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暁の約束7

「・・・ほう、先程適わないのを思い知ったのにも拘らず、また私に立ち向かいますか」
程なくして。
魔法陣から出た乱馬、良牙、シャンプー、ムースの姿を見たリエンが、そんな四人を見ながらにやりと笑っていた。
あかねと右京は、魔法陣の中で身を寄せ合っている。
・・・そんなリエンに向かって、まずはムースが動いた。
いよいよ、作戦開始である。
「火炎双璧!」
ムースは用意した魔道具にそう声語りかけ、リエンの目の前に炎の列を出現させた。
ブワッ・・・と熱風があたりに立ちこめ、ボボボボッ・・・と音を立てながら紅蓮の炎が次々と地面から立ち上った。
本来は単純な炎攻撃の為の道具であるが、使い方次第では、壁のようにも出来るようだ。
ただ、突如現れた炎は辺りの空気を異様に乾燥させる。 思わずその炎の傍に立つ乱馬と良牙はむせ込んだ。
「ふん、このようなもの、私には何のダメージにもならない」
が、一方のリエンは近くに落ちていた石を拾い、さっそく得意の能力でそれを「鋼鉄の盾」に変えると、ゆうにその炎を凌いでいる。
ムースはそんなリエンに動揺することなく、続けて別の魔道具を取り出し再び語りかけた。
「疾風波!」
すると今度はその魔道具中心に突風が吹き出して、乱馬たちの前に列を成している炎の壁を、もっとリエンの傍へと押しやるように吹きすさんだ。
その鋼鉄の盾を、炎が飲み込まれるかのように伸びてきたことには流石のリエンも驚いたのか、
「くっ・・・」
炎をどうにかして傍によさせまいと必至に、盾で炎を押し返そうともがいていた。
恐らく、炎などもろともしない鎧や仮面などを錬金能力を利用して作りたいのだろうが、炎と風がそれをさせないように邪魔をしているのだ。
それに加え、
「今じゃ!」
そんなリエンの様子を見つめていたムースが、魔道具を支えながら叫んだ。
「うおおっ・・・」
「せやー!」
それを受けて、炎の中をくぐるように、乱馬と良牙が突き進んでいく。
そしてシャンプーは、そんな彼らとは別の場所で静かに魔法詠唱を始めた。
「しまった!」
こんな状況で魔法を、しかも見るからに強力な魔導士と見受けられる者に魔法を打たれてはたまらない。だいたい、打たせないために厄介な魔法陣を用意したというのに。
「させませんよ!」
リエンはそちらを食い止めようと、炎を防いでいるのとは別の手で自らも魔法を繰り出そうと構えるが、
「させるか!」
ビシュッ・・・
リエンが魔法を繰り出そうと伸ばした左手に、乱馬がすばやく強烈な蹴りを入れた。
「くっ・・・邪魔なっ・・・」
よろけながら、再び炎をよけつつ魔法を繰り出そうと手を伸ばすも、
「おりゃ!」
ヒュンッ・・・良牙が頭に巻いていたバンダナを縦横無尽に投げつけてはリエンのその行為を中断させる。
「おのれっ・・・」
炎を防ぎつつ、乱馬と良牙の攻撃を防ぐ。流石のリエンも、それだけで今は手一杯のようだ。
自らの目の端で魔法を詠唱しているシャンプーを、阻止するまでには至らない。
「おお、なんかいい感じだぞ!」
何だか、勝敗の流れが自分達に向いてきた証拠だろうか。
乱馬と良牙は、とりあえず指示どおりに流れているこの状況に思わず喜びの声を上げる。
ところが、
ジジ・・・ジジジジ・・・
「あ、あれ?」
「おい・・・」
そうこうしている内に、それまでリエンを苦しめていた炎と、風が徐々に収まり始めた。
それまではむせ返るような熱風が辺りを覆いリエンをも苦しめていたが、今でははっきりとリエンの表情も見え、そして呼吸も通常に出来るようになっている。
「おい、ムース!」
乱馬は慌てて背後に控えているムースに声を掛けると、
「魔道具には使用時間に制限があるのじゃ」
ムースは、淡々と恐ろしい答えを返してくる。
「なんだとー!?」
乱馬がぎょっとしながら大声で叫ぶと、
「フッ・・・運は我に味方をしたということですな!」
ビュオッ・・・
形勢逆転、とばかりに、リエンが残りわずかに蔓延していた炎を、鋼鉄の盾で振り払った。
そして、すばやく全身に鋼鉄の鎧、仮面、コテなどを身につけるべく辺り一体ものを、鉄製のものに変化させた。
「あ!」
・・・これでは、リエン自体にダメージを与えることが出来ない。
せっかく今まで作戦通りにことが進んでいたのに・・・と、乱馬と良牙は地団太を踏む。
「・・・」
ところが、ムースはそんなリエンの様子に慌てることなく、
「二人とも、早くこちらに走るのじゃ!」
何故そのような指示を出すのかわからないのだが、そんな事を叫んだ。
「ああ!?ったく、なんなんだよ、もう!」
「せっかくの作戦が、あいつのせいで台無しじゃねえか!」
・・・魔道具の有効時間くらい把握できなかったのか?
乱馬と良牙は、走りながらそんな不満をムースへと抱く。
乱馬に至っては、
・・・鋼鉄の鎧を傷つけるのは、素手ではなく刃物のほうがいいだろう。
だが、唯一の乱馬の武器、勇者の剣はあかねが守っている。
それを取りに戻るのが適策だとでも言うのか・・・ならば、初めから自分が持っていれば二度手間にもならないし、あかねに迷惑だって掛けなくてすむのに。
そんなことまで思っていた。
と、それとは別に、
「・・・生まれ出づる光よ、天から降り注ぎし力となりて走れ!・・・蒼雷撃!」
乱馬たちとは別行動で魔法を詠唱していたシャンプーが、ようやく詠唱を終えたのか、そう叫びながら空高く手を突き上げた。
その瞬間、シャンプーが突き上げている左手の手のひらから、ジジ・・・ジジジジ・・・と明るい緑色の光を帯びた電撃が、渦を巻きながら大きく生まれる。
そして、人をゆうに五人は飲み込むくらいの大きな渦を作り出した後、ムースの指示通りその電撃を・・・空へと向かって放出した。
「おやおや・・・危機的状況に陥って、倒すべき敵の方角も分からなくなりましたかな?運に見放されると、魔法の腕も鈍りますな!」
シャンプーが、標的の自分ではなくぜんぜん無関係の空へと向かって電撃魔法を放出したことが、リエンはおかしくて仕方がないようだ。
鋼鉄の鎧に身を包み、仮面に顔を隠されながらも、高笑いしている憎憎しい声だけは乱馬たちの下へと届く。
「おい、ムース!こんなんでっ・・・」
本当にいいのかよ?
作戦自体もきちんと理解していないし、それに結局は危機的状況に陥った。
しかも、頼みの綱のシャンプーの魔法詠唱も、空に向かって繰り出されては空振りだ。
こんなんで本当に勝てるのだろうか?
やはり旅に加わったばかりのムースを信じてもよかったのか?
乱馬はあらゆる不満を思いながらムースに向かって叫んだ。
が、
「・・・何をしておる、走れ!」
「へっ?」
「いいから!お主、あの娘を守るんじゃろ!?傍にいるのに、おらが守ってもいいのか?」
「!」
「あの娘に怪我をさせたくなかったら、今すぐ走ってお前が盾になれ!よいな!」
ムースは突然、自分の元に走り寄ってきた乱馬の言葉を塞き止めそう叫んだ。
「え、おい・・・」
走って来いと言われたからムースの元へと来たのに、今度はあかねの元へと走れ?
一体どういうことだ?
乱馬は困惑してしまう。
がムースは、
「良牙!おぬしはあの髪の長い女子を守れ!よいな!」
「お、おお・・・?」
乱馬の背後でボーっとしている良牙にも口早にそう指示を出し、自分はさっさと、魔法を詠唱し終わったままその場に留まっているシャンプーの元へと走っていってしまった。
「・・・」
・・・何故、ムースがこんな指示を出すのかは全く分からない。
でも、「盾になれ」というからには、きっとこれから何かが起きるに違いない。
ムースに指示されるのは癪に障るし、本当にそれで大丈夫なのかもわからないが、「あの娘に怪我をさせたくなかったら」というその言葉は何だか気になる。
「良牙、うっちゃんは頼む!」
「わ、わかった・・・」
乱馬は心を決めると、良牙に一応確認がてら指示を出して、魔法陣の中へと走り込んだ。
そして、
「え、ちょ、ちょっと何、乱馬っ・・・」
バサッ・・・
剣を抱えて中で待機していたあかねを強引に地面に押し倒すと、あかねが身につけていた王家のマントをさっと、取り外した。
そして、倒れたあかねに覆いかぶさるように抱きつくと、そのマントを自分の体の上から掛ける。
良牙も、
「な、何やあんたはっ・・・いきなり駆け寄ってきて、何でうちに触るん!?痴漢か!」
「誰が痴漢だ!あいにく俺は、お前なんて趣味じゃねえ!」
「う、うちかてお断りや!」
「でもなあ、何か知らんが、俺はお前を守らなくちゃいけねえらしいんだから仕方ねえだろ!」
「はあ?」
「だから大人しく守られろ!分かったな!」
「そ、それなら仕方ないけど・・・何なん?」
乱馬の王家のマントほど強力な防御力ではないが、良牙は自分のマントと、そして右京が持っていた荷物に絡んでいる布を合わせて自分の体に掛けると、右京を包むようにしてしゃがみこむ。
ムースは、
「シャンプー!」
「・・・」
「シャンプー!しっかりするだ!」
「ムース・・・何あるか、騒々しいあるな・・・」
・・・強力な魔法を打てば打つほど、魔導士の体力、そして意識は朦朧とする。
シャンプーは、全ての力を消耗すると「猫」になってしまうという得意な体質を持っている。
だから、まだ人の姿を留めているだけに体力も魔力も限界というわけではないみたいだが、それなりに力は消耗しているみたいで、フラフラとしていた。
「シャンプー、よくやったな。あとはおらが守ってみせるぞ」
呼びかけにも反応が鈍いシャンプーを背中にかばったムースは、
「壁水!」
詠唱に時間がかからない程度の手軽な防御魔法を唱え、シャンプーを庇うように地面へと屈んだ。
「はっ・・・そんな事をして何になる!」
リエンは、急に防御体制になった乱馬たちを鼻で笑っていた。
そして、
「さあ、そろそろ止めを刺してあげましょうか・・・」
そんな事を言いながら、乱馬たち全員に当たるような強大な魔法を放出すべく、また左手を前に差し出し、ゆっくりと構えた。
「良牙っ、あんたしっかりうちの盾になりい!」
「あー、なんで俺がこんなヤツを守って死ななくちゃいけねえんだっ」
その様子を目の端に捉える良牙と右京はそんなことを叫んでいる。
乱馬もリエンの様子を目の端には捉えるが、
「・・・」
このまま、リエンの放つ最強の魔法を受けるのか?
だから、こうして俺が、あかねの盾になれというのか?
・・・そんなことを、マントの下で考えていた。
自分が盾になることなど、何の苦でもない。むしろ、それであかねが無傷ですむのなら自ら望んでそうなろう。
でも、リエンの力は強大なはずだ。しかも今度の魔法は、あかねが交わした時よりももっと強大なはず。
自分の体が消し飛んでも、あかねを守りきれるかどうか・・・乱馬にはそれが不安で仕方がなかった。
本当に、こんな展開になる以外、戦い方はなかったのか。
ムースの作戦なんて、信じなければよかったのか・・・。
結局作戦は、失敗したとしか言い様がないのか。
「・・・」
・・・怪我、させたくねえな。
痛い思いなんてさせたくないのにな。ああ・・・俺がもっと、もっと賢くなってちゃんと作戦を立てれるようにならないと。
俺がもっと、もっと・・・どんな強い敵からもあかねを安心して守れるように努力しなくちゃ。
「・・・」
乱馬の胸の中は、そんな思いで一杯だ。
「乱馬・・・?」
自然と、ギュッ・・・とあかねに抱きつく力が強くなる。
あかねが乱馬に小声で話し掛けると、
「絶対に守ってやるからな・・・」
「乱馬・・・」
「大丈夫だから・・・」
乱馬は、そっと目を閉じてあかねの頬に頭を寄せると、覚悟を決めて呼吸を整えた。







・・・ところが。






・・・シャンプーが天に放った雷は、徐々に渦をなしていた。
そして、放った時よりも更に、大きなものへと力を変えていた。
どうやら、これまでの戦いで巻き起こった熱気などが、空で渦を巻きながら電撃と結びついたようだ。
そして、それはジジジジ・・・と無気味な音を立てしばらく空を彷徨っていたが、その内「とある地点」を目指して、集中して降り落ちた。
そう、それは攻撃の手をやめた乱馬達のことを馬鹿にし、油断して魔法詠唱をしていたリエンの体。
鋼鉄を身に纏ったリエンの体は、辺りに目立った大きな木や、建物などが無い墓地の中に突如現れたテイのいい避雷針。
人を飲み込むほど巨大化し、そして更に空で大きな物へと姿を変えていた電撃を、彼はまんまと受けてしまったのである。
ムースの作戦は、炎と風の壁と乱馬たちでリエンの気をそらしている間に、シャンプーに雷系の魔法を詠唱させること。
そしてその魔法を空に放たてることだった。
一見、スカスカで穴だらけ、そして意味不明の作戦かと思われた案だが、実はそんなに単純な物ではなかったのだ。
魔道具から巻き起こる炎と風が辺りを包む時間は、恐らくシャンプーの魔法詠唱時間とさほど変わらないだろう・・・ムースはそう考えたのだ。
そして、その魔道具の影響がなくなった時、ずるがしこいリエンならば、それらの攻撃を警戒して、能力を駆使して鋼鉄の鎧やら何やらで全身を覆うはず。
金属は、雷の媒体になる。ここは、元々は町外れの墓地だ。金属のものなど、殆どない。
乱馬が使用する剣も、魔法素材も混じって入るものの、一応金属だ。
だから、念のために乱馬の勇者の剣は、あかねに守らせた。これならば、万が一乱馬がリエンの傍にいて攻撃をしている最中に電撃がリエンを襲ったとしても、乱馬が自身が感電することはない。
ただ・・・直接感電はしなくとも、強力な電撃魔法が全身鋼鉄の男に降り注ぐのだ、それなりの衝撃が、起こる事は必須。
ゆえに、魔道具の効果が消えて、シャンプーが雷を放って空からそれを降らせるまでに、どれだけリエンから離れ、そしてその衝撃を回避するかが問題だった。



「ぐわー!!」


ドオオオン!
ゴゴゴゴ・・・ズゥン・・・・!


巨大な電撃が、激しく光を放ちながら、細身の槍のように姿を変えリエンの体へと降り落ちた。
降り落ちたときに起こったその衝撃に、大地が轟音を立てて揺れていた。
「うわあ!」
「きゃー!!」
ドオン、ドオン・・・と、あたりに地鳴りと、そして風が巻き起こる。
「くっ・・・」
バタバタバタ・・・とマントが風であわただしく翻る。
身をも舞わせようとする風に耐えるように、それぞれがその場に必至に身を固めていた。
リエンの体も、身にまとっていた鎧を一瞬で黒焦げにさせるほどの衝撃を受け、モウモウ・・・と白い煙を上げている。
「た、助け・・・」
魔法の詠唱中だったこともあり、まさか天から雷が降り注いでくるとは思わなかったのか、油断しきっていたリエンの体へのダメージは大きい。
しかもその魔法を放ったのが、世界で三本の指に入る有能な魔導士、一国の宮廷魔導士の孫娘。
たとえまだまだ未熟とは言えど、なかなかの腕の持ち主だ。その威力は計り知れない。
「うぐ・・・」
リエンは、その内小さな声でそう洩らすと、そのままぐったりと・・・地面に倒れてしまった。
・・・
「・・・」
・・・一同は、風と地鳴りが収まるのを待って身を起こした。
「・・・大丈夫?」
「うん・・・」
パラパラパラ・・・と、少し体を起こすだけで、衝撃により巻き起こった瓦礫が体から粉のように降り落ちていた。
乱馬も、自分の体の下で庇っていたあかねを起こし、声を掛ける。
あかねは小さく頷き、
「乱馬・・・これ」
そして乱馬に自分が守っていた剣を手渡した。乱馬があかねを守っていたように、あかねも剣を守っていたのだ。
乱馬はそれを受け取り、腰に挿しだ。そして、
「あー、何とか収まったな・・・」
「はあ・・・驚いた。良牙、もっとしっかりうちを守ってや?おかげで髪の毛がぼっさぼさや!」
「お前、御礼を言うとかまずそういう心は無いのか・・・?」
「だって、あんたうちを守るように言われて守ってたんやろ?なら、守って当然やん。何でお礼なんていわなあかんの?」
「・・・可愛くねえ女」
「おおきに。よう、言われますー」
すでに元通りに立ちそんなやり取りをしていた良牙と右京や、
「シャンプー、無事か?」
「・・・これぐらい、平気ある」
まだ少し、フラフラとしていたシャンプーを立たせながら話し掛けているシャンプーとムース。
一応辺りを見回して、全員が無事かどうかを確認すると、
「・・・」
ゆっくりと、丸焦げになって地面に倒れているリエンの元をへと歩み寄った。
良牙たちも、そんな乱馬の姿に気が付いて、その後に続いてリエンの元へ歩み寄る。
・・・落雷を受け、真っ黒に焦げて動かないリエン。
その体の上に・・・いつの間にか何か、光るものが乗っていた。
それはポウ・・・と微かに白い光を放ち、黒焦げのリエンの体とは対照的な鮮やかさを醸し出している。
「・・・カードだ」
乱馬が恐る恐る手を伸ばし、リエンの体の上に現れたものを手に取った。
それはリエンの精神を蝕んでいた例のカードだった。
カードには、「\」という数字と、老人とランプの絵が描かれていた。
「・・・隠者のカードある」
シャンプーが、ぼそっと呟いた。
「・・・」
乱馬は静かに頷くと、そのカードを腰のカードフォルダに差し込んだ。
カードフォルダは隠者のカードを含み一度だけ白く、輝いた。
がその光はすぐに収まり、そのまま何事もなかったように元に戻る。
「・・・なあ、リエンは死んでしもうたん?」
地面に倒れて丸焦げになり、全く動かないリエンを見ながら、右京が呟いた。
「・・・そうあるな」
シャンプーは、右京の問に静かに答え、そして動かないリエンから目をそらした。
・・・状況が状況だったとはいえ、結果的には自分の魔法のせいで人を殺めてしまった事は、改めて考えると胸が痛む。
例え、そうしなければ自分達が殺されていたと分かってはいるけれど。
「・・・」
そのシャンプーの心情を察して、ムースがシャンプーの肩を優しく叩いた。
「・・・」
乱馬と良牙も、複雑な思いで倒れるリエンを見ていた。
例えカードに操られ人々を苦しめていた悪い者とはいえど、こんな風な結末を迎えた事は、胸に重い物を残していた。
旅を続ける、カードを集める、そして戦う・・・それ故に、必ず起こらざるえない自体だとは、頭の中では理解をしているつもりだ。
でも、実際にそれを目にすると・・・どうしても、割り切れない複雑な気持ちが、残る。
この旅は、ただ楽しいだけの物ではないのだ。改めて、それを感じさせられたような気がした。
「とにかく・・・このままじゃ・・・」
「そうだな・・・」
とりあえず、死した後までその罪を引きずらせるのは気の毒だ。
乱馬と良牙は、まずリエンの身体を墓地の片隅に埋めてやろうと・・・場所を探し辺りを見回した。
「気の毒に・・・」
あかねも、地面に倒れ丸焦げのリエンの姿に、小さな声でそう囁いた。
・・・人間の心の弱さに、このカードはつけ込むという。
逆に言えば、強い意思を持つ人間・・・そう乱馬のような人間には、カードを手にしても殆ど影響などはない。
でも、人間は強い者ばかりではない。
このリエンのように、ちょっとした欲望を持ったがためにこうして、カードに魅入られて操られ、そして・・・命を落とすのだ。
こんな危険なカード、早く持つべきもののところで全て保管したほうが良い。
こんな風に、誰かが誰かの命を奪ってカードを手に入れるだなんて、間違っている・・・
「・・・」
それだったら、影響の無い乱馬がまずは、このカードを全て手に入れて、
そして、カード自体の力が反発してまた世界中に飛び散ってしまう前に、コロンに頼んで魔力を消すような何かをあてがって貰おう。
ううん、いっそのこと・・・カードを手に入れたものが一つだけ、何かの願いを叶えることが出来るというその特性を利用して、カードの魔力を無くしてくれと、願うべきかも知れないな。
・・・
「・・・安らかに」
あかねは、良牙と乱馬がリエンを葬る場所を決めているその傍で、そう呟きながらそっと、黒焦げのリエンの体へ触れた。


と、その時だった。


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