【らんま1/2の二次創作小説サイト】| INFORMATION | NOVELS |BOOKMARKS |CONTACTS | HOME |web拍手

時の鍛錬 2

一方、その頃。

 

「ん?どうしたのじゃ、姫君」

ラヴィの居城の一角、タームの部屋にて。
今日も、時間は短いが真之介の計らいでこの部屋に来ることを許されたあかねであったが、それまで窓の傍で椅子に腰掛け古代魔法についての知識をつけるべく本を読んでいたが、突如その本を床に落とした。
「本が分厚くて、持つのが辛いか?はは、女子はやはり可愛いのう」
何度か一緒に時間を過ごすうちに、すっかり孫娘のような扱いを受けるようになったあかね。
タームも、待ち受ける運命は切迫して緊迫したものではあるが、あかねとこうして過ごす時間だけは、祖父と孫娘の緩やかな雰囲気を醸し出していた。
そんな孫娘のようなあかねに対し、タームは皺くちゃな顔を更にくしゃくしゃにしながら微笑む。

「タームのおじいさん・・・」
が、あかねはそんなタームに対して何だか浮かない表情をしてみせる。

「どうした?姫君」
「今・・・なんて説明してよいか分からないのだけれど、すごく『嫌』な気が体中に走ったの」
「『嫌』な気・・・?ラヴィか?いや、ラヴィの魔法は短時間だがシャットアウトしているはずだが・・・」
「ラヴィではないわ。真之介でもない。これは、違う・・・なんていうか、『嫌』だけれど『悪』ではない」

人の迷い、というか・・・戸惑いというか、ちょっと触れたら粉々になってしまいそうな、不思議な『気』だわ。あかねはそう言って、本を床から拾い上げると腰掛けていた椅子から立ち上がった。
そして、タームの魔法で守られてはいるが眺めることが出来る外へと窓から目をやる。

・・・あかねがこんな不思議な感覚に見舞われたのは、初めてだった。
一体この『気』は何なのだろう?
先ほどタームにも説明したが、『嫌』ではあるが『悪』ではない。
そして、ちょっと触れれば粉々になってしまいそうなほどの脆さも感じる。

何だか、妙な予感がする。あかねは自分の胸元でぎゅっと手を握り合わせた。
そんなあかねに対し、

「・・・心を通じ合わせているものには、お互いの喜びも辛さも、伝わる」

タームがぽつりと、そう呟いた。
あかねがその言葉にタームのほうへ振り返ると、

「ほら、よく言うじゃろう?健やかなる時も病める時も、お互いを支えあい共に生きることを誓うか?と」
「牧師様がおっしゃる、結婚の誓いのお言葉ですね」
「心を深く通じ合わせているもの同士にはそのような不思議な感覚があるそうじゃから、結婚する際だけでなくそういう時も、その言葉は有効だそうじゃよ」
「・・・。じゃあ、この『嫌』な感じは・・・」
「もしかしたら、姫君のお相手に何か良からぬ事が起こっているのかも知れぬな」

タームはそう言って、ため息をつく。

タームとてあかねは可愛いし何とか助けてやりたいとは思っているが、何せラヴィの居城の中に居る分、外部へはどうすることも出来ない。

「乱馬・・・」

それはあかねも同じであった。
もしも乱馬に何か起こっているのならば何とか力を貸してやりたいと思うが、今のこの状況では、駆けつけることはおろか、どうにもすることが出来ない。


残忍で非道、冷酷なラヴィとは正反対のオーラを持つ乱馬。
太陽のように明るく、そして柔らかく暖かい光を持つはずの彼に一体何があったのか?
伝わってくる感じだと、多分物理的に痛手を負ったというわけではなさそうだ。
とすると、心の痛手・・・一体、何があったのか。

「・・・」
あかねは再び窓際に戻ると、椅子に腰掛静かに目を閉じ手を胸の前で組んだ。
そして、その手に唇をつけるようにしてただひたすら、彼の姿を思い浮かべる。

・・・もしも乱馬に何か辛いことが起きているのなら、救ってあげたいと思う。
出来れば、自分が身代わりになってでも、とも思う。
だが、物理的にどうしても今、すぐに傍に駆け寄って寄り添うことが出来ない。
自分に今出来ることは、乱馬のためにただただ祈ること。
もしも彼が・・・彼が何らかの理由で闇の中を彷徨いそうになっているのなら、一筋の光を見出して道を照らし出してあげたい。

「・・・あなたは、負けない。大丈夫よ、乱馬・・・」

彼が今、どんな闇と戦っているかは分からない。
でも、それがどんな闇であったとしても・・・きっと彼は打ち勝つことが出来るはず。
そう信じている心が、乱馬に伝わりますように。
そしてその心が、一筋の光となって乱馬の前を照らし出しますように。

「・・・」
『嫌』な気は、依然としてあかねの心に刺さっているような感覚。
あかねはその気が消えるまで・・・と心に決め、ただひたすら、遠く離れた許婚を思い祈り続けたのだった。


RUMIC'S NOVELS LINK

パラレル
糖度2
糖度3
糖度4
糖度5
企画

OTHER CONTENTS

■オリジナル作品(外部サイト)
お仕事情報

THANKS!

TOTAL: HITS(Y:)