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パンダシリーズAああパンダ親子

1

…ある日曜日。
俺とあかねは、電車に乗ってとある動物園へとやってきてデートをしていた。
シャンプー達が追いかけてくる心配も無く、
なびきに影から盗み撮りされる事も無く、
買い物帰りや散歩中の家族にばったりと遭遇する事だって、ここではない。
「へへ…」
「もー、何笑ってんの」
「だーってさ」
動物がいる檻の前を、のんびりとあかねと手を繋いで歩きながら、俺の顔は自然に緩む。
「こうやって堂々と歩けるの、久しぶりじゃねえか」
そして、繋いでいるあかねの手を、更に強くきゅっと、握る。
「そうよー。いつもは乱馬のせいでのんびり出来ないんだから」
あかねは、いたずらっ子のような笑顔でそう言うと、身体ごと俺の腕へと寄り添う。
「…でも、今日は違うからな」
「そうね」
「のんびりしような」
「うん」
…そんなあかねも、何だかいつも以上にずっと、ずっと可愛く思える。
俺たちは、普段道を歩く時よりも少しだけくっつきながら、動物園の中を回っていた。

…と。
「あら…」
「ん?」
「ほら、あれよ」
それまで俺とくっつきながらニコニコしていたあかねが、とある方向を指差しながら、そう呟いた。
俺がその声に立ち止まり、あかねが指差した方向を見てみる、と。
「…」
…そこは、とある動物の檻。
この動物園でも人気があるのか、檻というよりは、直接手で触れられないように外側からはガラスでカバーされてい る、その檻。
他の動物達に比べて間近で見ることが出来ないにも関わらず、
「かわいいー!」
「こっちむいてー!」
…と、小さな子供達には人気があるようで、檻の前は常に家族連れやら若者やら子供やら。老若男女でいっぱい だ。
しかし、中にいる動物はそんな人間達にはお構いなし。
檻の中でのんびりと…親子でくつろいでいる。
子供はむしゃむしゃとエサである笹を食べ、
親はその子供に抱きついて、ぼーっとしている。
毛づくろいでもしていたのだろうけど、それも飽きてしまったのか。
…あまりにもゆったりとしていて、その檻の中だけ、まるで時間が止まってしまったかのような錯覚さえも覚える。

そう。
檻の中にいるのは、パンダの親子。
あかねはそのパンダの親子を指差して、立ち止まったのだ。
「…パンダだな」
俺がぼそっと呟くと、
「そうよ、パンダよ。やっぱり人気ってあるんだね、パンダ」
あかねはそういって、ぴょんぴょん、とその場でジャンプする。
「見たいのか?」
「うんっ」
「…」
普段見てるのに…とは、思えども、せっかくあかねがそう主張するので
俺はあかねの腰の部分を両手で支えながら、あかねを持ち上げる。
「見えるか?」
「うんっ。ねえねえ、乱馬。羨ましいと思わない?」
と。
ようやく檻の中のパンダの様子を見ることが出来たあかねが、ふとそんな事を叫んだ。
「羨ましいって?何が?」
俺があかねに尋ねると、
「だって、親子で仲良くしているだけで皆がこうして見にきてさ、可愛いって言うんだよ?
ほら、彼らにしてみればただ単に檻の中で生活をしているだけなのかもしれないけどさ…檻の中で生活しなくては いけないのは可愛そうだけれど」
あかねはそういって、俺の手を振り切って地面へと飛び降りる。
「パンダに生まれた事を、運命と思うしかねえなあ」
俺がそんなあかねにそう呟くと、
「そうねえ。あ!でもそう考えると!」
あかねは、初めはしんみりと返事をしていたにも関わらず、不意に何かをおもいつたのか…妙に楽しそうな顔をし た。
「…」
その笑顔に、俺が何となく嫌な予感を感じると、
「乱馬達は、すごくラッキーだったわけよね!」
「…何がだ」
「だって、ほら!おじ様とはあんな風に仲良し親子って訳でもないわけじゃない?それに住んでいるのは家だし!同じ親子でも、生まれた場所や生活環境では全然違うのねえ…」
あかねは、ひとりで納得したような素振で、うんうん、と頷いている。
そのあげく、
「でも、乱馬もおじ様と一緒にああやって檻の中に入ったら、案外仲良く寄り添っているのかもしれないね!」
とか何とか叫んだかと思うと、
「ほらみて、乱馬!親パンダに抱きつかれている子パンダ、乱馬と同じですっごく食いしん坊だよ!さっきから、いっ ぱい笹を食べちゃうの。一人でご飯を独り占めしちゃうなんて、乱馬みたいだね!」
…そういって、ニコニコと笑っている。
「…」
俺は、そんなあかねの頭をぽんぽんと叩きながら、心の中で大きくため息をついた。

…なあ、あかね。
動物園に来てさ、パンダを見て嬉しそうにはしゃいでいるおめーは本当に可愛いよ。
檻に入れられた動物のことを考えてしんみりする姿も、おめーの優しさを垣間見れて何だかいいと思うし。
でもな?あかね。
随分と前から、何度も俺はオメーに言ってると思うけれど。
俺の親父はな?一応早乙女玄馬って名前があって。
パンダに変身するけれど、一応あれでも元は人間なわけだ。

だからな?あかね。
生活環境うんぬんとか、生まれた場所うんぬんではなくて、だ。

 

…俺はパンダの息子じゃねえ!
ついでに俺も、パンダじゃねえ!


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