボタンを押すがよい」
「お、おう・・・」
乱馬は、コロンの指示通りに、もう一度フォルダのボタンを押した。
すると、
ヒュッ・・・・
乱馬がボタンを押した瞬間、フォルダの表紙に現れていた「画像」はあっという間に消えてしまった。
そして、今まで別の空間を結んでいたその「画面」は、また元通りのただのカードフォルダの表紙に戻ったのだった。
「す、すげえ・・・」
まるで、昔憧れた「おとぎ話」の世界に出てくるようなアイテム。
・・・乱馬がそんな事を思いながらフォルダをしげしげと眺めていると、
「はは。じゃがな、王子。すごいのはこれだけではないぞ」
「え?」
「さ、王子。今度はこれを」
コロンはカカカ、と笑いながらそう言って、
今度は乱馬の前に「一振りの太刀」を差し出した。

きらりと光る、銀色の剣。
パッとみるとただの「よく磨がれた剣」なのだが、よく見ると・・・柄の部分に、普通の剣には絶対についていないような四角いものがついている。
それは、何か・・・カードなんかを通す為にある、「スロット」のような感じだった。


「ん?なんだこれ・・・」
乱馬が剣を手にしながら、その初めて見る「スロット」部分を眺めていると、
「これはな・・・その昔、この国の先祖である勇者殿が、カードを集める時に使っていた剣なんじゃよ。王子の先祖である勇者殿も、カード伝説の兵士同様、魔術も格闘術もあんまり得意ではなかった見たいだし。見か ねた宮廷魔導士の一人が作ってやったようじゃ」
「え!?ゆ、勇者の・・・剣!?」
「そう、勇者の剣じゃ。そのスロット部分に、集めたカードを差し込めば・・・そのカードが持ってる力を、剣を通じて 王子も扱う事ができるんじゃよ」
コロンはそう言って、乱馬を見た。
「え!」
憧れの勇者の使ったアイテムを自分が手にしている・・・それだけでも興奮している乱馬が更に表情を輝かせると、
「試してみたいか?」
「も、もちろん!」
「なら、ためしに、やってみるといい・・えーと、今王子が持ってるカードは・・・」
「これだ!」
乱馬は嬉々とした様子で、腰のカードフォルダに収められている、自分に託されたカードを差し出した。
「愚か者」、のカードである。
「これをここに差し込むんだな!?」
乱馬は、はやる気持ちを抑えてカードを「スロット」に差し込んだ。
そして、
「やー!」
・・・誰もいない方向の壁に向って、勢いよくその剣を振り下ろしてみたが・・・

・・・ポンッ


「ん!?」

・・・勢いよく振り下ろされた剣先からは、なぜか、まるで人を小ばかにしたような「小さな花」が一つ、飛び出てきただけだった。
「も、もう一回・・・せやあ!」
きっとこれは何かの間違いだ・・・乱馬は自分に必死にそう言い聞かせ、 仕切りなおしでもう一度、剣を振り下ろしてみた。
が。

・・・ポンッ


「・・・」


・・・今度も、大量の花吹雪と、何故か色んな国の国旗が一本の紐に結ばれてるようなものが飛び出るだけだった。

「・・・おい、ばあさん。なんだよ、これ」
乱馬がわなわなと震えながらコロンの方を振り返ると、
「ははは、王子よ仕方あるまい。なんせそのカード・・・愚か者じゃからな」
コロンは、乱馬の悔しそうな様子を見ながら笑っていた。
「くく・・・ら、乱馬らし・・・」
そんなコロンの横では、あかねも肩を震わせて笑っていた。
「大道芸人になれるな」
シャンプーでさえ妙な感心をしているので、
「えーい!き、きっと他のカードなら、全然違う力を出せるんだろうが!」
乱馬は、ハズカシさを誤魔化す為にそんな事を叫びながら「スロット」からカードを引き抜く。
「その通り。ま、持ってるカードがそれじゃ仕方あるまいな」
「くそ・・・親父の奴」
「二十二枚のカードがそれぞれそんな力を持っているかは、後で魔法辞典を渡すからそれを読むがよい」
コロンは、乱馬を落ち着かせるようにそう言って、また笑った。
そして、
「ま、なんにせよ。これから旅をしていくのに、そう言った魔法の知識や武器の知識なんかをもつものも必要じゃろう。じゃから、王子。うちのシャンプーをおぬしらについていかせようと思う。シャンプーは若いけれど、ワシが叩き込んだ知識や、魔力・・・そこいらの魔法使いよりも断然優れている。きっと、王子達の力になるに違いない」
コロンそういって、改めてシャンプーを乱馬とあかねの前へと呼んだ。
「わたし、王子のためにがんばるね」
シャンプーは、
乱馬にはにこやかに。
そしてあかねには妙に挑戦的な表情で改めて自己紹介をした。
「よ、よろしくなシャンプー」
「・・・」
・・・乱馬はともかくとして、先ほどの、出会い頭のキス事件。
その事もあって、あかねとシャンプーはジロリ、とお互いで言葉も発せずにらみ合っている。
「な、仲良くな、仲良く・・・」
「そうそう、仲良しが一番じゃ」
そんな二人をなだめるように、コロンが取りあえず声をかけ、
「ワシからの指示とか、あと魔法に関しての質問なんかは、シャンプーに持たせる『水晶』を通して行え。フォルダとは別に、その『水晶』からもワシと交信できるようにしておこう」
「ああ」
「あとは・・・ほら、シャンプー。いつまでも喧嘩などしているでない。お前はムースの所にでも言って、何か役に立ちそうな武器やアイテムを調達して来い」
「了解ね」
・・・とりあえずあかねとの喧嘩を終わらせるべく、まずはシャンプーを部屋の外に出した。
「ムースって?」
あかねが、部屋を出て行くシャンプーの後ろ姿を見ながらコロンに尋ねる。
「ムースは、シャンプーの幼馴染でな。城の一角で武器屋を営んでおる。いろんなアイテムを持ってるのでな、役に立 ちそうなものをシャンプーに調達させよう」
「ふーん。ありがとうございます」
「それよりも・・・王子。旅の出発は、明日の夜明けと同時でよいのかな?」
コロンはさりげなくあかねにそう説明をすると、表情を改め、今度は乱馬に向って言った。
「ああ」
乱馬がそれに答えると、
「それじゃ、出発の前に・・・」
コロンは、そう言って一度咳払いをした。そして、
「それでは明日からの旅の餞別として・・・わしから王子と許婚殿に、一つ贈り物をやろう」
「贈り物?」
「そうじゃ。明日からの旅の行方を、占ってしんぜる」
「・・・?」
戸惑っている乱馬達をよそに、コロンは机の上に置いてあった「水晶玉」に手をかざした。

キラリ・・・
キラリ・・・

その瞬間、今までそこに普通にそこに置いてあっただけの「水晶玉」が、ゆらり、ゆらりと光り始めた。
「あ!?」
「きゃッ・・・」
乱馬とあかねが驚いて声をあげると、
「さ、準備は整った。それじゃまず、王子の事を占ってしんぜよう。許婚殿、おぬしはしばし、耳を抑えておれ」
「え?あ、は、はい・・・」
コロンはまずはそう言って、あかねに耳を抑えさせた。
「?」
そんなコロンの言葉に、乱馬が首をかしげていると、
「これは個人個人にしてやる占いじゃからな。ま、この占いの結果は、王子だけが胸にしまっとけばいいじゃろう」
「なるほど」
「では、始めるぞ・・」
コロンはそう言って水晶玉に手をかざし、ゆっくりと目を閉じた。
そして、
「えいッ・・」
しばらく沈黙した後、小さな叫び声をあげたかと思うと・・・ゆっくりと目を開けた。
「ど、どうなんだ?結果は」
乱馬がドキドキする心を抑えながらさっそくコロンに尋ねると、
「・・・王子の旅は、まあ、色んな出来事が起こるとはいえ、順調にカードを集めていけそうな感じじゃな」
「本当か!?」
「ああ。・・・ただし」
「!?」
乱馬は占いの結果を聞いてぱあっと表情を明るくしたが、
コロンの最後の言葉に思わず口をつぐむ。
「な、なんだよばあさん・・・」
「・・・ただし、一つだけ。満月の夜に下す決断には気をつけよ。そう出ておる」
コロンはそう言って、真面目な表情をして乱馬を見た。
「満月の夜・・・?」
そんなコロンの言葉に、乱馬は激しく胸を鼓動させた。
「内容までは詳しくはわからん。
  ただ・・・その決断次第で、おぬし・・・何よりも大切なものを失ってしまうかもしれん」
「!」
コロンの言葉に、乱馬ははッと息を呑む。
「俺は・・・俺は何の決断をするんだ?」
震える声でそう尋ねてくる乱馬に、
「そこまではよくわからん。ただ、占いにはそう出ておる。
  もしも悩む事があったら、すぐに決断はしないで、誰かに相談するなりしてじっくり考える事じゃ」
コロンはそう言って、「これで王子への占いは終わりじゃ」と告げた。
「わ、わかった」
乱馬は、深刻な面持ちで頷いた。
コロンはそんな乱馬に「がんばれよ」と励ましの言葉をかけると、
「それじゃ王子はひとまずへやのそとでまっておれ。次はおぬしの許婚殿を占ってしんぜる」
「え?俺もあかねみたいに耳抑えてここにいるのじゃダメなのか?」
「どうせ耳を抑えろって言ったって、お主、絶対に盗み聞きしようとしそうじゃからな。念のため」
「ちぇッ。俺って信用されてねえんだなあ」
そうは言っても、実際盗み聞きしようとちょっとは思っていた乱馬だっただけに、
ずばりと指摘されると心苦しい。
「じゃあ・・・部屋の外で待ってる」
仕方ないので、乱馬はそのままコロンの指示どおり部屋の外に出た。


「手、外しても良いぞ」


・・・乱馬が部屋を出てから、すぐ。
コロンは、自分の指示した通りに律儀に両手で耳を抑えているあかねに、耳を指でつつくような素振をして手を外させ た。
そして、
「もういいの?」
そう言って耳から手を外したあかねに、
「王子には、席を外してもらった」
「え?」
「・・・妃におぬしらの話を聞いた時にな、わしは・・・イタズラ半分でおぬしと、王子の事を一足先に占ってみたんじゃ。王子の方は、特に問題のない占い結果だったし、本当は別におぬしに聞かせても内容じゃった」
「え・・・王子の方はって・・・?どういうことですか・・・」
あかねは、コロンの言葉に、ドキっとさせられた。
急に、心拍数が上がっていくのを体全体で感じる。
そんなあかねの顔をしっかりと見据えるように、コロンは真っ直ぐとした視線を向ける。
「・・・許婚殿。初めに確認する。お主本当に・・・王子と共にこの旅、旅立つ覚悟は出来ているか?」
コロンは、あかねに向かって極めて真面目な表情で、そう質問した。
「も、もちろんよッ」
あかねがそんなコロンの問いに対して意気込んで叫ぶと、
「ならば・・・わしが今から言う事を、ちゃんと受け止めるのじゃ。それは、王子の為でもあるし、・・・何よりお主の為で もある」
「乱馬の為・・・?」
「そうじゃ」
コロンはそう言って、乱馬を占う時にそうしたように、水晶玉に手をかざして目を閉じた。
そして、
「・・・本当は同じ日に同じことを三回以上占うのはいけないことなのじゃが・・・結果が結果なだけに、ワシは5度、お 主がここに来るまでにお主を占った。だが、何度占っても、お主の占い結果は変わらない。とすれば・・・これは、お主にとって避けては通れぬ運命なの かもしれん」
「・・・」
「許婚殿。お主は・・・」


・・・
・・・・・・

・・・暗い部屋の中で。
蝋燭の灯り一つにともされながら、コロンはゆっくりとした口調であかねに占いの結果を伝えた。
結果が結果なだけに、それを伝えるコロンの表情も苦しそうなものだが、
それ以上に、 その結果を伝えられるあかねの表情も苦しそうに歪んでいた。
その身体も、がたがたと震えている。
「あたし・・・」
・・・全ての結果を伝えられた後、今にも不安で泣き出しそうな顔をするあかねに、
「・・・どうする?これは、お主がこのまま王子と旅立った時に起りえる出来事を占った事。このまま旅立てば、この事は必ずお主の身に起こるじゃろう。どうじゃ・それでもお主、王子と旅立つか?」
コロンは、最後の意思確認としてゆっくりとそう質問した。
「・・・」
あかねは、コロンのその言葉に一瞬だけ間を置いたものの、
「・・・一緒に・・・」
「ん?」
「一緒に・・・行きます。あたしは、至らない所も多いけどでも・・・乱馬の許婚だから。乱馬が困ってるときとか・・・辛い時とか・・・助けてあげたいんです。そういう時だからこそ、側にいたいと思うんで す」
あかねは、未だ震えている自分の身体を抱くようにしながら、きっぱりとそう言い放った。
「決意は変わらない、ということじゃな?」
「はい」
そんなあかねの真っ直ぐな眼差しに、コロンも覚悟を決めたように頷いた。
そして、
「・・・それだけしっかりとした意志があるのなら、わしは無理には引き止めん。これから先、この運命をどう受け止める か。それはお主次第じゃ」
「おばあさん・・・」
「そうだ、これを持って行くが良い。この武器は、少なからずきっと、この先お前の身を助けてくれるはずじゃよ」
コロンはそう言って、あかねに向って一本の棒を差し出した。
「これは?」
長さ、十五センチくらいだろうか。
何のことないただの棒だったが、真ん中よりちょっと上のあたりに、なにやら一つのボタンがあった。
「?ボタン・・・」
あかねがそのボタンを何気なく押してみると、

ヒュンッ・・・・

「きゃ!?」
・・・突然、その木の棒の先の方から、まるで「鞭」のようなしなやかな、輝く光が飛び出した。
「な、何これ・・・ッ」
あかねがその「光の鞭」の突然の出現に、驚きのあまりドキドキとした胸を抑えると、
「これはな、太古より流れいずる霊水で育てた霊木から作られた武器なんじゃよ。先ほど押したボタンを押すと、その ボタンを押したものの戦闘能力を十二分に引き出し、攻撃力に代えてくれる珍しい武器じゃ」
「すごい・・・」
「お主、いくら道場で格闘技をやっているとはいえ・・・わしが見たところ、王子やシャンプーよりも、腕力・魔力・格闘 術は数段劣る」
「・・・」
「もともとの体力や魔力が他のものより劣るのなら、その分強力な武器を使いこなして戦闘力を補うしかないじゃろ?お主、王子と共に旅を続けたいのじゃろう?」
コロンはそう言って、カカカ、と豪快に笑った。
「ありがとう、おばあさん・・・」
あかねはそんなコロンの心遣いに感謝し、深深と頭を下げた。
そして、
「あの・・お願いがあるんですが・・・」
「なんじゃ?」
「乱馬には・・・乱馬には、今の占いの結果は内緒にしてください。もちろんシャンプーにも。このことは、あたしとおばあさんだけの秘密ってことで」
コロンにそう念を押して、部屋を出ようとした。
「許婚殿よ」
コロンは、そんなあかねの背中に向って、最後に一言、声をかけた。
「・・・・カードを集める旅が終わった後に。お主に貸したその武器・・・お主自身の手で、必ずわしの元へと返しくる事を祈ってるぞ」
「・・・」
あかねはその言葉に声を出して返事をする事はなかったが、コロンに背を向けたまま、黙って1回だけ頷いてみせた。






「明日は、夜明けに城の入り口に集合だぞ」
「うん・・・」
・・・あかねがコロンの部屋をでて、再び二人は落ち合った。
そして、お互い急な出発のために準備も色々とあるだろう・・・と今日はそこでそのまま解散しよう、ということになった のだけれど、
「ああ、もうすっかり日が暮れてるや」
・・・城の外に出たら既に日が落ちていたのもあり、
「念のために、家まで送る」
夕闇を口実に、乱馬はあかねを城下にある彼女の自宅まで送るべく一緒に城下への道を歩いていた。
もちろん、乱馬がこうしてあかねの横を歩くのは、
「少しでも長い間二人でいたい」
そう思う気持ちが九割がたではあるのだけれど、 残り一割は・・・違った。
「・・・」
乱馬とて、先ほどのコロンの占いの結果は少しだけ気になる部分があった。
しかし、
「・・・」
コロンの部屋から出たあかねの、一言も話さないで何か考えているような・・・そこまで気になる結果ではなかった。
(占いの結果でも気にしてんのかな・・・それとも・・・あれかな)
乱馬は、ずっと黙っているあかねの横顔をチラチラと見ながら色んな事を考えていた。
占いの結果を気にしているのでなければ・・・あかねが不機嫌と言うか気にしているのは、やっぱり・・・
「あ、あのな・・・シャンプーが俺にいきなりキスしてきたのはな、あれは本当に俺の意志なんて無関係な出来事 で・・・」
・・・と、乱馬は心当たりがある出来事を、あかねが別に聞きもしないのに勝手に弁解を始めるも、
「べつに、そんな事聞いてないわよ」
「そ、そう・・・?」
乱馬がびっくりするぐらい、あかねは何だかそっけなかった。
それはそれで少々傷つきつつも、
「・・・なあ、どうしたんだ?何か様子変だぜ?」
乱馬は、そんなあかねの様子がやっぱり気になって仕方がない。
なので、
「・・・あのさ、旅出るのが不安だったら、やっぱりお前ここに残っ・・・」
乱馬が思いきってそんな提案をしようとすると、
「行くわよ!」
・・・あかねが、急に大きな声で叫んだ。
「わッ・・な、何だよ急にッ」
突然あかねが叫んだことで、乱馬がびくっと身を竦めると、
「あ・・ご、ごめん。でもあたし、絶対に旅にはついて行くんだからッ・・・」
あかねは慌てて身を取り繕って、穏やかな声を出した。
「わ、わかったよ。いきなり大声出すなんて、変な奴だな」
「ご、ごめんごめん。ついつい」
ぼやく乱馬に、あかねは「ごめんね」と笑って見せながらその場をやりぬける。
・・・が、その心中はその笑顔とは全く別のものだった。



・・・日が暮れていて、よかった。
あかねは、心からそう思っていた。
日が暮れていなかったら・・・今にも泣き出してしまいそうなこの歪んだ顔を、乱馬に見られてしまう所だった。
こんな顔を見てしまったら、乱馬なら絶対、あかねを旅に連れて行くことを躊躇するだろうし・・・心配する。
旅立ちの前に、乱馬に余計な心配をかけることだけは、あかねはしたくなかった。


「乱馬、もうここでいいよ」
・・・それから程なくして。
次の角を曲がればあかねの家へと着く・・・そんな路地へと差しかかったので、あかねは乱馬へとそう告げた。
「なあ・・・お前、本当に大丈夫なのか?何かさっきから様子が・・・」
さっきは上手く誤魔化されたにしろ、やはりあかねの様子がどことなくおかしいことが気になる乱馬がそれを口に出そ うとすると、
「乱馬」
あかねは、わざとその言葉を遮るようにして乱馬に話しかけた。
そして、
「・・・お願いがあるの」
そういって、ちょっとためらいながらもじっと、乱馬のほうを見た。
「おねがいって?」
あかねからお願いされる事なんて、道場の天井修理と手合わせぐらい。
なので改まってのお願いに乱馬が少し驚いていると、
「うん・・・。あの・・・あのね」
あかねは、そんな乱馬の服の袖をぎゅっと握り締めた。
そして、
「・・・ちょっとだけ・・・」
「え?」
「一度でいいから・・・ホンの少しでいいから・・・」
「?」
「・・・抱きしめて欲しい」
「え!?だッ・・・だッ・・・抱きッ・・・え?!」
・・・あかねの予想外の提案に、夕闇でも隠し切れないぐらい真っ赤な顔をしながら乱馬がどもっていると、
「お願い」
あかねは、そんな乱馬の返答を待たずに、自ら乱馬の胸へと飛び込んだ。
「え・・・・・ど、どしたの?」
乱馬は、真っ赤な顔で尚且つオロオロとしつつも、本能には逆らえないのか腕だけはぎゅっと力を込めてあかねを抱きしめる。
そして、
「あの・・・だ、抱きしめるだけでいいの?」
あかねにも伝わってくるくらい激しく胸を鼓動させながら、しっかりとあかねを抱いてそう聞いてくる乱馬に、
「・・・うん」
あかねは、小さな声でそう答えた。
「そっか・・・」

・・・抱きしめる、「それだけ」でいいのか?と聞いた乱馬と、
ただただ、「抱きしめて欲しい」・・・そう願っていた今のあかねとの思いは、若干すれ違いぎみだったが。


「ありがと、乱馬」
自分の中の気持ちをようやく落ち着かせて、あかねはそっと、乱馬の身体を押し返した。
「あ・・・うん」
乱馬がちょっとだけ、名残惜しそうな顔をした。
けれどあかねはそれには気がつかないまま、
「明日から・・・」
「え?」
「明日から、頑張ろうね。カード、ちゃんと全部集めなくちゃね」
・・・そう言って、乱馬に対して久しぶりに笑顔を見せた。
「そ、そうだな・・・」
ようやく笑顔を見せたあかねに乱馬が少しホッとしていると、
「じゃあね!明日、また夜明けに・・・!」
あかねは、乱馬にそう叫んで家のほうへと駆け出した。
「・・・」
乱馬はそんなあかねの姿が自分の視界から見えなくなるまで見送りながらも、その胸中はいろいろと複雑な思いが 巡っていた。
(ど、どうしたんだろうな、急に・・・だ、だ、抱きしめてほしいだなんて・・・)
未だ腕に残るあかねの身体の感触に浸りながらも、
(ちぇッ・・・妙な遠慮しないであのまま強引に・・・)
そんな事を考えては一人赤くなったり。
(でも・・・何であんな事を・・・。やっぱ・・・やきもちか?ヤキモチ・・・うーん)
そんな事を考えては、顔が緩みそうになったり、
(それとも・・・あんま占いの結果が思わしくなかったのかな?)
そんな事を考えては、ちょっと心配になったり。
(・・・まあでも、最後は笑ってたし・・・きっと明日になったら大丈夫だろうな)
・・・それに、明日からは自分も新たに旅に出かけなければならないのだ。
その旅立ちに、きっとあかねは笑顔で一緒に参加してくれるだろうと信じる事にして、乱馬も自分の居城へと引き返していった。




・・・こうして。
様々な思惑を胸に、
乱馬・あかね・シャンプーの三人は、翌朝夜明けをまって・・・「カード集め」の旅に出発したのであった。

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