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パンダシリーズDパンダ子パンダ孫パンダ

1

「遊馬ー、ちょっとこっちにいらっしゃーい」
「はーい!」

…月日は流れ、十年後。
俺とあかねも、もう二十六歳。結婚してから大分経ち、俺達の間には子供も生まれている。
長男の遊馬も、今年で五歳。幼稚園では年長さんだ。

その遊馬を、最近ではすっかり母親らしくなったあかねが、笑顔で呼んだ。
どうやらあかねは、遊馬のお遊戯会で使う衣装を用意していたらしく、
「出来たわよー、遊馬」
「わーい!」
そんな事を言いながら、駆けてきた遊馬ににっこりと微笑んでみせる。
…昔は不器用だったのに、母親になるとやっぱり変るんだなあ。
ちゃんと「身につけられるもの」を作れるようになったあかねの姿に感心しながら、
俺はそんなあかねと遊馬の背後で一人、新聞…といってもスポーツ欄だけれど…を読んでいた。
「さ、遊馬?ちょっとこれ付けてみて?」
「うん!」
俺の背後では、あかねがそんなことを言いながら、遊馬の身体に白い布を被せた。
「大丈夫?苦しくない?」
「うん!」
「じゃあ、次はこれね?」
そして次に、遊馬の頭に帽子らしきものをちょこん、と乗せる。
それは、動物を形どっているものなんだろうか。
白い帽子に、黒い三角形の耳らしきものが二つ、ちょんちょんとつけられている。
側面には、黒くて丸い小さなボタンが一つ。そして、黒い丸型フェルトが二つ。
その中には三日月型の白い細いフェルトがそれぞれ一枚づつ貼り付けられている。
マジックでその白のフェルトの中心には点がひとつづつついている。

「…パンダか」

遊馬に帽子を被せているあかねに俺がぼそっと呟くと、
「そうなのよ。遊馬ね、お遊戯会でパンダさんの役をやるのよー。ね?遊馬?」
「うん!」
あかねと遊馬は、楽しそうに笑いながら俺にそう報告する。
「そうか。それじゃあお父さんもちゃんと見に行かないと…ん?」
俺もそんな二人に対してにこやかにそう答えていたのだけれど。
遊馬が頭に被っているその帽子を良く見ているうちに、俺は妙なことに気がついた。
…遊馬が被っているその、パンダ帽子。
前の部分には、鼻やら目やら、「顔」と思われるパーツがつけられている。
そう、それは良くわかる。
でも、その帽子の後ろの部分…「顔」の反対側の部分に妙なパーツがくっつけられていることに俺は気がついた。
「顔」の反対側なんだから、それはパンダの「頭」、それも後頭部部分になるのだろうけれど。
その部分に、小さな丸型の黒いフェル三つと、三角形のフェルトがぶら下がっていた。
丸型のフェルトは縦一列に繋がっていて、三角形のフェルトは、繋がった丸いフェルトの一番下に、ちょこんとつけられ ている。

「おい」
「なあに?」
「なんだ、その丸と三角のおまけは」
「やあね、何言ってんのよ。お下げじゃない。見てわかんないの?」
「わかんねえよ」
俺がぼそっと呟くと、
「またまた、そんなこといっちゃって。あんたにもついてるでしょ」
やあねえ、なんていいながら、あかねはペンペン、と俺の肩を叩く。
そして、
「遊馬ねー、お遊戯会でお父さんパンダの役をやるんですって」
「…ほー」
「お下げをつけないと、お父さんじゃなくておじいちゃんになっちゃうでしょ?ね?遊馬?」
あかねは、笑顔でそう言うと、にっこりと遊馬に話し掛ける。
「うん!これで僕もパパになったよー」
遊馬も、嬉しそうににこにこと笑いながらお下げパンダの帽子を被りながら、俺の膝の上へとぴょんと飛び乗る。
「はは…俺かあ、それ…」
俺が、引きつった笑顔で遊馬をあやしながら帽子をじっと見ていると、
「うふふ、これでお義父さんがここにいたら、パンダ子パンダ孫パンダね。お義父さん、早くお風呂から上がってこない かなー」
あかねが、そんな俺と遊馬を楽しそうに眺めながらそんな事を呟いていた。
「パパー」
「はは…」
人懐っこい顔で俺に抱きついてはじゃれている遊馬をあやしながら、俺は心の中でそっとため息をつく。

 

…こら、あかね。
何年経っても、おめーはそこだけはかわらねえのか?
子供ができても、かわらねえ、その強い意志は何なんだ?
なあ、あかね。
十年前から何度も何度も、俺はおめーに言っているとは思うけれど。

俺はパンダの息子じゃねえー!


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